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-第三章-サマーオーシャン連合国-エルフの国編-

-第三章五十五節 千人隊長の指揮と不審な地震と武装巨人-

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マサツグ達が大暴れした事によってモンスターの大群も一時足を止め!…

更には六森将・ベルベッタ・ジーナ・ナターシャ・マリーが参加する事に

よって更に大打撃を与える!…これにより僅かながら勝機を見出す事が

出来たのだが…さすがに良い事ばかりと言う訳ではなく、遂に支援砲撃の

砲音が途絶えると、真っ向勝負のせめぎ合いへと戦局は発展する!…

その際エルフ達も最前線で戦うマサツグ達を見てか!…すぐさま部隊を

再編成し始めると、戦場に駆け出そうとして居た!…


「今すぐ槍を手に取れ!!…剣の携帯も忘れるな!!!

我々に残された道は一つ!!…あの者達に乗じて敵を討つ事!!!

一秒たりとも遅れるな!!!」


「大盾部隊は何をして居る!!!…今すぐ陣を張って更に守りを固めよ!!!

魔法支援も忘れるな!!!…魔法の雨を降らせてやれ!!!」


「……はあぁ~…やれやれ見てられないねぇ?…指示にまとまりがない…

良くこれでいままで生きて来れたもんだ……どれ…」


「ッ!…マーガレットさん!?…」


衛兵長は混乱しながらも必死に衛兵達に指示を飛ばす!…その際武器を

装備する様には言うのだが具体的な隊列の動き方に関しては何も言わず、

衛兵達も戸惑った様子でただ言われるままに装備を手に取ると、バラバラに

戦場へ出て行こうとする!…ハッキリ言ってそこに統率のとの字も無く、

明らかに危険を孕む指示をしており…そんな指示を聞いてか千人隊長の

マーガレットが呆れた様子で溜息を吐くと、セラを肩に乗せたままその

衛兵長の元へと移動し出し…その様子にレイヴンが戸惑った様子で声を

掛けると、マーガレットはその衛兵達の前に立つなり大声で号令を掛ける!…


「……スゥ~……全員!…整れぇぇぇぇつ!!!」


__ビクゥッ!!!…バババッ!!!……


「ッ~~~!!!……ッ!?…あ、貴方は!?…」


衛兵達の前に立って息を大きく吸うと、号令を掛け!…その号令に衛兵達も

反応するよう酷くビクッとすると、今装備しようとして居た装備を投げ捨てる!…

何よりも呼ばれた事の方が大事と言った様子で慌てて整列をすると、その中には

衛兵長も紛れて居り!…その様子に衛兵達も若干戸惑うのだが、それ以上に

衛兵長はマーガレットが居る事に今気が付いた様子で驚き出し!…思わず声を

漏らして戸惑いの表情を浮かべて居ると、マーガレットは構わず全体の反応!…

様子を見た所でやる気を見せる様な表情をすると、衛兵達全体に指示を出す!…


「……ふむ、反応は良いみたいだねぇ?…よし!…

今から敵に突貫を掛ける!!…

大盾部隊は最前線に立って横に広がるよう展開した後、

その手に槍を持って敵を一匹たりとも逃がさないようしっかり構えな!!

そして後方より魔法部隊の攻撃によって敵を殲滅!…

あそこで戦って居る友軍に被害を出さないよう気を付けるんだよ!?…

そして足並みはゆっくりでいい!!…

下手に急いで戦線を崩壊させるのが怖いからねぇ!…

ジリジリと詰めて行ってやんな!!

後もし囲まれた場合だが!…その時は密集するよう盾を構えて陣を形成!…

互いに構えている盾同士の間から槍を出して!…一体づつでも始末しな!!

……いいかい!!…これは演習でも無ければ訓練でも無い!!…戦争だ!!!

生きて帰りたければしっかりケツの穴を閉めて掛かりな!!!」


__お、仰せのままに!!!……


マーガレットは指示を出す際まず大まかな目的を口にし、その後ちゃんと

部隊を編成するよう指を差しながら指示を出し!…その指示も整列している

エルフ達を目の前にここからここまでと言った様子で指示を出し、その戦術に

ついてもまるでファランクスでもする様な戦術を立てると、全体を見回しては

声を張る!…そして最後に全員に覚悟を決めるよう言葉を掛けると、まさかと

思う様な言葉を口にし!…その号令に思わず衛兵達も慌てて敬礼をしてしまい!…

言われた通りに衛兵達が動き出そうとして居ると、その号令振りに三人の部下が

それぞれ反応を見せる。


「…ハアァ~…隊長…幾ら覚悟を決めさせる為とは言えその様な言葉を…」


「あははは……まぁ隊長らしいと言えば隊長らしいけど…」


「……ッ?…何がいけないのだ?…」


アクアはそのマーガレットの最後の言葉に引っ掛かりと覚えたのか、自身の顔に

手を当てては大きく溜息を吐き!…御下品と言った様子で嘆いてはガックリと

肩を落とし出し…そんなアクアの様子にウィンティアも苦笑いをすると、

フォローを入れる。そうしてやはり女性としてもう少し気を遣って欲しいのか、

二人がそんな様子を見せている一方で…ホムラは何とも思って居ないのか二人の

言葉に疑問を持ち!…二人が落胆している理由についてキョトンとした表情を

浮かべると、その二人が言葉にした意味に尋ね出す。こうして三者三様の様子を

見せている事にレイヴンも戸惑った反応を見せて居ると、リリー達も現場に

来たのか!…剣と盾を手に部隊を率い!…その準備をする衛兵達の部隊に並ぶ

よう全員が武器を構え始めると、号令を掛ける!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……チャキッ!!…


「…皆覚悟は良いか!!!…この戦いは!!!…

我々エルフ族の存命が掛かった大戦だ!!!…敗走は許されない!!!…

連携を密に取り!…先に行った者達と共にこの危機を脱すのだ!!!…

…剣を掲げよ!!!!」


__ザッ!!…ジャキンッ!!!…


「…我々の魂は!!…世界樹と共にあり!!!」


__共にあり!!!!!…


まるで中世の騎士様に自身の顔の前で剣を構えると、リリーを先頭に部隊は一糸

乱れぬ動きを見せ…アルスも当然それに参加しており、リリーの後ろで同じ様に

剣を構えると、一点にマサツグ達の戦って居る戦場を見詰める!…そうして全員が

剣を構えた所でリリーが号令を掛けるよう部隊を鼓舞し始めると、同時に覚悟も

決めさせ!…その覚悟をその場に居る全員に見せるよう!…更に構えた剣を天高く

掲げるよう指示を出すと、まるで神に誓いを捧げるよう最後に号令を口にする!…

そしてそのリリーの言葉に全員が同意するよう言葉を口にすると、武器を改めて

構え直し!…その気配を感じてかリリーも剣を掲げたまま!…自分達が向かう

戦場へ向かいスッと剣を振り下ろして見せると、次には突撃の命令を出す!…


「……行くぞおおぉぉぉ!!!」


__オオオオオオオォォォォォ!!!!…ダダダダダダダダ!!!…


「……はあぁ~…相変わらず堅っ苦しいねぇ?…

そんな口上を述べてる暇が有ったらさっさと行けばいいのに…」


「……お言葉ですがこれが我々の流儀なので…

…お久しぶりですね?…バスティニアス卿…」


リリーが号令を出すとアルスが先陣を切って駆け出して行き!…それに続くよう

後方の騎士達も地面を踏み鳴らすよう戦場へ駆けて行くと、戦闘に参加し始める!…

エルヴンナイツの総数はザッと見た限りで千数百!…それでも猛者揃いと言った

様子でモンスター達の大群に掛かって行くと、またモンスター達の群れを押し

返して行く!…その様子を見てマーガレットも感心する様な素振りを見せる

のだが、やはり思う所が有るのか…そのやり方がまどろっこしいと呟いては呆れて

見せ、その際リリーはその場に残ったのかマーガレットの言葉に対して苦言を

呈すると、挨拶をする!…その際立場上ではマーガレットの方が上なのか、敬語で

話しては深々とお辞儀をし!…マーガレットはそのリリーの様子を見るなり

寒気を感じ!…まるで雨風に晒されて居るようその身を震わせると、リリーに

止めるよう言葉を言う!…


「ッ!…ううぅぅ!…さっぶ!!…止しとくれよ!!…

あたしはもう引退した身なんだよ!?…今更畏まれても!!…」


「いえ、そうは行きません!…貴方は十貴族が一人!…

[堅木のマーガレット]様なのですから!!…」


「だからあたしはそんなんじゃないって!!……それに…

あたしは言った筈だよ?…もうここと関りを持つのは止めるって!…」


まるでリリーに対して苦手意識を持って居る様に…マーガレットがセラを抱え

ながら震えて居ると、リリーは更に続ける!…この時も規律は規律と言った

様子で畏まった言葉を並べると、マーガレットは十貴族であると口にし!…

だがその言葉に対して更に反抗するようマーガレットは文句を言い!…ユグ

ドラドと関りを断った事をリリーに話し出すと、リリーは更にマーガレットを

追い詰める!…


「では何故今こうしてここに来て指揮を執っておられるのですか?…

…関わりを断ったと言うのなら森に籠って居れば良い筈!…

なのに如何して?…」


「ッ!…それはぁ!……ッ~~~!!!…あぁ~もう!!…

ただ単に買い物がしたい時に近くに店が無いと困るだろう!?…

その程度だよ!!!…全く!!…あぁ言えばこう言う!…

相変わらずだね!!…アンタ!…」


「……それはお褒めの言葉として受け取っておきましょう…」


「ッ!…はあぁ~……」


リリーの言葉は正論であった!…関りを断ったと言う割には現にこうして衛兵達の

指揮を執っており、態々戦の準備をして来たであろうその格好もアーマー姿と!…

矛盾して居ると言った様子でリリーがツッコミを入れると、マーガレットは若干

怯んだ様な表情を見せる!…そしてそのツッコミに対してマーガレットも反論

しようとするのだが、思う様に言葉が出て来ないのか…とにかくリリーにイライラ

した様子で適当な言い訳を口にすると、文句を言い出す!…そして面と向かって

嫌い!と言う様に言葉を口にするのだが、リリーは全く堪えて居らず!…寧ろ誉め

言葉と受け取った様子でマーガレットに意地悪らしくニヤッと笑って見せると、

遂にはマーガレットが折れた様子で溜息を吐く!…そうしてそんな会話をしている

一方で、場面は更に戦場へ向けられ!…視点はマサツグ達に向けられるとただ

ひたすらに暴れて居り!…この時更に厄介な化け物が近付いて来て居る事に全く

気が付いて居なかった!…


__ザシュン!!…ドシュン!!!…


「ぜぇ!…ぜぇ!…さ、さすがの数だな!?…いい加減疲れて来たぞ?…」


「ッ!…無理はしないで!!…

エルフの連中達も本格的に動き出したみたい!…

ここは一旦退いて回復を図るのも!!…」


ただ向かって来るホブゴブリンやリザードマン!…まるで見切ったかのよう

一太刀も浴びずにマサツグ達は戦って来たのだが、やはり乱戦はキツイ物で!…

HPは消耗しなくてもTPは消耗し…徐々に息切れが目立つ様になって来ると、

ベルベッタがマサツグを心配して下がる様に声を掛ける!…その際現場で

司令塔になって居るのか、他のモンスター達を操りながら戦況を見極め!…

エルフ達が動き出した事も確認し、希望を持たせるよう動き出したと声を

掛けて居ると、突如何処からともなく振動が!…何やら自身に近い様な?…

だが規則的で何かが近付いて来て居る様にも感じられると、途端にその場に

居る全員の動きが止まる!…


__…ッ~~…ッ~~………ッ!?…ビタッ!!…


「なっ!?…何この揺れ?…」


「わ、分からないけど嫌な予感がするよ!?…ベルベッタさん!!」


「ちょ!…落ち着いて!!………ふぅ~…

…確かに何かが近付いて来て居る様な?……ッ!?…

嘘でしょ!?…」


マサツグ達やモンスター達!…誰とてその不穏な揺れに気が付くと、まるで

一時停止でもしたかの様に止まり…マリーも振れに感付いては戸惑い!…

ナターシャも不安がるよう嫌な予感がする!…と青褪めながらベルベッタに

問い掛けると、そんな二人にベルベッタは落ち着くよう声を掛ける!…

そして自身も落ち着くよう一度深呼吸を挿むと、辺りを見回し!…その際

揺れは何かが近付いて来て居ると!…確信した様子でベルベッタが注意深く

視線を動かすと、次にはあるモノを見つけた様子で青褪める!…この時思わず

本音を漏らす様に嘘でしょ!?…と呟くと、たじろいだ様子で後ろに一歩

下がり!…その様子にマサツグ達も気が付き!…そのベルベッタが見ている

方へ視線を動かすと、そこで同じ様にあるモノを見つける!…


「ッ!…ぜぇ!…お、おい!…如何したって……ッ!?…」


「な、何だってんだありゃぁ!?…」


「で、デカい!!…私達よりトンデモナクにデカい!!!…」


__オオオオオォォォォォ!!!!……


息を切らしながらも振り返ると、そこには人影が…ただここで普通に人影なら

大して青褪める様なモノでもないのだが、その見え方に問題があり!…

その人影は森の方からやって来て居るのだがその高さが可笑しく!…ゆうに

3~4mはあろう木々を簡単に追い越す様な身の丈を見せると、真っ直ぐに

こちらへ向かい歩いて来ている!…当然そんな様子を目にした物だから

マサツグも戸惑い!…オーディックはその巨体が向かって来る事に目を見開くと

驚き戸惑い!…ジーナもあんなモノを見るのは初めて!…と言った様子で

驚きの声を漏らすと、ただ近付いて来る人影を凝視する!…そうして雄叫びを

上げながら徐々に近づいて来る人影は当然の事ながら大きくなって行くと、

遂にはマサツグ達を見下ろし!…何ならマサツグ達もその巨大な影を見上げ

始め!…その正体について確認すると、ベルベッタが慌てた様子で声を掛ける!…


__ズドオォン!!!…ズドオォン!!!…オオオオオォォォォォ!!!!


「ギッ!?…ギガンテスゥ!?…そ、そんな馬鹿な!?…

こんな化け物が居るなんて聞いてない!!…」


「……はは!…もうまるでイグ○ーみたいだな?…」


「武装してるだよぉ!!…気ぃ付けねぇっと踏まれちまうだ!!!」


マサツグ達の目の前で足を止めてはけたたましく雄叫びを上げ!…その巨人の

正体をベルベッタがギガンテスと言うと、更に青褪める!…そしてこの大陸に

居る筈が無い!…と言った様子で戸惑うのだが、現にマサツグ達の目の前に

立って居り!…マサツグからすればもうそれは某・進撃かガン○ムか…とにかく

笑う事しか出来ないと言った様子で見上げて居ると、オーディックが辺りに注意

喚起をする!…やはりここに現れた以上そのギガンテスも相手にするしか無く、

マサツグ達は武器を構えるのだが…ギガンテスの体長はゆうに6~7m有り!…

武装もして居るため普通に攻撃しただけではダメージが通りそうにない!…


「…さぁて?…如何やってこいつを倒す?…

ぶっ叩斬れそうにねぇんだが!?…それともうなじを攻撃しろってか!?…」


ギガンテスの体を見ると急ごしらえで作ったのか…上から鉢巻き・皮鎧に

腕当て!…そして腰みのに脛当てと、やはり全身をカバーするには資材が

足りなかったらしく…所々やっつけ仕事の様な隙間が見られる!…

だがそれでもその手には岩から削り出したのか棍棒が握られており、強度を

増させる為か鎖も巻かれ!…そんな武装具合に!…何ならその巨体具合に!…

如何攻撃したものかと思わず某・進撃的なノリでマサツグが悩み出して

居ると、オーディックがセオリーな攻め方を提案する!…


「うぅ~ん?……とにかく足だでかな?…

足を攻撃して怯ませてスッ転ばせて!…で、頭を叩く!…」


「…他にそれ以外無さそうだからそれで行くか!!…

皆気を付け!!……ッ?…」


__ズドオォン!!!…ズドオォン!!!…ギャワアアアアアァァァ!!!!…


「ッ!?…マジかよ!?…仲間じゃないのかよ!?…

…って、そんな事言ってる場合じゃないよな!?…追うぞ!!」


オーディックが提案したのは相手を怯ませる事で、ギガンテスの足を狙う

様にと!…足を攻撃する事でフラ付かせ!…地面に手を着くまたは転けた時に

効果的な部位目掛けて重い一撃を放つと言うものなのだが、当然あの巨体!…

怯むかどうかが分からず、だが他に策が思い浮かばず!…とにかくやって見る

しか無い!とばかりにマサツグが全員に声を掛けると、早速打って出ようと

するのだが…ギガンテスはマサツグ達に眼中は無いのか!…ただユグドラドに

向かい侵攻すると、その足元に仲間であろうモンスター達が居ようとも

踏み砕く!…当然その様子見てマサツグは戸惑うのだが、そんな心配をしている

場合ではなく!…慌ててギガンテスを追い駆け出し!…自分達の後方で戦って

居るエルフ達の心配もし始めると、必死に足を動かす!…


__わあああああぁぁぁぁ!!!…ズドオォン!!!…ズドオォン!!!…


「ッ!!…クッ!…意外と足が速い!…ドンドン離される!!」


「諦めちゃ駄目だぁ!!…ここで諦めたら!!…

何もかも終わってしまうだぁ!!!」


エゲツナイ物が投入された事でさすがにエルフ達もヤバいと感じると、後退をし

始めるのだが!…逃げた所でギガンテスは止まらず!…ただユグドラドに向かい

前進し続けると、追い駆けて来るマサツグ達を突き離して行く!…やはりここで

問題になって来るのはその歩幅で、他のゲームみたくウスノロでは無い様で!…

幾ら走って追い駆けようとも追い付く事が出来ず!…シロやマリーなら追い付け

るのだろうが心配で命令がこれまた出来ず!…マサツグも刹那が切れて追い付け

ない事と無視された事に若干の怒りを覚えると、遂にはいつもの様に自棄を

起こし始める!…


「クッソ!!…俺達を無視しやがって!!!…

今に見てろ!!…こうなりゃ一か八かの!!…」


__ザザァッ!!チャキッ!!…スラアァ!!!…


「ッ!?…な、何をする気!?…ッ!!…」


「離れてろ!!…すうぅぅ~…」


文句を口にしながらマサツグは大剣から刀へ換装スイッチをすると、すぐさま構え!…

当然足を止めて突如刀を構え出した事に!…他の面々も釣られて驚いたよう

足を止めてしまうと、マサツグに声を掛けるのだが!…この時目にしたマサツグは

既にゾーンに入っており!…そんな集中し切って居るマサツグの様子に声を掛けた

ベルベッタが戸惑い出すと、マサツグは離れるよう声を掛けては!…呼吸を整える

なり回転しながら素早く抜刀する!…


「はあぁぁ~……ッ!!…行っけオラアアアアアアァァァァァ!!!!」


__スウゥ!!!…ズバアァン!!!…


「ッ!?…う、嘘!?…」


「足を斬っちまった!?…」


気合の入った掛け声と共に!…まるでステップを踏む様に回転を入れながら

一気に刀を抜刀すると、抜刀された刀から特大の斬撃が飛び!…離れて行く

ギガンテスなど何のその!…瞬く間に斬撃はギガンテスに追い付いて見せると、

次の瞬間ギガンテスの左アキレス腱を切断する!…当然これにはベルベッタも

酷く驚いた表情を浮かべると、夢を見ているのでは!?と自身の目を疑い!…

オーディックもそのマサツグの剣圧に驚きを示し!…足が飛んだのでは!?と

錯覚した様子で言葉を零すと、次にはマサツグがそれを否定する!…


「……チッ!!…いや浅い!!…」


__……ゴオオォォ!!!…ズダアアアアァァァン!!!……


「ッ~~~~!!!……あぁ!!…」


オーディックの言葉に対して自身でも手応えを感じた様子で浅い!と言うと、

ギガンテスは前のめりに倒れ出し!…そしてそのまま受け身を取る事無く

母なる大地へ飛び込んで行き!…ギガンテス自身何が起きたのか分からない

様子を見せて居ると、辺り一帯に強烈な地鳴りを起こして見せる!…その際

地震かと思う位の衝撃と土埃が辺りを襲うのだが、言うほど長くは続かず!…

全員が驚いた様子でその揺れと土埃に耐え抜き!…改めて地面に突っ伏して

居るギガンテスの姿を目撃すると、マサツグはすかさず号令を掛ける!…


「でもこれで脚は止めた!!!…今の内に!!!…」


「ッ!?…ブルブルブルブル!!……

そ!…そうだでな!!…よぉ~し!!!」


「…まだ腕とかが残ってる!!…油断はするなよ!!!」


「「「おぉ!!!…」」」×6


実質行動不能となったギガンテスを目の前にマサツグはチャンスと言い!…

そのマサツグの言葉でオーディック達はハッと目を見開き!…改めて気合を

入れるよう首を左右に振って見せると、斧を手に止めを刺そうと向かって

行く!…その際もマサツグはまだ暴れる可能性がある事をオーディック達に

注意をすると、全員が同意するよう返事をするのだが!…当然ギガンテスも

やられっぱなしではなく!…徐々に痛みを実感し始めたのか藻掻く様な

素振りを見せると、叫び出す!…


__……痛い…痛い!…痛い痛い痛い痛い痛い!!!…


「ッ~~~!!!!…ギャアアアアアアア!!!!」


「ッ~~~!!!!…うるっさ!!…」


「オデノ!!…足ガ!!…許サナイ!!」


痛みを文字通り痛感した所でギガンテスは叫び出し!…辺り一帯にその絶叫が

これでもか!と言わんばかりに響き渡ると、マサツグ達は鼓膜が破れそうな

思いをする!…幾ら耳を押さえて居ても頭に響く様な絶叫で!…マサツグ達も

動けなくなる位に固まって居ると、そのギガンテスのヘイト注意はマサツグ達に

向けられる!…その際ギガンテスは腹這い状態ながらもマサツグ達の方へ振り

向くと、怒りの表情を見せ!…誰がやったかは分からないものの全員潰せば

良いと!…割り切った様子で怒りのまま腕を振り上げ始めると、そのまま

マサツグ達目掛けて拳を振り降ろす!…


__ズオオオオォォォ!!!…ッ!?…ズダアアアアァァァン!!!…


「ッ~~~!!!…ぶんねぇ~!!…なりふり構わずか!?…」


「ヨクモォ!!…ヨクモオラノ足ヲォ!!!…

様ノ!!…邪魔ヲスル奴!!…皆潰ス!!!」


「ッ!?…ですよねぇ~!?……はあぁ~…

…案外近くに居ないのかね?…」


ギガンテスが振り上げた拳に全員が咄嗟に反応すると横っ飛びで回避し!…

ギガンテスは構わずその振り上げた拳を振り下ろすと、辺り一帯に地震を

巻き起こす!…当然その地震はエルフ達だけでなくモンスター達にも被害が

及ぶのだが、ギガンテスは全く気にして居らず!…マサツグは冷や汗を

掻く様に言葉を口にすると、そのギガンテスの次の行動に警戒した様子で

身構え!…ギガンテスはギガンテスで怒りをぶつけるよう言葉を片言ながら

口にすると、何たら気になる言葉を口にする!…その口から出て来た言葉と

言うのは、勿論魔王と言う言葉で!…その言葉にマサツグがやっぱりと

脱力し…思わずその魔王が近くに居ないかを確認して居ると、ギガンテスは

再び拳を振り下ろす!…


__ズオオオオォォォ!!!……ズダアアアアァァァン!!!…


「ッ!?……っと!!…

探してる場合じゃないってか!?…皆無事か!?…」


「ッ~~~~!!!……え、えぇ!!…何とか!!…

でもこのままじゃ!!…」


「クソッ!!…せめてこの揺れだけでもなんとかならねぇだか!?…」


「ッ!?…無茶振りにも程が有るだろ!?…」


怒りに身を任せるままギガンテスは暴れ出し!…マサツグも余所見をしている

場合では無い!と改めて理解させられると、再度ギガンテスに注意をする!…

その際同じ様に被害を受けたであろうベルベッタ達に声を掛けると、無事と

一応ながらに返事が帰って来るのだが…やはり暴れるギガンテスから同じ様に

苦戦を強いられ!…逃げる事すらままならないと言った様子を見せて居ると、

オーディックが珍しく怒りを燃やす!…この時やはり地面が揺れる事で脚が

取られ、真面に動けないと!…文句を零してはマサツグに無茶振りをし始め!…

マサツグもその言葉を聞いて戸惑った様子を見せて居ると、ここで救いの手が

差し伸べられる!…


「《その氷はあらゆる物を凍らせ!!…二度と癒えぬ傷を負わせる!!!…

凍てつく氷の道標!!…かの者に地獄への片道を指し示せ!!!…

アイスダッシャー!!!》」


__コオオオォォォォ!!!…ドシュシュシュシュシュ!!!!…


「ッ!?…これは!?…レイヴン!!!」


「へへ!…苦戦してるようだから手助けを!…余計な事したか?…」


何処からともなく魔法の詠唱!…しかしその声には何処か聞き覚えが有り!…

その声の主が魔法を詠唱し終えた途端!…マサツグ達とギガンテスとの間に

ピンピンに尖った上向きの氷柱が道を描く様に量産されると、ギガンテスの

行動を制限する!…さてここで何故制限出来たのかと言うと、先程のよう

迂闊に地面を叩けば氷柱の餌食になってしまうからであり!…氷柱が刺さった

後も厄介で!…傷口から凍てついてはジワジワと侵食する様に!…凍傷を

引き起こして更に傷口を悪化させ、最悪腕が完全に使い物にならなくなると

言った危険性を孕んでいるからである!…そしてその凶悪な魔法を唱えた者

こそレイヴンで有り、マサツグは気が付いた様子で名前を呼び!…レイヴンは

レイヴンで間に合ったとばかりに笑って見せ!…マサツグに余計な事をしたか?と

余裕を見せる様に問い掛けると、次の瞬間にはギガンテスが案の定その氷柱の

上に腕を振り下ろす!…


__ズオオオオォォォ!!!…ザシュウウゥゥ!!!!…


「ッ!?…ギャアアアアアアア!!!!」


「ッ!…怒りに身を任せ過ぎたか?…そうら!…地獄を見せてやるぞ!…」


「ッ!?…レ、レイヴンさん?…」


氷柱に向かい勢い良く振り下ろされたギガンテスの手から生々しい音が響くと、

鮮血が噴き出し!…更にその鮮血はレイヴンの魔法の影響でか!…瞬く間に凍り

色鮮やかな赤い氷に姿形を変貌させると、そのままギガンテスの手を拘束して

しまう!…当然ギガンテスは苦痛に表情を歪ませると、堪らず悲鳴を上げては

氷を引き剥がそうとするのだが!…ちょっとやそってでその氷がはがれる事は

無く!…寧ろ更に喰い込むよう音を立てながら凍り付いて行くと、予想していた

通りにギガンテスの腕を侵食し始める!…さて、それを見てレイヴンは

予想通り!…と言った様子で悪い声を漏らすと、更に魔法を重ねようとし始め!…

その様子にマサツグもヤベェ!と言った具合に…レイヴンが別人になった様な

気がしては狂気を感じずには居られないのであった!…

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