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-第三章-サマーオーシャン連合国-エルフの国編-

-第三章十五節 沼の主?…とお得意のコンビプレイと気になる調査結果-

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沼に向かう道中…オーディックの言う通りモンスターに襲われては撃退し、

約数十分の道のりを越えてマサツグ達がやっと件の沼に辿り着くと、そこで

ある物を見つける!…その見つけた物と言うのは何かを引き摺った様な跡が

残されてある事で有り、マサツグとレイヴンの二人はそれぞれその痕跡を

見つけると、間違い無いと言った様子で辺りを警戒し!…そんな二人に

釣られてシロとオーディックも五感を研ぎ澄ますよう警戒し始め!…

マサツグ達が恐る恐るその沼の方へと近付いて行くと、沼の様子を確認する。

沼はオーディックの言っていた通り水が澄んでは魚が泳いでおり…パッと見

直ぐに飲み水として使えそうだと言う事だけが分かると、何故か不気味さを

感じ!…沼自体そんなに深くはないのか地面が見えて居る事に気が付くと、

マサツグ達は更に歩を進める!…


__……ザブザブザブザブ!…


「……皆いつでも動ける様に警戒はしっかりな?…

…何が有るか分からないならな?…」


「…あの引き摺った跡!…間違いなくかなりデカいぞ!…

モ〇ハンだったらまず間違いなくキングサイズだ!…」


「さて鬼が出るか蛇が出るか!…

今まで攫って来たモン全部返すだよ!!…」


沼に足を踏み入れる際、マサツグ達は隊列を組むよう並んで沼に足を踏み

入れると、更に警戒を強め!…何が出て来るか分からない状況に緊張感は

MAXになり!…色々な方向を見回して居ると、マサツグが注意喚起をする!…

その際マサツグの注意喚起に反応するようレイヴンがそのデカさについて

語り出すと、某・一狩り行こうぜのゲームに出て来るサイズ感覚でその

スライムの推定大きさを語り!…だが当然オーディックやシロにはそれが

伝わらず!…ただ流されたよう各々が警戒した様な反応を見せて居ると、

マサツグは徐に感知サーチを発動する。


「……感知サーチ!!…」


__ピィーン!!……ヴウン!…


「……ッ!?!?!?…全員沼から離れろ!!!!」


「ッ!?…え!?…」


それは突然の事であった!…マサツグがいつもの様に感知サーチを発動すると、

その目には敵かどうかの識別色が反映され!…更にミニマップにも

その範囲と色々なアイコンが表示され、マサツグがその感知サーチの結果を見て

突如青褪め出すと、その場から逃げるよう訴え出す!…当然これには

レイヴン達も慌てた反応を見せるのだが、マサツグは構わず逃げる様に

訴え続け!…とにかくこの沼から離れるよう!…マサツグが必死に

なった様子で叫んで居ると、そのマサツグの慌てる理由を説明する様に!…

沼の水が意思を持ち始める!…


__ゴゴゴゴゴゴ!!!…ザバアアァァ!!!!……


「ッ!?…なっ!?…」


「ッ!!!…やっちまったぁ!!!…久々にやっちまった!!…

何の対策も無しに沼に足を入れるとか!!…馬鹿だろ!!…」


突如マサツグの目の前の沼の水が盛り上がり出すと、徐々に辺りの水分を

吸収するよう膨張し!…まるで海坊主が出たよう!…巨大な球体の様な

水の塊がマサツグ達の前に姿を現すと、それを見たレイヴン達は絶句する!…

実はマサツグがあの感知サーチで見て感じたモノの言うのがまさにこれで!…

マサツグの目には目の前が真っ赤な敵性反応で染まり!…ミニマップには

その巨大さを物語る様に!…今までに見た事の無い位の大きさの赤い丸が

ドンと表示されては赤々と点滅して居た!…幸いなのはそのスライムの

間合いにまだマサツグ達は足を踏み入れて居ない事で!…それでもピンチな

事には変わらず!…マサツグは自分の失態と言った様子で自身に怒りを覚え!…

オーディックはオーディックで初めて見るスライムに衝撃を覚えると、

真面に何かを喋れる様な!…そんな状態では無いと言った様子で驚きの表情を

見せていた!…


「あ!…んだで!…これは!?……」


「ッ!!…デ、デッカァ!!…

確かに予想はして居たけど!!…まさかこのクラスとか!!…」


「とにかく逃げろ!!…この状況は不味すぎる!!…

ただでさえ水の抵抗もあって動き難いってのに!!…

ここは相手のフィールドだ!!…捕まったら即ジ・エンドだ!!」


「ひゃああぁぁ!!…」


オーディックは目を見開きそのスライムを見詰め!…レイヴンもワイトながら

その大きさに顎を外したよう驚きの表情を見せると、ただその巨大なスライムを

見上げる!…高さにして約4m!…範囲にして同じく約4m!…まるでプルプルと

呼吸をするようその水の塊はゆったりと揺れており!…まだ動く気配を見せて

居ないで居ると、マサツグは再度一旦退く様にレイヴン達へ声を掛ける!…

その際捕まったらそのまま体内へと閉じ込められて溺死させられる様に言うと、

それを聞いたシロは声を上げて青褪め!…その間にもその巨大スライムは

動き出し!…更に逃げられないようバトルフェンスまで出現すると、遂には

逃げ道まで失ってしまう!…


__ヒィシュウゥン!!…パアアァァン!!!…


「ッ!?…バ、バトルフェンス!!…それも!?…」


「最初から逃げられないってかよ!!…実質詰みじゃねぇか!!」


__ザザザザザ!……


「ッ!?…チィ!!…本当にこの状況でやるしかねぇって事か!!!…」


背後にバトルフェンスの出現音を聞き!…その音に反応するようレイヴンが

振り返り色を確認すると、そこにはまさかの赤色のフェンスが!…本当に

逃げる事が許されない状況にマサツグも慌てると、ただ焦りを覚えた様子で

現状の様子に嘆き!…だが嘆いている暇は無いとばかりにこの間にもスライムは

マサツグ達へ近付き!…マサツグもそれに気が付いた様子で覚悟を決めると、

改めて武器を抜き始めては安定の初手から入る!…


「ッ!!…鑑定アプレェィザァル!!」


__ピピピ!…ヴウン!…

 -----------------------------------------------------------------------

 「キングスライム(品種改良済み)」

 Lv.45

 HP ****   ATK 375     DEF 450

                MATK 0    MDEF ****


 SKILL

 水の抱擁 Lv.10 物理耐性 Lv.15 ???? Lv.10
 -----------------------------------------------------------------------


「ッ!?…ちょっと待てよ!…魔法防御が分からねぇ!?…

これじゃ魔法が効くかどうかも分からねぇし!…

オマケにスキルの最後は何だ!?…????なんて聞いた事ねぇよ!!…」


いつも通り目の前から迫って来るスライムに対して鑑定アプレェィザァルを発動すると、

マサツグの目の前にそのスライムのステータスが表示されるのだが!…

一部測定が出来なかったのかアスタリスク表記になっており、マサツグが

その事に対して文句を口にすると、更にある物を見つける!…それは最後の

スキルに関しての事であり、表記は????と…名称が隠されて有っては更に

マサツグを困惑させ!…具体的な弱点について不明のままで悩んで居ると、

レイヴンはスライムの体内である物を見つける!…


__ゴポポポォ!……キラッ!…


「ッ!?……う、嘘だろ!?…あ、あれは!…」


「ッ!?…何如何した!?…」


「ッ!…い、いや……何でも無い!…」


{……ッ?…}


揺れながらも確かに!…確実にゆっくりと近付いて来るスライムの体内で

キラッと光る物をレイヴンは見つけ!…その光る物を見るなりレイヴンが

困惑した様子で声を漏らすと、その声に反応してマサツグが声を掛ける!…

まるで心配した様に焦りながらも声を掛けるのだが、そのマサツグの

問い掛けに対してレイヴンは何でも無いと言い…だが見るからにその

レイヴンの様子は可笑しく、マサツグが再度尋ねようかと悩んで居ると、

レイヴンは途端に解決策を思い付いた様子でスライムの弱点を口にする!…


「…ただコイツの対処法は分かった!…

コイツの弱点は風だ!!…風属性だ!!!…

…ついでに対処法はあのコアを取り出すだけで良い!!…

ただ取り出す方法に関しては!…ッ~~!!…」


「……ッ!…コアってアレか!?…光ってるアレか!!…」


__……コクリッ…


レイヴンが言うその弱点と言うのはコアの存在で有り、コアを取ればスライムは

崩壊すると!…まるで対処法を知って居る様に語ってはその先は考えて居ないと

言った様子で悩み出し!…マサツグもそれを聞いて再度スライムを観察すると、

そこでコアを見つける!…コアを見つけた際レイヴンに確認を取るよう声を

掛けると、レイヴンはその問い掛けに無言で頷き!…そのレイヴンの返事を見て

マサツグは咄嗟に何かを思い付いたのか…徐にシロを呼び寄せると、続けて

オーディックに指示を出す!…


「ッ!?……だとしたらワンチャン!!…シロ!!…こっちに!!…」


「ッ!…は、はいです!!…」


「オーディックはあの馬鹿デカい図体に風穴は開けられるか!?」


「ッ!?…んだ!?…あ、あぁ!…出来ん事はねぇと思うだが…

一体何をする気だ!?…あの水お化けさこっちに向かって来とるだよ!?…」


マサツグがシロを呼ぶとシロは慌てつつも返事をし!…そして走り難そうに

しながらもマサツグの元へと辿り着くと、マサツグはシロを自身の肩に

掴まらせては前傾姿勢になる!…まるで自身が踏み台になるよう同時に腰も

落とすと、大剣を構え!…そしてオーディックに指示を出した際、オーディックは

戸惑いながらもマサツグの質問に答え!…一体何をする気だ!?と言った

様子で問い掛けると、マサツグはオーディックに続けて指示を出す!…


「…レイヴンが言うにはあのコアを取りゃイイ話だ!!…

オーディックがアイツのコア部分に向かって風穴を開けてくれりゃそれでいい!!…

後は任せろ!!!…」


「ッ!?…わ、分かっただ!!!…後は任せるだでよ!?…」


__ガッ!!…ググググ!!!!…


ただ焦っている様子でマサツグは自分を信じる様に言うと、再度スライムに

風穴を開ける様に言い!…その際若干怒っている表情で!…オーディックに

強要するよう迫ると、オーディックもマサツグの鬼気迫る表情に気圧された

よう!…同意をすると、自身が手にしている斧を構え出す!…まるでバッター

ボックスに入ったよう斧を構えると、沼の中だろうと関係無しに大きく足を

開いて踏ん張り!…そして斧を握る両腕に力を溜め!…徐々に迫って来る

スライムに対して狙いを定めると、どの球団の四番も真っ青のフルスイングを

放って見せる!…


__ゴゴゴゴ!!!…ッ!!!…ゴオアァァ!!!…


「牙王!!!…風破撃ィィィィィ!!!!」


__ドッ!!!…バシュウウゥゥゥゥゥ!!!!……ッ!?!?!?…


そのフルスイングを放つ際オーディックの腕には限界まで力が溜まったのか、

血管が浮き出ており!…更にそのオーディックからも気合の入った技名が

飛び出し!…フルスイングしたと同時にまるで強烈な突風!…いや質量の

ある突風が吹き荒れると、そのスライムのコアが有る部分に風穴を開ける!…

この時不思議な事にコアはその衝撃を喰らったにも関わらず、吹き飛ぶ事

無くその場に停止するよう宙に浮いて居り!…突然の突風にレイヴンは

驚くのだが、それと同時にコアが浮遊して居る事にも驚き!…スライムも

コアを護る様に!…徐々に再生をして行くのだがこの時既にお寿司と

マサツグがシロに声を掛けると、オーディックの後を継ぐ!…


「ッ!!…よっし!!…シロ!!」


「ッ!…はいです!!」


__ぴょいん!…スタッ!……ッ!?…


「こ、これは!?…」


マサツグがシロに声を掛けるとシロは直ぐにマサツグの考えを理解したのか、

マサツグの背中から飛び降りてはマサツグの構えている大剣の峰の上に乗り!…

マサツグもマサツグでそれで良いとばかりに頷き!…大きくそのシロの乗った

大剣を振り被り出すと、まるで投擲するよう腕に力を入れる!…当然そんな

様子を見せるマサツグにレイヴンとオーディックは戸惑うのだが!…マサツグは

構わず限界まで両腕に力を溜めると、大剣を思いっきり振り払う!…


「行くぞシロ!!!」


「はいです!!!」


「盗って!!!…来おおおぉぉいいいいいぃぃぃぃぃぃ!!!!!」


__グオォン!!!!…バシュン!!!…ッ!?…


思いっきり大剣を振り払う際!…マサツグがシロに準備をするよう声を掛けると、

シロはやる気を漲らせてイキイキと返事をしており!…まるでマサツグの事を

疑うと言った素振りを見せる事無く!…一点にコアを見詰めると、マサツグ

カタパルトで射出されては真っ直ぐコアに向かい飛んで行く!…そして射出成功

させたマサツグはと言うと、シロを送り出すよう叫んで大剣を振り終えた後…

ダランと力無くその場に倒れるよう片膝を突き…息を切らし始めると、顔だけは

上げてシロの行方を見守るのであった!…当然そんな聞いた事も見た事も無い

コンビプレイを見せたマサツグとシロに!…レイヴンとオーディックは戸惑い

驚いた様子で視線を向け!…マサツグはマサツグで今だシロの事を見詰めており!…

シロがやってくれると確信した様子で若干笑みを零して居ると、シロもその

マサツグの期待に応えるようコアを奪取する!…


__ゴオオォォ!!…パシッ!!…


「ッ!?…やった!!…」


__クルルルル!!……スタッ!!…


「……ごしゅじんさまぁ~!!…

取りましたぁ~!!」


マサツグに飛ばされシロがコアに向かい飛んで行くと、マサツグの指示通りに

しっかりと両手でスライムのコアをキャッチし!…その様子を見たレイヴンは

思わず声を漏らしてガッツポーズをして見せ!…そのままシロがスライムの

中を潜る様にして背後へ回ると、バトルフェンスを飛び越え沼の対岸にへと

無事着地する!…その沼の対岸に着地する際も、シロは遊ぶ様に体操選手も

顔負けの回転やひねりを入れながら華麗に着地をし!…そしてマサツグに

上機嫌で報告するよう!…その取ったスライムのコアを掲げ手を振って見せて

居ると、慌てた様子でレイヴンが次の指示を出す!…


「……ッ!?…イ、イカンイカン!!…感心している場合じゃない!!…

シロちゃんそのコアを壊して!!…」


「ッ!…あ、はぁいです!……えい!」


__シュウゥゥ!!…パキイィィィン!!!…


マサツグとシロのコンビプレイにレイヴンは感心をするのだが…途端に自分達の

置かれている状況をふと思い出すと、シロに慌ててコアを破壊するよう指示を

出す!…そしてそれを聞いたシロもハッと思い出した様子で目を見開くと、素直に

指示を聞いた様子で元気に返事をし!…右掌に風を集めて真空玉(微弱)を作り、

いつぞやのゴーレムのコアを破壊した時同様!…その真空玉をスライムのコアに

押し当てると、快音を立ててコアを破壊してしまう!…その際破壊されまいと

スライムも慌てた様子でシロの方へと移動して居たのだが、当然間に合わず!…

コアを破壊された事でスライムは崩壊!…その巨体もただの水へと変わって

しまうと、まだ沼の中に居たマサツグ達を押し流してしまう!…


__ッ!?……グゴゴゴゴ!!!……ドザアアアァァァ!!!…


「ッ!?…うおあああぁぁぁ!!!…」


「ッ!?…ご、ごしゅじんさまぁ~~!!!」


__チャプ……チャプ……


まるで何か糸が切れた様に!…コアが破壊されるとスライムは動きを止めて

その姿を痙攣させ!…そしてその痙攣も止まって崩壊し始め!…沼全体に

広がるようその身の水を一気に放流すると、マサツグ達を押し流す!…当然

耐えれる様な状態…と言うよりも相手は軽い津波の様な物で、耐えれる筈も

なくそのまま流されると、その様子を見たシロは慌ててマサツグ達の安否を

確かめる様に叫び!…そしてその津波も収まり元の平和な沼に戻ると、その

流されたマサツグ達はシロとは反対の岸に…まるで打ち上げられたジョ〇ー

の様な状態で倒れては呻き声を上げていた…


「……あぁ…酷い目に遭った…」


「…よくよく考えたらこうなるのは分かってたよな?…スマン…

あのスライム早く何とかしなきゃって考えたら…」


「……オラ生涯で初めてだでよ?…あんな大水に流されたの…

溺れるってこんな感覚なんだでな?…」


「ごしゅじんさまぁ~~~!!!…」


打ち上げられた状態ながらも徐々に上体を起こすと、マサツグは流された事に

ついて酷い目に遭ったで済ませ…レイヴンも体を起こすと冷静になったのか、

よく考えればこうなる事は分かって居たと話すと、マサツグ達に謝る…そして

同時に慌てて居た事を話すと冷静さを欠いて居た事も認め…同じ様に流された

オーディックも、こんな風に流されたの初めてと言った様子で言葉を漏らすと、

初めての体験にただ若干青い顔をして居た…そうして三人がそれぞれ無事である

事を確認して居ると、沼の岸を回る様にしてシロが駆けて来て!…マサツグの

事を呼んでおり!…シロがマサツグ達を合流をすると、いつもの様に飛び

掛かってはマサツグの心配をする!…


__ぴょいん!!…ッ!!…ガバアァ!!…


「ッ!?!?!?……ッ~~~~!!!……」


「ご主人様!?…大丈夫ですか!?…痛いところはぁ~!?…」


「シ、シロちゃん落ち着いて!!…」


上体だけ起こすマサツグに飛び掛かるようシロが覆い被さると、そのシロの

体重はマサツグの腹部に圧し掛かり!…幾らシロの体重は軽いとは言え、

受ける体勢を整えて居ないままにシロに飛び掛かられると、致命傷になる!…

当然その致命傷を受けるとマサツグは声無くその場に再び倒れると、シロは

マサツグを心配した様子で自身の頭を擦り付け!…そんな様子にレイヴンも

落ち着くよう声を掛け!…オーディックも慌てた様子でシロに声を掛けると、

津波よりシロと言った言葉で落ち着かせる!…


「そ、そうだでよ!!…

何ならさっきの奴より今のフライングボディプレスの方が致命傷だでよ!?」


「ッ!…へ?…ふらいんぐぼでぃぷれす?……ッ!?!?…

ご、ご主人様!?…」


__ピクッ!…ピクピクッ!…


「ご、ごめんなさぁ~い!!!…」


オーディックも近年稀に見る良いボディプレスと言った様子で言葉を掛けると、

その言葉を聞いたシロはハッとした様子で戸惑いつつオーディックの言葉を

復唱し…そしてマサツグの状態を確認するよう…その眼下に居るマサツグの

顔を覗き込むと、そこで青褪めた様子で痙攣するマサツグの顔を見つける!…

それを見てシロは当然更に慌て出すと、マサツグに覆い被さってはいつもの様に

謝り!…マサツグはマサツグでまだ意識が有るのか…青褪めながらもシロを

あやす様に撫でると、そのままノックアウトされては気絶状態になる!…

さてここからマサツグが起きるまでの間…レイヴン達は周辺の探索に出ると

色々な物を見つけ…マサツグが起き次第調査と言った様子でマサツグが目を

覚ますのを待って居ると、マサツグは五分後に目を覚ます…


「……ッ!?……あれ俺は?……あぁ、そっか…

いつもの…」


「ッ!?…ご主人様!?…大丈夫ですか!?…」


「……アレをいつもので済ませられるヤブがスゲェよ!…

で、如何だ?…動けそうか?…」


何か長い時間寝て居た様な感覚になりつつも目を覚ますと、自分が今ここで

倒れている事に疑問を持ち…だがそれも直ぐに思い出した様子で…シロの

タックルをいつもの事で済ましてしまうと、マサツグが目を覚ました事に

レイヴンとシロが気付く!…シロはマサツグが目を覚ました事に安堵すると、

同時に申し訳なさそうな表情を浮かべ!…そしてマサツグの身を案じ!…

レイヴンはそのタックルの事をいつもの事で済ますマサツグの豪胆さに

呆れると、マサツグに体を起こせるかどうかについて簡単に尋ね…

その問い掛けにマサツグが返事をすると、自身の体を起こし出す…


「ッ!…あぁ……どっこいせ!!…」


__ッ!…スッ…


「ッ!…あぁ、スマンなシロ…助かる…」


「ッ!…えへへ♪…」


マサツグが自力で体を起こす際シロがハッと気が付いた様子でアシストに入り…

マサツグもシロの手が入った事に気が付くと、お礼を言い…何とかシロの手を

借りつつ体を起こして見せると、そのマサツグの傍らではシロが小さく笑って

居た。マサツグにお礼を言われた事が嬉しいのか照れた様子で笑みを零しており、

だがマサツグはそんなシロの事には気付いて居ないのか…レイヴン達が調査して

居たであろう事を推測すると、レイヴンに質問をする。


「……で、何か分かった事は?…」


「……周辺で洞窟を一つ…

それもあのスライムが出入りして居た跡を見つけた!…

今オーディックがその洞窟の前で見張りをして居る!…

術者が居た場合直ぐに捕まえられる様にって!…

……後はあのスライムのコアについて…俺の予想通り!…

アレは術者によって作られた物だった!…」


「ッ!…と、言いますと?…」


マサツグが何食わぬ顔でレイヴンに質問をすると、レイヴンはその質問が

飛んで来るであろう事を予期していたのか…若干間を開けてから説明をし

始め!…沼の近くで洞窟!…しかもそれらしい痕跡も有った事を口にすると、

オーディックが現在見張りに立って居る事を話す!…そしてシロが破壊した

スライムのコアについても調査したと話し出すと、何やら突如ばつの

悪そうな様子で俯き…マサツグもそのレイヴンの様子に気が付くが続けて

質問を口にし、その問い掛けを受けてレイヴンが悩んだ様子を見せるが、

その説明の続きを話し出す!…


「……ヤブが倒れた後…

シロちゃんが持っていたスライムのコアを調べたら術式が見つかって…

その術式ってのが如何にも……俺の師匠らしき術式が使われてて…」


「ッ!?…マジで?…」


「…あぁ…ただ現時点ではまだ不明のまま…

ただこの術式って師匠が一番得意としている術式で…

確証は無いけど文字列が…如何にも似ている気がする…」


レイヴンが俯いた理由…それはそのスライムのコアに有った術式が問題で、

レイヴンが見る限りよく似た物を見た事が有ると…それも身近で見た事が

有ると言っては、その正体を自分の師匠であるとレイヴンは語り!…

当然それを聞いたマサツグは驚いた表情を見せると、レイヴンに確認を

取るのだが!…レイヴンは否定する事無く寧ろ肯定するよう続けて

説明をし!…一応確証は無いものの何か引っかかるモノが有るのか?…

とにかく悩んだ様子を見せ続けていた…そしてその話を聞かされてマサツグも

戸惑うのだが、如何せん専門外なだけに如何する事も出来ず!…とにかく

重い腰を上げると辺りを見渡し、その件の洞窟が気になる様子でレイヴンに

声を掛けると、その洞窟の有る場所へ案内するようお願いをする。


「……どっこいせ!!……ここで悩んで居てもしょうがねぇべ?…

とにかく次はその洞窟を調べてみようや!…な?…」


「ッ!…あ、あぁ…そうだな…」


「……よし!…じゃあシロ!…行くぞぉ?」


「ッ!…はいです!!」


…一応マサツグなりに気を遣って話を切り替えたつもりなのだが、如何にも

上手く行って居ない様子で…それでもマサツグの言葉に対してレイヴンは

戸惑いつつも返事をし、マサツグもそんな返事を聞いてシロに逃げるよう

声を掛けると、シロは元気に手を上げて返事をする!…まるでこの場の空気を

理解して居ない!…と言うよりも天真爛漫で!…そんなシロに助けられつつ!…

レイヴンの案内でその洞窟の有る場所に向かうと、そこには説明に遭った通り…

洞窟の入口を見張るようオーディックが斧を手に構えていた!…


__…スウゥゥゥ!!!…ブフウウゥゥゥゥ!!!!…


「……オーディックゥ~~!!!」


「ッ!…おぉ!…もう大丈夫だでかぁ~?」


「何とかぁ~!!…そっちはぁ~!!…」


「……今の所何も無いだでよ!…

あのスライムもアレだけなのか似た様なのは出て来ねぇで!…

…如何する?…行くだでか?…」


まるで何かが出て来るのを待ち構える様に洞窟の前で仁王立ちすると、息を

荒げており!…そんなオーディックの背後からマサツグが手を振りながら

声を掛け!…その声に反応するようオ-ディックが振り返ると、同じ様に

手を振りながら返事をする。その際先程までの威圧感を押さえると穏やかな

様子をマサツグ達に見せ…マサツグの事を労わる様に声を掛けると、その

オーディックの言葉に今度はマサツグが返事をし!…そしてオーディックと

合流した所で状態について尋ねると、オーディックは一応警戒した様子で

異常無しと答える!…そしてそろそろ中の様子が気になると、マサツグ達に

突入するか如何かを尋ね!…そのオーディックの言葉を聞いてマサツグ達も

考え!…先程の様な轍は踏みたくないと警戒をして居ると、ただ洞窟の入口を

四人揃って睨み付ける!…


「……実際ここにその術師が居たとして如何する?…」


「フン縛ってボコボコにするだ!!…」


「わぁお!…凄く簡単で賛同したい所なんだがそうじゃなくて…

罠が有る様に思えるか?…」


「…いや…多分この洞窟自体そんなに深くは無い様な気がする!…

ただ岩山を刳り貫いただけの感じに見えるし…

…後ボコボコにするってのは俺も賛同するんだが…

ちゃんと殺さず連れて帰れよ?…でないとエルフ達に説明出来るかどうか?…」


洞窟の入口を睨み付けながら考えると、その犯人が居たとして!…何が有る

のかと言った様子でマサツグは尋ねたつもりなのだが、オーディックは違う風に

聞き取り!…犯人をボコボコにすると答えると、その答えを聞いたマサツグは

思わず笑顔で賛同する!…だがマサツグが聞きたいのはそう言う事ではなくて、

何か罠が有るかも知れないと言う事であり!…再度尋ねる様に三人に声を掛け!…

レイヴンが自身の意見を口にすると、再度オーディックの考えに賛同するよう

答える!…その際相手を生け捕りにする事を付け添えると、帰ってからの

エルフ達の説明材料にすると言い!…レイヴンの話を聞いてそこまでの事を考えて

居なかったのか、マサツグとオーディックが揃ってあっ…っと言った表情を

見せると、レイヴンはその反応を見るなり呆れるのであった…

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 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
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若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

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