どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん

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-第三章-サマーオーシャン連合国-エルフの国編-

-第三章一節 慣れたヤキモチと土壇場の丸投げとパパさんのマサツグ-

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ミスティーやフィアナにレイヴン…それぞれに置いてけぼりにされながらも

マサツグがギルドの扉を潜ると、まず出迎えてくれたのは他の冒険者達の

ドヨメキであった。マサツグの姿を見るなりドヨッ!?…と驚きの声を挙げると、

続けて異変に気が付いた様子でルンが反応し…その異変の正体がマサツグで

ある事に驚き!…何か戸惑うようマサツグの事を凝視して居ると、マサツグは

ただ何も言わずにカウンターへ向かい歩いて行く…では何故そんなマサツグの

様子を見て冒険者達やルンは驚いたのか?…その理由は簡単で、原因はマサツグの

顔にある出来事が物語って居た。


__カタンッ…キイィィ!!……どよっ!?!?…


「ッ!…え?…何?……って、マサツグさん!?…」


__コッ…コッ…コッ…コッ……スッ…


「…ッ!?…え、えぇ~っと?………あっ!…

さ、先程ミスティアナ様にレフィリアナ様!…

後レイヴンさんが二階のギルドマスターの部屋へ向かって行きましたが?…

取り次ぎましょうか?…」


冒険者達にルンが驚いた原因…マサツグの顔に有る原因とは、シロの事で有り!…

シロは今だマサツグの顔に張り付いては頬を膨らませて無言の抗議を続けており、

その際シロがどんなに尻尾を振ろうともマサツグも慣れた様子でカウンターまで

歩いて見せると、そのシロを顔に張り付けたまま歩いて居る事に皆を驚かせたので

あった。そしてカウンターに辿り着くなり無言でルンの前に立って見せ、ルンも

そんなマサツグの様子に困惑し…先程の事を思い出した様に案内する事を提案する

と、マサツグはその問い掛けに対してただ軽く頷く…


__コクリ……


「ッ!…で、ではこちらへ~…」


__コッ…コッ…コッ…コッ……どよどよ!…どよどよ!…


無言で頷くマサツグにルンはホッと安堵する!…何故ならまだ意思疎通が出来て

いるから!…まぁそんな不安を持つのも当然っちゃ当然で、自身の顔に無言で

幼女を張り付けながら歩く男に!…誰も戸惑わない訳が無いからである。恐らく

ルンもギルドに勤めてからこんな事は初めてで、ただ今だに戸惑った様子で

マサツグを案内するよう手を握ると、マサツグの事を配慮した様子で先導する。

そうしてマサツグはルンに連れられて二階のギルドマスターの居る部屋へと

向かうのだが、その間他の冒険者達からは戸惑いの視線を受け続け!…更に

ドヨメキも絶えず続き!…ルンに案内されてやっとの思いでロディの待つ部屋に

案内されると、この時点でマサツグの疲労は凄い事になっていた!…


{……うぅ~む…如何してこうなった?…}


__…コンコンッ!…


「ギルドマスター!…私、ルンです!…

マサツグさんをお連れしました!!」


「ッ!…入って来てちょうだ~い!!」


只今だにシロを顔から引き剥がそうとはせず…自問自答をする様に心の中で

疑問を抱いて居ると、部屋に辿り着いた所でルンが部屋をノックする。そして

自分がルンである事を名乗ると、マサツグを連れて来たと簡単に説明をし…

その言葉を聞いてか部屋の中からロディの声が聞こえると、入って来るよう

指示が聞こえる。恐らく部屋の中には既にミスティーやフィアナ、レイヴンが

待って居り!…マサツグが改めて三人と合流する事に若干の躊躇いを持って

居ると、ルンが扉を開けるなりマサツグをエスコートする。


__ガチャッ!…きいぃぃ~!……


「…ではマサツグさん!…こちらへ…」


「あ、あぁ……」


「ッ!…遅いぞマサツグ!!…ただキスをされた位で固まるとは!!…

…そんな事では女子と付き合っては行けんぞ!?……ッ!?…」


ルンがマサツグをエスコートする際、マサツグに声を掛けてからロディの部屋に

入って行くと、マサツグは戸惑った様子でルンに返事をし…そして部屋に入るなり

開口一番!…フィアナが文句を言うよう待った!…と言い出すと、先程の事を

掘り返し!…その際マサツグの顔に気が付いた様子で視線を移すと、ブン膨れの

シロの表情を目にする。そんなシロの表情を見てフィアナも思わず驚くと、口に

しようとしていた言葉を飲み込み!…何とかそのままマサツグは席に案内され、

漸く一息吐けると言った様子で腰を下ろすと、ロディは待って居たとばかりに

駆け寄り出す!…


「…聞いたわよぉ!!♥…マサツグちゃんさすがね!!♥」


__ピクッ!!…ギュッ!…ッ!?…


「一国のお姫様に女王様を落とすなんて!!…

何てニクイ男なのかしら!!…このこのぉ!♥」


__ぎゅうぅぅぅ!!!…


「ッ!?…あぁばばばばばばばば!!!!…」


マサツグが席に座った事で本題が話されると思った矢先、ロディはまるで

今から恋バナ!…と言ったテンションでマサツグに声を掛けると、改めて

今現在進行形で噂になっているマサツグの事について弄り出す!…その際

ミスティーにシロが耳をピクっと反応させると、ミスティーは改めてやり

過ぎたと感じて居るのか赤面し!…シロはシロでヤキモチを焼くと、

マサツグにしがみ付き!…ロディが更に弄るようキャッキャと乙女の様に

喋り続けていると、それに比例してミスティーは俯き赤くなり!…シロは

シロでやはり嫉妬する!…この時マサツグにしがみ付く腕をギュッと絞ると、

まるで緊箍児きんこじの様にマサツグの頭を圧迫し!…別にシロに締め付けられた

所で痛くはないのだが、呼吸が更に厳しくなり!…もはや言葉もままならない

様子で必死にシロにギブを訴えるが、解放されたのは数十分後の話であった。


__数十分後…


「ぜぇ!!…ぜぇ!!…し、死ぬかと思った!?…」


「ご主人様はシロのご主人様なのです!!!…

…ミスティーお姉ちゃんは!!…シロのライバルなのです!!」


「ッ!?…え?…ええぇぇぇ!?…」


「ッ!…ふむ!…相手は子持ち!…中々に苦戦しそうだな!!…

あっはっはっはっはっは!!!…って!?…余は!?…」


その数十分の間ロディに弄られ倒してはシロ緊箍児きんこじが締まって呼吸が乱れ!…

解放された時には息切れを起こし!…一瞬三途の川が見えて居た事を口にすると、

シロは今だヤキモチを焼いた様子で今度はマサツグの腹にしがみ付く!…その際

シロはマサツグの腹に顔を埋めたままミスティーの事をライバル宣言するのだが、

ミスティーはそのシロの言葉に戸惑い!…フィアナはその様子に大笑いし、

ミスティーに苦戦必至と言った様子で言葉を口にしていると、自分がハブられて

居る事に気が付いては慌ててシロにツッコミを入れる。そうしてレイヴンは

マサツグ達の慌しい様子を見てこのまま本件が忘れ去られる事を願うのだが、

そうは行かず!…ロディがハッと思い出した様子で咳払いをし、全員の注目を

集めた所で本題に入る!…


「あっはっはっはっは!!!…ッ!……ン゛ン゛!!…

いやこんな話をしたいんじゃなくて…」


「アンタが振ったんだろ!?」


「いやまぁそうなんだけど!…ここは気を取り直して!…本題に入るわ!…

今日マサツグちゃんとレイヴンちゃんとシロちゃんはユグドラドへ!…

この書簡を持ってハーフリングスからの使者!…まぁ代理なんだけど…

女王様に謁見を願って欲しいの!…その際色々と問題が出て来るだろうけど…

そこは頑張って突破して貰って…」


急に改まった様子でロディが咳払いをすると、その場の空気を落ち着かせ…

自分がこの状況を作り出したにも関わらず!…なかった事にしようとすると、

マサツグがすかさずツッコミを入れる!…するとさすがのロディも逃げれないと

悟ったのか、自分に非がある事を認めた様子で再度マサツグを落ち着かせ…

本題の話を切り出すと、改めてマサツグとレイヴンとシロにクエストの詳細を

話し!…同時に自身が書いたそのユグドラドへの書簡を手渡すと、後の事を

丸投げする!…当然肝心な所が丸投げされて居る事に!…マサツグとレイヴンが

慌てた様子で反応をするのだが!…


「ッ!?…ちょっと待て!!…投げやり!…」


「ミスティーと女王様はここでミーティング!…

鎖国をしていた間の世界情勢について少し勉強をして貰うわ!!」


「いや流すんかい!!!」×2


「ッ!…おぉ~!…まるで熟練の様なツッコミ!…」


ロディは聞こえないとばかりに今度はミスティーとフィアナに話を振り!…

今の情勢についてお勉強をするようマサツグ達のツッコミを回避すると、更に

マサツグ達は激しいツッコミを入れる!この時息の有った様子で二人の

ツッコミに炸裂すると、フィアナは思わず感心し!…だが話は変わらず!…

その投げやりのままロディはNPCにでもなったかの様に同じ事を口にすると、

マサツグ達にゴリ押しをする!…


「ミスティーと女王様はここでミーティング!…

鎖国をしていた間の世界情勢について少し勉強をして貰うわ!!」×リピート


「ッ!?…駄目だ!…このギルマス!…ゴリ押すつもりだ!…」


「……仕方が無い!…とにかく一度ルンに話してみるか…」


「ッ!…頑張ってねぇ~!!…あっ!…

後向こうの女王様の要望でって事になってるからぁ~!!…

もしかすると命を狙われちゃうかも知れないから気を付けてねぇ~!!!」


__ドンッ!!!…バアァン!!!…ガチャッ!!…


もはやこうなると何を言っても無駄!…それを理解しているマサツグとレイヴンは

呆れながらも諦め!…一度ルンに相談する事を二人で決めていると、ロディは

突如人間に戻る!…その際ハッと思い出した様子で一番重要な事を口にすると、

マサツグとレイヴンを追い出す様に部屋から押し出し!…ご丁寧に部屋の鍵まで

掛けると、締め出した上に文句を受け付けない様にする!…当然それをギリギリに

なって言われた事で、二人はツッコミを入れるのだが!…


「ッ!?…ちょおおぉぉい!!!」×2


__シィ~ン……


「クッソ!!…何て事最後に言いやがる!!!…

今トンデモナイ事を言ったぞ!?…」


「てか女王様の密命って!…

この書簡にそんなヤバい事でも書いて有るのか!?…」


二人がロディに対してツッコミを入れた所で返答は無く!…レイヴンが最後の

言葉に対して文句を漏らして居ると、マサツグは手渡された書簡に目を向ける。

この時一体何が書いて有るのか?と悩んだ様子を見せると同時に、変な事に

巻き込まれたのでは!?と疑い!…シロは今だマサツグのお腹に張り付いて

居り!…そのまま二人で悩んで居ても仕方が無いと言った様子でまた諦めると、

ギルドの一階へと降りて行く。その際また冒険者達から視線を集める事になると、

さっきは顔に張り付いて居たのが今度はお腹と!…位置が変わっている事で

また冒険者達はドヨメキ!…そのドヨメキにレイヴンも驚いた様子で反応すると、

マサツグに訳を聞く。


__コッ…コッ…コッ…コッ……ッ!?…どよどよ!?…


「ッ!?…え!?…な、何!?…何で視線を!?…」


「…あぁ…俺の腹巻に注目が言ってるんじゃないかね?…」


「え?…腹巻?…え?…」


視線を向けられる事に慣れていないレイヴンは慌て出し!…その原因について

マサツグに尋ねると、マサツグはもはや慣れたと言った様子でシロに視線を

向け…レイヴンはその言葉を聞いても尚理解出来ていない様子で…もはや普通と

言う言葉も麻痺したのか、マサツグの顔にシロが張り付いて居た事に対しても

平常と言った様子で流せる様になると、その原因についても分かり得る事は

無いのであった…さてそんな視線を浴びつつ一階に降りると、二人は受付

カウンターに向かい…そこでルンと再会し、二階であった事情について説明を

すると、ルンは直ぐに理解した様子で手続きをする。


「……なるほど、分かりました!…

一応ギルドマスターが既に馬車の手配をしているみたいなので二番乗り場に

向かって下さい!…そこでユグドラド行きの馬車が停車してあると思います!」


「ッ!…話が早い!…さすがルン!…因みに馬車でどれ位掛かる?…」


「え?…えぇ~っとですね?…

マサツグさんにレイヴンさんにシロちゃんがハーフリングスなので……

で約五日と行った所でしょうか?…ハーフリングスからだと

ユグドラドはそこそこ離れて居るので…」


「ッ!…い、五日!?…そこそこ遠いのな?…」


ルンは慣れた様子でテキパキと手元に有る書類等に目を通すと、そのユグドラド

行きの馬車は既に二番乗り場に有ると説明し!…その話を聞いてルンは有能と

ばかりにマサツグが褒めていると、ふとある疑問を持ち出す。その疑問と言うのは

単純に行路の日数についてで、その事を尋ねようルンに再び声を掛けると、ルンは

その質問を聞くなりマサツグ達のバッジを確認する。そしてマサツグ達がハーフ

リングスから来て居る事を確認すると、何故か普通の馬車で五日と答え…更に

その理由を簡単に説明し、マサツグがその答えを聞いてガックリ肩を落とすよう

項垂れていると、レイヴンが更に疑問を持つ。


「……ん?…今でって言わなかった?…

まるで俺達が乗る馬車が普通じゃない様な?…」


「え?…」


「ッ!…あれ?…ギルドマスターから聞いていないんですか?…

マサツグさん達が乗る馬車は高速馬車で…ほら!…

ギルドマスターと乗ったあの馬車です!」


「ッ!…あぁ!…あのシャ〇馬車!!…」


「シャ…シ〇ア馬車?…な、何だその赤くて三倍速そうな名前は?…」


レイヴンが疑問を感じた事とはやはりルンの一言で普通の馬車と言う…まるで

普通じゃ無い馬車の様に言うとそのまま疑問を感じた様子で質問し、その質問に

対しても札具も今気が付いた様子で戸惑いの言葉を漏らすと、ルンはその質問に

答えるようマサツグ達の乗る馬車について答える。その際出て来た馬車の名前が

高速馬車で、ルンは続けてマサツグは乗った事が有ると言った様子で説明を

すると、マサツグも思い出した様子でとある名前を捩った馬車の名を口にする。

当然その馬車の名前を聞くとレイヴンは困惑し…ルンも困惑した様子で苦笑いを

すると、大体の日数を改めてマサツグ達に教える。


「そうですそうです!…ですが残念ながら今回乗られるのは

ギルドマスター専用では無くて普通の高速馬車なので…

大体二日と半日…位ですかね?…ギルドマスター専用の物に比べて

少し遅めの二倍なので…」


「それでも二倍は有るのか!?…」


「はい!…で、如何しますか?…もう直ぐにでも乗れますが…」


「……悩んで居ても仕方が無いし…乗るか…」


ルンは改めてあの時乗っていた高速馬車はギルドマスター専用の物だと説明し、

今回乗る高速馬車は一般向けの物だと説明すると、その上でマサツグ達が

ユグドラドへ辿り着くまでの時間を約二日半と口にする。それでも五日間の

旅路を二日半短縮出来る事と言う事で、レイヴンが驚くとその高速馬車の

性能に戸惑い!…ルンはそんなレイヴンに肯定するよう返事をすると、今直ぐに

でも出発出来るとマサツグ達に話す。そうして本当ならレイヴン共々行きたくは

無いのだが、書簡を預かっている以上行くしか無く…渋々同意した様子で

マサツグが直ぐに乗る事を決めると、レイヴンは嘆く!…


「…はあああああぁぁぁぁぁぁ~~!!!!…行きたくねぇよぉ~~!!!!…

何であの鬼畜メガネから逃げて来たってのにまた戻らにゃならんのだ!!!」


「……レイヴン」


__ポンッ…ッ!…


「これも定めだ…」


「……救いはねぇのかよオオオォォォォ!!!!…」


もはや逃れられない決定事項なのだが…やはり改めてユグドラドに行く事へ

激しい拒否反応をレイヴンが見せて居ると、ルンはその様子を見て戸惑う!…

そしてマサツグもまるで悟りを開いた様な表情を見せると、徐にレイヴンの

肩を叩き…レイヴンもそれに気が付いた様子で振り返ると、マサツグから

最後の止めの言葉を告げられる!…そうしてその言葉を告げられた事で

レイヴンは更に嘆くのだが、結局ドナドナされ!…二番乗り場に辿り着き、

そこで用意された高速馬車に対面すると、レイヴンも初めて見たと言った

様子でマジマジ観察する。


「……ほほぅ?…ルーン文字…それもエルフの物だな?…

効力は疲労軽減に速度上昇…後、魔物に対する感知低下…」


「さっきまでの落ち込み様は何処に?…」


__……すやぁ~…すやぁ~…


レイヴン自身興味はあった様子でその馬車に掛かって有る効力や仕掛け等を

マジマジ観察すると、一目で分かったのかエルフ産のルーン文字と口にし…

その他にも効力などを解明し、先程の落ち込み様も何処へやら…とにかく

好奇心に突き動かされた様子で色々と見ていると、そのレイヴンの様子を

見たマサツグがツッコミを入れる。その際シロもそろそろ腕が限界なのか

マサツグが抱える様にしてフォローを入れると、シロも安堵した様子で今だ

抱き着いて居り…そうしていつしか静かに寝息を立てて居ると、マサツグと

同じ様にルンがレイヴンの様子を見るなり戸惑い…苦笑いをしつつも馬車に

案内するようその馬車の扉を開けると、マサツグ達をエスコートする。


「あはははは……どうぞ、こちらに!」


「ッ!…あぁ!…すまない!…ほらレイヴン行くぞ!?」


「ッ!!…あぁ!…悪い悪い!!…」


__バタンッ…パタパタッ……ッ!…パァン!!…


ルンにエスコートをして貰いつつ、マサツグはシロを抱えたまま馬車に

乗り込もうとする。この時同時にレイヴンへ速く乗るよう声を掛けると、

レイヴンもハッと興奮が冷めた様子で意識を取り戻し…軽く謝りながら

駆け足でその馬車に乗り込んで行くと、ルンは三人が乗った事を確認する。

そして馬車の扉を閉じて御者に出発の合図を送るよう手を振って見せると、

御者もその合図を確認するなり馬に鞭を入れ、こうして漸くマサツグ達は

ユグドラドに向けて旅立ち…その馬車の中でマサツグ達が一息を入れて

いると、マサツグはハッと気付いた様子でシロを降ろすなり膝枕をする。


__カタンカタン!…カタンカタン!……ッ!…スッ…コロン…


「すぅ~…すぅ~…」


「……これで良いかな?…ッ!…念の為コートを掛けておくか…」


「……目の前で友人がパパさんしてる…」


シロは完全に安心し切って居るのか、マサツグに体勢を変えられたにも

関わらず安らかな寝息を立てており…マサツグもそんなシロの寝顔を見て

微笑み…更にハッと思い付いた様子で自身のアイテムポーチからあの隠密

コートを取り出すと、冷やさない様に寝ているシロへコートを掛ける。

その際寝苦しくならないよう布団を掛ける様にコートを上から掛けると、

そのやり取りを見ていたレイヴンは生暖かい視線を送っており…マサツグに

対して言葉を口にし、マサツグもその言葉でハッと我に返ると、改めて

指摘された事に照れ始める。


「ッ!?…な、何だよ急に!!…そんな可笑しな事か!?…」


「いや別にそう言う意味で言ったんじゃないんだが……

ただやっぱり目の前でパパさんしている友人を見ると如何にも…なぁ?…」


「含みの有る様な言い方をしやがって!!…その生暖かい視線を止めろ!!…」


改めて指摘されたのは今回が初めてで…マサツグはその言葉を口にされた事で

珍しく照れながらレイヴンに文句を言うと、レイヴンはその生暖かい視線を

止める事無く返事をする。この時レイヴンはその光景をジッと見詰めると同時に

感慨深いと言った様子で言葉を漏らし!…同意を求める様にマサツグへ言葉を

掛けるのだが…マサツグは同意するどころか更に反抗をし、再度生暖かい視線を

止める様に若干声を張ると、そのマサツグの声でシロが起きそうになる。


「うぅ~ん……」


__ッ!?…バッ!!………すやぁ~…


「……ほらほらそんな大声を上げたらシロちゃんが起きるぞ?…

…それに別に良いじゃねぇか?…一々ワザワザ捕まえて…

ネグレクト育児放棄起こしてるって文句言われてる訳じゃ有るまいに!…」


「喧しい!!…俺ぁこう言う事言われるの慣れてねぇんだ!!!…」


そんなシロの反応を見てマサツグが慌てて口に手を当てると、シロはそのまま

眠り続けるのだが…レイヴンは更に調子に乗った様子で!…マサツグを茶化す様に

言葉を掛けると、マサツグはそんなレイヴンに更なる文句の言葉を続ける!…

その際やはり照れた表情でマサツグがレイヴンに文句の言葉を言う際、今度は

声のボリュームを落とした様子で…シロを起こさないよう文句を言い!…

その言葉でレイヴンも面白かったとばかりに静かに笑うと、話題はシロの話へと

変わり出す。


「ククク!……にしても大したモンだよな?…

幾らフェンリルとは言えまだ子供だってのに…

あのデケェデーモン相手に物怖じ一つ見せないとか…

それ所か立ち向かって行くし!…」


「ッ!…ほぅ?…」


「子供だからって馬鹿にしている痛い目を見る!…

まさにそんな子だな?…シロちゃんは…お陰でこっちもやり易かった…

…って、マサツグさん?…口角上がってるの気が付いてる?…」


「ッ!?…」


レイヴンは改めてシロに視線を向けると、思い返す様にシロの事を話し出し…

その話に反応するようマサツグもピクっと反応すると、レイヴンの話に耳を

傾ける。この時レイヴンが話し出した内容はあのゲスデウスの反乱時の事で

あり、レイヴンと共に行動していた時のシロの堂々たる様子について話すと、

何故かマサツグの口角が若干上がる!…そんなマサツグの様子にレイヴンも

気が付いた様子を見せるのだが、今はスルーし…続けてシロは凄い子と!…

自分も動き易かったとばかりにシロの事を褒め続けていると、更にマサツグの

口角が上がって行く!…まるで自分の事の様に!…シロが褒められている事に

喜びを感じているよう!…ただ無自覚に笑みを浮かべており、レイヴンも

そろそろと言った様子でマサツグに指摘をすると、マサツグもハッと気が付いた

様子で元の表情に戻る。そうしてマサツグが照れた様子を再度見せて居ると、

レイヴンは更に追い打ちを掛ける!…


「……やっぱパパさんしてるじゃん!…」


「ッ!?…こ、この野郎ぅ!……」


「ブッ!!…ククククク!!!……わぁったよ!!…

悪かったって!!…もう言わねぇよ!…」


「ッ~~!!!……でも…本当に良い子だよなぁ…シロは…」


止めのパパさん…その言葉をやはり生暖かい視線を送りながらレイヴンが口に

すると、マサツグはまたもや顔を赤くし!…今度は殴る!…と言った様子で

拳を握り出し!…息を荒げるよう眉間にしわを寄せていると、レイヴンは

笑いながらマサツグに謝る。一応ちゃんと引き際を弁えてマサツグに謝った

のだが、マサツグは葛藤しており!…だが徐々に落ち着きを取り戻し…

シロの寝ている方に視線を落とすと、最期にはレイヴンの言葉に同意するよう

言葉を漏らす。そうして馬車はハーフリングスを離れて獣神の森を抜けると、

あの暑い暑い平原へと出て行き…そこでマサツグ達の他にゲームをプレイをする

冒険者プレイヤー達の姿を見つけ、額に汗を掻きモンスターと対峙している姿に何故か

目を奪われていると、ふとある事をマサツグは考え出す…


{……もし…もしもだ…シロの生みの親を見つけたとして…

もしシロがその親達に見放される…いや…寧ろ襲られる様な事が有ったら…

俺はシロを守る為に戦わないといけないのだろう……でもそれって如何だ?…

シロの目の前で実の親を殺すって事になるよな?…もしそうなったとして…

それでもシロは俺に付いて来てくれるのだろうか?…幾ら見放された…

或いは襲られたにしても親は親……ショックは相当大きい筈だ…

……もしかするとシロが襲って来るなんて事も!…}


マサツグが思わず考えてしまった事とはシロと冒険をする上でのある事…

親についてであった。恐らくシロは何らかの拍子にあの春野原スプリングフィールド

置いてかれ…本来居るべき場所から遠く離れたあの場所に運ばれたのだと

考えると、当然親も探していると考えるべきで…もしその親と再会した際、

人間に育てられた事でその親から受け入れて貰えない…或いは襲られる事に

なる考えると、当然戦わなくてはならなくなり!…もしそれで自分が勝って

シロを護り切れたとしても!…シロはそれでも付いて来てくれるのか?と

考え出すと、如何にも不安になるのであった。そこから更に悪い方向に思考が

働くと、マサツグの表情はドンドン暗くなり…レイヴンは外の冒険者達の

様子に夢中になっており、マサツグに話を振るよう声を掛けると、そこで

マサツグの様子に気が付く。


「ッ!…おっ!…あの冒険者パリィが上手い!!…

今の見たかマサツグ!!…ッ!…」


「ッ!…え?…あ、あぁ!…スマン見てなかった…」


「……ッ?…おいおい…何て顔してんだ?…

まるで悪夢でも見て居た様な!…真っ青な顔をしてるぞ?…

…今日だけで赤くなったり青くなったり……まるで七面鳥だな?…」


「ッ!…誰が七面鳥だこの野郎!…」


レイヴンはマサツグに話し掛ける際外で戦っている冒険者達の動きを見る様に

声を掛けるのだが、いざ振り返って見るとマサツグは一人で青褪めており!…

マサツグも話し掛けられた事でレイヴンに反応すると、テンションそのままに

見て居ないと返事をする…当然突如隣で青ざめているマサツグに…レイヴンは

戸惑いを覚えると先程の事を掘り返す様に、マサツグの事を七面鳥と例え出す

のだが…それを聞いた所でマサツグはと言うと、少し元気を取り戻した程度で

レイヴンにツッコミを入れるだけ…やはり暗い事には変わらず、レイヴンは

そんなマサツグに困惑しつつ…ただ何も話さずに外で戦っている冒険者達に

再度目を向けると、何とも居た堪れない空気に耐えるのであった…


因みにシロはと言うとこの時そんな事など露知らず…夢の中でもマサツグに

甘えては一人笑みを零すのであった。

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感想 63

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貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

エルリア
ファンタジー
HOTランキング1位ありがとうございます! 2000年代初頭。 突如として出現したダンジョンと魔物によって人類は未曾有の危機へと陥った。 しかし、新たに獲得したスキルによって人類はその危機を乗り越え、なんならダンジョンや魔物を新たな素材、エネルギー資源として使うようになる。 人類とダンジョンが共存して数十年。 元ブラック企業勤務の主人公が一発逆転を賭け夢のタワマン生活を目指して挑んだ探索者研修。 なんとか手に入れたものの最初は外れスキルだと思われていた収奪スキルが実はものすごく優秀だと気付いたその瞬間から、彼の華々しくも生々しい日常が始まった。 これは魔物のスキルを駆使して夢と欲望を満たしつつ、そのついでに前人未到のダンジョンを攻略するある男の物語である。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

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