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-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-
-第二章九十一節 内にある嫌な予感と復興の景色とシロの着替え-
しおりを挟むさてフィアナとミスティーの二人が会議室を後にした事で取り残されたマサツグと
レイヴンとシロとロディ…徐にレイヴンがメニュー画面を開きそこからクエスト
画面へと移動すると、無理やり受けされられたクエストについて確認をし始める…
その際はあぁ~っと嫌そうに溜息を吐きながら色々と内容を確認して居たのだが、
この時ある事に気が付いた様子でふとある項目に目をやると、レイヴンは疑問の
表情を浮かべ…その事を尋ねる様にロディへ声を掛け、ロディもレイヴンに
問われた事で振り返ると、そのクエストについての話をし始める。
「はあぁ~……
……ッ!…ちょっと良いか?…さっき受けたクエストなんだけど?…」
「ッ!…何かしら?…」
「いや…いつもなら期限が付いてるのに…今受けたヤツには付いてなくて…
これってもしかして誤表記?…」
「ッ!…あぁ、そう言う事ね?…いえ、間違ってないわよ?…」
「ッ!…え?…」
レイヴンが疑問に思った事と言うのはそのクエストの期限についてで有り、本来
クエスト毎に決まった期限が付いて居る筈なのだが、今回のクエストに限っては
何も付いて居らず…いつもと違うクエスト画面にレイヴンが戸惑った様子で
ロディへ質問をすると、ロディは当たり前とばかりに笑って返事をする。そんな
笑って返事をするロディにレイヴンは当然の如く戸惑った反応を見せるのだが、
ロディは一切態度を改めず…そのレイヴンの疑問を解消する様に、ロディは続けて
その理由について話し出すと、何故かポージングを決めてアピールをする!…
「だって決めてないもの!…出発の日を設定して無いし…
それどころか移動手段だってまだ!…
何だったら明日ってする事も出来るけど?…」
「ッ!?…え、豪く急過ぎ!?……ってか、出来れば無期限延期を願いたいが…」
「…レイヴンちゃん?…出来る訳が…」
「分かってるよ!!…言ってみただけだよチクショウ!!!」
「……そこまでして会いたくないのね?…一体どんなAI?…」
ロディ自身手持ち無沙汰になって来たのか更にポージングを決めながら
説明をすると、同時にその期限を明日に設定する事も出来ると話し…
その突然のロディの言葉にレイヴンは更に戸惑い!…思わずツッコミを
入れて居ると、突如ハッと思い付いた様にロディへある提案をするが、
ロディに笑顔を向けられては却下される!…その際ロディがレイヴンに
迫るよう返事をすると、レイヴンは慌てた様子で冗談と叫び!…
更に自棄を起こした様に画面を閉じ出し!…そんなレイヴンの荒れ様に
ロディも気になったのかその師匠について質問をして居ると、この時
マサツグは悩んだ様な表情をしては一人考え事をして居た。
「………。」
「……ご主人様、如何したのですが?…お腹が痛いのですか?…」
「ッ!…え?…あぁ!!…いや…何でも…ただ嫌な予感が?…」
「ッ!…嫌な予感?…って、どんな?…」
ただ無言で腕を組み悩んだ様な表情を見せるマサツグに…シロが心配した様子で
顔を覗き込むと、お腹を労わる様な言葉を掛け出し…その突然のシロからの言葉に
マサツグが戸惑った反応を見せると、慌てて違うと弁明する。この時一緒に嫌な
予感もすると…まるで何かに気付いて居る様な風に呟くと、レイヴンとロディも
興味を示し!…マサツグに問い掛けるよう返事をしては不思議そうに視線を向け、
マサツグもそれに答えるようその嫌な予感について語り出すと、やはり悩んだ
表情をする。
「…根拠はアレなんだが…今の所俺が嫌な予感を感じた時って大概的中するんだ…
ゲスデウスの時やコカトリスの時!…それと似た様なモノを今も感じていて!…
俺自身これを感じるって事はやっぱり面倒事が起きるかもしれない前触れで!…
このままここに居るとかなり面倒臭い事になるって本能的に!……」
「…因みにそれが如何言う物なのかって事までは……」
__……フルフル…
「……だよなぁ…そこまで分かったら苦労はしねぇよな?…」
その根拠については勘とだけ話すと、続けて的中率について話し出し…
感覚についてもゲスデウスやコカトリスと同じと説明し!…今もそれに
苛まれている様な風にマサツグが説明をすると、レイヴンはその原因に
ついて質問をする。この時淡い期待を持った様子で対処可能かと?と
言った具合に質問をしたのだが、マサツグは分からないので首を横に振り…
当然の反応が帰って来た事に、レイヴンはやっぱりかと言った様子で
マサツグに返事をして居ると、そんなやり取りを見たロディは若干二人に
戸惑う!…
{……いやまずその嫌な予感が的中して来たって…
それって本当なの?…だとしたら凄いのだけど…
それにレイヴンちゃんもまるっきり疑いもせずに質問してるし…
やっぱり友情がそう言った信頼を!……って、言うか…
その嫌な予感マサツグちゃんも感じて居るの?…私もそうなのだけど?…
私の場合はデバッガーとしての勘だけど…マサツグちゃんの場合は?…
……やっぱりこれが[超幸運]の能力って奴なのかしら?…
私達デバッガーでも不明な能力だけに興味深いわね!…}
心の中でロディはマサツグの言う嫌な予感と言うモノに戸惑いを覚え!…
同時にマサツグの言う事をスッと信じるレイヴンの様子にも驚くのだが、
それは友情!…と言った風に理解すると、改めてその嫌な予感について
思わず賛同する!…その際自分の場合は職業柄から来る勘だと呟くのだが、
マサツグの場合は何?と考え…その理由について[超幸運]に一因がある
のでは?と思い付き、やはりこの[超幸運]について!…デバッガーである
自分でも分からない節が有ると感じて居ると、突如会議室にノックの音が響く。
__…コンコンッ!…ッ!…
「ッ!…ん?…はぁ~い、どなたぁ?」
「あっ!…失礼しますギルドマスター!!…ルンです!!…
頼まれていた魔王フィロネウスの文献を集めてきました!」
__ガチャッ!!…コッ…コッ…コッ…コッ……ドサッ!!…
突然のノックの音に反応するよう…全員がピクっとそのノックの音が響いた
扉の方へ視線を向けると、ロディがそのノックの主に対して声を掛け…
その扉の向こうからルンの声が聞こえて来ると、次にはやって来た要件を
口にし…ルンが何やら本を抱えた様子で会議室に入って来ると、その抱えた
本の山をロディの前の机の上に置いて見せる。その際重たい感じのドサッと
言う音が聞こえて来ると、同時に若干埃も立ち…全員が思わず手を払い!…
真面に喰らったルンが跳び退いて居ると、ロディは咽ながらもその本を
一冊手に取る…
__ぶわぁ!…ッ!!…パタパタパタパタ…
「ゴホッ!!…ゴホゴホ!!…これはまた!…随分な年代ものね!…」
「ケホッ!…ケホッ!……は、はい!…地下書庫より引っ張り出して来た物で…
何分長い間誰も無いっていないせいか埃が凄く!…
これでも地下の方で払って来たのですが…」
「…いいえ十分よ!…これ以上は無理そうだし……一度アレね?…
大掃除しないと…」
「…そうですね……」
その手に取った本を咳き込みながらも開くと、そこに書いて有る年代に若干驚いた
反応を見せ!…ルンもそれに答えながら咳き込み、その本が置かれていた場所に
ついて説明をする。その際地下書庫から持って来たと話すルンの姿は、そこが如何
言う状態かを物語る様に汚れており…ここに持ってくる際埃は払ったと説明し、
同時に払い切れなかったと謝る様にロディへ話すと、ロディは十分と労いの言葉を
掛ける。そうして数ページ捲ってから思い付いた様にルンへ声を掛けると、
大掃除を考えるよう言葉を口にし…ルンもそれには同意なのか、少し手間を考えた
様子でロディに返事をして居ると、そんな二人に気を利かしてかマサツグ達は
会議室を後にしようとする。
「……なぁ?…俺達これ以上出来そうな事も無いし…そろそろ…」
「……そうだな?…一応クエストは受けた状態だし…
後はロディやフィアナ達の都合次第って事で……帰るか…」
__……コクリッ!…×2
「ッ!…はいです!…」
まずはレイヴンが逃げたいとばかりにマサツグ達へ声を掛けると、それに賛同する
ようマサツグが返事をし…一応クエストは受けたと言う事で、後の細かい事は
丸投げする様にロディやフィアナ達へ任せると、レイヴンに返事をしては二人
揃って頷く!…この時別にやましい気持ちは無いのだが、何故か声を小さくし
ながら会話をしており!…それに釣られるようシロも声を小さく!…元気に手を
上げて返事をすると、マサツグ達はそのまま会議室を後にしようとするのだが…
ロディがそれに感付いた様子で声を掛けると、マサツグ達を呼び留める!…
「……ッ!…あっ!…ちょっと待って!!…」
「ッ!…え?…邪魔しない様に出て行こうとしていたのですが?…」
「いやその事は良いの!…どうせこっちで後の事決めるし…
でもそうじゃなくて!…少し注意をして置く様に声を掛けようと思って!…」
「え?…」
本を読みながらもロディはマサツグ達の気配を悟った様に呼び止め!…
その呼び止められた事にレイヴンはビクッと反応すると、何故かマサツグの
後ろに隠れる!…もはやここまで来ると本当に何が有ったのかが気になる
所なのだが、マサツグは一旦置くと普通にロディへ返事をし…ロディも
呼び止めたのは他でも無いと…今回のクエストに関しては気を付ける様に
マサツグ達へ声を掛けると、その呼び掛けにマサツグは若干戸惑う。勿論
その理由についてもマサツグは尋ねようと困惑した様子を見せるのだが、
それを察した様にロディはスッとマサツグ達の方に振り向くと、その詳しい
理由について話し出す!…
「…前にも話したとは思うけど…やっぱり気になるのはこの!…
フィロネウスの事なのよ!…
現にマサツグちゃんは気に入られて居るみたいだし!…
フィロネウスに一度気に入られるとそれこそ!…何処に居ようが御構い無し!…
草原に、洞窟に、山に街中!!…遊びと称しては暴れたがるそんな奴なのよ!…
今はまだ姿を現して無いけど!…いつ何時出てくるか!!…」
__ズイズイ!…ズイズイ!…ビタァ!…
「ッ!!…な、なるほど!…」
ロディはマサツグに注意するよう声を掛け出すと、その理由にフィロネウスを
上げ!…丁度手に持っていた本の表紙を叩いてはその表紙の狐を見せ、これに
気を付ける様に!と指を差し誇張しながら注意を促すと、徐々にマサツグ達へ
と迫って行く!…その際そのロディの表情は真剣そのもので、ロディの余りの
剣幕にマサツグはたじろぎ!…思わず後ろに下がってしまい!…釣られる様に
レイヴンまでもが後ろに下がり出すと、マサツグ達は壁に追いやられる!…
そうして三人が壁に追いやられ後退出来ないで居ると、ここでロディは漸く
足を止め…マサツグは慌てた様子でロディに返事をし、戸惑った表情のまま
ロディの事を見詰めて居ると、ロディもハッと我に返ってはマサツグに声を
掛け出す。
「……ッ!…あらヤダ私ったら!…ごめんなさいねぇ~!!…
今まで煮え湯を飲まされてきたからつい!…」
「ッ!…いやぁ~…あははは…」
{煮え湯って何をされたんだよ?…}
「安心して頂戴!!!…確かに相手は強大だけど!…
私達ギルドは協力を惜しまないわ!!…
何処に居ようと助けに行くから大船に乗った気で居て頂戴!!」
ハッと我に返るとロディは慌てて後ろに下がり!…マサツグ達に謝って
見せると、その迫った理由にフィロネウスのせいと語り出す!…この時
何か恨み事でも有るのか!…その事を煮え湯と言っては笑いながら語り…
その言葉を聞いてマサツグが苦笑いをして居ると、心の中でそのロディの
言葉にツッコミを入れる!…そうして色々と気になる点は有るのだが…
ロディは続けてマサツグ達に支援をすると言っては胸をドンと叩いて見せ!…
そんなロディの様子にマサツグ達が苦笑いをし続けて居ると、徐にシロが
マサツグの袖を引っ張り出す。
__…クイクイ!…クイクイ!…
「ッ!…ん?…」
「シロも!…シロも居ます!!
あの女狐からご主人様をシロがお守りします!!!」
__フンス!…フンス!!…
「ッ!…お、おう!…」
シロに袖を引っ張られて居る事に気が付きマサツグが視線を下に向けると、
そこにはピーカブースタイルで構えるシロの姿が有り!…シロはマサツグを
護る気で居るのか、やる気を漲らせた表情を浮かべては鼻息荒く護る!と
言い!…その際シロはフィロネウスの事を女狐と呼び出すと、その言葉に
マサツグは戸惑う!…一体何処でそんな言葉を覚えて来たんだ!?…そんな
考えが頭に浮かぶとシロの言語学習に不安を覚え!…戸惑いつつも
マサツグはシロの頭を撫で出し…お礼を言う様にシロへ言葉を掛けると、
シロは尻尾を振りながら喜びを露わにする!…そうしてロディからの忠告を
受けながらもマサツグ達は会議室を後にすると、そのままギルド一階へと
向かい…そこでロビー一杯に獣人達がモフモフして居る光景を目にし、思わず
戸惑った反応を見せて居ると、それぞれ思った事を漏らし始める…
__ワイワイガヤガヤ!…ワイワイガヤガヤ!…
「…今度はギルド内がモフモフしていたな……」
「…そうだな……何と言うか……本当に好奇心旺盛だな……」
入り口を塞いでいたモフモフ達は漸く落ち着きを見せ始めたのか…出入りが
可能な状態になって居るのだが今度はギルド内がモフモフ始め!…ギルドの
クエストボードにカウンターと!…酒場がひたすらモフモフしては違う空間を
演出して居た!…その余りの光景にギルドへ入って来た冒険者達も、入った瞬間
驚いた表情を浮かべては一々外に出てギルドかどうかを確認する始末で…そんな
ギルドの様子に苦笑いしつつ、マサツグ達は物珍しさに心を躍らせる獣人達を
見ながらギルドを後にすると、そのままハーフリングスへと出て行く。そして
外に出ると…
__…トントントン!…シャ~コ!…シャ~コ!…カンカンカン!!…
「…ッ!…そう言えば今何処まで復興したんだろうな?…
見た感じまだ作業員が全力で動いてるけど?…」
「……そうだな?…見た感じ九割は終わってるから…
もう少しで完了するんじゃないか?…だから最後の追い上げ的な?…」
「あぁ、なるほど。」
マサツグ達が町に出ると何処からともなく金槌や鉋の音が聞こえ…今だ復興
作業に勤しんで居る作業員達の姿もチラホラと確認出来た。ギルド建設後…
彼らはロディの公言通りに街の復興へ当たって、それはもう目にも止まらない
勢いで復旧し!…今やその腕の良さからかハーフリングスのアイドル?…的な
存在に成りつつあった。安全第一ヘルメットに白のタンクトップ…そして
ニッカポッカのアイドルなんて聞いた事は無いのだが…とにかく今日もその
勤しむ音にマサツグが何処まで復興が進んだのかと言葉にして居ると、
レイヴンが大体の予想を口にする。そうしてその言葉を聞いてマサツグが関心
した様子で返事をして居ると、突如二人の元に衛兵が駆け付け…用が有ると
ばかりに止まって見せると、二人に声を掛け出す。
__ザッザッザッザッ!!…ッ!…トトトトト!!…
「ゆ、勇者様!!…それに魔術師様も!!…」
「ッ!…え?…何?…」
「……えぇ~っと…急な用では無いのですが…女王陛下が王宮にと…」
「……ッ?…フィアナが呼んでいる?…一体何用?…」
その衛兵は急に止まるのではなく徐々に落ち着くよう止まり始めると、
マサツグの事を勇者・レイヴンの事は魔術師と呼び…そして突如衛兵に
呼ばれた事で二人が若干戸惑った反応を見せて居ると、その衛兵は
フィアナからの伝言を二人に伝える。何でも内容は王宮に来て欲しい
との事だが、何の事なのかこの時マサツグは分かって居らず…ただその
伝言を聞いては悩み、思わず衛兵に如何言う事かと聞いて居ると、
レイヴンが察した様子でマサツグに伝える。
「ッ!…あれじゃないのか?…シロちゃんの…」
「ッ!…あぁ!…って、もう用意したのか!?……分かった!…
行ってみるよ!…報告ご苦労様!」
「ッ!…ハッ!…」
レイヴンが察したのはあの会議室での話で…シロの着替えの用意が出来たのでは?
とマサツグに話すと、マサツグもハッと理解した様子で頷き返事をする。その際
次にはその用意の速さに驚いてはツッコミを入れるのだが、ツッコミを入れられた
所で衛兵は戸惑い!…そんな衛兵の様子にマサツグもあっ…と遂やってしまった
事に釣られて戸惑ってしまうと、急に取り繕うよう返事をする。
そしてその伝言を伝えに来てくれた衛兵に対して改めてお礼を言うと、その衛兵は
マサツグ達に敬礼をし!…その場を後にするよう駆けて行き、マサツグ達もその
後ろ姿を見送り王宮へと向かい出すと、着々と進む作業を横目に町の中を歩いて
行く。
__…トントントン!…シャ~コ!…シャ~コ!…カンカンカン!!…
「…不思議なもんだな……」
「ッ!…え?…如何した?…」
作業風景を眺めつつ…シロと手を繋いで王宮を目指して歩いている一同なの
だが、ふとマサツグが思い付いた様に言葉を零し出すと、そのマサツグの
言葉にレイヴンが反応する。この時レイヴンは何を急に?…と言った様子で
マサツグを見ては不思議に思い…問い掛ける様に言葉を掛けるのだが、
マサツグはその作業風景を見詰めながらふと笑って見せると、レイヴンに
こう答える。
「種族も違えば建物の作りも違うのに…
何の問題もなく手伝ってんだもんなぁ!…
さすがはギルドの作業員って言ったところか!…」
「…ッ!……そうだな!…」
しみじみ何かを思う様に出て来た言葉なのだが…そのマサツグから出た言葉は
間違いなく関心の言葉で…そんなマサツグの言葉にレイヴンは若干驚きつつ、
明るくマサツグに返事をして見せると、思わずその言葉の意味について考えて
しまう…マサツグの身の周りで何か有ったのか?…と思わず心配する一方で、
そんな事を考えている間に一行は王宮へと辿り着き…そこで慌しい声を耳に
すると、思わず苦笑いをする。
__ドッタンバッタン!!…ガラガラガラガラ!…
「おい!!…
余が初めて父上と一緒に他の国へと公務に行った時の服はあるか!?」
「現在捜索中に御座います!!…しばしお待ちを!!」
「急げ!!…早くしないとマサツグ達が来るであろうに!!…」
{いやもう来てるんだけど?…}×2
衛兵からの連絡が有って来て見れば今だ用意中のようで…何より気合の入った
様子で外に居ても聞こえる勢いでフィアナが檄を飛ばして居ると、メイドさん達も
慌てた様子で返事をして居た!…とにかく焦って居るのが分かる位に大騒ぎをして
いる状態で、門番をしている衛兵達もこれには苦笑いと言った様子でマサツグ達に
笑って居ると、それに釣られてマサツグ達も苦笑いをするしかなく…心の中でその
様子についてツッコミを入れて居ると、王宮の玄関からノーマが一足先に姿を
現す。
__ガタンッ!…ギイイィィ~……
「……ッ!…あら?…マサツグ様にレイヴン様…
ようこそお越しくださいました…」
「あはははは…もう少し後から来た方が良かったかな?…」
「いえ…これもいつもの事なのでお気になさらず…」
「えぇ~…」
まるでマサツグ達がやって来ているのを見越した様に出て来たノーマは、
マサツグ達の姿を見るなり会釈をし…マサツグはマサツグでそんなノーマに
苦笑いをすると、早過ぎた?…と尋ね出す。しかしノーマは一切慌てる事
無くいつも通りと澄ました様子でマサツグに返事をすると、その言葉に
マサツグは戸惑い!…もはや余裕すら感じられるノーマの立ち振る舞いに!…
マサツグ達が如何しようか?…と悩んだ反応を見せて居ると、ノーマは
マサツグ達を王宮へと案内しようとする。
「……どうぞこちらに…この分だと夜まで掛かりそうなので…」
「ッ!?…い、いやいや!…だったら明日でも!…」
「…このままお客様を返す事は女王様としても不本意かと…
この様に伝言までお伝えになられたのですから…もはやワザとかもしれません…」
「ッ!?…フィアナぁ~~~!!!…」
王宮へと案内しようとするノーマは更に見越した様に夜まで掛かると言い出すと、
その言葉を聞いたマサツグは出直そうとするのだが…ノーマはそれを許さず…
寧ろここに呼ぶ為の口実で伝言を寄こしたのでは?と…フィアナの心理を読んだ
様子でマサツグを引き留めると、そのノーマの言葉を聞いたマサツグは思わず
呆れた様子で吠える。ノーマはフィアナの親友であり腹心に近く!…その考えも
読めるからマサツグにありのままを伝えたのだろうが…一国の女王がと考えると
それはとても呆れたモノで…しかしそれも直ぐにスッと諦めに変わると、
マサツグ達はノーマの案内に付いて行く事を決める。
「…はあぁ~……仕方ない…ここで帰ったらアレだろうし…
ノーマのお言葉に甘えるとするか…」
「…それは良いけど……ッ!…ギルマスから連絡……ッ!?…
ちょ!?…はぁ!?…マジ!?…」
「何?…如何した?…」
「あのユグドラドに向かうクエスト…出発明日だって!…」
「……え?…」
そうしてノーマの案内に付いて行く事をマサツグが決めて居ると、戸惑う
レイヴンの元に一通のショートメールが届き…その差出人がロディである事を
確認し、レイヴンがそのショートメールの内容を確認し始めると、途端に
酷く慌てた反応を見せては声を荒げる!…当然そんな反応を見せるレイヴンに
マサツグが驚いた様子で声を掛けると、レイヴンはマサツグにそのショート
メールを共有し!…そして内容を簡単に説明し、出発の日が急遽明日になった
事を伝えると、当然の様にマサツグもその言葉に戸惑っては固まってしまう…
その際その共有されたショートメールには…
----------------------------------------------------------------------
[差出人:ロディ 件名 会議室でのクエストについて]
ごめんなさぁ~~い!!…
私ってばウッカリして馬車の手配明日にしちゃった!…てへ♥
オマケに何故か他の日に変更しようと思ったらどの日も空いてなくて…
そのまま決定になっちゃった!…因みにこれを逃すと彼此リアルに
二週間は空きが来なくて…
一応急いで居るって事も有ってそのままにしちゃった!…テヘペロ♥
申し訳ないけど今日中に思い残した事が無い様にお願いねぇ~♥
----------------------------------------------------------------------
「……テヘペロじゃねぇんだよ!!…急過ぎんだよ!!!…」
「ま、まさか!!…俺が逃げ出さない様にする為の!!…」
「そんな圧力まで持ってるのかよお前の師匠はぁ!?…
…はあぁ~……何か今日はもう疲れた…
お言葉に甘えて今日は泊めさせて貰おう…」
「ッ!?…諦めるのかよ!?…っておい!!…ヤブ!?…」
そこに書かれて有ったのは反省して居るのかして居ないのか…急遽予定が
決まった内容で明日出発と書かれたショートメールで…それを固まりながらも
読んだマサツグがカタカタと震え出すと、猛烈な勢いでツッコミを入れる!…
その際先に読んだレイヴンはと言うと、自分の師匠の陰謀なのでは!?…と
疑い出す始末で…そんなレイヴンの言葉にマサツグが更にツッコミを入れて
居ると、徐々に疲れた様子でダレては諦める…その後考える事も放棄したのか
マサツグは案内されるようノーマに付いて行き出し…レイヴンはレイヴンで
まるで某・暑苦しいテニスプレイヤーの様な感じでマサツグに声を掛けるが、
その声は届かず!…ノーマの案内で客室へと案内され…その後フィアナ達が
やり切った表情でそのシロの着替えを持って来ると、その突然の話を
聞かされて驚きを禁じ得ないで居た!…
「ッ!?…なっ!?…何と!?……」
「そんな!!…あ、明日!?…」
「そう…急な別れみたいになっちまうけど……
まぁこれも冒険者の宿命と言う事で…」
「……何か転勤族みたいな言い訳になってるが?…」
この時フィアナとミスティーがそれぞれ服を用意するとカートで持って来ており…
クエストの話をする上でシロに欲しい服を選ばせていると、色々と迷った様子を
見せて居た。そして話はマサツグ達の方に戻ると、二人の驚き様にマサツグも
戸惑い続けており…その別れの言葉も微妙な事を言って居ると、レイヴンに
ツッコまれる!…ただ突然の話なだけあってか、フィアナは驚いた表情で固まって
居るのだがミスティーはショックを受けており!…マサツグの事を見詰めて
何故か涙を浮かべ、震えていた…
__……ウルウルウルウル!…プルプルプルプル!…
「……ッ!?…ちょ!?…何で泣き出す!?…」
「え?…あ、あれ?…ど、如何して?……
…ッ~~…ッ~~!!…」
「ちょちょちょ!?…泣くんじゃない!!…ほら!!…
また遊びに来るから!!…今生の別れじゃ無いから!!…ね!?…」
突如音も無く泣き出すミスティーに…マサツグが気付いた様子で慌てて声を
掛けると、ミスティーは泣いて居る事に無自覚だったのか…マサツグに
言われた事でハッと気が付き、何で泣いて居るのか?と思わず自分で考えると、
ふと理解したのか更に泣き出す!…そうして徐々にその場で崩れ出した
ミスティーにマサツグが戸惑った様子で声を掛けると、あやす様に駆け寄る
のだが…それを見ていたレイヴンはと言うと、マサツグの様子を見るなり
呆れ出し…茶化す様に言葉を掛けると、そのレイヴンの言葉にマサツグは
困惑する。
「…はあぁ~…このニブチンさんめ!……罪作りな男よのう…」
「ッ!…え!?…きゅ、急に如何した!?…」
「何でもねぇよ朴念仁!!…
…人の事言えた義理か!…爆発しろ!!」
「ッ!?…えぇ?…」
まるで今の現状に気付いて居ないマサツグに!…レイヴンが見せ付けられて
居るとばかりに文句を言うよう茶化すと、そのレイヴンの言葉にマサツグは
戸惑い!…本気で分かって居ないのか困惑し、レイヴンに一体何の事か?と
尋ね出すと、もはやレイヴンは茶化すを通り越して罵倒する!…当然この
レイヴンの言葉にマサツグは本気で分かって居らず、さすがのフィアナも
マサツグに呆れ…シロはミスティーの気持ちを知ってか見て見ぬ振りをし…
とにかくマサツグだけが全く何が何だかと理解出来ないで居ると、その日は
王宮に泊り…ゲームの中で就寝しログアウトをすると、現実に戻って来ても
理解出来ないままで居るのであった。
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幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
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『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
転生騎士団長の歩き方
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【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】
たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。
【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。
【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?
※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
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目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
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パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
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