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-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-

-第二章七十五節 厨房探して三千里…と未だ残る厄介事とコカトリス三昧-

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さて今だ大観衆に見守られながらマサツグ達がハーフリングスを歩いて居ると、

ミスティーは徐に先程のマサツグの様子について質問をし始める。今だ挙動

不審な動きをしている事に疑問を持っているのか、そのミスティーの表情は

曇っており…マサツグも突如問い掛けられた事に驚くのだが、改めて見回して

居た理由についてミスティーに答えて見せると、ミスティーも納得した様子で

安堵の息を漏らす。


「……所でマサツグ様?…先程は何か見回して居た様ですが?…」


「へ?…あ、あぁ!…あれ?…アレはただ単に食事処を探して居ただけで…

…ホラ!…良い鶏肉も手に入った事だし!…

持ち込みで調理をして貰えないかと…」


「ッ!…あぁ!…そ、そう言う事だったのですね?…ふぅ……ッ?…

…もしかしてですけど?…その鶏肉と言うのは?…」


「……言いたい事は分かるけど…

食べれるみたいだから食べてみようかと…」


「ッ!?…え!?…それって!?……いや…でも……」


マサツグからの返答を聞いてミスティーも漸く落ち着いた様子を見せるのだが、

少し会話の間を開けてからある事に気が付くと、その表情はまたもや疑問の

表情に変わり出し…再度確認するようミスティーが不安げにマサツグへ声を

掛け出すと、マサツグはミスティーから視線を逸らしては誤魔化す様にその

問い掛けを肯定する!…当然それを聞いたミスティーは戸惑うなり安全か

どうかをマサツグに尋ねようとするのだが、改めてコカトリスの容姿を思い

出してはニワトリ?…と天然を見せる様に戸惑い始め…ミスティーもやはり

肉が好きなのか?…それともシロに侵食されて来たのか?…徐々に興味を

持った様子を見せ出すと、思い付いた表情でマサツグにある提案をし始める。


「……ッ!…じゃ、じゃあ!…王宮にお越しください!」


「ッ!…え?…王宮?」


「は、はい!…王宮に居る給仕の者なら!…

そのお肉を料理出来る者が居るやもしれません!…ぜひ!!」


__ズイッ!!…ズイッ!!…


思い付いた表情でミスティーは突如王宮にその鶏肉を持って来て欲しいと

言い出し、その言葉にマサツグは若干の戸惑いを覚えてミスティーの

言葉を復唱し…本当に大丈夫なのか?…と言った心配の表情を見せると、

ミスティーは誰かに覚えが有るのか続けて扱わせて見ると言い出す!…

この時ミスティーとしてもマサツグ達をランチに誘う口実が出来たと

考えては、ピーカブースタイルの上目遣いでマサツグに迫り!…何とか

了承を得ようとマサツグに熱い視線を向けて居ると、そのミスティーの

熱い視線にマサツグは思わず戸惑ってしまっては了承する…


「ッ!?……わ、分かった…」


__ッ!…ぱあああぁぁ!…グッ!!…


「え?…」


{……あれ?…

もしかして何だかんだでミスティーもコカトリスの肉に興味ある?…}


戸惑いながらもマサツグが返事をした事に!…その返事を聞いたミスティーは

目を輝かせながら見開くと、小さくガッツポーズをして見せ!…そんなガッツ

ポーズをして喜ぶミスティーに!…マサツグは何が何だか分からず戸惑った

反応を見せて居ると、ミスティーもシロ同様コカトリスの肉に興味が有るのか?…

と言った具合に考え出す。そうしてマサツグがいつもの朴念仁を繰り出して

居ると、本来ならばそんなやり取りをして居ればシロがヤキモチを焼きそうな

モノなのだが…今は空腹が勝って居るのか、シロのお腹からはその元気も無いと

言った様子で空腹の音が鳴っていた。


__ぐううぅ~……さすさす…グイグイッ!…


「ッ!…分かった分かった!…お腹空いたんだな?……全く!…

喜んだり落ち込んだり…本当に忙しいモンだな?…

じゃあミスティー?…頼めるか?」


「ッ!!…はい!!」


先程までの落ち込み様を引っ張って居るのか、それとも単純にお腹が減って

元気が無いのか…シロは暗い表情で自身のお腹を摩っては急かす様にマサツグの

腕を引っ張っており!…その様子にマサツグも宥めるようシロの頭を撫でながら

返事をすると、本当に手の掛かる子と言った様子で若干呆れつつも苦笑いをする。

そして改めてミスティーに料理の件をお願いするよう声を掛けると、ミスティーは

やる気を見せる様にマサツグへ元気に返事をし!…そんなミスティーの珍しい

テンションの高さにマサツグは驚きつつ…一同はその王宮を目指して歩き出すと、

その道中で早速コカトリスの話が出回っているのかこんな噂話を耳にする。


「……おい聞いたか?…ついさっきこの町の玄関口で…」


__ッ!…チラッ?…


「あぁ、聞いた聞いた!!…コカトリスだろ!?…

何でも例のトンデモプレイヤーがデケェ岩で

コカトリスの頭をカチ割ったとか!!…」


「え?…俺はそのデケェ岩ごと頭を叩っ斬ったって聞いたけど?…

…てかあんなバケモンに接近戦とか!…

ハッキリ言って正気の沙汰とは思えないな?…

だってアイツの目本当に厄介だもん!…」


「はは!!…だな?…

…でもやったのはあのトンデモプレイヤーだろ?…

あんな事する奴なら何をやっても可笑しく無い気がするんだが…」


「「「あっ!…それには同意!…」」」×3


噂話を耳にしたのは些細なきっかけで有った…恐らく観光に来ている冒険者達で

あろうその者達は偶然マサツグ達の前を歩いて居り…そのグループの内の一人が

話のきっかけを作り始めると、それに乗っかるようグループのメンバーが色々と

話し出したのである。その会話を偶然マサツグが耳にすると思わず視線をそちらに

向け出し…その冒険者達の話を盗聴するよう耳を澄ませていると、その内容は

先程のコカトリスの話であり!…思い思いに有り得ないと言った様子で話に花を

咲かせていると、最終的にはマサツグだから!…と言った感じで纏められる!…

そうしてその話を後ろで聞いている当本人はと言うと、まるで自分が普通じゃない

と言われて居る様な気がしては戸惑いを覚え!…思わずショックを受けて苦笑いを

して居ると、更にその冒険者達の会話は続く!…


「……ッ!…そう言えばこんな話も有るそうだぞ?…

何でもその玄関口でコカトリスとの戦闘を見ていた連中の中に

あの「Nightmare」のクランメンバーが居たとかで…」


「あっ!…もう話が読めた!…」


「ッ!…まぁ聞けって!!…その予想通りなんだが……

興味を持った奴がそれを動画に取ってたらしくて…

仲間を集めて検証に出たらしい。」


「やっぱり!……あそこホントそう言うの好きだもんな?…

この前は猪を実験に使ってたって聞いたし!…」


その冒険者達の話は次にマサツグの連携技の話へと変わり出し、更にいつぞやの

検証組が現れたと言う話になると、更なる盛り上がり様を見せ始める!…何でも

もはやその検証組は名物なのか、そのグループの名前が挙げられた途端に一人が

読めたと言い出す始末で…慌ててその言い出しっぺが最後まで話を聞くよう

言い出すと、案の定その検証組が仲間を集めて同じ事をしに行ったと言う話で

あって、その話を聞いて前の出来事を思い出す様に笑って見せて居ると、ここで

その話を繰り広げていた冒険者達とは徐々に分かれ始める。マサツグ達は直進する

一方で、その冒険者達は角を曲がり…とにかくそう言った話がされている事に

マサツグが戸惑いを覚えて居ると、上機嫌でマサツグに腕を組んで歩いて居る

ミスティーが気が付いた様子で声を掛け出す。


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「ッ~♪……ッ!…あれ?…如何為さいました?…」


「……ッ!!…え?…あ、あぁ!…ゴメン!!…何でも無い!…」


「……ッ?…そうですか?…」


{……そうか…自分でも分かっては居たつもりだけど…

やっぱ普通じゃないのかぁ~……ちょっと複雑…}


ふとマサツグが苦笑いをして居る事に気が付くと、不思議そうに顔を覗き

込んでは如何した?と声を掛け出し…そのミスティーの様子にマサツグも

気が付いた様子で反応すると、若干慌てた表情で謝りながらミスティーに

返事をする。この時マサツグの返事を聞いてミスティーは渋々納得した様な

反応を見せるのだが、その表情はやはり不思議そうにしており…その表情を

見てマサツグも一息吐く様子で落ち着きを取り戻すと、改めて心の中で

先程の言葉に若干のショックを受ける。そうしてそんな冒険者達や住人達の

噂話を通り過ぎながら聞いていると、マサツグ達はいつの間にか王宮に辿り

着いており!…王宮に辿り着くなりマサツグとシロはミスティーに厨房へ

案内され、その道中王宮の庭園にてコカトリスの被害報告をする衛兵長と、

話を聞くフィリアに…対策を一緒に考えるロディの姿を見つけると、とある

疑問を覚えつつも声を掛け出すのであった。


「……こっちですマサツグ様!」


「おいおい!…そんなに慌てんでも!…

…って、あれ?…お~い!!」


「ッ!…おぉ、勇者殿!!…先程は!…」


「お疲れ、マサツグちゃん!!…コカトリスは食べれた?」


「いやその前にアンタ如何やってこの距離を移動したんだ?…

それに調べ物は?…」


マサツグが抱いた疑問とはロディがこの場に居る事で有り…先程まで

玄関口に居た筈?…と色々な疑問を持ちながら声を掛け出すと、まずは

衛兵長がマサツグに挨拶をする。それに続いてフィアナもマサツグを

迎え入れるよう笑顔で手を振って返事をすると、ロディも笑顔でマサツグに

コカトリスは食べれたか?と聞き始め…その問い掛けをされた事にも

マサツグは戸惑うのだが、それよりも先に気になる事が有ると言った様子で!…

マサツグがツッコミを入れるようロディに質問をし始めると、ロディは

その問い掛けに対してさも普通とばかりにこう答える!…


「ッ!…え?…いや如何移動したも何も…走ってよ?」


「なっ!?…走ってえぇ!?…」


「えぇ…何ならマサツグちゃん達の横を通り過ぎた様な気もするけど?…

…因みに衛兵長さんは私が抱えて走ったわよ?…

丁度こうして報告が有ったから。」


「ッ!?!?……」


マサツグの問い掛けに対して不思議そうな表情を見せると、ロディは走ってと

答え…その答えを聞いてマサツグがバラエティー番組クラスのリアクションで

酷く驚いた反応を見せて居ると、ロディは更にマサツグの隣を駆け抜けたと

妙にうろ覚えの様子で答える!…そうしてロディの口から信じられない言葉が

飛び出して居る事に!…マサツグは頭の処理が追い付かない様子で固まって

居ると、ロディは衛兵長も一緒に連れて来たと当然の様に話し出し!…それを

聞いて更に戸惑った反応をマサツグが見せて居ると、衛兵長は何ともない様子で

ロディに話し掛ける。


「あぁ!…抱えて走ったのですか!…通りで風を感じると……ッ!?…

えぇ!?…わ、私を抱えて走ったのですか!?」


「遅えぇよ!!!」


「い、いや…私はてっきり魔法で転移したものかと!?…

まさか抱えて走るとは露も思わず!?…」


「……それはそうだろうな?…まさか抱えて走る等…

誰も考えんだろう!…」


衛兵長もこの時深くは考えて居なかったのだろう!…ロディから移動方法を

今聞かされたと言った様子で返事をすると、暫く笑顔のまま固まり…そして

ハッ!と今になって気が付いた様子で驚いた反応を見せると、ロディに今更

ながら詳しい話を聞き出そうとし始める!…当然その衛兵長の反応にマサツグが

激しいツッコミを入れると、そのマサツグのツッコミにも反応するよう

衛兵長は慌て出し!…言い訳をする様に魔法で移動したものと考えて居た事を

話し始めると、それに同意…いや同情する様にフィアナがフォローを入れる。

とにかくそのロディの剛脚ぶりの話に面々が驚いて居ると、ただロディ一人

だけは解せない!…と言った表情を見せており!…報告も途中で途切れた

様子で場が困惑して居ると、ロディは解せない表情を見せつつ…手を叩いては

場の鎮圧化を図り出す。


__スッ…パン!…パン!…


「はいはい!…この話はもう終わり!…

…別にそんなおかしな話じゃないと思うのだけど?…」


{いや十分に可笑しいです!!…}


「それよりも!!……あのコカトリス!…

如何やらみたいなの!…」


「ッ!…え?…」


少し前のマサツグの様に…異常と言われた事に対して不服そうな表情を見せつつ

ロディが零すと、マサツグは苦笑いをしながら心の中でツッコみ!…ロディも

気持ちを切り替える様に元の報告の話に戻り出すと、気になる事を口にし始める!…

…それはマサツグ達が倒したコカトリスは既に深手を負って居たと言う事であり、

その様子は戦う前からある程度見られていた為特段不思議では無いのだが…

ロディは可笑しいと言った様子でフィアナに報告をすると、そのロディの言葉に

マサツグは疑問を持ち!…一体何が可笑しいのかと言った具合に戸惑いの言葉を

漏らしつつその話を聞いて居ると、ロディは何が可笑しいのかを話し出す。


「…確かにコカトリスは縄張り意識が強いから何処かで縄張り争いをして

怪我をして来たとしても別に可笑しくはないのだけど!…

今回のその傷跡を見た限りだとその普通の縄張り争いをした様に無くて!…

それにマサツグちゃんが現場を離れた後そのコカトリスを調べて見たら!…

コカトリスに何とテイムされた跡があるじゃないのよ!!…」


「ッ!?…って事は?…」


「えぇ!…恐らく!!…今の主人が嫌になって逃げて来たのか?…

それとも主人が死んだ事で拘束力が無くなって出て来たのか?…

或いは面倒見切れずに主人に捨てられたか?……いえ、今回の場合は二番目ね?…

コカトリスの首には首輪が付けられて有ったし!…

その首輪からは隷属化の魔力が微かだけど感じられた!…

…オマケに助けを求めに来たのならあんな風に襲っては来ない!!…

この事から高確率で主人が死んで解放されたパターンが

濃厚だと考えられるわ!!……そしてその主人にも大体の見当は付いてる!!…」


「ッ!?…え!?…特定って……如何言う?…」


ロディが可笑しいと言って話し出したのはそのコカトリスの体に有った

傷跡について…何やら意味有り気に事を臭わせると、更にテイムされた

様子も有った事を話し!…その言葉を聞いてマサツグも気付き戸惑った

反応を見せると、ロディは真剣な表情で「脱走」と答える。ペットが

脱走を企てる事があるのか?…勿論ペットにもそれぞれAIが搭載されて

有るのできっかけさえ有れば簡単に起こし…その原因についてロディが

話し出すと、更に神妙な面持ちでそのコカトリスの脱走についての推理を

話し始める!…その際根拠も有るのか確信を持った様子でロディは話し!…

その話を聞いてマサツグがドラマの様な狼狽えようでその飼い主について

問い掛け出すと、ロディも乗っかる様に不敵に笑みを浮かべてはこう答える!…


「……少なくともマサツグちゃんはよく知ってる筈よ?…

だってソイツに冤罪を擦り付けられたり襲われたり!…

何なら戦った事も有る筈だもの!…」


「え、冤罪?…冤罪に襲われて戦ってって…ッ!?…まさか!?…」


「そう!…あのコカトリスの飼い主の名前は!…ゲルデウス!…

マサツグちゃん達で言うゲスデウスの事なのよ!!…その証拠に…

ほら、ご丁寧に首輪に名前が書かれてあるもの!…間違え様が無いわ!」


まるで探偵役になり切った様子でロディが立ち振る舞い出すと、マサツグにも

その飼い主に覚えが有るはずと言い!…更にヒントを与えるようマサツグが

今までに経験して来た事を徐に話し出すと、その言葉を聞いてマサツグは素で

困惑した様子を見せる…しかしハッキリと…忘れようの無い人物がマサツグの

中で出て来ると、その人物が出て来た事にマサツグはハッとし!…ロディも

マサツグが気付いた事で満足した様な表情を見せると、その証拠をパンツから

取り出してはコカトリスの飼い主をゲスデウスと答える!…そうしてその答えを

聞いてフィアナと衛兵長が驚いた反応を見せて居ると、その場の空気は

まるでドラマのクライマックスシーンの様な雰囲気に変わり出し!…マサツグは

マサツグで呆れた様子で頭を抱えると、ゲスデウスに対して文句を零し…

ロディがパンツの中から証拠を出した事にツッコミを入れないのであった…


「…はあぁ~…死んでも尚人に迷惑を掛けるのか?…」


__……はああぁぁ~~~!……×2


「一応私もそれに気付いた後、ギルドの方に連絡を入れて痕跡を辿る様に

指示をしたけど……ッ!…」


ゲスデウスの迷惑にまだ振り回されて居るのか?と考えるとマサツグは

呆れ…その言葉に同意するようフィアナと衛兵長の二人もその場で項垂れ

溜息を吐き出すと、ロディはそんな三人を眺めつつ…その証拠の首輪を

人差し指でクルクルと回しながらギルドに調査の指示を出したと話して

居ると、突如何かに反応するようピクっと眉を動かす。そして何を

考えて居るのか自身の額にピースサインを当てるよう構えて見せると、

まるでそこに誰かが居るかの様に話し出す。


「…はいぃ?……うん…うん…ッ!?…そう…ッ!…

…いいえ、十分よ!ありがと!!……たった今さっき連絡があったわ!…

ギルドの方で有志の冒険者を募って捜索に向かわせたらドンピシャ!…

恐らくモンスターを飼って居たであろう小屋を見つけたって!…

ただ中は蛻の殻で…とにかくモンスターが飼われて居ただろう

痕跡しか見当たらなかった当たらなかったって…

中でも気になるのは灰色の羽根と薄紫色をした羽根が落ちて居た事!…

恐らく灰色の羽根の方はマサツグちゃん達が討伐したコカトリスなんだろうけど…

薄紫の方は分からないって…因みにその小屋が見つかったのはここから

数百m離れた所!…場所的にも合致してるし?…これで確定ね?…」


突如奇妙なポーズでロディが誰かと会話をし始めた事にフィアナと

衛兵長が戸惑った反応を見せて居ると、マサツグも同じ様に戸惑うのだが…

直ぐハッと気が付いた様子で念話だと言う事を理解すると、焦った自身の

心を落ち着かせる…そうしてマサツグが自身の心を落ち着かせていると、

ロディの方でも念話が終わったのか…相手がギルドの者からだと言う事を

話し出すと、その調査の結果が出た事を続けて話し…ロディの予想通り

コカトリスが脱走して来たであろう小屋が見つかった事と、更に他の

モンスターも逃げ出して居る事を示唆する!…その際その小屋の中で

一番気になるモノは薄紫色の羽根とロディが語り出すと、それに見覚えの

有るマサツグは無言でピクっと反応し!…その反応するマサツグの様子を

見てロディは気になりつつも、とにかく場所を特定!…ついでに犯人も

特定したと言った様子で話を纏め出して居ると、何より気になった様子で

フィアナが恐る恐るロディに声を掛け出す!…


「ッ!?…ロ、ロディ殿?…今のは?…」


「え?…ッ!…あっ…あぁ!…今のね!?…

アレは念話って言って魔法の一種よ!…話したい相手と離れて居ても

魔法の力で会話をする事が出来る魔法で…」


「ハッ…ハハァ!…何とも便利な魔法が有るモノなのだな!?…」


まるでロディが悪霊に取り憑かれたと誤解した様子でフィアナと衛兵長が

揃って戸惑い出すと、当然そんな態度を見せ始めた二人にロディも釣られて

戸惑い!…ただ何が何だかと言った表情をロディが見せて居ると、突如

ハッと理解した様子で目を見開き!…先程の念話の事を戸惑いながらも

二人に説明し始めると、魔法と言う言葉は便利なのかフィアナは納得した

様子で返事をする!…確かにいきなり目の前で男が仁王立ちしては空を

見上げて独り言を口にし始める!…それも変なポーズで!…事を理解して

居なければその様子はただホラーでしか無く、その事を同情する様に

マサツグが苦笑いをして居ると、ふと何処からともなく香ばしい匂いが

漂い出す…


「……あはははは……ッ!…

って、あれ?…この香ばしい匂いは?……ッ!…」


__ルンタッタ~♪…ルンタッタ~♪…


「……シロ?…その揚げたてっぽいフライドチキンは?…」


__ルンタッタ~♪…ルンタッタ~♪……スッ…


「……え?…」


突如王宮の庭園内に漂い出す香ばしい匂いに!…マサツグが気が付いた様子で

その匂いのする方向に向き出すと、そこにはシロの姿が有り!…この時シロの

両手には揚げたてのフライドチキンを握られており、満面の笑みを浮かべて

スキップをしながらマサツグの元へと向かって来ると、シロはマサツグの所に

来るなり無言でそのフライドチキンを差し出す。まるでマサツグの分と言った

様子で手渡して来た事に…マサツグはそのフライドチキンを受け取ったものの

シロの様子に戸惑いを覚え、一体何処から入手して来たのか?と考えて居ると、

突如として庭園内が慌ただしくなり出す!…


__ドドドドドドドドド!!!…ッ!?!?…ガタガタガタガタ!!…


その聞こえる足音に何事か?と言った様子で視線を向けると、

突如としてメイドさん達が猛烈な勢いで庭園にやって来る!…そんな様子に

マサツグはいつぞやの事を思い出して警戒をし始めると、また襲って来る

のか!?と言った具合に身構えそうになり!…だがメイドさん達はマサツグには

目も暮れず、突如としてフィアナの前に大きめのテーブルと椅子をセッティング

し始めると、そのメイドさん達の行動にマサツグは戸惑う…


「ッ!?…な!?…何だ何だ!?…」


__ガタン!!…バサァ!!…カチャンカチャン!!…スッ!…スッ!…


「え?…えぇ!?………ッ!?…」


マサツグが声を出して戸惑って居る中…メイドさん達はそんなマサツグなど

御構い無しに忙しいと言った様子でテーブル等を設置し終えると、今度は

テーブルクロスを机に広げ…そして食器に皿等!…瞬く間にその場に

居る人数分の食器を並べると、今度は何故か鶏肉料理をその机の上に

並べ始める!…その際その机の上に並べられた鶏肉料理と言うのは、フライド

チキンに照り焼き風のチキンステーキ…唐揚げにチキンサラダと鶏ヶしており!…

一体何でこんな事に!?…と言った具合にマサツグが困惑して居ると、ハッと

ある事に気が付く!…


__スッ……スカッ…スカスカッ……


「……シロちゃ~ん?…あのコカトリスの肉はぁ~?…」


マサツグは徐に腕を自身の背中の方へ回すと、アイテムポーチに手を掛けようと

するのだが…そこには有る筈のポーチのチャックは何処にも無く、何故かポーチの

口は開いた状態で放置されてある事に気が付く。その事を確認したマサツグは

頭の中で何が起きたのかを整理し始めると、その事を尋ねる様に笑顔でシロに

声を掛け出し…シロはフライドチキンを頬張りながら、その事に答えるよう手を

上げて答え出すと、自分がやったと自白をし始める。


ごひゅひんはまのおははひがなはひのでご主人様のお話が長いので……んん!…

シロがミスティーお姉ちゃんと一緒に持って行ったのです!」


「い!…いつの間に…てか勝手持ってっちゃ駄目でしょ!

後口に物入れたまま喋らない!…」


「ッ!…はいです…ごめんなさい…」


余程お腹が空いていたのかシロは待ち切れなかった様子でポーチから鶏肉を

取り出し、その鶏肉をミスティーと共にキッチンへ運んだと言い…

それを聞いてマサツグはいつの間に!…と言って戸惑うのだが、直ぐに勝手に

鶏肉を持って行った事!…食べながら喋って居る事に対して怒って見せると、

シロはビクッと反応してはマサツグに返事をして謝る…その際ショボンとした

様子を見せるシロに…マサツグも思う所が有るのかシロを見詰めては自身の

心の中で反省をし始める。


{……って、悪いのは俺だよな…

最初からお腹が空いたって言ってたのに!…長々と喋ってたし…

シロは俺が聞いて来たから答えただけだし!……

…ちゃんと謝らないとな…}


__……コッ…コッ…スッ……ビクッ!…ッ~~!!……ッ?……チラッ?…


「……俺も悪かったな?…お腹が空いてたんだもんな?…

無理に待たせようとしてゴメンな?…答えてくれたのに怒ってゴメンな?…

俺も反省するから…今度こんな事が有ったら俺に文句を言ってくれ…

…いいな?…」


「ッ!……はいです!!」


ショボンとするシロを見詰めてはマサツグがシミジミと反省し…俯くシロに

近付き頭に手を置くと、シロはビクッと反応する。恐らく更に怒られると

感じたのだろう…シロは自身の体を小刻みに振るわせると覚悟を決めた様子を

見せ!…マサツグもそれを見て何も言わずに頭に手を乗せ続けて居ると、

その様子にシロは変だと感じたのか確認するよう顔を上げる。そしてマサツグの

顔を見て怒っていないどころか反省している様子を目にすると、若干驚いた

表情を見せ…マサツグもシロが目を合わせてくれた事に反応するよう、自分も

悪かったと言ってシロに謝って見せると、シロにその言葉が通じたのか!…

笑顔を取り戻してはマサツグに返事をする!…そうして二人とも仲直りした所で

その用意された机の方に振り向くと、そこにはミスティーも戻って来たのか

マサツグの事を見ており…案内するよう椅子を指し示して見せると、マサツグも

これ以上細かい事を考えないようその椅子に向かい歩き出す!…


「…さて、改めて飯にしようか?…なぁ、シロ?」


「はいです!!!」


__……ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……ガタンッ!…ガタガタ……ッ?…


「あれ?…衛兵長は食べないの?…」


シロの手を引いて料理の置かれて有る机の方に移動すると、既にそこには

フィアナとロディがスタンバイOKの状態で座って居り…マサツグとシロが

歩いて来た事でミスティーも近くの席に座ると、マサツグとシロも空いて

いる席へ座り出す。そしていざコカトリスの肉の実食しようとするのだが、

何故か衛兵長だけは立っており…それを見てマサツグが不思議に思い、

衛兵長も食べる様に進め出すと、その言葉に衛兵長は戸惑い出す!…


「ッ!…え!?…いえ私は!!…」


「構わん衛兵長!…と言うよりこの量だ!…

マサツグや余!…ミスティーにシロにロディ殿と居ても食べ切れるかどうか?…

助太刀せい!…」


「ッ!?……は、はぁ…では…」


__ガタッ!……


まるで恐縮した様子で戸惑うと断ろうとするのだが、フィアナが空気を読んだ

様子で衛兵長に食べる事を手伝う様に声を掛ける。その際、山のように

目の前に置かれて有る料理の量を見てフィアナ自身も戸惑った表情を見せており、

そんなフィアナの表情を見て衛兵長も戸惑った様子のまま返事をすると、

恐る恐るその空いている席に座り出す。そうして全員が着席した所で再度実食が

始まろうとするのだが…改めてこの鶏肉があのコカトリスの物だと感じられると、

マサツグは二の足を踏み出す!…


{……っで?…いざこうして料理された物がこちらになります。

って、されてんだが?…改めて考え直すとこれコカトリスなんだよなぁ……

さっきシロが既にフライングしてたが…本当に大丈夫なんだろうなコレ!?…}


「ではいただくとしよう!…いただきます!」


__いただきます!!!×6


「ッ!……えぇ~い!!…ままよ!!」


幾ら料理されたとは言え元はコカトリス!…何ならさっきまで殺し合いを

していた怪鳥がカラッと綺麗なキツネ色に揚げられて有るのだが!…

如何にも不安を覚え!…シロが先に何事も無く一口齧って居た事を思い出すと、

大丈夫なんだろうと自身に言い聞かせ!…全員でいただきますの合掌を

し終えると、マサツグは覚悟を決めた様子で唐揚げにフォークを伸ばす!…

そして!…


__あぁ~ん…カリッ!!…じゅんわあぁぁぁ~~~!!!…ッ!?!?!?…


{…な、何だこれ!?…肉汁が溢れて!?……飲める!?…

たった一口でこんな!?…それにほんのりと甘みも有って美味しい!!…

まるでしっかりと歯応えの有る霜降り肉を食べて居る様な!…

それでいてしつこく無い!…スッと脂が流れて無くなる!?…

……まさかコカトリスがここまでとは!!……チクショウ!!…

うめぇじゃねぇか!!!…}


マサツグがコカトリスの唐揚げを食べた瞬間!…サッパリとしながらも

しっかりと味のする肉汁が口一杯に広がると、驚く事にその脂はゴクリと

飲める程に溢れ出し!…マサツグが再度口に含んだ唐揚げを噛むと、今度は

コカトリスの肉の味とカリッと香ばしい皮の風味がマッチして、更に食欲を

増大させる!…そして噛めば噛む程味が染み出して来ると、香辛料が鼻孔を

擽り!…何とも言えない悦に浸りそうになって言ると、そのコカトリスの

味にマサツグは驚きを隠せないでいた!…そしてそのコカトリスの唐揚げを

頬張っては空を見上げると、何処と無くあのコカトリスの顔が浮かび…

思わず感謝の言葉を漏らしそうになって居ると、唐揚げ一個を食べ終わる

頃にはマサツグの中のコカトリスに対しての疑心感は消えていた!…

そこからのマサツグは某・一狩り行こうぜのゲームに出て来る猫のご飯を

かっ喰らう様に!…唐揚げやチキンステーキ、サラダをモリモリと食べていた!…


__ガツガツ!!…バクバク!!…ムシャムシャ!!…


「マ、マサツグよ!…お主何と言う!…」


「まるで五日ぶりのご飯を食べている様ね?…

ある意味漢らしいわ!…」


「マ、マサツグ様!…落ち着いて!!…

まだ沢山有りますから!!…」


照り焼きのチキンステーキは歯が無くてもスッと切れる位の柔らかく…

スッと余韻を残す後味が更なる食欲を増幅させる!…更に照り焼きソースと

コカトリスの肉汁が口の中で合わさる事により極上のソースに変わると、

その肉本来の味を更なる高みに連れて行き!…絶妙なハーモニーを奏で!…

チキンサラダも野菜とまるで競い合うよう歯応えを楽しませると、最終的に

混ざり合っては最高の味を醸し出し!…フライドチキンは言うまでもなく!…

シロと一緒になって頬張っては鼻から抜ける空気すら旨味を感じる!…

そうしてそれぞれ楽しむようマサツグが落ち着きなくバクバクと食べて居ると、

その食べっぷりにフィアナ達は驚きを隠せないでおり!…一頻り食べた所で

マサツグが満足した様子で落ち着き出すと、コカトリスのフルコースを

また食べたいな…等と考え出し!…シロと同じくコカトリスを食料として

見始めるのであった!…

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