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-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-

-第二章六十八節 メイド達の連携とミスティーの本気とマサツグの真似?…-

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爆撃騒動を聞き付けたレイヴンとシロが慌てて広場にやって来ると、そこは

トンデモナイ事になっていた!…王宮前ではメイドさん達が獣人族らしい

軽いフットワークで右へ左へと回り込んで見せると、マサツグを逃がさないよう

巧みに取り囲んでおり!…そのメイドさん包囲網の中心でマサツグが覚束無い

足取りのまま逃げ惑い困惑していると、傍からその様子を見ているロディと

ミスティーは突然の事に戸惑っている様子を見せて居た!…そしてこの話の

発端となったフィアナはと言うと、まさかこうなるとは思っても居なかった

様子でその場に立ち尽くして青ざめており!…その間にもマサツグを

追い詰めるようメイドさん達は魔法を放ち続けていた!…


__ボガアアアアァァァァン!!!!…ッ!?…


「どわああぁぁぁ~~~~~~~!!!!」


「「「逃がしません!!」」」


「ッ!?…あぁ~あ……派手にやってんなぁ?…」


メイドさん達が魔法を唱える度に何故か爆撃音が轟き!…何なら爆撃が起きて

いる様な!…下級魔法しか教えて居ない筈なのに何故か爆発が起きている事に

レイヴンが戸惑いを感じて居ると、マサツグはただ悲鳴を上げ続けて逃げ

惑っていた!…だがそんなマサツグに対してメイドさん達は一切手加減する事

無く追い回し続けると一致団結して、逃がさない!…とだけ言い!…

敵意むき出しのメイドさん達に対してマサツグは一切反抗する事無く逃げ続け!…

レイヴンはレイヴンで今からこれを助けるのかと言った様子で呟くと、

そのマサツグの救助方法について悩み出す…


{……で、如何するよ?…

魔法を唱えるにしてもこうも動き回られると狙いが付け辛い!…

恐らく精神系魔法を唱えれば一発で鎮圧出来るとは思うけど…

あのフットワーク!…さすが獣人と言った所か!!…}


__バッ!!…バババッ!!!……キョロッ!…キョロッ!…


「うぅ~~!!…これじゃご主人様を助けられないのですぅ~!!!」


「……マサツグちゃん何かしたの?…

見た感じ何か鬼気迫る様な物が感じられるのだけど?…」


日々の家事で鍛えられているメイドさん達のフットワークに翻弄されながら

レイヴンが困惑して居ると、この時シロも同じ様にこうもマサツグや

メイドさん達に動き回られると狙いが付け辛いと言った様子で困惑しており!…

メイドさん達を見たりマサツグを見たり…目まぐるしく視線を動かしては

如何助けようか?とレイヴンと一緒になって悩んでいた。ロディは

そのメイドさん達の鬼気迫る様子から何かしたのでは?…と誤解をし始める…

当然別に何もしていないのに襲われて居るので、マサツグは何が何だか…と

言った様子でただ困惑しており!…一か八かで問い掛けるようメイドさん達に

声を掛けると同時に説得を図り出す!…


「ッ!?…クソ!!…俺が何をしたって言うの!?…

別に何もしていないと思うが!?…」


「恨みは有りません!!…ただ一撃を見舞いたいだけです!!!」


「ちょッ!?…余計に怖いわ!?…てか大体何でこんな事に!?…

何時から魔法を使える様に!?…それも中々のレベルを!!…」


マサツグは必死にメイドさん達の魔法を掻い潜りつつ!…まずはその攻撃して

来る原因について尋ねるのだが…メイドさん達はただこれと言った理由は

無いとマサツグに返すと、依然として執拗なまでにマサツグを狙い続ける!…

当然そんな返答が帰って来た事にマサツグは青褪めながらツッコミを入れる

のだが、同時に思い出したようメイドさん達が魔法を使って居る事に疑問を

持ち出し!…思わずその魔法の強さに感心しつつ更に質問をすると、

今度は別のメイドさんがマサツグの質問に答える!…


「魔術師様に教えて頂いたので!!…とにかく喰らって下さい!!!」


「だから怖ぇって!!!…てか、これはレイヴンの差し金か!?」


「ッ!?…ちょ!?…ちげぇよ!!!…

俺だってさすがにこんな嗾ける様な事考えねぇって!!…」


「じゃあ何でこんな事になってんだ!?…説明を求むぅぅ!!!」


マサツグの問い掛けに答えるようメイドさんは正直にレイヴンから教えて

貰って居た事を話し出すと、ただ喰らうよう鬼気迫る勢いでマサツグに訴え!…

その言葉にマサツグは更なるツッコミを入れてレイヴンに原因が有る様な

考え方で文句を言い出すと、魔法を回避しつつレイヴンの姿を探し始める!…

その際マサツグの言葉はレイヴンの耳にも入ったのか、レイヴンはそのマサツグの

台詞を聞くなり慌てて首と右手を左右に振り始めると全力で違う!!と

訴え出し!…そのレイヴンの言葉でマサツグが更に困惑し、こうなった原因に

ついての話を求め出す!…すると…


「そ、それは……」


マサツグからこうなった原因について聞かれた際、レイヴンは更に悩み出す!…

自分は関係無い事を証明する為に素直に答えるべきか…フィアナを庇ってやはり

自分が罪を被るべきかと…レイヴンの目の前ではマサツグが必死になって

メイドさん達の魔法を避けている一方で、少し視線を逸らすとそこには青褪めて

固まって居るフィアナの姿も目に映っており!…その姿を見てレイヴンが思わず

不憫に感じ、そのマサツグに対する返答に困って居ると、レイヴンが答えるより

先にシロが答え出す!…


「それはフィアナお姉ちゃんの誤解なのです!!」


__ッ!?…え!?…


「ッ!?…ちょ!?…シロちゃん!?…」


「本当はメイドさん達が強くなりすぎる事に不安を感じて

教えなかったのです!!…なのにフィアナお姉ちゃんが!!…

ご主人様をギャフンと言わせる事が出来れば魔法を教えて貰えるのでは!?…

…って、言っちゃったから皆必死になっているのです!!

ご主人様!!…皆を止めて!!…」


恐らくシロは何も考えず…ただこの騒動からマサツグを救いたい一心で真実を

話し出したのであろう…レイヴンから聞いた話を暴露する様にまずフィアナの

誤解から始まった事を口にし始めると、その広場に居る全員が驚いた様子で

反応して一斉にシロの居る方に振り向き出し!…シロは更に暴露するよう

レイヴンが考えて居た事!…フィアナが誤解している事について簡単に説明し

全員に話してしまうと、争いを止める様に訴える!当然これを聞いたマサツグの

他にミスティー・ロディ・そしてメイドさん達が、フィアナの立っている方に

振り向くとその青ざめている姿を目撃し!…その際メイドさん達の猛攻が

止んだ事でマサツグがチャンスと言った様子で、メイドさん達の制圧に掛かる!…


__…ッ!…バッ!!…


「ッ!?…フィ~ア~ナ~!!!!…」


「ッ!?…しま!?…」


「ッ!?…ち、違うのだ!?…

ただ余も勘違いをして居て!!…」


「問答無用!!!」


マサツグはメイドさん達の注目が切れた事を瞬時に見回して確認をすると、

攻撃を仕掛けて来たメイドさん達では無くフィアナに向かって走り出し!…

その咄嗟のマサツグの動きに反応出来なかった様子でメイドさん達が戸惑って

居ると、マサツグは一気にフィアナとの距離を縮めてしまう!…その際

自分との間合いを一気に詰めて来たマサツグに、フィアナは怒られると言った

様子で両手を突き出し左右に振りながら突如謝り始めるのだが…

マサツグは構わず原因であるフィアナに襲い掛かると、瞬く間にフィアナを

組み伏せてしまう!…


__バッ!!…ガッ!グル!…むにゅん♥…スッ…


「んッ!!…」


「……だはああぁ!……はあぁ~…

これでメイドさん達の負けって事でいいよな?…

こっちは人質を取ってんだから!…」


マサツグがフィアナに襲い掛かる際、その突き出しているフィアナの両手を

右手で一纏めに拘束するよう掴むと、その拘束した両手をフィアナの頭上より

高い位置に持ち上げ!…その際鞘から抜かずに腰から刀を抜き、フィアナの

首元にその刀を当てるようフィアナを拘束してしまうと、メイドさん達に

見せつける!…この時左手に刀を握って体を動かされないよう拘束して

おり…たまたまフィアナの胸を抑え付ける様な形になってしまうと、フィアナは

何故か一瞬色っぽい声を漏らす…まるでフィアナの周りを駆け回るような

その一連の動きに!…ロディも思わず感心した様な視線を向けるのだが、

同時にマサツグのラッキースケベにもニンマリ笑って見せ!…とにかく

マサツグが息を切らした様子でメイドさん達に降伏するよう声を掛けると、

メイドさん達もさすがにフィアナを盾にされては何も出来ないのか、降伏をする…


「ッ!?……ッ~~~!!……

わ、私達の…完敗…です…」


「……はあぁ~…」


__すぅ~…ッ!!…ビクビクッ!!……スッ…


こうしてメイドさん達は悔しそうな表情を見せつつ…攻撃の構えを解いて

落ち着きを取り戻し出すと、ガックリと項垂れた様子で諦めを見せ始め!…

奇襲を潜り抜けた事でマサツグもホッと安堵し溜息を吐くと、その溜息は

フィアナの首元を駆け抜けたのかフィアナは頬を染めてビクッと反応する!…

そしてこれ以上の拘束も必要無いと言った様子でマサツグはフィアナの拘束を

解くのだが…この騒動を起こした原因である当本人はと言うと、マサツグに

抱き締められた拘束事が嬉しかったのか甘え出す!…


「……な、なぁ?…マサツグよ?…

もう少しこの体を抱き締めて居ても良いのだぞ?…」


「ッ!…え?…何を言って?……ッ!?…」


「だからぁ♥…余の体を余す事無く…」


フィアナはモジモジとしながら頬を染め…恥ずかしそうにマサツグへ抱き締める

よう言い出すと、そのフィアナの言葉にマサツグは戸惑う…そして呆れた様子で

フィアナの方へ振り向くと、いつもの様にツッコみを入れようとするのだが…

既にフィアナの後ろからは不穏な空気が漂っており!…マサツグが思わずその

不穏な空気に戸惑って後ろに下がってしまうと、フィアナは何も感じていないのか

更に迫るようマサツグに話し掛け!…そしてその不穏な空気はゆっくりフィアナの

肩に手を掛け出すと、徐に声を掛け始める!…


「……では、私がお姉様の相手をしましょうか?…」


「ッ!…何だミスティー?…余はマサツグと!……ヒィッ!?…」


__ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!…


「…ミ、ミスティー?……」


フィアナに声を掛け出したのは言うまでも無くミスティー!…呼ばれた事で

フィアナは振り返るのだがその様子からは反省が全く見られず!…寧ろ声を

掛けられた事で邪魔をするな!と言った態度を見せながら振り返って

ミスティーの顔を目にすると、途端にフィアナからは一気に血の気が

引いた…青ざめた表情が見られる様になる!…まるでトラウマが入った様に

その余裕の表情は一気に恐怖に染まり!…一方でミスティーの表情は

と言うと、それはとても良い笑顔!…なのだが…目は全く笑って居らず!…

寧ろマサツグも思わずたじろぐ程の威圧感を放っている。フィアナは

恐る恐るミスティーに声を掛けるのだが…フィアナの呼び掛けに返事をする事

無くミスティーが口を開き出すと、逆にフィアナに問い掛け始める!…


「……先程のシロちゃんの話は…本当ですか?…」


「ッ!?…へ!?…い、いやぁ~!…どう…だったかなぁ?…

余も思い付きで口にする事が有るからよく覚えて…」


「シロちゃんは!!…レイヴン様から聞いたと言って居ましたが?……

レイヴン様?…真実の程は?…」


ミスティーはまずシロが言っていた言葉を確認するようフィアナに問い掛け

出すのだが、フィアナは恍ける様に視線を逸らしては覚えていないと言い…

その様子に更に怒気を強めるようミスティーがシロの名前を口にすると、

周りの者達はビクッとした様子で身を震わせる!…別に自身が呼ばれている…

何なら怒られている訳では無いので気にする必要も無いのだが、異様なまでに

反応してしまい!…その質問もレイヴンの方に飛び火し始めると、飛び火した

事に当然レイヴンは戸惑う!…


「ッ!?!?!?…えっ…えぇ~っとぉ?……ッ!…」


__ウルウル!…ウルウル!…じぃ~~~~!!……


{っ!?…な、何これ!?…何で逆に俺が追い詰められてるの!?…」


そうして如何答えたものか…とレイヴンが悩み出して居ると、フィアナは

レイヴンの方に視線を向けて目をウルウルとさせながら助ける様に

無言で訴え出し!…その視線にレイヴンもこの時気が付いては居るのだが

答える事が出来ないで居た!…何故なら!…それを良しとしない様子で

ミスティーもまたレイヴンを見詰めており!…二人の視線に板挟みに

されて、ただレイヴンが困惑し固まった反応を見せて居ると、マサツグも

落ち着く様に声を掛けようとする!…


「…ちょ、ちょっとタンマ!…ミスティー!…

別に何事も無かったんだからとにかくこれで良しと…」


「すみませんがマサツグ様…少し沈黙を願えますか?…」


「ッ!?…は、はい…」


__しょぼ~ん……よしよしヾ(・ω・`)…


レイヴンやフィアナの事を気に掛ける様に…何なら客人のロディと目隠れ女史が

来て居る事から今は良いと言った様子で声を掛け出すのだが、ミスティーの

怒りは相当な物なのか、マサツグの言葉も聞き入れない程にその表情から笑みが

消え始めると、マサツグの言葉をバッサリ切り捨てる!…そしてマサツグも

自身の言葉が切って落とされた事にショックを受けると、そのままスゴスゴと

引き下がってしまい…遂にはその場で体育座りをしてウジウジとショックを

受け、その際いつの間にかマサツグの傍に来ていたシロがスッとマサツグの

頭に手を伸ばすと、いつもとは逆転した様子でマサツグを慰め始める…

こうして完全なミスティー一強状態へと発展して行くと、その様子を見せられて

居るロディは戸惑い!…本当にあのミスティーなのか!?…と言った様子で

悩み出すと、ただ驚いた表情を浮かべてミスティーの事を見詰めて居た!…


「……マ、マサツグちゃんに甘えて居たからてっきりそう言う子なのだと

思って居たけど!…や、やる時はやる子なのね!…侮れないわ!…

ミスティーちゃん!…恐ろしい子ッ!!…」


「……それで如何なのですか?…レイヴン様?…」


ただ静かに怒って見せるミスティーにさすがのロディもヤバいと感じたのか、

またもや某・ガ〇スの仮面の様な少女漫画風のタッチになりそうなセリフを

口にして居ると、マサツグに助けて貰えると感じていたフィアナとレイヴンの

二人は絶望の表情を見せて居た…フィアナは依然として逃げられない様に

肩を掴まれて青褪めており、レイヴンはレイヴンでまたもや矛先が自分の方に

向いて来た事で焦り!…如何答えたものかと悩んで居ると、ミスティーは

無言の圧を掛け出す!…


__ゴゴゴゴゴゴゴ!!!…


「ッ!?……えぇ~っと……は、はい……

シロちゃんの言う通り…です…」


「ッ!?…ちょ!?…レイヴン!?…」


「……お客様が来ると言うのにこの様な事を!…

今日と言う今日は許しません!!…」


ミスティーはあの時のマサツグ…怒りに怒って感情の無い殺人鬼の様な状態に

なった時の冷徹な視線をして、ただ何も言わずにレイヴンを見詰め!…

レイヴンもその視線を向けられた事で徐々に怯み!…遂には耐えられなくなった

様子で申し訳なさそうにシロの言葉を肯定すると、そのレイヴンの肯定に

フィアナは慌て出す!…そしてその肯定を聞いたのは当然フィアナだけでなく

ミスティーも聞いて居り!…更に肩を掴む手の力を入れると、許さない!…と

口にしてはフィアナを自身の方に向き直らせ説教を始める!…


「大体お姉様は軽率な行動が多すぎるのです!!!

思い付きで物を口にして!!…その度に皆を困惑させて!!!…

これでもしマサツグ様が怪我をしたら如何するつもりだったのですか!?…」


「い、いや…マサツグなら大丈夫だと思って…」


「思って…じゃないです!!!…いい加減にしてください!!!

お姉様は一国の女王なのですよ!?…お姉様が一言口にすれば皆が信じる!…

迂闊な事を言わない様にしないといけない立場だと言うのに!!…

それを!!!…」


「あう!…あう!…」


ミスティーはフィアナを自身の目の前で正座させては仁王立ちで腰に手を当て

説教を始め!…フィアナはそんなミスティーに反論する事無く押されっぱなしに

説教を聞かされ続けると、もはやその様子は何方が女王様なのか分からない

状態になる!…そしてそんな様子をロディ達は困惑した様子で見詰めて居る

のだが、一番困惑した様子で見詰めて居たのはそのマサツグに襲い掛かって

行ったメイドさん達であり!…メイドさん達は申し訳なさそうな表情をしつつ…

初めてミスティーの怒る所を見た!…と言わんばかりの様子で驚いて居ると、

ミスティーに追い詰められているフィアナの表情は困惑に満ちていた!…そうして

ミスティーがフィアナの事を懇々と叱り続けて居ると、シロもマサツグを

慰めながらハッと気が付いた様な表情を見せ!…徐にマサツグの事を呼び

始めるとシロはマサツグにある事を話し出す!…


「よしよぉし……ッ!…ご、ご主人様!!…あれ!…あれぇ!!」


「ッ!…何?…シロちゃん?…ッ!?…」


「ミスティーお姉ちゃんに教えて貰った威嚇の方法です!…

あれをすると皆動け無くなったり!…逃げ出したりするのです!…」


シロはマサツグに見せたい物が有ると言った様子で呼び掛け出すと、徐に

ミスティーを指差して見せ…マサツグは今だ若干ショックを引き摺った様子で

そのシロの呼び掛けに反応し…シロの指差すミスティーの方に視線を向けると、

そこで殺戮者と化した様なミスティーの姿を見つける!…そしてそんな

ミスティーの姿を見たマサツグが思わず一人驚いて居ると、シロはシロで突如

あの威嚇を教えて貰ったと元気付けるようマサツグに話し!…マサツグも

それを聞いて何?…と言った様子で戸惑った反応を見せて居たが、突如スッと

思い出した様にある事にも気が付く!…


「…そ、そうなのか……ッ!…

じゃあ今まで狼に襲われそうになった時…不自然な逃げ様を見せて居たのは…」


「ッ!…はいです!…シロがやってました!!」


「えぇ!?……まぁシロならやりかねんか…」


マサツグが思い出した事と言うのは今までのモンスターの挙動…特に狼系の

モンスターの動きで、ゴブリンライダーの狼や道中の狼…皆何かに怯えるよう

その場から逃走し始めた事をふと思い出すと、先程のシロの言葉と重ね合わせ…

更にマサツグがまだ容疑者の時、ミスティーをハーフリングスへと送り届ける

際の道中の出来事で、休憩時にシロが自分に対して何か不敵な笑みを浮かべて

居た事もふと思い出し始めると、ここで合致したのかシロが威嚇を覚えて居る事に

気が付き!…それを確認するようシロに尋ね出すと、シロはマサツグに笑顔で

頷いて見せては返事をする。そうしてシロからハッキリと返事を聞いた所で

マサツグは一瞬驚いた反応を見せるのだが、直ぐに納得した様子で呟き…改めて

シロのスペックが凄いと言う事を感じて居ると、ミスティーのお説教は徐々に

尋問へと変わり出そうとしていた!…


「…お姉様には女王としての自覚は無いのですか?…

まずマサツグ様はこの国を救って頂いた英雄様!…

もっと言えば貴賓の方なのですよ?…それを実験台の様に扱う等!…

言語道断です!…」


「いや…あのぅ…余もこうなるとは…」


「メイド達の責任にするおつもりですか?…呆れますねお姉様!…

元々は自分の口が災いとなって居ると言うのに!…人のせいにする等!…

…もう一度…女王としての立ち振る舞いを勉強し直しますか?…

私も…お姉様にはもっとしっかりして貰わないとと思って居るので!…」


「ヒィッ!?…ご、ごめんなさあぁ~い!!!…」


まるで追い詰める様な低いトーンでミスティーは懇々と説教を続け!…

フィアナも居た堪れない様子で俯き視線を彼方此方に移して居ると、

その正座する足をモジモジとさせる!…その際こうなるとは思っても

居なかったとフィアナは零すのだが、当然ミスティーに通じる筈も

無く!…寧ろその事を責めるよう更にミスティーはフィアナに詰め寄り

圧を掛けると、何やら勉強をし直す様な事を口にするのだが!…

それを聞いたフィアナは青褪めると、途端に怯えた表情を見せ!…

ミスティーに土下座して謝り出すと、この珍事も漸く決着が付く!…

その間視察に来て早々まさかこんな光景を見せられるとは思って居なかった

ロディは、当然戸惑い!…如何コメントしたものか?…と言った様子で

その二人の様子を見詰めて居ると、ミスティーは突如ロディの居る方に

振り向く。


__………クルッ!…ッ!?…


「…さぁ!…ロディ様!…こちらにどうぞ!…

お部屋の方へ案内いたします!…

…お連れの方とは一緒の部屋が宜しいでしょうか?…」


「ッ!?…え!?…あっ……」


突如自分の方に振り向かれた事でロディは思わず警戒をするのだが、次の瞬間には

コロッと憑き物が消えた様にミスティーは笑顔を見せており…そんなミスティーの

表情を見てロディが更に困惑した様子を見せて居ると、ミスティーはロディに

部屋へ案内すると言い出す。その際ミスティーはチラッと何かを確認する様な

仕草を見せると、目隠れ女史の事を言って居るのか部屋は一緒が良いか?と

笑顔で尋ね…その問い掛けにロディが反応に困り、一体何を見たのか?…と

ミスティーの視線を確認するようその見た所を確認すると、そこにはロディの

体の陰に目隠れ女史が隠れており、何ならミスティーに怯えている様子で…

その女史の様子を見てロディがハッと驚いた反応を見せて居ると、ミスティーに

こう返事をする。


「え、えぇ!…お願いするわ!…

この様子だと少しの間この子も落ち着かないだろうし…

何より初めての異国の土地だから色々と緊張するだろうし…」


{……このミスティーって子!…多分本気で怒らせると怖いパターンの子ね!…

要注意だわ!!…色々と溜まっていた鬱憤を爆発させる様な!…

とにかく!…恐ろしい子ッ!…}


「……余…余は…何で、こうも…ミスティーに…

あの目をされると…動けなくなるのだ?…それも毎回!…」


{{{毎回されて居るのかよ!……}}}


スッキリした様子で笑顔を見せるミスティーに思わずロディは戸惑いつつ!…

それでもミスティーの問い掛けに対してお願いするよう返事をすると、

その場でしゃがんでは自身の体の陰に隠れる目隠れ女史の頭を撫でる。

まるで怯える子供をあやす様に頭を撫でると、目隠れ女史はロディの

逞し過ぎる体にしがみ付き始め!…その目隠れ女史の怯え様にロディは

心の中でミスティーについての査定を済ませると、ただ恐ろしい子ッ!…と

言った様子で衝撃を受ける!…そうしてロディが改めてミスティーの

強さを知った所で、説教を受けていたフィアナはと言うと…ただその場で

崩れたよう地面に手を着いて恐怖に打ちのめされた状態で項垂れており、

信じられないと言った様子で呟き!…その原因も分かって居ない様子で

言葉を口にすると、そのフィアナの言葉を聞いた全員は心の中でツッコみを

入れる!…そうして色々有ったロディの来国も無事完了し…時間ももう直ぐ

日が暮れると言う事でロディ達やマサツグ達は王宮に泊まる事になるのだが…

その夜でも…


__スン!…スンスン!……


「……泣くなら最初からちゃんと女王様として振る舞いなさい!…

全くもう!……てか?…」


__ふわあぁぁ~お♥…やああぁ~お♥…


「…何でお前達は俺の部屋に集まる!?…」


マサツグの部屋には当然の様にフィアナとミスティーが来ており!…

シロももはや何も違和感を感じていないのか、マサツグのお腹の上で

ゴロゴロと上機嫌に転がって居る!…その際例によってフィアナは

マサツグの右隣を陣取り、ミスティーは左隣を陣取り…フィアナは全裸で

マサツグにしがみ付いてはミスティーに怒られた事で泣いて居るのか、

一人スンスンと鼻を鳴らして居り…マサツグもそんなフィアナの様子を見て

オカンのよう声を掛けるのだが、改めてツッコむよう二人に声を掛けると、

その言葉にフィアナが反論する!……因みにミスティーはネグリジェ姿…

でもベビードールに近くやはり際どい!…


「…今日は何だか寂しいのだ…だからこうして人肌を…」


「だからって!!…こっちの精神が色々とヤバいんだが!?…」


「わ!…私はお姉様の監視に!!…」


マサツグのツッコミに対してフィアナは物悲しそうな表情を覗かせると、

甘えるようマサツグに抱き着き出し…そんなフィアナの様子にマサツグが

更なるツッコミを入れて居ると、ミスティーは言い訳をする様に訴え出す!…

そしてフィアナに対抗するよう同じ様にマサツグに抱き着くのだが…

マサツグはミスティーに抱き着かれた事で思い出したようある事を尋ね

出すと、ミスティーを動揺させる!…


「……そう言えば聞きたい事が有るんだった…」


「え?…」


「いや、ギルドに泊った時さぁ?…

確かミスティーとは別々の部屋に泊った筈なのに…

朝起きたら隣で寝てたでしょ?…あれなんでだろって?…」


この時マサツグが思い出した物とは今朝の寝起きの事で…その際ミスティーとは

別々の部屋に泊った筈なのに、今日起きたら隣に居たと言う…ロディが隣に居た

せいでそれもあやふやになって居たのだが、今それを思い出したとばかりに

マサツグが尋ね出すと、ミスティーもマサツグの話を聞いて徐々に顔を赤らめ

始めてははシーツで顔を隠す!…


「ッ~~~!!!!…」


__バサァッ!!…


「ッ!…え?…ミスティーさん?…もしもぉし?…」


「ッ!…あぁ…そう言う事か!…フフフ♪…」


「ッ!…え?……如何言う…」


「おやすみ!…マサツグ!…」


シーツに丸まるよう顔を隠すのだがマサツグからは離れず!…そんな反応に

マサツグは何故?…と言った様子で戸惑うのだが、ミスティーからの返事は無く…

マサツグが再度声を掛けた所で返事が返って来る事は無いのであった。そして

その様子にフィアナは察したのか、今度は攻守が逆転するようフィアナが

不敵に笑みを浮かべると、マサツグの隣で静かに笑い続け…!…その様子で更に

マサツグは戸惑い…一体如何言う事か?と悩んで居ると、ただフィアナは

ミスティーの名誉を守る様に答える事無く…マサツグの腋の間に収まるよう

眠り出すのであった。

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【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】  たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。 【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。   【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?  ※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

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バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

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はぁ?とりあえず寝てていい?

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 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

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