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-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-

-第二章六十五節 朝一の恐怖体験と赤い馬車とロディの質問攻め!-

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さてロディのお眼鏡に適った所で後日…マサツグ達は初めてギルドにお泊り

する事になり、ミスティーとは別々…まぁ当然ではあるが別々に用意された

自室でマサツグが目を覚ますと、その目には最後に見た光景のギルドの

客室・天井が映っており…その見慣れない光景に若干戸惑いを覚えるのだが、

思い出した様にまずは体を起こそうとし出すと、当然の様にその自身の体は

金縛りに遭ったよう動く気配を見せない!…だがマサツグ自身その事にも

もう慣れた様子で溜息を吐き出すと、まずは安定の自身の両脇を調べ始める。


「……安定の動かん……はあぁ~……可笑しいなぁ?…

居たとしてもシロ位だと思うんだが?…」


__…チラッ?…ッ!……すぅ…すぅ…


「……あれ?…ミスティーさん?…」


__んん…ムギュッ……ッ!………


まずは自身の利き腕…右腕側を調べるとそこには王宮のフィアナのベッドの

上で見た事の有る…ネグリジェ姿のミスティーがマサツグの腕をしっかり

ホールドして眠って居る姿が目に映り…その様子にマサツグは別室で寝て

居た筈?…とミスティーがここに居る事で軽く驚いた反応を見せて居ると、

ミスティーは寝惚けて居るのかその柔らかい体を押し付けるよう更に右腕へ

抱き着いてくる。そんなミスティーに抱き着かれた事でマサツグ自身…

「…悪くないな?」と言ったスケベ心を見せてしまいそうになるのだが、

ハッと我に返ると冷静さを取り戻し!…今度は左腕の方を確認し始めると、

そこで見た事の無い異物を目撃する…


「……ハッ!!…い…いかんいかん!!…

こんな事をしている場合では!!…で?…左…は?……ッ??…」


__スコォ~…スコォ~…


「……な、何?…このデッカイまっく〇くろすけは?…」


左側にも誰かがくっ付いている!…それは分かるのだが、明らかに

ミスティーより重く腕は完全に微動だにしない!…ミスティーの方は

まだ無理矢理引き剥がそうと思えば引き剥がせるのだが、こっちは

そんな次元ではなく動かせず!…更にマサツグよりデカくて黒くて

丸まっている?…とにかくマサツグからすれば巨大な鉄の塊が腕に

くっ付いている様にしか見えず、ただその正体に困惑して居ると、

その黒い巨大な鉄の塊は目を覚ましたのかその正体を現し始める!…


__ゴゴゴゴゴ!……ッ!?!?!?…


「んん~?…なぁにぃ~もう朝ぁ~…

ふあっ!…あぁ~……あぁ!!……あら?…」


「なッ!?…何!?…」


「……ッ!?…ちょっとヤダ!!…

マサツグちゃん!!何で隣にマサツグ!……

…ってヤダァ~♥…寝起き姿見られちゃった♥

キャッ♥……」


その黒い鉄の塊は徐々に人の形を取り出すと、朝になった事を確認するよう

呟いては大欠伸し始め…マサツグが起きて居る事に気が付くと、マサツグの

顔を見詰めては頬を染め始める!…そしてマサツグも何でこの人が隣に

居る!?…と、先程の余韻も消え去った様子で一人慌て始めて居ると、その

左隣で寝ていた人はマサツグに寝顔を見られたと…乙女の様にはしゃぎ

始めては両手で顔を隠し!…その光景にマサツグは固まり違う意味で動けない

状態に陥ってしまうと、その黒い鉄の塊はマサツグに挨拶をし始める!…


「…ンンッ!!…おはよ♥…マ・サ・ツ・グ・ちゃん♥」


「……すぅぅぅぅ~~~……」


「……ッ?…」


「ぎ!…」


「ぎ?…」


咳払いをしてから挨拶をするその黒い鉄の塊に、マサツグはただ目の前の光景が

信じられない様子で何故か微笑みながら硬直して居ると、堪らず無意識に息を

吸い込み始める!…当然目の前でいきなりマサツグが息を吸い込み始めた事に、

その黒い鉄の塊は何事?…と言った様子で戸惑い出すのだが…マサツグは息を

吸い込み終えると一言だけ「ぎ」と言い出し!…その言葉を不思議そうに鉄の塊も

「ぎ?」と復唱して見せると、次の瞬間マサツグは恐怖に引き攣った表情を

見せて朝一番に叫び声を上げ出す!


__ぎぃぃやああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!


「ッ!?!?…な、何!?…何が起きたんですか!?……ッ!?…」


「ッ!?…ふぉ!?…ごひゅひんはまご主人様!?…」


マサツグが叫び出す際その声はギルド内に響く勢いで反響すると、当然近くで

寝ていたミスティーにシロはその叫び声を聞くなり驚いた様子で飛び起き

慌て出し!…一体何が起きたのかと困惑した様子でマサツグに声を掛けると、

辺りを見渡し始め!…そしてマサツグが叫んだであろう原因を見つけると、

マサツグ同様戸惑った反応を見せ始める!…何故ならそこに居たのは!…


「な!…なん!!……なんで!!…

…なんで!!隣でが寝ているんだぁ!?」


「さぁて?…どうしてでしょう?♥…」


先程からマサツグの左隣に居た黒い鉄の塊はやはりロディであって、ロディは

変わらず乙女の様な反応を見せてはクネクネとしており!…そんなロディの

様子にマサツグも動揺を隠し切れず!…思わずロディの事を呼び捨てで呼び出し

始めると、酷く戸惑いを露わにしては自身の隣で寝て居た理由について問い掛け

出す!…しかしその肝心のロディも分からないとマサツグに答えると、やはり

頬を染めて上目遣いでマサツグを見詰め続け!…マサツグとしては止めて

欲しい所なのだが、それ以上にハッキリして欲しい所でも有り!…とにかく酷く

驚いた様子を見せて自身の心音を抑えるよう胸に手を当てて居ると、ロディは

マサツグにニヤッと笑い出す!…


__……ニコォ!…ッ!?!?!?…


{な!…なんで、隣にムキムキマッチョのオネエが寝ていたんだ!?

今まで確かに寝たら体が拘束されて動けない事は多々あった!!

だが、今回は…今回は違う!!…こんな恐ろしい展開は味わった事は無い!!!

俺の超幸運は本当に仕事をしているのか!?……

…いや…隣でロディが寝ていたにも拘らず何も起きなかった事が奇跡なのか?…

とにかく、どうしてこうなった!!…}


__ガチャッ!…キイィィ……


「…ふむ……誰かに移動させられた?……

いや…でもそんな痕跡は見当たらないわね……」


ロディにニヤッと笑われた事でマサツグは背筋に寒いモノを感じつつ!…

とにかくこうなった原因について考え出すが、その要因が何なのかは

分からず!…当然一人困惑し始める…その際ロディ自身がこの部屋に

入って来たという可能性についても当然考えるのだが、ロディ本人からは

その手の嘘を吐いている様には感じられず…ただ元凶が分からず困惑した

様子を見せて居ると、まだこの程度で済んだのは[超幸運]お陰か?…と

マサツグは納得し出す…そしてロディもベッドから起き上がり始めると、

徐に部屋の扉の方へ歩き出し…扉を開けて外の様子を確認し、外に引き

摺った様な形跡の無い事から移動させられた訳では無いと考えて居ると、

ロディも若干悩んだ様子で悩み出し…シロはシロでこの時!…マサツグの

心音が駄々洩れである事に気が付いたのか心配した様子で声を掛け出す。


「……ご主人様?大丈夫ですか?…

どうしてこんなにお胸の音が激しいのです?…」


__ドックン!!ドックン!!ドックン!!ドックン!!……ジィ…


「え?…あ、あぁ……し、強いて言うなら…

身の危険を感じたからかな?…」


「ッ?……」


シロが心配そうにマサツグの顔を覗き込むと、徐々に近づいて来ては

マサツグの胸に耳を当てるよう心音を聞き出し!…やはりいつも以上に

心音が激しい事を確認すると、シロは無言で心配そうにマサツグの顔を

見詰め出す…そんなシロの心配そうな視線を感じつつ、マサツグは今だ

ロディが隣で寝て居た事がショックなのか、戸惑いを隠し切れない様子で

自身の思考が纏まらず…シロの質問に対し、とにかく身の危険を感じたと…

ある意味での身の危険を感じたと言う言葉を口にすると、当然その言葉の

意味を知らないシロは首を傾げては、心配そうな表情でマサツグの

顔を見詰め続ける…だがその一方でミスティーはマサツグの言う言葉の

意味を理解したのか、一人顔を赤くして俯いて見せると何も言う事無く

モジモジとし…そんな朝からドタバタと!…ある意味で寿命を縮めた所で

各々出発の準備をし始めると、ロディは部屋を後にする際マサツグ達に

言葉を残して行く。


「……準備が出来たら一階に降りて来て頂戴!…

今日から忙しくなるし!…何より貴方の国の事を教えて貰わなくちゃ!…

…特に気になるのはフィロネウスだけどね?…」


「ッ!…は、はい!…分かりました!!…」


「じゃ!……おイタしちゃ駄目よ?♥」


「「ッ!?…しません!!!」」×2


ロディは今日から忙しくなる!…と言った様子で準備を終えたら一階に来るよう

言い残すと、そのまま部屋を後にしようとし…そのロディの言葉にミスティーが

慌てて返事をすると、その返事を聞いたロディはそのまま笑顔で扉をパタンと

閉じようとする…だが直ぐにハッと思い出した様な反応を見せると、振り返り様に

扉を開け!…マサツグとミスティーの中を知ってか知らずか、弄る様に更に

言葉を残し!…その言葉に反応するようマサツグとミスティーがツッコミを

入れて居ると、その様子にシロは再び首を傾げるのであった。そうして色々

有ったものの準備を整えたマサツグ達はロディに言われた通りギルドの一階へ

降りると、そこには既に準備を整えたロディがマサツグ達の事を待って居り…

この時ロディの格好はあの燃える様な赤いブーメランパンツ一丁では無く、

何故か上質なタキシードを着用し!…マサツグ達がその恰好を見て驚いた反応を

見せて居ると、ロディはマサツグ達に急ぐよう声を掛ける!…


「……ッ!…降りて来たわね!…

じゃあギルドの外に馬車を待たせてあるからその馬車に乗って頂戴!

早速ハーフリングスに行くわよぉ~!!!」


「え?…あ、あぁ…それは良いですけど……何で正装に?…

ここから三日も掛かるのに?…」


ロディは笑顔でマサツグ達に手を振って見せると早く降りて来るよう

声を掛けるのだが、その肝心にマサツグ達はと言うとやはりロディの

タキシード姿が気になり…ロディに返事をして見せるのだがマサツグは

そのロディの格好について問い掛け出し、更に距離にして三日掛かる

事を改めて説明するよう声を掛けると、そのマサツグの言葉にロディは

戸惑った反応を見せる。


「え?…この格好が可笑しい?…

一応女王様に会いに行くから正装の方が良いと思ったのだけど?…

いつものあの私の方が良いの?…」


「ッ!?…いやそれは正装の方が良いですけど!…

…ってか、え?…今から?…」


マサツグの言葉にロディは戸惑った反応を見せるのだが、あくまでも

その反応を見せたのは自身の格好についてであり…ハーフリングスまでの

距離に関しては全く気にしては居らず…寧ろ直ぐに辿り着くと言った

様子で語るロディにマサツグが逆に困惑した様子を見せると、互いに何が

何だかと言った様子で疑問は解決せず困惑し出す…だがそんな事で悩んで

居る時間も無いのか、結局色々疑問点が残ったままロディに案内されると

マサツグ達はギルドの外へと出て…そこでロディの言う通り大型の馬車が

一台!…その後方にはハーフリングスで使うであろう建築資材が乗せられた

荷車に作業員達を乗せた馬車と…馬車の大名行列が出来上がっている光景を

見せられ、ロディは意気揚々と馬車に乗り込み出す!…


「…さぁ!…この馬車に乗って!!…

一直線にハーフリングスまで駆け抜けるわよぉ~!!」


「す、凄い!…これを一日で用意!?…」


「ふぉ~~!!!…一杯!!!…一杯並んでるのです!!!」


「…結局色々疑問点が残って居るのだが…

…まぁ…これを見たら如何でも良くなったわ…

さぁ、行こう…か?……ッ!…」


ロディが元気良く一番に馬車へ乗り込んで行く一方で、その光景を

見たマサツグ達は驚く!…ミスティーは一日でこれだけの準備をした

ギルドの力に驚き!…シロはその初めて見る馬車の行列に目を輝かせ!…

マサツグはやはり疑問が晴れない事を気にしつつ…その圧巻の光景を

目にして考えるのが如何でも良くなると、ミスティーとシロを連れて

馬車の中へと乗り込み出す。その際チラッとだけ最後に建築資材の

点検をする作業員達の格好が目に入るのだが、その恰好は何処かの

建設業者の様なタンクトップにニッカポッカ…そしてその作業員達の

頭にはお約束と言わんばかりに、「安全第一」と緑の文字で書かれた

黄色いヘルメットが被られていた…


{……何だろう?…まぁ…夏場…と言うか常夏の大陸だから

その恰好は良しとして……妙に馴染み深い格好をしてんのな?…

思わずこれってゲーム?…って確認してしまいそうな位にリアルだし…

何かファンタジーから一気に現実に引き戻された様な?…}


「……ッ?…何してるの?…早く乗って頂戴!…」


「ご主人様~!!」


「ッ!…あ、あぁ!…すまない!…」


その作業員達の格好を見てしまったマサツグが現実に引き戻されそうになると、

思わず固まってしまい…作業員達を凝視したまま色々と頭の中で考えたり、

ツッコミを入れたりし始め…そんな固まるマサツグを更に引き戻すようロディが

声を掛けると、マサツグはハッ!と気が付いた様な反応を見せる。そして

呼ばれた事に反応するよう馬車の方に視線を戻すと、馬車の中ではミスティーや

シロ達が手を振ってマサツグの事を待って居り、その様子を見てマサツグは若干

慌てつつ…謝りながら馬車に乗り込むと、マサツグ達を乗せた馬車は

ハーフリングスに向かい出発するのであった。


__パシィィン!!…ヒヒィィン!!……ガラガラガラガラ!…


「…そう言えば少し気になったんですが?……

何でこの馬車はこの様に赤いんですか?…

…それに何かルーン文字らしき物も掛かれてるし…」


馬車が出発し始めるとハーフリングスを目指して港町を後にし出し!…全員が

一息吐くよう腰を下ろして落ち着き出すと、マサツグは徐にこの馬車の事に

ついて質問をし始める。その質問と言うのも今マサツグ達が乗っているこの

馬車は妙に赤く!…馬車だけでなく馬も赤いと!…更に奇妙なミミズ文字も

書いて有る事から変に感じたマサツグは何か仕掛けが有るのかと気になり!…

単純に興味からロディにその事について質問をすると、ロディは躊躇う事無く

咳払いを一つしては説明し始める!…


「ッ!…あれ?…マサツグちゃんは初めてなの?…

…って、それもそうよね?……オホン!…えぇ…ではぁ?

ハーフリングスに辿り着くまでの退屈しのぎに少し説明を…

実はこれギルドマスター専用の馬車なの。従来の馬車より

三倍のスピードで目的地に移動する事が出来て!…

その三倍で原理がマサツグちゃんが気付いたルーン文字に有るの!…

あれはエルフ達が使うルーン文字で効果はスピード倍加に

疲労蓄積軽減と言った効果が付与されてて、この馬車の他に

後ろの荷車…勿論馬車を引く馬達の馬具にも書かれて有るのよ。

…まぁ…エルフ達の技術だから細かな事までは分からないけど?…

俗に言うあれね?…エルフの力ってスゲェ!!…って奴よ!!」


「いやそれを言うのなら科学の力では?………ッ!…」


__ガラガラガラガラ……


{…うわぁ!…本当にめちゃくちゃ移動が速い!…

ホエールビアードがもう見えないとか如何なって!?……

…赤い…三倍…速い……あぁ…赤い理由はそう言う事か……

…てかみんなこのネタ好きだなぁ……俺も好きだけど…}


ロディが言うには何でもこの馬車にはエルフのルーン文字が使われている特殊な

物で、ギルドマスター専用の物だとか…その効果についてもロディは語り出す

のだが本人も良く分かって居ない様子で説明しており、最後のまとめの言葉で

聞き覚える有るフレーズを口にすると、マサツグはその言葉にツッコミを

入れる。その際何故赤いのか?と言った点に関しては何の説明も無いのだが、

恐らく[三倍]…[赤い]…[速い]…うッ!…頭が!!…と言った某・赤〇彗星的な

ノリである事にマサツグも納得した様子で…改めて馬車の外の光景を確認すると、

つい先程までまだ港町が見えて居た筈なのにもう影すら見えないと…

そのエルフのルーン文字の効力にマサツグが一人驚かされて居ると、今度は

ロディがミスティーに質問をし始める。


「……で?…申し訳ないのだけど…ちょっと良いかしら?…」


「ッ!…え?…」


「あぁ!…マサツグちゃんじゃなくてミスティーちゃんに!…

……そのゲルデウス…だったかしら?…に、襲われた時の事について

聞きたいのよ…そのクーデターの裏で暗躍して居たのがフィロネウス!…

そう昨日話で聞いたけど…その名前に間違いは無いのよね?…」


ロディが申し訳なさそうに声を掛け出すと、その呼び掛けにマサツグとシロと

ミスティーが反応し…その三人の反応にロディが慌てた様子でミスティーだけと

訂正すると、ミスティーに昨日聞いたクーデターの話について詳しく尋ね出す。

その際うろ覚えの様子でゲスデウスの名前を口にしては、若干深刻そうな

表情でクーデターの内容・フィロネウスの事について確認するよう切り出し!…

その問い掛けを聞いたミスティーが若干驚いた様子でロディに答え出すと、

自分が分かって居る部分だけでもとばかりに話し始める。


「ッ!…は、はい!…確かにそう名乗って居ました!…

…でも感じ的には国を落とす為に動いたと言う感じではなく…」


__……チラッ…ッ!…


「…マサツグ様を襲う為に!…って言った感じに見て取れました…

……実際自身の力を貸した筈のゲルデウスを目の前で燃やして

マサツグ様に言い寄る等…常軌を逸したモノが感じられましたし!…」


__ピクッ!!……ぷくうぅ~~!!…ギュッ!!……ッ!?…


ロディの問い掛けに答えるようフィロネウスから名乗って来た事を話し出すと、

ミスティーから見て感じたモノを話し始め!…その際フィロネウスの目的が

国を落とす事では無くマサツグを落とす事と言い出すと、その際マサツグの

事をチラッと確認するよう視線を移し…マサツグもミスティーのチラ見に

気が付いた様子で反応を示して居ると、続けてフィロネウスの残忍さについて

説明をする。目の前でゲスデウスを何の躊躇いも無く切り捨てた事や、その

ゲスデウスを目の前にマサツグへ言い寄って居た事等を話し出すのだが!…

その話をする際ミスティーは若干の嫉妬を滲ませ!…それに同調するよう

シロも耳をピクっと反応させると、途端に膨れっ面になってマサツグに

張り付き出し!…マサツグがそのシロの突然の様子に戸惑った反応を見せて

居ると、ロディはロディでその様子を目にしてはニヤニヤと笑いちょっかいを

掛け出す!…


「ッ!…ふぅ~ん?…皇女様にお子様に魔王様…

マサツグちゃんも罪作りな男よねぇ~?…」


「ッ!?…え?…何で!?…」


「うふふふ!………まぁ…それは置いといて…」


「ッ!?…スルー!?…」


まるでマサツグの事を女ったらしの様に言っては弄って見せ、その言葉に

マサツグがショックを受けて居ると、ロディは笑いながらその話をアッサリ

流してしまう!…そんなロディの反応にマサツグは更なるショックを受けて

居るのだが、ロディはお構いなしにまたギルドマスターの表情になって、

フィロネウスの事について疑問を持った様子を見せ始め!…だが色々疑問を

感じつつも一旦はその話を保留にすると、今度は昨日の話を再度確認するよう

町の被害について話の続きを聞き出す!…


「…うぅ~ん…それにしても……何か回りくどいわね?…

あの彼女の事なら真っ直ぐに来そうなものだけど?…何か理由が?…

……今居ない相手の事で悩んで居ても仕方が無いか…

とにかく目の前にある問題点から一つ一つ!……で?…

そのゲルデウスは?……って、死んじゃったんだっけ?…

あぁ~っと…じゃあ町の被害はどれ位なの?…

クーデターって事はそれなりに被害を受けて居る様に聞こえたのだけど…」


「町の方はお姉様に…

女王陛下が指揮を執って復興に当たって居ると思われます…

最期に聞いた被害の規模だと民の住む家が約数百件…

町を守る外壁の一角が崩壊してそこからモンスターが…

兵の数は最大100人以上に被害が出ていて…

一緒に戦ってくれた冒険者の中にもケガ人が多数!…と聞いています…」


「ッ!…そこそこ大きいわね!…

だとすると財政面の方でも苦しい所が出て来ると考えられるし!…

当面の防衛面の方も心配ね!…出来るだけこっちの方でも

バックアップ出来る様にするから!…安心して頂戴!…」


__ッ!!……コクリッ……コクリッ…


ロディが真剣な表情で町の被害状況について尋ね出すと、ミスティーは若干

俯きながら暗い表情を見せ!…復興の方はフィアナに任せて居ると言っては

自身が知って居る被害の具合について語り出し!…その話を聞いてロディが

深刻と言った様子で反応を示して居ると、ギルドとして出来る限りの事は

すると励ます様に約束をする!…この話を聞いてミスティーはパァっ!と

目を見開き出すと、ロディに何も言わないまま感謝するよう頷き!…その反応を

見てロディも釣られるよう笑顔で頷いて見せるのだが、直ぐに話は変わると

言った様子で今度はマサツグの方に振り向き出すと、別の質問をし始める!…


「……それはそうとマサツグちゃん!…」


「ッ!?…急にこっちに飛び火した!?」


「ッ!…何よ!…別に変な話はしてないでしょ!!……それよりも!…

…その子…フェンリルよね?…」


「え?…あ、ハイ…」


__ゴロゴロ!…うなぁ~ん♥…


突如ロディが振り向き!…何の脈絡も無しにマサツグへ話し掛け出すと、

そのロディの反応にマサツグは戸惑い!…ロディはロディでまたその

マサツグの反応に若干不服そうな表情を見せつつ!…何故か急に改めて

シロの事をフェンリルだと確認し始めると、疑問を持った表情をマサツグに

向ける!…当然そんな表情を向けられた事にマサツグは戸惑ってしまう

のだが、迫られつつも返事をし…そんな二人の事など御構い無しにシロは

マサツグにじゃれ付いており!…何なら狼の筈なのに猫の様に甘える等…

狼らしからぬ様子を見せて居る事にロディはますます疑問の表情を浮かべると、

マサツグに続けて質問をする!…


「一体如何やってここまで手懐け…いえ!…如何やってデレデレにさせたの!?…

それにフェンリルって春野原スプリングフィールドにも!…ましてや夏海原サマーオーシャンにも居ない!…

超特級モンスターよ!?…オマケに自分より強くて更に賢くないと

絶対に従わないし!…例え万が一にテイム出来たとしても絶対に懐かないと

言って良い程の扱い辛さ№1のSS級モンスターを!!…ここまで!?…

幾らその子が子供とは言え!!…そんな!?!?…」


ロディはまるでマサツグがシロフェンリルを連れて居る事が有り得ない!…と言った

様子で更に詰め寄り出すと、その表情は疑問の表情から驚きの表情へと

変わり出し!…その際甘えるシロと戸惑うマサツグを交互に見詰め!…

如何に可笑しい事かを説明するよう突如としてそのフェンリルの生息地域

から話し出すと、更にその扱い難さ等!…基本的に懐かないと言っては

興味を持った様子で何をしたのかを尋ね始める!…この時二人の事等全く

気にしていない様子で何度もマサツグに甘えるシロを見ては、ただただ

有り得ない!…と言った様子で若干羨む様にロディは見ており!…そんな

ロディを相手にマサツグは困惑しながらもシロに向かい手を伸ばし出すと、

特別な事はしていないと戸惑いながら答え出す…


「え、えぇ?…そんな風に言われましても……

ただ偶然出会って懐かれてそのままって感じだし…

何も特別な事はしてませんよ?……まぁ、自分の娘の様には思ってますが…」


__スゥ…ポンッ…なでなでなでなで…


「ッ!…クゥ~~ン♪…」


「ッ!?…き、牙が無い!?…」


マサツグはただシロの事を娘の様に思って居ると言い出すと、その伸ばした

手をシロの頭の上に置いては撫で出し!…シロはシロでそのマサツグの手が

恋しいのか、更に甘えるよう猫撫で声を上げてその手に頭を擦り付けると、

その様子を見たロディはショックを受ける!…その際ロディ自身も一度は

ペットを飼った事が有るのか、奇妙な言葉を言い出しては明らかな動揺を

して見せ!…そんな様子を見てマサツグが更に戸惑いを覚えて居ると、シロは

ただ全力で尻尾を振っては周りの目など気にしない勢いでマサツグに甘え

続ける。


「ッ~~~♪…ッ~~~♪…ごっ主人っ様ぁ~♪」


「はいはい…」


__……モジモジ…モジモジ……ッ!?…


先程の膨れっ面も何処へやら…上機嫌でマサツグへ甘えるシロを傍らに、

その様子を羨ましそうに見詰めるミスティーが一人…この時マサツグは

気付いて居ないのだが、その様子を傍から見ていたロディは当然気付いて

居り!…物欲しそうな表情を見せるミスティーの様子に、ロディは思わず

本当にマサツグが女ったらしの様に感じてしまい、心の中で…


{……何て事なの!?…あの芯の強そうなミスティーちゃんが!…

…一国の王女様があんな顔を見せちゃってるなんて!?…

それにやっぱりあのシロちゃんも!?……マサツグ…恐ろしい子ッ!…}


…等と、あの某・ガ〇スの仮面の様な少女漫画風のタッチになりそうなセリフを

口にし!…改めてそのマサツグの天性のタラシぶりに驚愕するのであった!…

因みにこの後ロディの視線に気が付いたマサツグはそのままミスティーの事にも

気が付くと、シロとミスティーの間に挟まれるよう二人の頭を撫で出し!…

ちょっとしたペットブリーダーにでもなった気持ちになるのであった。

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