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-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-

-第二章四十八節 専門家確保!と待機列?…と魔術師の目-

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軽く関西弁の入った喋り口調をするワイトにマサツグは違和感を覚える中…

そのワイト…レイヴンに何処へ行くのか?と尋ねられると、ただ何も考えずに

ゲスデウスの屋敷と答えそうになる。しかしこの時マサツグはレイヴンの

格好を見てハッと思い付いた表情をすると、改めてマジマジと見詰め…

徐にある事を思い付いた表情で悩むよう考えると、レイヴンにある事を

尋ね出す。


「……え?…何処って?…ゲスデウスの……ッ!!…」


__バッ!!…じぃ~~~~…


「ッ!?…な、何だ!?…急に如何し!…」


「……なぁ?…レイヴンって魔術師だよな?…黒魔術、扱えたりしない?…」


「え?…」


マサツグに見詰められる事でレイヴンは戸惑い!…更にシロからも今だ

ブレる事無く凝視され続けると、レイヴンは如何する事も出来ずに

二人を目の前にして困惑する!…二人揃って凝視…それも片や考える様な

目で見詰め、もう片方は好奇の目と…一体何で急に!?…とばかりに

マサツグの急変具合について本人に問い掛け出すが、マサツグは答える

事無くレイヴンの職業を改めて確認し始める!…まるでレイヴンの話を

聞いていないが如く…徐にただ黒魔術に関して質問をし始めると、

何も説明されていないレイヴンはそのマサツグの質問で更に困惑し出し…

戸惑って居る様子が伺える言葉をただ一言…零れる様に漏らすとマサツグは

漸くレイヴンに事の説明をし始める。


「いやぁ…今から行こうとしてる所がさぁ?…

この国で自分の良い様にやりたい放題やった下種野朗の屋敷で…

その下種野郎を探す為に屋敷で痕跡を探さないといけないんだが…

…如何にもその痕跡を調べるには黒魔術の知識が無いと厳しいみたいでさぁ?…」


「…ッ!…なるほど?…言わんとして居る事は分かった。

でも何でそんな事を?…

ヤブの性格だとそう言うの面倒臭がってやらんと思うが?…」


「その下種野郎に濡れ衣を着せられたからだよ!!…

…ったく!!…あの野郎何処へ行きやがった!!!…

フルボッコにしてやらぁ!!…」


「…ッ!…ははは…なるほど復讐と…」


マサツグはレイヴンへ行先について説明をする際…今からやろうとして

いる事に対し面倒臭いと言った様子で話し出すと、徐々に怒りも滲ませ!…

その際黒魔術と言う単語が出て来た事にレイヴンが反応すると、先程の

マサツグの様子に合点が行ったのか…説明を聞いた上で納得した様子を

見せると、マサツグに協力しようと請け負う。だがその前にと

言った様子でレイヴンがある疑問を持ち出すと、マサツグの事を把握した

様子でそのイベントに参加する理由について尋ね…その問い掛けに

マサツグはゲスデウスに対して怒りを露わにするよう話し出すと、そんな

マサツグの様子を見てレイヴンは思わず苦笑いをする…その際マサツグに

詰め寄られるように顔を近付けられてレイヴンが仰け反り!…マサツグは

マサツグで人手が確保出来たと確信すると徐々にレイヴンから離れ始める。

こうしてレイヴンは再会して直ぐにマサツグと行動する事になるのだが、

一つ不安が有り…その事を尋ねるようマサツグに話し掛けると、

その問い掛けを聞いたマサツグは困惑する。


「……さて?…協力する分には全然構わないんだけど……そのぉ?…」


__ジィ~~~~!!!…


「この熱心に俺を見詰めてくる子ぉ何とかならん?…

何かまた襲われそうな気がして仕方が無いんやけど?…

何ならまだギンギンに目が輝いてるんやけど?…」


「…あぁ~……ダイジョウブダトオモウヨォ~?…

シロ…カシコイコダカラ…」


「……じゃあ何で片言になる?…後、目を逸らすな!」


当然の様にレイヴンが不安を感じた物と言うのはシロの事であった!…

シロはやはり全身が骨と言う…スケルトンに興味が有るのかマサツグと

レイヴンが話している間、一度たりとも視線をレイヴンから逸らして

居らず!…ただ一心に目を輝かせてマサツグから貰ったフライドチキンを

頬張っていた!…しかしそのフライドチキンも遂に骨だけとなり!…

また標的が自分になるのではとレイヴンが怯え始めると、マサツグに

ちゃんと躾けをする様にお願いをするのだが…その当飼い主はレイヴンから

視線を逸らすと、何故か片言で大丈夫と言い…明らかに戸惑った様な

反応を見せるマサツグにレイヴンがツッコミを入れると、一同は改めてその

ゲスデウスの屋敷へと歩き出し始める。


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「……そういや俺もこうして町の中を歩くのは初めてか…投獄されてたし…」


「ッ!?…は?…投獄?…」


「…多分イベントなんだろうけど……軽く一週間は監獄に入れられてた…

…町のモデルは……マヤ文明かな?…何かそんな感じがするな?…

普通にジャングルを抜けたら町が有る!…驚くだろうなぁ!…」


「…いや、俺はサラッと友人が投獄されて居た話の方に驚きなんだが?…」


ゲスデウスの屋敷に向かう道中…やはり解放されたとギルドに連絡された

お陰か、既にハーフリングス内には観光客と言う名の冒険者達が多数!…

町の獣人達と会話をして居たり、物珍しさから獣人達に囲まれて居たりと…

色々な体験をしつつハーフリングス内を行き交って居た。その冒険者達の

耳の速さと行動力!…改めてそのアクティブさに驚かされつつもマサツグは

町中を眺め!…投獄されて居た事を徐に思い出すと、その話題に

レイヴンは食い付いて驚き戸惑う!…普通投獄される事の無いゲームで

まさかの投獄!…一体何をやったんだ!?…と思いつつマサツグにその事に

ついて問い掛けると、マサツグは投獄されていた期間を言って

もう過去の事と言った様子でサラッと流し!…町の様子を見てモデルを

思い浮かべるとただ観光を楽しむ様に歩き続け、レイヴンはレイヴンで

マサツグの言葉に戸惑いを感じてツッコミを入れていた。そうして徐々に

目的地が近付いて来る中レイヴンはハッ!と…行き先について詳しい話を

聞いて居なかった事を思い出すと、徐にマサツグに尋ね掛け始める。


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「……ッ!…そう言えば…今何処に向かって歩いてんだ?…

確か聞いた話だと下種野郎の屋敷って言ってたけど?…

見た感じそんな屋敷って呼べそうな?…」


「…ッ!…あの悪趣味な建物の事だけど?」


「え?……ッ!?…えぇ!?…」


レイヴンは詳しい話を求める様にマサツグへ尋ね掛け出すのだが、マサツグは

目の前にもう目的地が見えて居る事!…ただ見せた方が速いと言った様子で

見えて来た建物をレイヴンに指差して見せると、その建物を見たレイヴンは

言葉を失う!…何故ならそこに有ったのは周りの景観をぶち壊す様に建てられて

在る極彩色の屋敷であり、周りから浮き倒しつつ異様な雰囲気を放って居た

からである!…当然屋敷と聞いて居たのでもっと違う物を想像して居たのだが、

まさかの物で…ただ戸惑った様子で言葉を漏らしてはマサツグの顔を見詰め、

その建物を指差し改めて確認をすると、マサツグはレイヴンの気持ちが

分かる様子で肯定する。


__……スッ?…


「…あぁ~…気持ちは分からなくも無いがアレだ…

完全に景観をバ〇スして居ると言いたいのは俺も同じだ!…」


「い、いや!…それにしたって!?…」


「……嘘みたいだろ?…アレ、この国の宰相の屋敷だぜ?…

アレを見ただけでもどれ位ヤバい奴だったか良く分かるだろ?…」


「…ッ!…ま、まぁ……でもベクトルが違う気が?…」


ツッコミたいところ山盛りのその様子にレイヴンは困惑し!…マサツグも

その気持ちは良く分かると言った様子でレイヴンの肩を軽く数回叩き…

頷きながら話し掛けると、その様子にレイヴンは更に困惑する!…だが

これでは終わらないとばかりにマサツグは更にその屋敷が宰相の屋敷で

ある事を某野球漫画のワンシーンの様に話し出すと、レイヴンは骸骨の

顔なのだが酷く動揺した反応を容易に見て取れるような反応をし!…

マサツグに色々思う所が有ると口に出して言おうとするのだが、思う様に

言葉にならず!…ただ驚き困惑した様子を見せて居ると、マサツグは再び

その悪趣味な屋敷に向かい歩き出し始める。


「まぁ…色々言いたい事は分かるけど…これが現実ゲーム内なんだ…

諦めて行ってみようか?…」


「ええぇ!?……」


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「…さて…着いた…って、えぇ!?…」


歩き出す際レイヴンに言い聞かせるよう言葉を掛けてはシロの手を

握って歩き出し、そのマサツグの言葉にレイヴンもただ困惑した

様子を見せると、慌てて後を追い掛け出す。そうして近付けば近付く程

その異様さが増して行く中…程無くするとマサツグ達は何事も無く

その悪趣味な屋敷へと辿り着くのだが、その屋敷の前では妙な

人だかりが出来ており!…一体何が起きているのか?とマサツグ達が

疑問に感じて居ると、何やらその人だかりから人の声が聞こえて来る…


「ここは立ち入り禁止だ!!…早く引き返せ!!」


「この建物は何ですか!?…何でこんな悪趣味な!?…ッ!…

もしかしてダンジョン!?…」


「そんな訳有るか!!…確かに悪趣味は認めるが!…

お前達に関係ない!!…引き返せ!!」


その人だかりから聞こえて来る声の主は如何やら冒険者達の様で…

やはりこの無駄に目立つ屋敷が気になったのか、押し掛けては興味を

持った様子で辺りをウロ付き!…それに対して衛兵達が帰るよう

呼び掛けては一進一退の攻防を繰り広げていた。さながらその様子は

事件の被疑者宅に群がるマスコミVS警察の様で、質問をしては帰れ!…

と両者共に謎の白熱具合を見せて居た。中にはあの屋敷をダンジョンと

勘違いしている者もいる様で、衛兵にツッコミを受けて悪趣味と

言う所で同意されたりと…とにかく謎の混乱具合を見せて居た。そんな

惨状を目の前にマサツグ達も戸惑ってしまって、思わず足を止め!…

その様子を眺めては思い思いに言葉を口にし始める。


「……うわぁ!…

いつからここはアミューズメントパークになったんだ?…

確かにアトラクションぽく見えるが…」


「そりゃ明らかにアラビアンな建物が立ち並ぶ中に一つだけ

こんな極彩色の魔王城みたいな屋敷が建っていたら可笑しくて

寄って来るだろ?……実際に可笑しいし……」


「…否定は出来ない!…」


まるで某ネズミーランドのアトラクション待ちの様な混雑具合に…

マサツグは思わず人混みが嫌いを理由に行くのを止めようかと

悩み出すのだが、そう言う訳にも行かず…ただそれに例えては

マサツグが言葉を漏らして居ると、それにツッコミを入れるよう

レイヴンが話に乗っかり始める。その際周りの建物を含むよう

風景を交えて話し出すと、ゲスデウスの屋敷を魔王城と例え!…

その言葉が思いのほかしっくり当て嵌まってしまうと、マサツグも

何も反論する事無く同意し…アレの中を掻き分けるのかぁ…と

思わずガックリした様子で脱力して居ると、シロは不思議そうに

マサツグの顔を覗き込む。


「ご主人様ぁ?…」


__……ッ!…プフッ!…


「まるでパパさんみたいだな!…」


「…はあぁ~…しょうがない!!…諦めて行くか!!」


シロがマサツグの顔を覗き込む中…この時のレイヴンにはこう見えて

居た事であろう…アトラクション待ちの様子を見て絶望をする父親と

不思議そうにするその娘の図に…思わずそう見えてしまった事に

レイヴンは噴出しそうになりつつ…言葉を漏らして居ると、マサツグは

一人決意した様子で顔を挙げ出し!…その魔王城のアトラクションに

向かい歩き出すと、笑って居たレイヴンも慌てて追い駆ける!すると…


「下がれ!!……ッ!…勇者殿!!…もう起きても?…」


__ッ!…ざわっ!?…


先程から詰め寄る冒険者達に手を焼いている衛兵達の内の一人が

ふとマサツグの存在に気が付き、まるで待って居たとばかりに

マサツグの身を案じ…意気揚々と声を掛け始めると、いきなりの

その衛兵の様子にマサツグは戸惑う!…一応昨日までは罪人として

扱われて居たのだが、今では嘘の様に勇者と!…勇者と衛兵が

呼び出した事で周りの冒険者達も「え?…」と言った具合に

動きを止め…マサツグの方を振り向き始めると、その視線に

マサツグは更に戸惑いを覚える。


「ッ!?…え?…あ、あぁ…大丈夫なんだけど……あぁ~…

ちょっと中調べたいから入っても良い?…忙しかったら後にするけど…」


「ッ!!…いえいえ!…

勇者殿にご協力を願えると言うのならこちらとしても大助かりです!!…

どうぞこちらに!!……因みにその方は?…」


「え?…あぁ…黒魔術に関しての…専門家って言った所かな?…

とにかく信頼出来るよ?…俺が保証する!」


「了解であります!!…ではこちらに!…」


周りから注目されて思わず怯んでしまうのだがマサツグに戸惑っている

時間など無く!…直ぐにハッと我に返るとゲスデウスの屋敷に入りたいと、

恐る恐る衛兵達に交渉し…その申し出に衛兵達は敬礼をしてマサツグに

返事をすると、逆に感謝する様に快く了承をする。その際レイヴンの事に

ついて当然尋ねられるのだが、マサツグが信頼出来る人物と説明すると

すんなり許可が下り!…周りの冒険者達に見詰められながら衛兵の先導で

ゲスデウスの屋敷の中へ足を踏み入れ出すと、またもや背後から揉める声が

聞こえ始める。その際この一連の流れを見てレイヴンはまたもや…


「…これが年間パスを持っている者の実力か!…」


「ッ!…え?…年間パス?…」


「いやこっちの話…」


「ッ?…」


優待者年間パスを持って居たからあの待機列を省略出来た様に感じては

ますますアトラクション感を感じ!…思わず口に出して呟いてしまうと、

マサツグの耳に入ったのか如何言う事か?と尋ねられる。しかし如何言う

意味かまでは分かって居ない様子で尋ねており…それを察してか

レイヴンは何でもないとはぐらかし笑って見せると、マサツグはその様子を

見ていたシロと一緒に首を傾げるのであった。そうして一行は例の地下室に

向かい左通路の一番奥…物置部屋から地下のワインセラーへと向かうのだが、

その道中レイヴンはある事が気になった様子でマサツグに問い掛け始める。


「……そういやちょっと気になってたんだが…

何であの衛兵達に勇者って呼ばれてんだ?…

それに何か聞いた話じゃとある冒険者がこの国の鎖国を解いたって

話になってるけど…それってもしかして?…」



「……多分、俺…さっきも話したと思うけど最初は罪人で捕まって…

その後色々成り行き通りに進んで居たらいつの間にかこうなってた…

何でこうなったのか俺自身も分かってないんだけど…気が付いたら…

因みに春野原スプリングフィールドでも俺と本ちゃんは何故か英雄って呼ばれてる…」


レイヴンが気になった事と言うのは獣人達のによるマサツグへの態度!…

先程他の冒険者達に対しては毅然とした態度を見せて居たにも関わらず、

マサツグには勇者と…何故そう呼ばれているのか気になった様子で

マサツグに尋ねる際…この国の開国と関係が有るのか如何かと問い

掛けると、マサツグは言い辛そうにレイヴンの問い掛けに答える。ただ

成り行きで…そう簡単に説明された事にレイヴンは戸惑うのだが、更に

補足説明で友人であるモツも春野原スプリングフィールドで英雄と呼ばれている事を

教えられると、更に驚いた反応を見せる。


「ッ!?…マジか!?…いや…何と無く話は聞いて居たけど……ッ!?…

これもマジか!?…」


「え?…何が?…」


「ッ!?…何が!?…って、いやいや!…何がじゃないだろ!?

この子の事やこの子!!…この子フェンリルって!…」


「……ッ?…そうだけど?…」


レイヴンはただでさえ自分の友人二人がこのゲーム内で英雄と呼ばれて

居る事に、驚きを隠せないで居るのだが…更にマサツグやシロのステータス

画面を開いて能力を確認すると、これまた驚いた反応を見せる。

そんなレイヴンに対してマサツグは乾いた反応で問い掛けるのだが、

レイヴンはマサツグにツッコみを入れるよう!…

シロの事についてまたもや驚いた様子で問い掛けると、その問い掛けに

マサツグは無関心に肯定し…そんな反応を見せられてレイヴンは呆れた

表情を見せると、顔に手を当てて人間味溢れるスケルトンの反応を見せる。


「…ッ!…あぁ~!!……そういやそうやったな?…

人よりトンデモナイ事やってるってのに相変わらずの我関せず!…

ヤブはそう言う人間やったな?…」


「え?…」


「…普通に考えてみ?…確かに今でこそ、そこそこレベル有るけど!…

それでもまだレベル30台やん俺達!…それのにフェンリルって!!…

フェンリル言うたらこのゲームで数少ないSSランクのモンスターで!…

更に子供言うてもそのテイム率が一桁の最上級モンスターやねんぞ!?…

それに懐き難いって聞いてるし!……でもいざ見てみたら!!」


マサツグの事を現実リアルでも知って居るレイヴンは呆れた反応をすると、

落胆した様子で話し出し…その反応を見せられているマサツグも

レイヴンの様子に戸惑い出すと、レイヴンは改めてシロが居るこの状況の

可笑しさについて話し出す!別にシロがここに居ると不味いとか…そう言う

事を言いたい訳では無く、あくまでも心配する様に話し!…その確率に

懐き具合と!…普通にテイム出来ないと自分でもショックを受けた様子で

レイヴンが話し続けて居ると、シロは我関せずと言った様子で徐に

マサツグへ飛び付く!…


__ピョイン!…ガッシ!!…ヨジヨジヨジヨジ…むっふぅ~!…


「めっちゃ懐かれてるし!!!…ここまで懐かれる様な!!…って、ッ!?…

あぁ~…なるほど…このぶっ壊れスキルのせいか…」


「……なんか勝手に盛り上がって、落ち着いて…

疲れないのか?…」


「誰のせいやと思っとるんじゃ!!…」


レイヴンの目の前でシロはマサツグに飛び付くと慣れた様子で歩く

マサツグの体を攀じ登り始め…マサツグも慣れた様子で放置して居ると、

シロはマサツグの頭まで辿り着いては肩車の体勢で落ち着く!…

その様子を見てレイヴンは更にツッコミを入れるようテンションを

上げると、マサツグに何をやった!?と尋ねるのだが!…

スッとマサツグのステータスを見てスキル欄から「超幸運」の名前を

目にすると、直ぐに落ち着きを見せ始める…その際その「超幸運」を

ぶっ壊れと話しては妙に納得した様子を見せ、マサツグはマサツグで

レイヴンの一人寸劇に困惑しツッコミを入れると、逆にレイヴンから

ツッコミを返される!…こうして徐々に落ち着きを取り戻し始めた

レイヴンは徐にメール欄を開き出し…あるメールの内容を確認する様に

マサツグのステータスと見比べる。


「…なるほどなぁ?…いや、確かに聞いた事は合ったけど…まさか……

本ちゃんからのメールである程度ヤブの事情は聞かされ取ったけど…

ホンマに波乱万丈やな?…何かこのスキル名見てると学級裁判起こして…

マサツグが「それは違うよ!!」って言い出しそうな気がする!…」


「……馬鹿野郎!…別に俺の頭にアンテナは無ぇし…

白黒の熊とも戦わないし!…絶望を論破する気もねぇよ!……」


「……ッ?…」


地下のワインセラーに辿り着くまでの道中…レイヴンが一時期ハマッて

いたハイスピード推理アクションゲームの登場人物にマサツグのスキルが

似ていると言い出すと、マサツグはそんな訳ないとツッコミを入れる。

その際同じゲームネタでマサツグが反撃をして居ると、話に付いて行けない

シロは不思議そうに首を傾げ…更にワインセラーに隠されて有る階段へと

足を進める際!…シロには見せられない物が多々ある為やはりここに

待たせる事をマサツグが決めると、シロに待つよう声を掛け始める。


「……やっぱり不味いよな?…シロは!…ここで待っててくれ!…

よいしょ!…」


「ッ!?…どうしてですか!!…シロばっかりお留守番!!…」


「直ぐに戻って来るから良い子で待ってて!!……

色々と見せられない物が沢山有るから…

あぁ~…戻って来たらもう一本あげるから!…」


「ッ!……約束ですよ?…」


マサツグはシロの事を思って待つ様に声を掛けては肩からシロを

降ろすのだが、それを聞いたシロは当然不服そうな表情を見せると、

マサツグに文句を言い出す!しかしこの先本当に教育上宜しくない

物が多々有るので如何しても置いて行きたいマサツグは、シロに

縋るようお願いをするとフライドチキンの約束を口にし!…

その約束にシロもピクっと反応すると、やはり子供なのかそれで

妥協した様子で渋々同意する。その様子を見てレイヴンはやはり

子供なんだなと納得する反面、ホッと安堵した様子を見せ…

こうして話が付いた所でマサツグとレイヴンは階段を降りて遂に!…

例の拷問部屋の前までやって来ると、部屋の中からは今だ調査が

されているのか、衛兵達の慌しい会話が聞こえて来る。


__コッ…コッ…コッ…コッ…ッ~~~~!…


「ッ!…まだ何か有るらしいな?……とにかく覗いてみよう…」


__そぉ~…チラッ?…


拷問部屋を覗く様にマサツグとレイヴンは顔だけ部屋へ覗かせると、

そこはやはり血みどろ地獄で!…中では衛兵達が被害者の捜索に

当たっているのか、まだ息の有る被害者と亡くなった者と…それぞれ

手厚く保護をしては眉間にしわを寄せ、今だ信じられないと言った

様子で捜査に当たっていた…


「…被害者はもう居ないか?…」


「ハッ!……にしても…酷過ぎます!…

確かにあの宰相は嫌われ者ではありましたが…まさかここまで!!…」


「…悲観して居ても仕方が無い!……

とにかく息の有る者は診療所・病院に搬送!!…

…亡くなった者に関しては例の広場に!!…

身元が判明次第遺族に連絡を!!…」


「ッ!?…まだこんなにも居たのか!?……

確かに触り程度にしか調べては居なかったが!…」


ザっと見ただけでも約十数人…その被害者全員はやはり酷い拷問の

痕が残っており、酷い者になると感情を失った様子で虚ろな目をし…

ただ何かを譫言の様に呟いて居た。そして亡くなった者も数名…

全身を大きな布で包まれるよう保護されて並べて置かれ…それらを

見て衛兵達は何故気付けなかったのか!?と惨状を見て胸を痛めると、

それぞれ指示に有った行動をし始める。この時マサツグもその被害者の

数を見て驚き!…あの時助けられなかったとは言えこんな!?と

反省をするのだが、それとは別にレイヴンが部屋の中の一点…

有る場所を見詰めたまま困惑して居ると、マサツグに問い掛け出す。


「……ッ!…なぁ?…感傷に浸ってるとこ悪いんやけど…

あの魔法陣は何?…」


「ッ!…え?…どれ?…」


「……ほれ?…あそこ。」


「……ッ?…え?…」


レイヴンが気が付いた様子で部屋の中に入り出すと、マサツグも

慌てる様に後を追い掛け…ただ一点に見詰めてはマサツグに指を差して

尋ね出し、マサツグのそのレイヴンの指差す所を目を凝らし見詰めるが、

やはり何も見えない…しかしレイヴンにはそのマサツグには見えない

何かが見えているのか、ハッキリ見える様でジッと不思議そうに凝視し…

衛兵達もマサツグとレイヴンの存在に気が付いたのか、注意をしようと

マサツグ達に近付くのだが、マサツグが居る事に驚き出すと慌てて

敬礼をする。


「…ッ!…コラ貴様達!!…ここで何を!…ッ!?…

も、申し訳ありません勇者殿!!…まさか臨場されているとは!?…」


「り、臨場って!……まぁ良いか…ゴメン!…

ちょっと調べさせてもらうよ?」


「ハッ!!…」


衛兵が慌てた様子でマサツグに敬礼をするとその衛兵の言い方にマサツグは

戸惑い!…マサツグも勝手に現場へ入った事を謝り改めて独自に調べ事を

して良いか?と戸惑いながらその衛兵に尋ね出すと、丁度その衛兵は現場の

長だったのかマサツグに敬礼をしながら許可を出す。許可を貰った所で

マサツグは衛兵にお礼を言うとレイヴンの方に振り向き、許可を得た事を

伝える様に声を掛けるのだが…レイヴンはただその魔法陣?…に触れる

事無くマジマジと見詰めると、マサツグに答え出す。


「スマン!!……で、どうよ?…」


「……ここの屋敷の主は悪魔崇拝でもしていたのか?…

術式的には悪魔召喚系…」


「…言われても分からんのだが?…」


「ッ!…あぁ!…スマンスマン!…ほれ。」


レイヴンが言うのはその魔法陣は悪魔召喚の類らしく…ただマジマジと

魔法陣の構造を見るよう何も無い壁を見詰めて居ると、マサツグは

困惑する。そして説明されても知識が無いので…レイヴンに分からないと

答えると、レイヴンは軽くハッと気が付いた様子で謝り…マサツグにも

分かる様に自身の魔力TPをその魔法陣に流し込み始めると、魔法陣は

レイヴンに反応するよう輝き出す!…


__スウゥゥ……ゴオオォォォォ!!……どよ!?…


「こ、これは!?…」


「…そうだな?…

さすがに専門的に知ってる訳じゃ無いからかなり詳しく説明は出来ないが…

簡単に説明するとさっき言った通りコイツは悪魔を召喚!…と言うよりは…

使い魔を召喚・契約するのに使う魔法陣だな?…

ずぶの素人がやっても出て来るのは大抵インプ位の小物なんだが?……

この規模だと恐らくはデーモンクラスも呼べたと思う!…

…てか、呼んだ形跡が有る。」


「え!?…」


レイヴンの魔力に反応して魔法陣が発光すると、そのマサツグには

見えなかった魔法陣の全体像が姿を現す!…床から天井に掛けての

高さは約3m!…その壁の高さギリギリに魔法陣が書かれて有り、

姿を現した魔法陣にマサツグだけでなく作業をしていた衛兵達もが

驚き出すと、レイヴンは今分かって居る事だけでもマサツグに説明を

し始める。魔法陣は悪魔を召喚する物・規模はデーモン級・更に

召喚した痕跡と、現場の人間を驚かせる内容が飛び出し!…マサツグも

驚いた表情を見せてはレイヴンの言葉に驚き、ただ説明に付いて行けるか

自身でも不安を感じて居ると、更にレイヴンは気になる事を言い出す。


「でもだとすると…

扱い一つで主従関係も逆転されて契約される可能性もあるんだが…

これ見た限りだと契約に成功してるなぁ~…

失敗したら魔法陣は破損する筈なのに何処も破損して無い!…

と言う事は成功している…もしくは穏便に帰って貰った?…

だとしても代価が?……」


__………


「…ッ!…あぁ~っと…つまりだな…

この魔法陣を書いた人物は生贄を捧げて…

悪魔から力を貰った可能性がある!…それもかなり強力な奴な!…

…しかもよくよく考えたら悩む必要なんてなかったな?…

この部屋は拷問部屋なんだろ?…だとすれば代価は

そこに居るお嬢さん達と言った所か……自我が崩壊して居る子も

恐らくはその悪魔を見たせい!……この屋敷に住んで居た奴は

ある意味賢いな!……かなり畜生だが!…」


レイヴンはその悪魔召喚の魔法陣を見詰めて更に続ける!…

まずは危険性について話し出すのだが如何にも見た限りだと

召喚・契約に成功して居るらしく、その魔法陣に違和感が

見られないと!…その際成功したとしても契約がなんなのか?…

それとも帰って貰ったのか?…ただ魔法陣を見詰めては

自身の顎に手を当て悩み出し、その話に遂に付いて行けなく

なったマサツグと衛兵達はレイヴンを見詰めたまま困惑の

表情を見せる。そんな様子にレイヴンが気付くと悩みながらも

更に分かり易い様に説明し出し!…契約が上手く行った

理由も合点が言った様子で、ゲスデウスの事を違う意味で

褒め始めると嫌悪感を滲ませる!そうしてその一連の話を聞いて

驚きを隠せない面々は表情そのままに固まり!…魔法陣に関して

分かった事はこれだけと…レイヴンは魔法陣の機能を切ろうと

するのだが、ふとある事に気が付いた様子を見せると、

徐に魔法陣の下の方を見る様にしゃがみ出す。


「……ッ!…あれ?…何で?…可笑しな事してあるな?…」


「……ッ!?…え?…今度は何?」


「…いや…これだけの魔法陣を動かしてたくせに

素人みたいな事してあるから…自分の痕跡を残してある?…

…と言うよりもまだこの魔法陣を使う気で居るんか?…

…この術者の痕跡追えそうやけど…如何する?…追ってみるか?…」


__ッどよ!?…


突如レイヴンは何かを辿る様に魔法陣から外へ向かい視線を動かし出し…

徐に可笑しいと言って首を傾げ始めると、その様子にハッ!と我に返った

マサツグが声を掛ける。何かを見つけた様子のレイヴンにマサツグは

戸惑った様子を見せ、レイヴンはその問い掛けに答えるよう視線を外に

向けたまま痕跡が残って居るとマサツグに説明をすると、術者を追う事が

出来ると言う。当然その言葉が出て来た事に一同は途端に驚いた反応を

見せ、レイヴンに注目するのだが…その問われたマサツグは

と言うとレイヴンの話を聞いて腕を組み、徐に悩み始める。


{……レイヴンの反応を見る限りやっぱり何か可笑しい?…

確かに俺も何か変だとはと思う!…

ここまでやる様な奴が現場に証拠を残したりするか?…

ましてやレイヴンみたいに魔力を探知出来る奴が居れば追う事も出来るし!…

現に痕跡が残っていて追う事が出来るって言ってる!…

そんなポカをやる様な奴に俺は嵌められたのか?…

何か誘われている様な気もするんだが?……悩んで居ても仕方が無いか…

今は開国されていて…したばかりだから他の冒険者プレイヤー達も居る!…

もし攻め込まれても何とか出来ると思うし!…

俺達が居なくともある程度の防衛も出来るだろう!…

ここは一つ!…大きく賭けに出てみるか!!…}


マサツグは如何にもレイヴンの言葉に引っ掛かりを覚えていた…レイヴンが

言うにはずぶの素人みたいなミス!…確かにこの場所は普段隠されていて

魔法陣の存在を悟ろうにもまず見つけないと始まらない場所なのだが…

自分が逃げるとするなら別と考えて罠の可能性を感じる!…その際自身が

見つけた事件の証拠など…色々な事も含めて怪しいと疑い!…追跡させるのが

目的なのでは?とマサツグは考えるのだが!…今の開国状態を踏まえて

マサツグは大丈夫と信じ!…追跡する事を決意すると、レイヴンに返事をする。


「……追ってみますか!…」


__おぉ!!…


「…了~解!

じゃあ付いて来てくれ!…俺が後を追う!…

その際町の外に出て戦闘になった場合は対処頼む!…

多分痕跡追うので必死になるから。」


「了解!…じゃあ行きます…」


マサツグが痕跡を追う事を決めるとレイヴンは返事をし!…マサツグに付いて

来るよう指示を出すと、注意事項も口にする。レイヴンの言う注意事項は

簡単な物で戦闘に参加出来ないと言う事であり…そう言われた事にマサツグは

気を改めると、レイヴン共々その痕跡を追い始めようとする。その際外に

向かいマサツグ達は歩き出すのだが…その出口からワインセラーで待ち切れ

なかったのかシロが突如として飛び出して来ると、マサツグ達は驚く!…


__タッタッタッタッタ!!…バッ!!


「ご~しゅ~じ~ん~さ~ま~!!」


「ッ!?…はい!よっこいしょ~!!」


__ガッシイィィィン!!!…


シロは待ち草臥れたのか突如階段を駆け下りて来て、マサツグの事を

見つけると嬉々として一直線に飛び付きに掛かる!そしてマサツグの

事を呼びながらシロが飛び付いて来た事に!…マサツグも瞬時に反応

すると、シロが勢い良く腹部に向かって飛んで来るのをタイミング良く!…

バックステップを入れて無事に受け止めて見せると、レイヴンから感心の

声が上がる!


「おおぉぉ~!!!……手慣れてる?…」


__クルッ!…きゅぴ~ん!!…


「ッ!?…ヒッ!?…」


「ッ!!…はいシロォ!!…お口あ~ん!!」


もはや職人芸の域に到達しそうなマサツグの対応力に…レイヴンが関心を

示して居ると、シロの関心はレイヴンの方に向けられる!…目を輝かせて

クルっと振り向き…レイヴンの事をジィ~っと見詰め出すと、その様子に

レイヴンは青褪め!…この後に来るであろうしゃぶり倒される運命を

察知すると、慌てて両手を前に出して防御の体勢を取る!しかしマサツグは

シロを阻止する為にフライドチキンを何処からともなく取り出すと、

大急ぎでシロの口へ放り込み!…シロはシロで約束のフライドチキンが

貰えたのかと勘違いをすると、マサツグに抱っこされたままフライドチキンを

頬張り落ち着きを取り戻す。


__シュッ!!ハグウゥゥ!!…パタタタタタ!!…


「……ふぃ~!…ッ!…あっ!…」


「ッ!?…ど、如何した?…何か問題でも?…」


「ん?…あぁ…いやいや…

ここまで来てなんだけどシロとの自己紹介がまだだったなと思って…

シロぉ?…この骸骨さんはレイヴンって言うんだ。俺の友達!」


シロはマサツグにフライドチキンを貰えた事で尻尾を振ると、フライド

チキンに齧り付き…マサツグも一段落と言った様子で一息吐き出すと、

ふとある事に気が付き始める。この時レイヴンは今だシロに怯えた様子で

マサツグの反応に戸惑いつつ如何したと声を掛け出すのだが、マサツグは

ただ自己紹介がまだだった事を思い出し…更に今になってレイヴンの事を

シロに紹介し出すと、当然いきなりの自己紹介にレイヴンは今か!?…と

戸惑い始める!


「…ッ!?…えっ…えぇ~っと……れ、レイヴンです…

マサツグの言う骸骨さんで魔法が得意です…はい……」


__…バッ!!…ッ!?…


「シロへふ!!…

ふぇふひふへほふひんははのへっほへふフェンリルでご主人様のペットです!!…」


「ッ!?…よ、よろしく…」


よろひふはほへふよろしくなのです!!…」


突如自己紹介が始まった事にレイヴンは戸惑うのだが…紹介された以上

自身も名乗らないといけないか?と真面目に考えると、シロに恐る恐る

名乗り…シロもいつもの様に手を上げて自己紹介をし始めると、

そのシロの挙動一つ一つにレイヴンは怯える!…そうしてシロは口に

フライドチキンを咥えたまま、無事?…互いに自己紹介をし終えると

言葉を交わし合うのだが…その際レイヴンはシロの視線を気にした様子で

警戒をし、案の定シロの視線は一点に自身へ向けられている事に

気が付き、更に警戒を強める!…その際周りが血みどろだと言うのに

シロの目は爛々と輝き!…レイヴンの事をおやつとして見ているのか、

やはり美味しいものを見る目で見詰めて居るのであった…

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