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-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-

-第二章四十七節 シロの大好物と奇妙な尾行と二人目の親友-

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王宮を後にしてゲスデウスの屋敷に向かう道中…シロは今だマサツグの

頭に張り付いては膨れっ面を見せており、マサツグはマサツグでシロに

引っ張られた頬を自身で撫でるとシロの様子に困惑して居た。確かに

シロの反応が可愛く、面白かったので調子に乗って突いて居たのだが…

それが結果的に藪蛇だったと…一向に機嫌を直そうとしないシロの様子に

マサツグが困って居ると、ふと何処からともなく良い匂いが漂い出す。


__コッ…コッ…コッ…コッ……ふわぁ~…ピクッ!…


「…ッ!…あれ?…何処からともなく良い匂いが?…

…てかこのゲーム手に伝わる感覚とか味とかはスゲェリアルに

伝わって来るのに何で臭いだけは曖昧なんだ?…

普通臭いが曖昧だと味も分からない筈なんだが?…」


__……ギュッ!…


メインストリートに出ようかと言う所で何処からともなく食べ物…

それも揚げ物の臭いか?…香ばしい匂いがして来るとまず最初に

シロが反応し出し、続けてマサツグが気付いた様子で足を止めて

その臭いの元を辿るよう視線を動かすと、一件の屋台を見つける。

屋台ではやはり揚げ物が売られていたのかフライドチキンの様な

物が次々と油で揚げられており、そこそこ人気なのか若干の列が

作られては賑わっている様子を見せて居た。そんな光景を見た

マサツグは少し屋台に関心を持つのだが、同時にシステムに対しても

疑問を持ち出し…今更ながら気になると言った様子で改めて自身の

鼻を掻いて居ると、シロはその匂いに釣られたのか…シロはマサツグの

頭を無言でギュッと抱き締めて興味を持ったとばかりに反応を示すと、

それに気が付いたマサツグはシロの要望に応えるようその屋台へと

歩き出す。


「ッ!……現場は逃げないし…行って見るか?」


__コッ…コッ…コッ…コッ……


「ッ!…らっしゃい!!…ッ!?…こいつぁ!!…勇者様じゃねえか!?」


「え?…勇者?…」


シロの機嫌を取る様にマサツグは声を掛けつつ…その揚げ物の屋台の

列に並ぶと、回転率が良いのか…直ぐにマサツグ達の番がやって来る。

その際店主にいらっしゃいと声を掛けられるのだが、店主はマサツグの

顔を見るなり驚いた様子で…マサツグの事を勇者と呼んでは会えて

嬉しいとばかりに気さくに声を掛け出し、その店主の様子にマサツグが

戸惑い気味に答えて居ると、店主は続けてマサツグに話を振り続ける。


「おうともさ!!…俺達とっちゃ勇者どころか英雄様よ!!

自分は捕まってる身だってのにあの下種野郎を告発しちまうし!…

オマケにドラゴンが迫って来てるのに戦いを挑んで勝っちまう!!…

一度だけじゃなくて二度も俺達の国を助けてくれた英雄様!!…って!…

今じゃ町の噂になってんぜ!?」


「ッ!?…えぇ!?…いや別にそんな!…」


まるで有名人が来たとばかりに屋台の店主は上機嫌で話し続けるとマサツグを

圧倒し、既にもう話は広がっているのかマサツグがゲスデウスを告発した事!…

ドラゴンを倒した事等を話し出すと、もうこれ以上に嬉しい事は無いと

ばかりに満面の笑みを見せ始める!そんな店主の表情を見て本当に嫌われて

居るんだなぁ…と改めてゲスデウスの嫌われ具合を確認すると、ただ店主の

話を黙って聞き続け…話の切りどころが無い事にマサツグは戸惑い、この時

その話をシロも聞いているのか今も膨れる様子を見せながらマサツグの頭に

張り付いて居たが、マサツグが褒められていると理解した様子で尻尾を振っては

上機嫌具合を見せて居た。


__ギュッ!…パタタタタタタ!…


「そんな英雄様が俺っちの店に並んでくれてんだ!!

サービスさせてくれ!!…ほれ!…コッコルのモモ肉!…これを!」


__コネコネコネコネ……じゅわあああぁぁぁぁ!!!


「…一度は俺も森の外に行ってみたいとは思ってんだけどよ?…

機会が無くていけぇね!…

これを外では「ふらいどちきん」何て名前で呼んでるらしいが…

まぁこの際呼び名何て如何でも良い!!…これがうちの自慢の料理だ!!

……ほら!持ってってくれ!!」


「え?…えぇ?……ッ!!…アッツ!!……あっ!…

そうだお金お金…」


そうして一通り話したところで屋台の店主は落ち着きを見せ出すと、

上機嫌のまま明らかに鳥のモモ肉らしき物を数本…台の下から

取り出しては衣を徐に付け、アッツアツに熱された油の中へ

潜らせるとマサツグ達の目の前でフライドチキンを作り始める!…

その際外に興味が有る様子で店主はマサツグに再度話し掛け!…

サービスをすると豪語し出すと、最初から最後まで圧倒されっぱなしの

マサツグはその店主のパワーに困惑する…そしてただ成り行きに

身を任せるようその様子を眺めて居ると、店主は八本と!…大振りの

フライドチキンをバナナの葉っぱの様な物に包んではマサツグに手渡し、

更にマサツグを困惑させる。その際受け取ったは良いもののその熱さで

ハッと我に返るとマサツグはお代を取り出すそうとするのだが、それを

見た店主はすかさず止めに入る!


「あぁあぁ!!…良いって良いって!!…そのまま持って行きな!」


「え?…」


「言っただろ?…サービスするって!…これは俺達の国を助けてくれた

俺なりのお礼だ!!…まぁお礼にしては大した事はねぇかもしれねぇが…

黙って何も言わずに受け取ってくれ!!…お代は無用だ!!」


「え?…あ…あぁ…ど、どうも…」


財布を取り出そうとするマサツグを店主が慌てて止めに入ると、

マサツグはその止められた事に驚き!…一体何故?と言った様子で

店主の事を見詰めると、店主は改めて説明するようマサツグに

サービスとお礼の言葉を口にし始める。この時やはり異様な圧を

感じてマサツグは戸惑った反応を見せるのだが、店主の気持ちは

如何やら本物のようで!…そんな店主の様子にマサツグは特段凄い事は

していないと…ただイベントの進行のままにやっただけと更に

困惑するのだが、その厚意に甘えるよう財布を仕舞うと、

店主も納得したのかまた笑みを見せ始める。そうして並んでいた

獣人達や屋台の店主に見送られながら屋台を後にすると、マサツグは

半ば放心状態になり…怒涛のやり取りに付いて行けず困惑し続けて

居ると、ふと思い出した様にシロにフライドチキンを手渡す。


「…な、何だったんだ?…あのノリ?…

思いっきり詰め寄られてはサービスサービス!…

正直ドラゴンを相手にしている時より怖かった!…

…って、そうだ…」


__ゴソゴソ…ッ!…


「おっ?…何だこれ?……

シロ?…食べる?…」


__…スッ……ハシッ…


マサツグがフライドチキンの入ったバナナの葉っぱの包みを開くと

ある事に気が付く…それは葉っぱがフライドチキンの余分な油を

吸収している光景であり…それを見てマサツグはギョッとするのだが、

直ぐにまだこのゲームには見た事の無い物が有るんだなと…改めて

関心を向けて居ると、その包みからフライドチキンを一本取り出して

シロの前に持って来る。そしてシロを唆す様に食べるか?と尋ねると、

シロは反応した様子でフライドチキンに手を伸ばし…マサツグの頭に

しがみ付いたままそのフライドチキンを食べようとすると、マサツグは

諦めた様子で注意をする。


「……頭の上で食べるのは結構だが零さないでくれよ?…」


__………ハグッ!…じゅわあぁぁ!!…ッ~~~~!!!!


マサツグは慣れた様子で苦笑いをするとシロに零さないよう注意をし、

シロもそれを聞き入れた様子で反応をするのだが、今だ膨れた様子の

ままフライドチキンを見詰める…今まで見た事の無い食べ物…

当然子供のシロは若干の警戒を見せるのだが、美味しそうな匂いには

抗えないのか我慢出来なかった様子でフライドチキンに齧り付くと、

シロは初めて食べたフライドチキンに衝撃を覚える!…

まず一口齧れば肉汁が溢れ!…香ばしい衣と鳥の風味が口一杯に広がる!…

そこから噛めば噛む程サクサクと歯触りの良い衣が砕け!…それと同時に

鳥の肉汁と旨味が溢れ出すと相乗効果を生み!…更にとばかりにシロの

食欲に追撃を繰り出す!…フライドチキンを口に含んだまま呼吸をすると

その香ばしい匂いと香辛料が鼻孔を擽り!…今まで味わった事の無い

魅惑的な味をシロは噛み締めると、まるで全身に電流が走った様な

ショックを受ける!…そこからは火が点いた様にシロはフライドチキンに

夢中になり!…マサツグに膨れて居た事も忘れた様子で感想を口にする!…


「なっ!…何ですかこの美味しいご飯は!?…」


「ッ?!…うぇ!?…え、えぇ~っと…

フ、フライドチキンだけど?…」


「シロ!!!…これ、大好きです!!!!」


初めて食べたフライドチキンにご満悦のシロは途端に上機嫌でマサツグへ

問い掛け!…マサツグはマサツグで突然シロの機嫌が直った事に驚き、

戸惑いつつもフライドチキンと答える…するとシロはマサツグの顔を

覗き込む様に突如上から自身の顔をヒョコっと覗かせると、目を輝かせ

ながら笑みを浮かべてはフライドチキンを大好物と話し出し!…スッと

元の肩車の体勢に戻り!…改めてフライドチキンを見据えると、シロは

思いっきりフライドチキンにむしゃぶり付き始める!…


__じぃ~!!…ハグッ!!…ハグハグハグッ!!!…


「………そ、そうか……それは…良かったな!」


「はいです!!」


「ははは!……ッ!…」


そしてこの時…これまた初めて見るシロの表情にマサツグは戸惑った

様子のまま固まるのだが、それ以上にシロの機嫌が直った事に安堵すると、

徐々に硬直が取れて動ける様になる!更にシロの好物が少し分かった

事でマサツグはそれを良しとし!…思わず釣られる様に笑ってはシロの

頭を撫で…シロもそれに反応するよう返事をすると、マサツグは

改めてシロを肩に乗せたまま先へと進み出そうとする。…のだが…

その際後ろから誰かに付けられている様な感覚を覚えると、マサツグは

途端に背後へ対して警戒を強める!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……


{……何かして来るって訳でも無さそうだが?…

イマイチ不気味だな?…

ここでいっそ振り返って確認するってのも手なんだが…}


後ろを振り向いてその姿を正確に確認してはいないが、間違いなく

その気配はマサツグの後を付けて来ており!…その気配の主は

何を思って居るのか?…ただ黙々とマサツグの後を追い掛ける

だけで何もする事は無く…更に途切れる事無く後ろを付き纏い!…

マサツグも付いて来る主に対して何やら不気味さを感じると、

いっそ振り向こうか!とその追って来る主に対して向かって行く

姿勢を見せるのだが!…街中である事!…人の往来が多い事を

考えると、得策では無く…ある意味八方塞がりであるこの状況に

如何しようかと悩み出して居ると、シロも気が付いた様子で

マサツグの頬を軽く叩き始める。


__……ペチペチ…ッ!…


ごひゅひんははぁご主人様ぁ!…」


「ッ!……だぁいじょうぶ!…分かってるよ!…

……ただその油塗れの手で叩くのは止して欲しかったかな?…」


シロもマサツグに合図を出す際!…何やら後ろの気配に警戒した様子で

マサツグの頬を叩いては、フライドチキンを口に銜えながら呼び掛ける

のだが、マサツグは笑顔でシロに大丈夫と!…後ろから追って来る主に

聞こえないようボソボソ声で話しては気付いて居ると返事をするのだが…

その際シロに叩かれた頬が鳥の油か?食用油か?…ベタベタする事に

気が付いてシロにツッコミを入れ、シロもそのツッコミを受けて若干

ショボンとした表情を見せたが、すぐにフライドチキンを頬張る。


__ッ!…ハグハグ…


「……ふぅ~…やれやれ!……それより……」


__コッ…コッ…コッ…クルッ!…コッコッコッコッコッコ!!…


この時当然マサツグにはシロの姿が見えては居ないのだが、何と無く

把握出来てしまい…その様子に苦笑いをしつつ気を改め直すと、後ろから

迫って来る気配に集中し!…丁度良く曲がり角が迫って来ると、何と無く

その角を曲がって見せる。するとその後ろから追って来る人影も慌てて

マサツグの後を追い駆ける様に角を曲がり!…そこで待って居たとばかりに

マサツグが威圧的に仁王立ちして見せて居ると、シロを肩車した状態で

腕を組んではその人影を睨んでいた!…その際シロも真似するよう口に

食べ終えたフライドチキンの骨を咥えては腕を組んで見せて居り!…

その様子に追って来た人影が声を挙げて驚いた反応を見せて居ると、

マサツグはその人影に声を掛ける。


「ッ!?…うおぉぉ!?…」


「……何か俺達に御用でも?…」


「御用でも?…」


「………。」


マサツグ達の目の前に現れたのは明らかに怪しい!…全身装飾された黒の

ローブに身を包んだ謎の人物であり、フードも深く被っているせいか顔は

見えず、その手には杖と…あからさまに魔法を使うと言わんばかりの

魔導士が一人立って居た!…しかしそんな相手に臆する事無くマサツグが

声を掛け出すと、シロも真似する様にその相手へ声を掛け出し!…その際

不測の事態に陥っても大丈夫な様に、マサツグは刹那をいつでも発動出来る

よう構え!…相手の出方を伺って居ると、その魔導士はジッとマサツグの

姿を見詰めた後…何故か突如として笑い出す。


「……プッ!!…ククク!!…

あははははははは!!」


「ッ!?…な、何だぁ?…何が…」


「いやぁ!…スマンスマン!!…

そんな警戒されるとは思っても無くて!…ククク!…

あぁ!…俺は怪しい者じゃない!…

寧ろの知り合いだと名乗っておくよ!…」


「ッ!?…その呼び方!?……え?誰?…」


自分が追い詰められている状況だと言うのに突如として笑い出す怪しい

人影に…マサツグとシロは当然の様に戸惑った表情を見せては

何事か!?と更に警戒をする!しかし目の前の人影はその二人の様子が

可笑しかったのか、ただ笑っては自分の事を怪しくないと説明し出し…

その際マサツグの愛称を知っている様子でマサツグに話し掛け出すと、

その愛称で呼ばれた事にマサツグは更に困惑する!…その愛称を知ってると

言う事はリアルの知り合い…このゲームを始めて約一か月!…今までに

魔法使いの知り合いが自分に居ただろうか?…とマサツグが悩み出すと、

その目の前のローブ男?はただマサツグの様子に笑い!…ヒントを

出す様に自身の事を話し始めると、徐にその深く被っていたフードを

脱ぎ始める。


「クククッ!…まぁ困惑するのも当たり前だよな?…

なんせ互いにアバターでの再会だし…」


__ファサ…


「え?…ッ!?……」


まるで友人の様に話し掛け出した怪しいローブの男?にマサツグは戸惑い

続け!…フードを脱ぎ出した事に気が付きその顔を拝見しようと視線を

ローブの男?に向けると、目の前にはまさかの予想だにしなかった骸骨が

姿を現す!…目を青く光らせては笑う度にカタカタと口を大きく開けて

揺れ動き!…別に大爆笑しているとかそう言う訳では無いのだが…ただ

大ウケして居る様に見えて何故か妙に不気味さを覚える!…さながら

某モモ〇ガさんを連想しそうな見た目をして居るのだが…それ以上に

骸骨の知り合い等俺には居ない!と困惑して居ると、その骸骨はマサツグに

名乗り出す。


「俺だよ俺!…と言ってもこの姿じゃやっぱり分かる訳無いよな?…

久しぶりヤブ!…俺や、勝利かつとしや!…」


「……ッ!?…え?…かっつぁん?……」


「そうそう!…いやぁ~…

新しい国が解放されたって聞いて遊びに来たは良かったけど!…

まさかここでヤブさんと再会出来るとは!!…

確かに本ちゃんから連絡は貰ってたからいつかは会えるやろうと

思ってたけど…まさかホンマにここで合うとは!!…」


「…あっ…あぁ…そ、そうなんだけど…それ以上に如何して?…」


ただ目の前にスケルトンが立って居る!…その事だけで既にマサツグは

驚いた表情を見せて固まってしまうのだが…更に波が押し寄せて来るよう

そのスケルトンはマサツグの親友…「かっつぁん」だと名乗り始めると、

そう名乗り出した事にマサツグは更に困惑の様相を見せ始める!…

当然目の前の光景に!…それ以上に何故この様な姿に!?とマサツグは

原因について困惑し…現実ゲームの世界を受け止める事が出来ずただ立ち尽くして居ると、

かっつぁんはその反応が見たかった!とばかりに笑い飛ばす!…そして

マサツグと再会出来た事を一人喜んではマサツグに話し掛け!…

マサツグはただただ目の前の光景に理解出来ず苦しみ…互いがそれぞれ

違う反応を見せて居る中…シロは先程からその目の前のスケルトンに対し

興味津々の表情で目を輝かせると、我慢出来なかったのかかっつぁんに

飛び掛かる!


__ウズ!…ウズ!…ウズウズ!!……ッ~~~!!!…バッ!!


「はははは!……ん?…」


__ガバァ!!!…しゃ~ぶしゃ~ぶ!…


「のわああああああぁぁぁぁ!!!!」


マサツグが固まって居るのを良い事に踏み台にすると、一直線にかっつぁんへ

向かって飛び付き!…そのまま笑っているかっつぁんの顔面に覆い被さるよう

しがみ付き張り付くと、舌なめずりをする!…その際シロの目は好奇心に

輝いて居り!…張り付かれた当本人は全く状況を理解出来ずに困惑して居ると、

シロはかっつぁんの頭にこれでもか!と言わんばかりにしゃぶり付き始める!

その様子はもはや犬用のおやつに飛び付くワンコの姿にしか見えず、シロの

興味は食欲だったのか…とにかく笑って居た様子から一転!…突如シロに

飛び付かれしゃぶられ始めた事で悲鳴の様な声をかっつぁんが挙げ出し!…

マサツグはマサツグでまたその光景を目にすると、途端に慌て出す!…


「ッ!?…ちょ!?…シ、シロさ~ん!?!?!?」


「ご主人様!!!…この骨の人は誰なんですか!?

凄く美味しいです!!」


「ちょちょちょ!!…ストップ!!…スト~~ップ!!!

もう一個フライドチキンあげるから!」


__ッ!!…クルッ!!…


シロが突如かっつぁんに飛び付き!…更にしゃぶり付き出した事に驚くと

マサツグは慌ててシロを呼ぶのだが、シロはかっつぁんにしゃぶり付く事で

頭が一杯なのか!…呼んだ所で離れようとはせず、ただマサツグに尋ねる

ようかっつぁんを誰か?と尋ねてはしゃぶり続ける!…その間かっつぁんは

苦しんでいる訳では無いのだが悲鳴を上げ続け!…生きて居るかの様に

痙攣して見せてはマサツグに助けを求めるよう腕を伸ばす!…その様子に

マサツグもヤバいのでは!?と理解すると、屋台で貰ったフライドチキンを

取り出し!…シロの誘導を試み出すとその匂いに釣られてか、シロは

マサツグの方に振り向き出す!……この時辺り一帯にはかっつぁんの悲鳴が

木霊していた…



__おわああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!……



……さて、この後シロはやはり肉が良いのか、マサツグの誘導にまんまと

引っ掛かるとシロは無事マサツグの手により保護され…かっつぁんも

無事解放される訳なのだが…既にその頭はシロによってしゃぶり倒された

後で、唾液でクッタクタのベロベロに……解放された際もかっつぁんは

叫び疲れたのか自身の膝に手を着くと息を切らし…マサツグに尋ねるよう

シロの事について聞き出すと、マサツグはそのかっつぁんの

ステータスを確認しながら答える。


「ぜぇ!…ぜぇ!……な!…何なんだこの子は!?…強過ぎるだろ!?…

俺がこの姿で始めた頃それは物凄い勢いで子供たちに怖がられていたのに!…

顔を見た途端に襲い掛かるとか!!…一体どんな訓練をしてるんだ!?…」


「え?…いや別に何も教えていないぞ?…

これがデフォ…」


「で、デフォ!?…」


 ----------------------------------------------------------------------

「レイヴン」

「ワイトウィザード」

 Lv.37    「魔導師」

 HP 3350          TP 1280        装備 

 ATK 145+10  DEF 240+180   E 武器 骨魔導の杖

 INT 370+120   RES 350+80           頭装 魔導の法衣(頭)
                     
 AGI 120       LUK 115         体装 魔導の法衣(体)   

                    足装 魔導士のブーツ

 MS [魔術Lv.8]  [短剣術Lv.5]     装飾 不死骨のクロス

 SS [鑑定LV.7]    [採取術Lv.7]    

      [技術向上]    [リッチの系譜]                 

        [魔法術の探求者] [二種詠唱ツインスペル]         

        [感知Lv.4]    [念話]

                    

  [術技]

   ファイアーボール   TP 10   アイスボルト     TP 15   

 ライトニング       TP 20   エアロエッジ     TP 20

   ライトアップ       TP 10   ダークネス        TP 15

   シャープアップ    TP 20     ガードポイント    TP 20  

   スピードラン   TP 25     フレアレイン     TP 35  

   アイスダッシャー TP 40     サンダーボルト    TP 45

   ウィンドランサー TP 45     ガイアスマッシュ TP 50
 
 -----------------------------------------------------------------------

レイヴンかっつぁんはとにかくシロに驚いた様子で、このゲームを始めた当初の事を

話し出してはシロの事についてマサツグへ質問をし始め、マサツグは

レイヴンをかっつぁん本人と信用したのか…シロの事を平常運転と

話し出すと、その返事を聞いたレイヴンは更に驚きと戸惑いを露にする!…

別に人を驚かせる趣味を持っているとかでは無いのだが、余程最初の

インパクトが強かったのかレイヴンはシロに対して警戒を強め!…

マサツグと会話をしている最中も何度かシロをチラ見し…シロもシロとて

フライドチキンを頬張ってはジィ~…っとレイヴンの事を見詰めて居た!…

…さて、ではこのレイヴンかっつぁんは一体誰なのかと言う話なのだが?…簡単言うと

マサツグの親友であり、このゲームを一緒にやらないか?と勧めて来た

三人の親友の内の一人である。マサツグの数少ないリアル友達で基本温厚…

仲間内で話す際もツッコミ担当をする様な仲間思いの気さくな人物である。

そんなレイヴンとこのゲーム内で再会出来た事を喜ぶ半面…やはり有る事が

気になると、マサツグは問わずには居られなかった。


「……で?…何でそんな…あぁ~っと…ワイト…かな?…

になってんの?…他にも有っただろうに…」


当然マサツグが気になって居ると言う事はレイヴンがワイトで有ると

言う事であり…改めてマジマジ観察し出すと思わず何処かの某思考の

御方と比べてしまう…まず容姿・言わずもがな骨…恐らく骨格的には

成人男性であろう骨。そして全身を隠す様に大きめのローブを身に

纏っては所々に金の刺繍が入っており、ドクロをあしらった杖を手に

持っている…パッと見だと間違いなく敵と誤解されてFFフレンドリーファイアー

待った無しだと心の中でツッコみ!…何故そのアバターを選んだのか

理由について質問をすると、レイヴンはただ簡単に理由を答える。


「え?…いや別に…ただ面白そうだったからだけど?…

それにプレイ人口少ないし…」


「いやいやいやいや!…そりゃプレイ人口は少ないでしょうよ!

なんせ骨だもん!!…だからシロにも狙われてるし…」


__ジィ~~~!!……ッ!?!?…バッ!…


別に深い意味も無い…ただ面白そうだったからと言う答えが返って来た上に

プレイ人口の話まで持ち出すと、マサツグは思わずレイヴンにツッコミを

入れ出す!…余程骨が好きな人間でない限り選ばないアバターだと言う事は

マサツグも重々承知しており、だからこそ何か理由が有るのでは?と何か

スキル的な事を尋ねたにも関わらず!…まさかの帰って来た理由が面白そう

だったからと…ただ戸惑い呆れた様子でレイヴンへ更にツッコミを入れては

シロの事を例に挙げ、シロはシロでやはりフライドチキンを頬張って居る

のだがレイヴンから一切視線を逸らす事無くただ興味深そうに見詰め、

それを見たレイヴンも慌ててシロに身構え出す!…そして二人の間に奇妙な

緊張感が走り出し!…二人の様子を見て居たマサツグも一応ながらにシロへ

指示を出し始める…


「シロ~?…ステイ!…ステイだぞぉ?…この人は襲っちゃ駄目!…

…確かにシロからすれば襲いたくなるだろうが襲っちゃ駄目!…」


「……はいでふ!!」


__ジィ~~~~~!!!…


「……ねぇ!?…これ本当に大丈夫!?…

何か視線が更に強くなった様な気がするけど!?…」


マサツグはシロにレイヴンを襲わないよう指示を出すと、シロはフライド

チキンを食べつつ返事をするのだが…やはりその視線は一切ぶれる事無く

レイヴンを好機の目で見詰めており、それを見てレイヴンが不安そうな

表情を見せると、マサツグに慌てて確認をする。そんなレイヴンの様子に

マサツグは苦笑いをするしか無く…ただ誤魔化す様な仕草をして見せて

居ると、ふとある事に気が付く。


「……それはそうと何で俺の後を追って居たんだ?…

それに俺だって?…」


「え?…さっきも言ったと思うが?…

まぁ…何と無しにやって見たくなって…案の定バレて…

で、アバターに関しては本…ッ!…じゃなかった…

モツから聞いてたし…黒髪のクラ〇ドが白い犬耳幼女連れてるって。」


「ッ!?…おいちょと待て!…

その色々誤解を招きそうな言い方何とかならないのか!?…」


「まぁまぁ!…で?…マサツグはここで何してるの?…

見た感じ観光って感じに見えんかったけど?…」


マサツグは先程の尾行の事を思い出した様子でレイヴンに尋ねると、

続けて本人確認の方法について尋ね出し…レイヴンはその問い掛けに

対して答えてなかったっけ?…と言った戸惑い気味の反応を見せると、

尾行の理由と如何やって確認したかを説明し始める。尾行に関しては

ただの興味本位!…本人確認の方法はモツからと!…その際モツから

送られて来たであろう確認方法に、マサツグはすかさずツッコミを入れ!…

そのマサツグのツッコミにレイヴンは落ち着くよう声を掛けると宥め…

改めて何処へ行くのか?とマサツグに尋ね出すと、マサツグは更にふと

思いついた様子でレイヴンの問い掛けに答えて、ある事を話し出す

のであった。

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辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

転生騎士団長の歩き方

Akila
ファンタジー
【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】  たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。 【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。   【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?  ※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
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嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
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王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~

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錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。 しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。 カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。 一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

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 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
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 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

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