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-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-

-第二章二十八節 尋問と鬼畜マサツグと口八丁手八丁-

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襲い掛かって来た賊達を片付け…シロとじゃれ合っては何処も怪我をして

居ないかを確かめ一息吐いて居ると、マサツグはその場に倒れ込む賊達の

姿を見てふとある事を思い付く。そして思い立ったが吉日と言った様子で

まだ息の有る賊達を一人一人確認しては、自身のアイテムポーチから縄を

取り出して手足を縛って拘束し始め…そんな様子にシロも手伝うと言って

駆け寄るのだが、マサツグはシロに休むよう言って馬車に戻らせようとして

いた。


__……スッ…ゴソゴソ…ギュッギュッ!…


「ッ!…ご主人様?…何をしてるのですか?

シロもお手伝い!…」


「ッ!…あぁ!!…いい!!…大丈夫!!…

シロももう眠いだろ?後は俺一人で始末しておくから

ゆっくりお休み?」


「……ッ?…どうしてですか?…

二人でやればあっと言う間?…」


マサツグは慌てた反応で返事をするとシロの事を考えて馬車に戻るよう

言うのだが、シロはマサツグに首を傾げて不思議そうな表情で尋ねる。

それも至極当然な正論で返されると、その言葉にマサツグは怯んだ様に

戸惑って見せ…若干悩んだ様子でマサツグは今から自分がやろうとして

居る事をシロに見られたくは無いと、苦し紛れに言い訳を口にする。


「ッ!…あぁ~っと…そうだなぁ…ッ!…

こっから先は大人の世界だから…かな?…

シロは良い子は寝てなさい!…」


「……ッ?…はい…です…」


__ザッ…チラッ…ザッ…ザッ…チラッ…ザッ……チラッ…


「あははは…」


マサツグが口にした言い訳…それはとても他人を納得させるには

厳しい物で、とにかくオタオタと慌てた様子で身振り手振りで

シロに言い聞かせるとシロは首を傾げながらも聞き訳が良いのか、

マサツグの言葉に同意しては一人スゴスゴと馬車の方に戻って行く。

その際何度も振り返っては気になる様子でマサツグの事を見詰め、

マサツグもその視線を感じては苦笑いするとシロに手を振って見せ…

シロが無事に馬車の中へ戻った事を確認すると、マサツグは続けて

作業を再開する。


__ギイィィ…バタンッ!…


「……さて…こっち側はこれで粗方…

あのカマイタチに巻き込まれた奴はどうしようもないな…

あの斬撃痕の中にでも埋めておくか…」


まずはマサツグが戦って居た方の賊を片付け終えると、捕縛者は五人…

シロのカマイタチに巻き込まれて死者が一人と、その遺体の処理に

困った反応を見せるのだが、丁度近くにシロのカマイタチ痕がある事を

確認すると、その残痕の中に遺体を落として遺体を埋めてしまう。

そうして五人の捕縛者を連なるよう一纏めにして馬車から離れた場所に

放置すると、今度はシロが対処終えた方に向かい…同じ様に処理を

しようとするのだが、馬車の反対側に目を向けた途端その惨状に

マサツグは絶句する!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……


「ッ!?…えげつねぇな!…」


マサツグが馬車の反対側に辿り着いた瞬間、その目の前に広がって居た

光景はまさに嵐が過ぎ去った跡!…大岩にもたれ掛かる無残な姿!…

逆くの字に折れ曲がってピクリとも動かない姿!…極め付けは余程

怖かったのか失禁して大の字に倒れ気絶する賊の姿と…至る所に

カマイタチ痕が残っており、良くこれで馬車が無事だったなと考えて

いると、その馬車の側面には投げナイフが幾本も刺さっていた。そんな

酷く惨い惨状にも関わらずR指定は掛からないのか、いつもの黒い影が

掛かって居ない事に驚きを覚え…マサツグが一人困惑の様子を極めて

いると、まだ賊達には息が有ると…この状況を持ってしてもまだ生きて

居る賊達の生命力!…いや、シロの手加減か?…何方にしてもその後始末を

するのかと考えると、マサツグはゲンナリする。


「シロちゃん…偉く派手に暴れたな……

これ後始末が大変だぞ……はあぁ~…」


…さて、そんな惨状の中一人一人を先程の様に手足を縄で縛って捕縛…

計四人を回収すると、先程縛った五人の居る元へと一人一人連れて行く。

その際一つ一つの現場に足を踏み入れるとマサツグの目には何が有った

のかが手に取る様に分かり…これもシロの飼い主としての能力なのかと

考えつつその四人も運び終えると、丁度気絶していたリーダー格に

その他仲間と…目を覚ましては今の自分達の様子に戸惑いを覚える。


「……う、うぅ~ん……ッ!?…これは!?…」


「な、何なんだこれ!?…」


「ッ!?…貴様!……チッ!…」


「おっ?…丁度良いタイミングで起きたな?…」


目を覚ますと自分達の手足は後ろ手に拘束され芋虫状態…仲間も自分の

横に一列で並べられて身動きが取れず、自身の間合いにアイテム・武器が

無い事に気が付くと抵抗する事無く…その場で恨めしそうにマサツグを

睨んで舌打ちして諦める。目が覚めた仲間の中には自身の今の現状が

如何なっているのか分かっていないのか、ただ慌てる様に藻掻き続け…

マサツグも賊の一部が目を覚ました事に気が付くと、その賊達の前に

立って質問をし始める。……そう尋問であった。


「さぁて?…この状態で目が覚めたって事はもう分かってるとは思うが…

…もはやお約束の尋問タイムだよ~っと……単刀直入に聞くぞ?…

お前達の雇い主は誰だ?……目的は?……」


「「「………」」」


「…はあぁ~…そらそうだよな……

そら簡単に口を割る訳ないか……じゃあえ~っと…

っ!…有った!」


マサツグが寝転がるリーダー格の前に立って冷徹な視線を送ると、

皮肉の言葉と同時に質問を開始する!…その際相手も分かっている

様子でリーダー格を始めとして目を覚ました仲間はマサツグの質問に

対して黙秘をし…何が何でも答えないと言った姿勢を見せて居ると、

その様子にマサツグはカクンと項垂れては分かって居たとばかりに

溜息を吐く。そして面倒臭いと言った感情を丸出しに一人喋り出すと、

徐に自身のアイテムポーチを探り出し…少し探して見つけたのか小瓶を

手にその賊達を見下ろし始めると、賊達のリーダー格はマサツグに

吠える!


「ッ!…何をしても無駄だ!…俺達は何も喋らんぞ!!」


「……別にいいよ?…喋らなくても?…

ただ一方的に喋らせようとするだけだから…

あんた達の意思とか関係無しに聞くだけだから…」


__プスッ!…チュゥ……ピュピュッ!!…


小さくもながら抵抗の意思を見せるリーダー格なのだがマサツグは

全く怯まず!…ただ今の賊達の姿を見ては何も出来ないと言った

様子で余裕の態度を見せると、その小瓶にセットで付いて有った

注射器を手にする。そして封をしたまま蓋ごと注射器を刺して

小瓶の中の薬液を取り出すと、空気や不純物等を外に出すよう

中身を若干噴き出して見せ!…色も暗い緑色と明らかに劇薬っぽい

色を見ては、賊達も戸惑い怯え始める。


「ッ!?…」


「さぁて?…手始めにお前から行こうか?…」


「ッ!?…ヒィ!?…」


__ウゴウゴ!…ウゴウゴ!……プスッ!…チュゥ…


マサツグはその注射器を手に怯える賊達の中から無作為にリーダー格を

除いた一人を選び…選んだ賊にゆっくり近付き何の表情も無く、無慈悲に

躊躇いも無く!…首元に突き立てるよう針を刺すとそのヤバい緑色の薬を

注射する!…刺された方も最初は怯えた表情を見せては必死に抵抗しようと

するのだが、思う様に動けず…抵抗空しくマサツグに注射され数分の時間が

経過すると、症状が出たのか徐々に表情が苦痛の色に変わり始める!


「……ッ!?…ウッ!…ウぐッ!?…

ぐがあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


__ゴロッ!…ゴロッ!!…ウゴウゴウゴウゴ!!…


「ッ!?…ページ!?…ど、如何したんだ!?一体何を!!

……ッ!!…貴様ぁ!!…何を!?…」


注射をされた賊の一人が突如として苦痛の声を挙げると、その様子に

周りの賊達は酷く困惑し怯え始める!…ただ声にならない声を挙げるよう!…

のた打ち回るその姿はまるで熱湯を掛けられたムカデの様で、そんな薬を

何の躊躇いも見せずに使ったマサツグに対して畏怖の念を抱き出して居ると、

マサツグはただ表情を変える事無くそののた打ち回る姿を見詰めている!…

リーダー格がその賊の名前を呼んで安否を確認するが、その賊はただ

のた打ち回るだけで…そんな状態にしたマサツグに対して深い憎しみを

覚えるとマサツグを睨み!…マサツグはマサツグでスッとリーダー格の

前に立ってその使った小瓶を目の前に置いて見せると、その小瓶の正体に

ついて話し始める。


__スッ……


「何をもクソも無いでしょ?…さっき言ったじゃ無いか…

これは尋問だって?…さっき打った薬もただの自白剤って奴だよ…

最近の道具屋には色々揃ってるモンだ!……本当に…色々…」


「ッ!?…バ、馬鹿な!!…そんな物が置いて有る訳が!!…」


「信じないなら信じないで良いよ?…今関係無い事だから?…

それよりもまだ話さない?…話さないなら次やっちゃうけど?…」


「ッ!?…」


リーダー格の目の前に置かれた小瓶のラベルには明らかに危険とばかりに

ドクロが書かれて有り!…それを見てリーダー格が戸惑いを露にすると、

マサツグは表情変える事無く淡々と自白剤と説明する…そしてそんな説明を

聞いたリーダー格は有り得ない!と声を荒げては戸惑いながらマサツグに

文句を言うのだが、マサツグは全く気にしていない様子で…ただ返答が無い

のならと言葉を口にすると目の前に置いた小瓶を回収し、また注射器で取り出し

残った賊に対して誰に使うかと選び始めると、賊達は必死に許しを請い始める!…


「…さぁて?…次は誰に使うかなぁ~?…

い~ろ~は~に~ほ~へ~と♪……」


「ヒッ!…ヒイィィ!!…襲った事は謝る!!…

だから!!…だからあぁぁぁぁ!!!…」


「い、嫌だ!!…死にたくない!!…死にたくない!!!…

死にたくないぃぃぃ!!!」


「ッ!?!?………ッ!!…」


マサツグはサディスト全開でいろは歌を歌い出すと注射する賊を選び!…

賊は賊で襲った事を謝るよう!…ただただマサツグに命乞いをしては

選ばれないよう泣き崩れる!…阿鼻叫喚の酷い絵面にリーダー格も戸惑いを

覚えるのだが、そこは隊長としての自覚が有るのか…覚悟を決めた様子で

マサツグの方に振り向き声を掛けると、自分に打つよう呼び掛け始める!


「クソッ!!…おい!!…やるなら俺にやれ!!…

仲間に手を出すな!!!…」


「……お前から話を聞かないといけないのに壊しちゃ意味が無いでしょ?…

馬鹿を言ってんじゃないよ?…」


「黙れ!!!…黙って俺に注射を!!!…」


「か~み~さ~ま~の~い~う~と~お~り!!……次はお前だ!…」


リーダー格はマサツグに焦りを覚えながら必死に自分が身代わりに

なると叫ぶが、マサツグはその呼び掛けに対して全く言う事を聞かず…

寧ろ馬鹿にするよう声を掛けると賊達の抽選を再開する!…しかし

リーダー格もそんなマサツグに対して折れる事無く、更に呼び掛けては

自分を身代わりにと叫ぶのだが、マサツグは無視してまた一人!…

無作為にリーダー格を除いた一人を選び…選んだ賊にゆっくり近付き

何の表情も無く、無慈悲に躊躇いも無く!…首元に突き立てるよう

針を刺そうとすると、その選ばれた賊はまるで某賭博漫画張りにグニャ…

とした精神崩壊具合を見せ始める!


「あ…あぁ!…や…やめてくれ!!……

ヒッ!…ヒイィィ!!!…た!…助けてくれぇ~~!!!!」


「おい!!!…俺にやれって言ってるだろ!!

無視すんじゃねぇ!!」


「おいおい…何度も言わせるなって…お前達に決定権は無いんだぜ?…

これは尋問であって罰ゲームとかそんなんじゃあないんだぜ?」


…この時…マサツグが選んだ賊はあのシロにトラウマを植え付けられた賊で、

今日だけでもシロに!…そして今マサツグにと今日が大凶クラスの厄日だと

ばかりに!…それも今まさに命の危険が迫る体験をして精神を崩壊させて

いた。幾ら助けを呼ぼうが誰も来ない!…ただ近付いて来るは自分の命を

絶つかもしれない注射の毒針!…リーダー格も必死にマサツグに呼び掛けては

何度も身代わりになると叫ぶのだが、マサツグは呆れた様子で返事をし…

ターゲットを変える事無くただ恐怖を深く深く賊に植え込んで居た!…

そしてこの時先程までのた打ち回っていた…先に注射をされた賊はと言うと、

いつの間にか突っ伏してはそのまま動かなくなり…静かになって微動だに

しない…まるで死んだ様に転がされ放置されていた。そして抽選された賊は

シロの時とは違う錯乱状態に入ると、ひたすらにマサツグに許しを請い始める!


「た!…ヒュッ!…頼む!!…ヒュッ!…助けてくれ!!

まだ…ヒュッ!…まだ!…死にたく…ヒュッ!…ない!!……」


「死にはしないよ~?…

ただ廃人になるかも知れないだけだよ~?…」


「う…うわぁ!!…ああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


追い詰められた賊は過呼吸になりながらもマサツグへ必死に許しを請う

のだが、肝心のマサツグはと言うと何処かのキツネ面を付けたマッド

サイエンティストの様な口調で、悪い笑みを浮かべては注射器を賊の

首元へと近付ける!…その姿光景はもはやマッドサイエンティストと

モルモットにされた被験者!…そんな被験者の悲鳴に限界が来たのか…

苦渋の表情でリーダー格が違う覚悟を決めると、先程までの様子とは

打って変わってリーダー格は遂に口を割る!…


「ま!…待て!!!…ッ~~!!!…

分かった!!…話す!……

話すから待て!!」


「ッ!…ほぅ?…何を?…

まさかこの期に及んで命乞いだったら!…」


「違う!!…貴様の欲している話の内容だ!!!」


慌てた表情でマサツグを呼び止め…遂に折れた様子でガックリ俯くよう

頭を地面に擦り付けると、その呼び掛けに反応するようマサツグも

一度はピタッと手を止める。目の前では過呼吸状態の賊が恐怖に顔を

引き攣らせ、目に涙を溜めては声にならない声を挙げており…マサツグは

そのリーダー格の呼び掛けに対して下らない事だったらと賊の仲間に

注射器を構えて脅しを掛けると、リーダー格は真実を話すと言っては

やはり渋る様に話し出す。


「……ッ!!…ゲルデウス!!…」


「…ッ!…え?…」


「アスモマウデル・ゲルデウス・マウニー!!!……

それが俺達の雇い主だ!!……正確には俺達は賞金稼ぎで、

アンタには賞金が掛けられて有って!…

あの馬車の中に居る姫様を取り返して来たら更にボーナスが

貰えるってんで襲ったんだ!!…それだけだ!!」


「……ほぅ?…」


リーダー格がまず話し始めたのは自分達の雇い主の名前であり、

名をゲルデウス…と言いたくない様なトーンで喋ると、その喋り方に

マサツグはもう一度訪ねるよう声を掛ける。この時聞き返したのは

聞き取れなかったからではなく、ただ単に聞いた事の無い名前で

あったからであり、誤解した様子でリーダー格が声を荒げると今度は

その雇い主のフルネームを口にする!…その際出て来た名前は

アスモマウデル・ゲルデウス・マウニー…あのギルドに警告文を

送って来たその人であり、続けて襲い掛かって来た目的を賞金の為と!…

やはりマサツグが賞金首にされた事を話し、更にミスティーを

誘拐しようと動いて居た事を話し出し!…それを聞いてマサツグは

考えるよう返事をすると、更にリーダー格から奇妙な話を聞く!…


「……何故そこまでしてあの女をしつこく狙うのかは知らない!…

こっちはただ賞金が手に入れば良いだけだからな!…

…だがアイツは異常だ!!…奴からこの話を受ける際!…

奴の屋敷に行ったんだが!…あそこに有った物は全部が可笑しい!!…

あんな異常者だとは知りもしなかった!!!…」


「ッ!…理由が分からない?…それで姫様?…

言ってることが可笑しいとは…」


「奴がただターゲットの事を姫様と呼んでいたんだ!!…

雇い主によってはその名称はコロコロ変わる!…

姫様だったり!…子羊だったり!…上質の肉だったり!…

この手の依頼に真面な奴はいない!…

俺達はただの雇われの人攫いだ!!…金さえ貰えれば

後の事は知らない!…ただそれだけの関係だ!!…」


賊のリーダーは続けてその誘拐を依頼された理由について話し出すのだが、

その理由を分からないと答えるとその雇い主との関係はただの商売上と

だけ答える。その際雇い主の事をボロクソに言うよう異常と言っては嫌悪した

様子を見せ、その様子にマサツグは疑問を持つもまずは理由を知らないと

言った事について言及すると、やはり帰って来る言葉は一緒で…商売上の

モノとだけ答えられる。金さえ貰えればそれで良いと言っては深入りして

居ないと答え、呼び方に関しても雇い主がそう呼んで居たからと…影響?…

依頼上の呼び名?…で呼んでいたと話しては自分達の事をただの雇われと

必死に訴え!…そんなリーダー格の話を聞いてマサツグは注射器を手に

悩み始めると、更にある事を質問をするのだが…


「……アンタの言っている異常ってのは如何異常なんだ?…」


「ッ!……それはお前等自身の目で確かめたらいい!…

なぁに!…行けば分かるさ!!…何処まで可笑しいか!…異常か!!…

思い出したくも無い!!…一目でアイツの異常さが分かる筈だ!…」


「………。」


マサツグはリーダー格の言う雇い主…アスモマウデルの異常性について

質問をするのだが、それを聞いた途端リーダー格は青褪めた表情を

見せると答えたくないとばかりに、マサツグに自身の目で確認するよう

言い始める。この時リーダー格の青褪める表情からはただ気色の悪い!…

SAN値を失ったと言った様子が見て取れ、その必死の説明具合から

嘘を吐いて居ないと判断すると、マサツグは静かにその場で立ち尽くして

悩み始める。


{……こいつ等から話を聞いて大体は把握出来た…んでもって確信も持てた!…

間違いない!…今俺達が護衛しているのは…貴族かそれ以上の上流階級!…

そんでもってそのアスモマウデルにここまで狙われる理由は!…

ミスティーを何らかの人質にしようとしている可能性が高いって事!…

だとしたら何を企んでいる?…ミスティーが貴族だとして何処に強請りを?…

…こればかりは分からないが…

今までの偽装・夜襲・奇襲はそれだけ相手は必死って事で?…

それをたまたま偶然居合わせた事で受けた俺が全部被っていると…

オマケにミスティーを狙う相手と俺を指名手配にした奴が一緒で?…

居場所も同じ…って、どんな巡り合わせをしたらこんな事になるんだよ!?…

面倒この上ないな!?…何方にせよただの護衛任務に終わりそうに無いな!…}


マサツグは今までの話を聞いて頭の中で…ミスティーの今までの様子…

今自身が受けている事等…総合的に交えて色々思い出し考え出すと、

ある結論を導き始める。まずはミスティー…彼女は間違いなく今から

行こうとしているハーフリングスの要人で、それもかなり上の要人だと

言う事を認識すると、ここまで襲われる理由にも自然と納得出来る…

次にその襲って来る人物もハーフリングスの宰相であるアスモマウデルが

引き金である事を認識すると、ミスティーを誘拐する理由は何か政治的に

強請りを掛けようとしているのか?と色々考えるのだが答えは出て来ず…

ただここまでハーフリングスが関係し、色々妙な事が起きている事に

ついて…とにかく巻き込まれる様にしてバチ当たりしているとマサツグが

一人納得し始めていると、マサツグの考え事を邪魔する様にリーダー格が

声を掛け出す。


「……おい…おい!…おい!!

知っている事は全て話したんだ!!

その薬を早く引っ込めてくれ!!

ソイツが薬を投与する前に駄目になっちまう!!」


「あっ!…あぁ!!…」


「うおぉッ!?…なんっつ~顔してんだよ!?……はあぁ~………」


リーダー格がマサツグの事を大声で呼んでは薬を仕舞うよう呼び掛け続け、

その様子にマサツグは考え事が出来ないと言った様子で表情をムッとし…

その注射器を向けていた賊の方を確認すると、そこには恐怖で染まり切り

新たな扉を開けようとしている賊の姿を見つける。そんな様子にさすがの

マサツグも戸惑った反応を見せるのだが、薬は仕舞おうとせず…寧ろ

マサツグはサラサラ解放する気など無いとばかりに溜め息一つ吐くと、

その手にしている薬の入った注射器をその錯乱している賊に投与する。


__プスッ!…チュゥ…


「ッ!?…う!!…うぎゃああああああああ!!!」


「なッ!?……」


「止める訳ないじゃん!…用が済んだら始末する!…常識でしょ?…」


薬を投与された賊は先程の賊と同様…少し時間が経った後その場で

呻き声を上げてのた打ち回り始めると、その様子に周りに居る他の

賊達は酷く驚き困惑する!…やはり何の躊躇いも無い!…

全員を始末する気で居るマサツグに恐怖しては怯え、マサツグは

マサツグで悪い笑みを浮かべて止めないと言って全員に圧を掛けると、

その様子にリーダー格は吠える!


「ッ!?…この!!…外道がああぁぁぁ!!!」


「ッ!…はぁ?…外道?…それはどっちだよ?…

金さえ払えば相手の意思関係無しに人攫い!…

今までやって来た事の業が帰って来たと

考えるのが当然だと思うが?…」


__プスッ!…チュゥ……うぎゃああああああああ!!!…


自分達の事を棚に上げるよう外道と!…マサツグに向かって叫ぶのだが、

マサツグはそのリーダー格の言葉を可笑しいと否定しては構わず倒れて

いる賊一人一人に薬を投与して行き!…全員がのた打ち回り苦しむ

地獄絵図を作り終えると、最後にリーダー格の前に立ち始める。当然

この時リーダー格は恨めしそうにマサツグの事に睨んでいるのだが、

マサツグは不敵に笑って居り!…そんなマサツグを見詰めて賊は吠えると

恨み言の言葉も口にする!…


「クソッ!!…クソォォ!!!…

貴様!!…貴様あぁぁ!!!…

…例え死んだとしても!!…恨み晴らすからなぁぁ!!!…」


「死ぬとは大げさな!…俺はただ治療をしてやってるだけなのに!…」


「何だと!?…これの何処が!!!……ッ!?…」


__……ぺリッ…ぺリぺリぺリぺリ…


マサツグに必死の呪いの言葉を掛けるのだがマサツグは涼しい顔をして

笑みを浮かべて居り、リーダー格の言葉を御大層に!…と馬鹿にするよう

言葉を言ってのけると、その言葉でリーダー格は更に激昂する!そして

マサツグに噛み付こうと更に藻掻き始めるのだが、マサツグは徐に

先程まで使っていた小瓶のラベルを剥がし始め…それをリーダー格に

見えるよう剥がし切り、ラベルの下からまたラベルと奇妙な光景を見せると、

その下から出て来たラベルをリーダー格に読ませる。


「……と、投与型回復ポーション?…

…打つ場所によってはかなりの激痛が走りますが効果はばっちりです…

…って、これは!?…」


__……スゥ~…スゥ~…


「……プッ!…あっはっはっはっはっは!!!…

よぉ~く考えてみろよぉ~?…そんな街の表に店を構えている道具屋が

そんなヤベェモン置いてる訳ねぇだろうがよぉ~?

…ましてや置いて有ったとしても自白薬なんて代物を一介の冒険者が

持っている訳無いじゃないですかぁ~!…ヤダ~!」


「ッ!?…て!…テメェ!…嵌めやがったな!!」


ラベルの下に書いてあったのは回復ポーションと書かれた文字…

誰がこんな誤解を受けそうな紛らわしい形にしたのか?…寧ろこれが

功を奏して情報を聞き出す事に成功したのだが、騙された方は堪った

モノではない!…リーダー格がこのラベルを呼んでショックを受けて

いるとその周りでは回復の効果の副作用か、賊達は倒れたままピクリ

とも動かなくなり…ただ寝息を立てる様な静かな呼吸が聞こえて来ると、

その寝ている様子にリーダー格は戸惑う!…そしてマサツグはまんまと

騙されたリーダー格を馬鹿にするよう、頬を空気で膨らませては指を

差してm9(^Д^)プギャーと思いっきり大笑いし、その様子にリーダー格が

更に吠えると、マサツグは続けてリーダー格を嘲笑う!…


「いやいやいやいや!…勝手に騙されたのはお前らだろ?…

別に俺はただ自白剤って言っただけで劇薬とは言って無いしぃ~?…

死ぬとも言って無いし、何なら如何言う効果が有るとも説明して無いしぃ~?

自分の知識を信じ切れなかったお前のミスだしぃ~?…

…いや~!…それにしてもまさか傷薬一つでここまで盗賊達を騙す事が

出来た俺って!…なかなかの演技派だろぅ~?…」


「ッ~~~~!!!!…ふざけやがって!!

さっさとこの縄を解け!!…クソが!!!」


「おっと!…それは聞けない相談だな!!…」


マサツグは目をかまぼこの様に半月上にして馬鹿にするよう笑うと、

ただ騙されたリーダー格に対して煽るよう言葉を掛け…自分の演技が

上手い事出来たと言う具合に喜びを露わにしていると、その一言

一言が癇に障ったのか目に見えてリーダー格が藻掻き暴れ出す!そして

文句を言いながら縄を解くよう暴れ捲って叫ぶのだが、そんな様子に

対してマサツグは我関せずと言った具合に回避すると、回避様に

先程とは違う別の薬を使う。


__バサアァァッ!!…


「ッ!?…ゲホッ!…ゴホッ!!……

ペッ!…ペッ!…ペッ!…今度は何だ!?…

ッ!?…こ、これは!?…」


「へ?…何って?…お前達が持っていた…えぇ~っと…確か…

ネムリテングダケの粉末だっけ?…それをぶっ掛けただけだ!…

お前らにはそのままの状態で暫くの間寝てて貰うぞ?」


「ッ!?…ク、クソ!!…こんな所で寝たら!!…モンスターに!!…

ふ!ざけ…る…な…zzz……」


バックステップ越しにマサツグが包みを手にすると風に乗せて霧散するよう

中身を放ち!…その包みから淡い青色をした粉が寝転がる賊達に対して

降り掛かるよう舞うと、最もマサツグの近くに居たリーダー格は諸に粉を

被っては一人咽る!…そして咽た後何を掛けられたのかと直ぐに確認すると、

直ぐに分かったのか慌てた表情を見せ!…マサツグはマサツグでただ

ネムリテングダケの粉末を掛けた笑顔で答えると、その答えにリーダー格は

吠えようとする!しかし幾ら吠えようとしたところでこのネムリテングダケ

の粉末には即効性が有るのか、直ぐにリーダー格の動きを封じ…徐々に

力無くその場に倒れると眠ってしまい、その様子にマサツグがさすがと

言った具合に無言でネムリテングダケの粉末の包みを見詰めて居ると、

何やら気配を感じ始める。


__パタパタッ!!…パタパタッ!!…


「……ん?…何か妙な気配を……ッ?…」


__パタパタッ!!…パタパタッ!!…


「……ッ?…アレは何をしてるんだ?…」


マサツグがその気配を感じる方に振り返り何が有るのかと確認すると、

そこには先程まで逃げていた筈の御者が既に馬車へ乗り込んでおり…

マサツグに戻るようジェスチャーをしては何やら焦った表情を見せて

必死に手綱を握っていた!…しかしマサツグの居る場所からだとただ

手を振っている様にしか見えないのか、その御者の行動にマサツグは

戸惑い…結局意味は伝わらないままマサツグは何が有ったのだろうと

言った具合に馬車へ戻ると、御者はマサツグに慌てた様子で声を

掛け始める!


__タッタッタッタッタ!…


「ッ!?…旦那!…早く乗ってください!!

折角寝かし付けたのにまた起きて襲われたら面倒ですぞ!!」


「……いや、うん…そうなんだが……

アンタもいつの間にか馬車に戻っていたのな?…」


「それはそうです!!

こいつが無ければ商売上がったりですからな!!」


「………。」


御者はただマサツグに急いで馬車に乗るよう声を掛けるのだが、

肝心のマサツグはと言うと御者の素早い帰還の方に戸惑いを覚える!…

いつの間に帰って来たんだ?…賊達の意外な寝息の静かさへの戸惑いも

忘れる程に…思わず御者にツッコミを入れると、御者は馬車命!と

言った具合にマサツグへ熱く答え!…それを聞いたマサツグが思わず

クランベルズの露店の様子を思い出すと、商魂逞しいと言った様子で

更に戸惑いを覚える…そうしてマサツグも馬車に乗り込むと賊達を

その場に放置して足早に現場を後にし、マサツグも一段落着いた所で

仮眠を取り出すと、二日目の夜を馬車の中で過ごすのであった。


…さて、三日目…今日の時点であの襲われた現場からかなり距離を

取る事に成功するのだが、幾ら盗賊達に襲われたとは言え…夜通し

馬を走らせたせいか馬はへばると走るどころか歩く事すら出来なくなる。

幸いにも近くに湖があった為、暫く馬とマサツグ達を休ませる為に

休息を取るのだが、シロが徐にマサツグの前へ立つと何を思ったのか…

あの賊にトラウマを植え付けた悪い笑みをして見せると、マサツグは

真顔で困惑する。


__……ニタァ!!……


「ッ!……え?…急に如何したんだ?…シロ?…

何でまたそんな悪い笑みを?…」


「……あれ?…上手く行かないのです…」


「ッ!?…シロちゃん!!…

それは相手が自分より強いと思わせないと効かないハッタリ技なの!!…

それにマサツグさんはシロちゃんに一切恐怖心は持っていないよ!!」


「へ?…」


突如チェシャ猫の真似かと思う様なニンマリ顔を見せられマサツグが

戸惑って居ると、シロはそのマサツグの反応に不思議がる…思う様に

行かないと期待した反応と違う事に若干ガッカリした様子を見せて居ると、

ミスティーが教えたのかシロに詳しいやり方を教え、マサツグには

効かないであろう事をシロに伝えると、シロはキョトンとした表情で

戸惑う…如何やらミスティーに教えて貰った威嚇方法を気に入ったのか、

昨日賊に対しやって見て効果が有った事を手応えに!…マサツグに威嚇を

してみたのだが見事に空振りと…シロが威嚇に失敗した事でキョトンと

していると、その話を聞いたマサツグは察した様子で不敵に笑い掛けては

シロへある言葉を口にする。


「なるほどぉ~?…そう言う事か……シロォ~?…<降伏>!!」


__ピクッ!!…バッ!!…へっへっへっへ!……ガッ!!…ブラァ~ン…


「お?…おぉ?…」


__ガッ!…ブン!!…ブン!!…


「ならこっちも容赦せん!!」


マサツグはシロにただ一言…<降伏>と口にすると、シロは耳をピクっと

動かしては反応し!…その場で仰向けになり自身のお腹を見せるよう

転がるとそこから動こうとはせず、ただ尻尾を振り続ける。さながら

その様子はまさに犬が強者に対して降伏して居る様で…その後逆さ吊りに

するようマサツグがシロの両足首に手を掛け持ち上げると、捕まえた

両足首を自身の両脇に抱えるよう拘束し!…シロを振り回すようその場で

クルクル回り始めてはマサツグは容赦なくシロにジャイアントスイングを

し始める!…しかしシロはジャイアントスイングをされているにも

関わらず、構って貰っていると勘違いしているのか…ただキャッキャッと

笑い万歳しては振り回され喜ぶのであった!


__ブンブンブンブン!!!…


「きゃあ~~~~~♪」



__……数十分後…



__ブンブンブンブン!!…ブン!…ブン……ブン……ポテッ!…ドサァ!…


「ご主人様、ご主人様ぁ~♪」


「ぜぇ!…ぜぇ!…や…やり過ぎた!…しんど!!…」


そうして一頻り回った所で先にダウンしたのは言うまでも無くマサツグ!…

徐々に回転数が落ちて来るとその場に崩れるようゆっくりシロを降ろし…

シロを降ろし終えた所でマサツグが倒れ、シロは拘束から話されると

起き上がるなりマサツグに縋り付いては尻尾を振って喜びを露わにする!

そして倒れるマサツグは息を激しく切らしてはその場に倒れ…その様子を

ミスティーが心配した様子で見詰めて居ると、休憩は終わる。その後

何事も無くマサツグ達は無事ハーフリングスまでの道のりを完走する

のだが、その際マサツグは馬車の中で休みながらふと思い出した様子で

シロに質問をする。


「はぁ!…はぁ!…そ、そう言えばシロ?…

襲われた時仮面〇イダーの真似をしてたけど一体どこで覚えたんだ?…

その手のモノは見せた事が無いと…」


「……ッ?…ッ!…

あぁ!…あれはギルドに居たオジチャン達がやってました!

ご主人様がルンさんとお話している間♪…

色々やって見せてくれたので楽しかったのです♪」


{ゆ…愉快勢ぇ~…}


思わず気になった事と言うのはあの夜シロがやって見せた変身ポーズで、

当然このゲームにある物では無いので知る由は無く…何処で覚えたのかと

マサツグはシロに質問をすると、シロは若干不思議そうな表情を見せるが

直ぐに思い出した様子で…他の冒険者プレイヤー達が見せてくれたと笑顔で答えると、

その答えを聞いたマサツグはその愉快勢に戸惑いを覚える。そうして

もう直ぐ日が傾こうとしている夕暮れ頃…馬車の中で他愛も無い話を

して居ると、馬車はハーフリングスの検問に着き…獣人の衛兵に

止められては検査をされる。


__ガラガラガラガラ…


「そこの馬車!!…止まれ!!

今ハーフリングスは如何なる異人も立ち入りを禁止している!!

それでも用が有るならば我々が用件を聞こう!!」


「…失礼するが馬車の中を確認させて貰うぞ?」


検問には見張りの衛兵が数名…軽装の鎧甲冑を身に纏っては来訪者達に

目を光らせていた!…馬車を止めて御者に対して手を着き付け、鎖国されて

居る事を忠告すると、もう一人の衛兵が出て来ては危険が無いかの

確認をする!…その際馬車の中を検めるよう声を掛けては馬車の扉を

開けるのだが、一目ミスティーを見た途端驚いた表情を見せては

声を挙げる!


「なっ!?…ミ…!!…

これは一体!?…ッ!!…」


「……はあぁ~…」


「貴様ぁ!!…これは如何言う事だ!!!」


衛兵の反応から察するに間違いなくミスティーはお姫様…それも上流階級

どころか王族出身の御様子で、衛兵の驚きようを見てはマサツグももはや

驚くと言った感情を持ち合わせていない様子で溜息を吐き…寧ろ自身の

巡り合わせに呆れた表情を見せて居ると、その驚いて居る衛兵は手にして

いた槍をマサツグに突き付ける。それに対してマサツグは抵抗する事無く

手を上げると、ただただ呆れた表情を見せ…シロもマサツグの様子を見て

困惑するも真似するよう万歳し始めると、ミスティーはその衛兵の

行動が許せなかったのかスッと立ち上がると衛兵達を一喝する!


「おやめなさい!!…この方は私の命の恩人です!…

この方への無礼はこの「ミスティアナ・レオ・レヴナント」が許しません!!」


「ッ!?…い、命の恩人?……ッ!!…ハハァ!!…」


__どよどよ!…どよどよ!…


{やっぱりこうなるのか…何と無く覚悟はしてたけど…}


ミスティーはマサツグが命の恩人である事を話すと、自身のフルネームを

口にし!…衛兵に槍を下げるよう命令すると、その命令に衛兵は戸惑う!…

そしてマサツグの事を見ては命の恩人?…と言った困惑の表情を見せる

のだが、ミスティーに睨まれている事に気が付くとすぐさま降ろし…

馬車の周りは周りでやはりミスティーは行方不明にでもなっていたのか?…

戸惑いの声がチラホラ聞こえ始め、面倒事の予感を感じたマサツグは一人

どうしてこうなった…と嘆いて居ると、ミスティーはただマサツグを

見詰めては申し訳なさそうな表情を見せるのであった。

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