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-第一章-スプリングフィールド王国編-

-第一章九十四節 シロの要望と疾走事件と悲しい別れ?-

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色々と面倒事が有ったもののマサツグの服…Tシャツの他に幾つか仕入れて

行くと、今度はシロの服を作る・購入する番になる。この時クラウディアは

この瞬間が一番楽しいと言った様子でシロを抱えては自身の手掛けた子供服

売り場の方へとシロを連れて行き、好みの服を選ばせようとするのだが……

ここでまた事件が起きる!…それはマサツグとリーナが保護者としてシロの

様子を見守っている時に、クラウディアがシロに服を選ぶよう呼び掛けた時

の事であった!…


__コッ…コッ…コッ…コッ…


{……ふぅ!…何とか安く済ませられるかな?…

さっき見た限りだと然程高くはなさそうだし…

服一着に2万も3万出してられないからな?…}


「…さぁ、シロちゃん!!…貴方の好みを聞かせて頂戴!!

この中からでも!…新たに作るでも構わないわよ!!!…

貴方の乙女心を!…満足させてあげる!!!」


__ッ!…スンスン………


クラウディアの後ろを付いて歩き、マサツグは自身の服を何とかリーズナブルに

抑えられそうな事でホッと一安心して居ると、それぞれの年齢毎に手掛けたで

あろう子供服コーナーになっている場所へと辿り着く。ただ子供服を見に行く

だけでも一苦労なこの服屋…その割には掃除はちゃんとされているのか埃やゴミと

言った物は見当たらず、その清潔感に驚き辺りを見渡して居るとクラウディアが

張り切った様子でシロに言葉を掛ける!…その際自分好みにコーディネイト

したいのかウズウズとした様子を見せるクラウディアに、リーナが警戒した様子を

見せて居るとシロはある事が気になった様子で…何故か先程と打って変わって

黙り込み出す。


「……ッ!…」


「……ッ?…あら?…シロちゃん?…如何し…」


「ヤッ!!…」


__ッ!?×3


突如として自身が今着ている服をギュッと握り締めるとその場で俯き、

その様子に気が付いたクラウディアが戸惑った表情でシロに声を掛けた途端!…

シロはそのクラウディアの呼び掛けに返事をするよう顔を上げるや否や、

目の前の服を選びたくないと言った様子で声を荒げる!その突然のシロの

拒絶に三人が驚きシロに視線を向けて居ると、さすが服屋のオーナー!…

クラウディアは慣れていると言った様子ですぐさま冷静になると、シロと

同じ視線の高さまで腰を落とし、その理由について怒らず笑顔でシロに

尋ね始める。


__…スッ……


「あらあらぁ~如何したの?…何かその服にあるのかしらぁ~?」


「どれもヤなのです!!…これはご主人様の匂いのする服なのです!!

他の服は何も感じない!……シロはこのままがいいのです!!!」


「ッ!?…シ、シロさん!?…それは俺がとっても困るんだ!…

我儘言わないでここにあるかもっと他の…」


「やあぁぁぁ!!!…」


クラウディアの問い掛けに対してシロは首を左右に振って見せては飾られてある

服を指差し、選びたくない理由ついて話し出すとその理由にマサツグが戸惑う!…

そんなシロに慌ててマサツグが説得を試みるがシロはやはり今のTシャツを

気に入っているのか、手放そうとはせず首を左右に振って更に拒絶・抵抗し出すと

その様子にマサツグが更に慌て出す。このままだでは色々と不味い!…そう考える

マサツグは如何にか納得させる方法は無いかと模索し始めるのだが、答えが出る

より先に…クラウディアがスッと立ち上がっては悩んだ様子で数秒シロを

見詰めると、徐にある提案をし始める。


「……ッ!…そうね!…じゃあこう言うのは如何かしら?…

いっそその服をシロちゃん用に作り直しちゃうとか?…」


__ッ!?…ピクッ!…バッ!…


クラウディアが提案したのはマサツグのTシャツを亡き者にしてリメイク…

シロ用に作り変えると言う提案であり、それを聞いたシロが耳をピクっと

反応させると慌てた様子でクラウディアの方を振り向く。そして期待に

満ちた表情を見せるとジッとクラウディアの事を見詰め出し、そのシロの

反応にクラウディアも気が付いた様子でニコッと笑顔を見せて居ると、

マサツグが戸惑った表情のままクラウディアに質問をする。


「ッ!?…え?…で、出来るんですか?…」


「えぇ!…出来るわよ?……そうねぇ…

時間で言えば…5分貰えれば行けるかしら?…

私の腕に掛かればその位ちょちょいのチョイよ!!」


__ぱああぁぁ!!…


「…ッ!……ふふふ♪…シロちゃんの方はそれで良いみたいだけど?…

ご主人君は如何なのかな?…」


マサツグの質問に対してクラウディアはキョトンとした表情で振り返ると

5分で余裕と答え、その答えを聞いてマサツグが無言で驚いて居ると、シロは

クラウディアの足元でパァッ!と明るい期待に満ちた表情を見せる。そして

その表情に気が付いたクラウディアがチラッとだけシロの方を振り向くと、

そのシロの表情に笑ってしまい…同時にその表情を同意と受け取り最後の

許可をマサツグに尋ね出すと、マサツグはその問い掛けに諦めた様子で

溜息を吐いては頷く。


__……はあぁ~…コクリッ…


「ッ!?…ご主人様!!大好きです!!!…」


「さぁ!…そうと決まればシロちゃん?…その服を脱いで頂戴!…

あっと言う間に仕立て上げちゃうから!!」


「はいです!!」


__シュルッ…バッ!!……ッ!?…


マサツグが同意した事でシロは飛び跳ねて大喜びし出し、大好きとマサツグに

愛情表現を口にして居ると、クラウディアは善は急げ!と言った様子でシロに

服を脱ぐよう声を掛ける!この時シロの笑顔がもっと見たい!と言った様子で

意気込んでは腕を捲って見せ、シロもその指示に従うよう更衣室で脱ぐのではなく

その場で勢い良く脱ぎ出すと、シロはになってTシャツを

クラウディアに手渡す。当然その様子を目にしたクラウディアは途端に

戸惑った表情を見せると、その様子を一緒に見て居たマサツグも青ざめ…

クラウディアは困惑しつつとにかく疑問を感じた事について恐る恐るシロに質問を

し始めると、シロはキョトンとした表情で答える。


「……えぇ~っと…シロちゃん?…下着は?…パンツ…は?…」


「…ッ?…パンツって何ですか?…」


__ッ!?………チラッ………


クラウディアの問い掛けに対してシロは首を傾げて返答し、その答えを聞いた

クラウディアはその場に固まるとシロからの返答に悩み出し始める!…下着…

パンツとは何か?…決して哲学的な何かに悩んでいる訳では無いのだが…

予想外の返答があった事にクラウディアが戸惑って居ると、マサツグの方を

振り向き…そこで露骨に視線を逸らすマサツグの姿を見つけると、ある疑問が

出て来ると同時にその事について質問をしていた。


「…え?…英雄さんってそっちの?…」


「違います!!!!

ただ持って無くて穿かせる事が出来なかったんです!!!!

すいません!!!…パンツもお願いします!!!!」


「え、えぇ…大丈夫だけど……」


__ッ!……


クラウディアに冷たい戸惑いの視線を向けられ明らかに誤解をされた

質問をされると、マサツグが慌てて違う!と声を荒げてツッコミ!…

追加でシロの下着を急遽お願いすると、クラウディアは戸惑いつつも

同意した様子でシロのTシャツを手に作業スペースへと移動する。

この時隣でリーナがハッ!とした表情をして自身の幼い頃の服を

貸せば良かった!…と後悔し、外の人達に見られないようスッポンポンの

シロを更衣室に隠して見張って居ると、クラウディアの言っていた5分が

経ってシロ用に改造されたTシャツと下着一式が用意される。


「……はい!…Tシャツ出来た!…それと下着はさすがに無理だから既存で!…

後そのままだと如何かと思ったからこんな物を用意したけど…」


「……スパッツ?…」


「見た感じシロちゃんお転婆そうだから動き易い様に!…

後色々見えない様に!…さぁ!…着せて上げて!…

…って、英雄さんだと難しいかしら?……しょうがない!…

リーナ!…少し手伝って?…」


「ッ!…わ、私がか!?……し、仕方が無いな!…」


元々はマサツグの替えのTシャツで、応急処置的にシロに着させていた物が!…

…何と言う事でしょう!…クラウディアの匠な技によってシロ用のサイズに

採寸され直しては見事に脱ダボダボを果たしており!…シロの言う匂い?…も

ちゃんと要望が叶っているではありませんか!…っと劇的に何か言いたく

なる位に見事な形で帰って来たTシャツと、替えを含めて色々なシロ用の下着が

クラウディアから手渡されると、マサツグはそれらを何とも言えない気持ちで

受け取っては自身のアイテムポーチに仕舞い込む…そして下着1枚だけを手に

Tシャツと一緒に抱えて居るとクラウディアがもろ見せ防止にスパッツを

オマケでプレゼントし、こうしてシロの服装一式を揃えた訳なのだが…

スッポンポンのシロをマサツグが着替えさせる訳にも行かず…クラウディアが

話している途中で察した反応を見せては徐にリーナを呼び出し、リーナも突如

呼ばれた事に戸惑った反応を見せるが、納得したのかクラウディアと共に

シロの居る更衣室へと入って行く。そこからマサツグが一人更衣室の外で

待つ事数分後…


__……シャッ!……ふぅ!…


「お・ま・た・せぇ♪

如何?…シロちゃんはキツく無い?」


__クルッ!…クルッ!…スンスンッ…


「ッ!!…はい!!…大丈夫です!!!」


着替え終えたのか更衣室のカーテンが開くとそこには満足げな表情を見せる

クラウディアの姿と、一仕事終えたと言った様子で一息吐くリーナの姿…

更に先程とは打って変わってちゃんと現代風?…の元気な女の子の格好になった

シロの姿があった。Tシャツにスパッツ…うん!…健全!!…マサツグがシロの

格好を見てホッと一安心して居ると、クラウディアが最後の確認を取り出し…

その問い掛けにシロが満足そうな表情で何度も自分の姿を確認するよう回ったり

匂いを嗅いだりして居ると、元気良く返事をしては更衣室を後にマサツグの方へと

駆け出して行く。


__バッ!!…タッタッタッタッタ!…


「ご主人様ぁ~~!!!」


__ボスゥ!……ッ!…


シロが元気良くマサツグの事を呼んで飛び出して行く際、マサツグはシロの

動きを見て服を着た際の違和感が無いかを確かめ、駆け寄って来たシロを

迎えに行く形で受け止めてハッ!と気が付いた様子を見せると、ある部分に

目が行く。そうしてマサツグが一人そのある事を気にし始め考えて居ると、

更衣室からクラウディアとリーナが出て来てマサツグの様子に気が付き、

二人揃って不思議そうな表情を見せるとマサツグに話し掛ける。


__カタッ!…カタッ!…


「ふぅ~…まさか子供の着せ替えを手伝わされるとは…

…って、マサツグ?…何でそんな顔をしてるんだ?…何か問題でも?…」


「……シロに靴を用意するの忘れてたなって?…」


シロが最初の時の様に子狼のままならここまで悩まずに済んだのだろうが…

人型となるのであれば話は変わって来る!…裸足で幼女を歩かせる!…

虐待か!?…と誤解されるのではないか!?と盲点だった様にマサツグが

靴について考えては一人戸惑って居ると、リーナも言われて漸く気付いた

様子で反応するのだが…そこまで悩む様な事では無いと判断すると、

マサツグに困惑の表情を浮かべてはツッコミを入れ出す。


「ッ!…あぁ~…と言うよりはそんなに悩む様な事か?…

ここで買えば良いではないか…」


「え?…ここ靴も置いてるの?…」


「…ブッ!…くくく!…本当に可笑しな英雄さんね?…えぇ~っと?……

あっ!…あった!…旅をするならこれが良いかしら?…見た目もご主人様と…

良く似てるブーツよ?」


__スッ…


リーナのここで買い揃えれば良いじゃないか?…と言う至極真っ当なツッコミを

受けてマサツグが戸惑っては気の抜けた表情を見せて居ると、クラウディアは

その表情に噴出し…マサツグの問い掛けに笑いながらその靴が置かれて有る

コーナーの方へ移動すると、シロに良さそうな靴を一対手に取る。そしてその靴を

手にシロの方へ歩いて来てシロの足元に子供用の明るい皮のブーツを置き、

そのブーツに興味を示した様子でシロが恐る恐るブーツに足を入れる。


「……ッ?…靴…ですか?…」


__スッ…ココッ!…ココッ!……


「……よし!…」


__……コッ…コッ…コッ…コッ…コッコッコッコッコッコッコ…


シロは置かれた靴を履こうとする際…マサツグが靴を履こうとしていた時の事を

思い出すと真似する様に片足づつ爪先をトントンと軽く小突き、大丈夫である事を

確認すると一言呟いては緊張した様子で徐に歩き始める。まるでちゃんと具合を

確かめる様に歩いて徐々にその速度を速くし、最終的には楽しくなって来たのか

その場でア〇レちゃん走りで走り出すと、自分の尻尾を追い駆ける様な勢いで

走って周りの者達を驚かせる様な勢いで回り続ける!…


__キイィィィィン!!!…ダダダダダダダ!!!…ゴゴゴゴゴゴ!!…


「ッ!?…なっ!?…シ、シロ!?…」


「ちょっ!…シ、シロさん!?…ストップ!…スト~ップ!!…」


__ッ!…キキィ!!…ゴウッ!!!…ガタガタガタガタ!!……


シロが走り回ると徐々に風圧が生じ!…その風圧と様子にクラウディアやリーナが

驚き戸惑って居ると、シロが起こした風圧は店内の服を吹き飛ばしたり!…

マネキンが倒れたりと言った事が!…そこまでは行かないのだが…ガタガタと

揺らしては不穏な音のバーゲンセールを行い、その様子にマサツグが慌ててシロを

止めに入ると、シロは急ブレーキを掛けて止まる。その際慣性の法則でか最後に

一際大きい風圧がシロの後ろから追って来るよう音を立てて通り向けると、壁に

掛かって居る服を激しく揺り動かし!…シロが止まる際まだ靴に

慣れていないのか若干前のめりに転けそうになって危なっかしい様子を見せるが、

ちゃんとマサツグの言葉に従って止まると、シロは目を輝かせてマサツグに

迫って感動を訴える!


「すごいですご主人様!!!…幾ら走っても滑りません!!!」


「そ、そうか…だからって店内で走り回るのは止めような?……

色々と大惨事になり掛けてるから……」


「ッ!……ごめんなさい…」


「あ…あははは…」


今まで裸足だった分?…シロは靴に対して大層衝撃を受けた表情でマサツグに

靴の重要性を訴えると尻尾を振って喜びを露わにし、そのシロの様子にマサツグが

戸惑いつつも改めて走り回った事を注意するようシロに苦言を一つ告げると、

シロはハッ!とした表情を見せた後シュン…と頭と尻尾を項垂れさせて反省する。

その際店内は全体とまでは行かなくとも子供服売り場が荒れに荒れ…

その様子を目にしたクラウディアは苦笑いをするしか無いと言った様子で

笑い出すのだが…内心シロの暴れっぷりにはかなり驚いて居たであろう笑う顔は

引き攣っていた…そうして漸く話はお会計の方へと進み出すのだがここで

マサツグが酷く心配した表情を見せると、クラウディアに謝りつつお会計の話を

持ち出す。


「…さっきはすいませんでした!…で、お会計の方なんですが?…」


「え?…あぁ!…うふふ!それなら大丈夫よ?…

代金は王様宛に出しておくから!!」


「…へ?」


マサツグが店内の様子を見て弁償覚悟でお会計の話を持ち出すと懐から

財布を取り出し、クラウディアは荒れた服を直しつつその言葉を聞いて

戸惑った反応を見せると、マサツグの様子を見て何かを悟ったのか直ぐに

納得した表情で笑い出す。そしてマサツグを安心させるようお会計は

スティングが持つと言うと、当然その返答を聞いたマサツグが戸惑った

表情を見せて気の抜けた返事をし…その場に固まりクラウディアの話を

理解出来ないで居ると、リーナがマサツグの肩を叩くなりその理由を

話し始める。


__ポンポンッ!…ッ!…


「父上の手紙をクラウディアさんに渡したのだろう?…」


「え?…あ、あぁ…」


「ならそれで良いでは無いか!…つまりそう言う事だ!」


「……いやいや、そうじゃないでしょ!?…」


リーナに肩を叩かれマサツグが振り返るとリーナはスティングからの手紙を

渡したか如何かを尋ね出し、その問い掛けにマサツグは戸惑いながらも渡したと

頷き返事をすると、その返事を聞いたリーナはそれで良い!…と笑顔を見せて

簡単に説明を終わらせる。勿論説明になって居ない事にマサツグが困惑して

リーナにツッコミを入れ始めるのだが、クラウディアがマサツグの方に歩いて

来るなり同じ様にマサツグの肩を叩いて振り向かせると、口元に人差し指を

当ててはウィンクして見せる。


__トントンッ!…スッ…


「ッ!……本当に大丈夫なんですか?…

そこそこな金額になって居ると思うんだが?…」


「なぁ~に安心しろ!…これでもまだ感謝し足りない位なんだぞ?…

それだけ私達はマサツグ達に感謝して居ると言う事だ!…

有り難く受け取っておけ!」


「…はあぁ~……何か腑に落ちないんだが?……」


マサツグが目の前でウィンクして居るクラウディアを目にしてはさすがに

理解した様子で、自身の後ろに居るリーナに対して確認の言葉を掛け始めると、

リーナは自身の胸を叩いては大丈夫!と豪語する。その際まだ感謝し足りないと

言ってはどれ程感謝しているかを表情に出しながらマサツグに話し続け…

気持ちに裏表が無い事をアピールするよう笑みを浮かべて受け取るよう言葉を

掛けると、マサツグは納得が行かないと言った表情を浮かべて渋々了承する。

マサツグ自身こう言った恩を着せる様な行為は余り好みでは無い為如何にも

受け取り辛いのだが…このままだと鼬ごっこになると判断して素直に受け取り、

改めてクラウディアとリーナに対してお礼の言葉を口にすると、シロもマサツグの

真似をしてか二人にお礼の言葉を口にする。


「……まぁとにかく!…リーナ!…クラウディアさん!…

本当に有難うございます!!!」


「ッ!…ありがとうございます!!!」


__ペコッ!!…ッ!?…ガバァ!!…


「あぁん!!♥…やっぱりこの子家に欲しぃわぁ~!!♥」


マサツグが二人に頭を下げてお礼の言葉を口にすると、シロも同じ様に頭を

下げてお礼を言い…そんなシロの姿を見てクラウディアは限界!と言った様子で

シロに抱き着くと、別れを惜しむ様に可愛がり始める!…その際抑え切れない

様子で本音を漏らしてはシロをモミクチャに可愛がり、マサツグとリーナが

慌てて救助に向かい解放されると、シロはグッタリとした様子でマサツグの腕の

中に抱えられていた…そうして色々有ったもののマサツグ達はクラウディアの

服屋を後にするのだが…そのクラウディアの服屋玄関前でリーナがマサツグに

声を掛け出す。


「…そろそろ戻らないといけないな……ッ…

…やっぱり…行くのか?…」


「ッ!…あぁ、行くよ?…冒険者だからな?…

って、王城でも言ったが今生の別れでも無いだろ?…約束もしたし!…」


「ッ!…そ、そうだな!約束もしたし!……もう会えない訳じゃないからな…」


リーナが別れを惜しむ様に声を掛け出すとマサツグはシロを抱えて振り返り、

リーナの問い掛けに対して普通に…何の思い入れも無しに返事をすると、

リーナは寂しそうな表情を見せる…本当に偉く気に入られたのかその様子に

マサツグが戸惑うと王城での話を持ち出して約束したと話し笑って見せ、

そんなマサツグの言葉にリーナもハッ!とした表情を見せてマサツグに悪いと

感じたのか、何とか返事をしてはテンションを元に戻そうとするのだが簡単には

戻せない!…やはり寂しそうな表情を見せてその場でリーナが俯き、

そんなリーナの寂しそうな表情を見てマサツグもまるでリーナが子犬の様に

見えて来ては、呆れた様子でリーナの方へと歩き出す。


「……はあぁ~…ったく!…」


__コッ…コッ…コッ…コッ……ポンッ…ッ!…


「これで最後だからな?…終わったら行くぞ?…

…これ結構恥ずかしいんだからな?…約束!…また会いに来る!!…

だから「さようなら」とは言わない!!…また会おうぜ!リーナ!…」


「ッ!!…ッ~~~!!!…あぁ!…あぁ!…

また会おう!!…マサツグ!!!……ッ~~~~!!……」


マサツグが溜息を吐いてリーナの方に歩くとシロを落とさないよう俯く

リーナの頭に手を乗せ言葉を掛け出し!…その際リーナも気が付いた様子で

顔を挙げてはマサツグの顔を覗き込み、マサツグの笑う顔を目にすると

目に若干の涙を溜め始める。そしてマサツグは照れながらもリーナと

再度再会の約束をしてはサヨナラとは言わない!…気障な挨拶をしては

シロを抱えてギルドの方へと歩き出し、リーナも泣くまい!と必死に涙腺を

閉め堪えようとするが、最後の最後でやはり別れが寂しいのか涙を流しながら

再会の言葉を口にする。そうしてリーナは両手で顔を隠してはその場で

静かに泣き出し、マサツグは一切振り返る事無く歩き続ける。

リーナはその場で泣きながらもある事を決意し始める。


{……いつまで泣いて居る?…こんな見っとも無い姿見られる訳には行かない!…

そうだ……これは別れじゃない!……また会おうと約束したんだ!!…

もし会いたくなったら私が会いに行けば良いだけじゃないか!!!…

簡単な事じゃないか!!……覚悟しろよ!マサツグ!!…

私は諦めが悪いからな!!!…}


__ゾクゥッ!!!…ッ!?…ッ!?…


リーナは今の自分を情けないと思っているのかまず泣き止む事を考え出すと、

自分に言い聞かせるようマサツグの事をバネに泣き止もうとする!…

…また会える!…今生の別れでは無い!…悲しい気持ちを払拭するよう自分に

言い聞かせてはその決意を徐々に!…徐々に闘志に替えて燃やし始め!…

自身の中で折り合いを付けると、スッと泣き止んでマサツグが行ったであろう

方向を見詰めて念の様な物を送り出す!するとそのリーナの念はマサツグに

届いたのか突如としてマサツグは背筋に何か冷たいモノを感じて辺りを見渡し…

何も無い事を確認すると不思議そうな表情で再度ギルドに向かい歩き出す。

そんな時であった…


__コッ…コッ…コッ…コッ……ッ!…


{そう言えば……うん…やっぱり……

あの時シロは「滑らない!!」って喜んでたけど…

肉球は無いんだな?…ほぼ人型に近い……でも子狼の時はあったよな?…

証拠も……やっぱ人型だと滑り易いって事か?…}


マサツグが思い付いた様に抱えるシロの手に目を向けると徐に肉球が無い事を

確認し始める!…何故それを確認したのかと言うときっかけはあの服屋での

疾走事件!…あの時シロは滑らない事に偉く興味…と言うよりは衝撃を覚えた

様子でマサツグに訴えては尻尾を振っており、その時のシロの様子を突如として

思い出してシロに肉球が有るかが気になったからであった。

子狼の時は確かに有った!…何なら証拠はモツの額に!…

だが今は人に近いのかそれが無い!…っと、考えては細かなゲームのシステムに

興味を向け…色々な可能性について思考しギルドに向かい歩いて居ると、

マサツグはいつの間にかギルドの前に辿り着いていた。


__コッ…コッ…コッ…コッ……うぅ~ん……ッ!…


「あれ?…もう着いた?…色々考えながら歩くと如何してこう早く着くのか?…

…いや困る訳じゃ無いけど…」


「…ん?…んん?…あれ?…ご主人様?…」


「ッ!…起きた?…ふぅ~…やれやれ…シロを抱っこし続けるのもまだまだ…

慣れるのに時間が掛かりそうだ!…」


__コトッ!…ギュッ!……ガタンッ!!…ギイイィィィ!!…


マサツグはいつの間にかギルドに辿り着いて居る事に驚いて居ると、

シロもクラウディアの猛攻から回復したのかマサツグの腕の中で

目を覚まし…それに気が付いたマサツグが限界と言った様子で言葉を

呟き徐にシロを降ろしてその手を握ると、ギルドの扉を開けては

シロと一緒に中へと入って行く。その際シロはマサツグから

降ろされた事に若干残念そうな表情を見せるも、文句を言わずに

眠い目を擦り…マサツグに連れられギルドに入って行くと、

その眠い目も覚めた様子で初めてのギルドにシロは目を輝かせる!


__……ッ!!…ッ~~~~~!!!!…


「さぁ!…行くぞ?」


「ッ!…はいです!!」


シロの目には恐らくこう映ったであろう!…そこには王都やマサツグ以外の

人間!…それも似た様な武装をして居る者から駆け出しまで!…悪者みたいな

恰好をして居る者から紳士まで!…まるでパーティ会場の様にギルド内が

賑わっては楽しそうにお酒を飲んだり!…お話をしていたりとお祭り騒ぎの

様子を!…外の春王祭に負けない位の賑わいを見せるギルド内にシロが

驚いた様子で辺りを見渡して居ると、そんなシロの様子に気が付いたマサツグが

笑いながら声を掛け…ギルドの受付カウンターの方へ手を引いて歩き始めると、

シロはワクワクした気持ちで返事をしてはマサツグに付いて来る!そうして

受付カウンターに辿り着くより先に受付嬢のリンがマサツグに気が付くと

マサツグに挨拶をし始めるのだが…


「……あっ!…おかえりなさいマサツグさん!!…

……って、その子は?…」


「リン!…お久しぶり!…

…って訳でも無いか?…この子は俺の…」


「ッ!!…シロです!!!

ご主人様のペットでご奉仕頑張るのです!!!」


__ッ!?!?!?!?……


リンはマサツグに挨拶をすると同時にシロの事に気が付くとマサツグに質問をし、

マサツグもリンの挨拶に返事をして会うのはいつ振りかと悩んだ表情を見せるが、

如何でも良くなった様子でシロの事を話そうとする。その際シロを紹介するよう

自身の前に連れて来てリンに良く見える様にするのだが、シロは自分で

自己紹介を始めると今までの様に笑顔で手を上げ尻尾を振り!…最後にアムネスの

入れ知恵を言葉にし、ギルド内全体をまるで某スニーキングゲーム宜しくアラート

状態にすると、マサツグを酷く困惑させるのであった。

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