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-第一章-スプリングフィールド王国編-

-第一章九十二節 一望する王都とリーナの決意と譲れない思い!-

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リーナに引き摺られるままに王城から出て来たパレード最後尾の山車に乗せられ…

何が何だか分からないと言った様子でマサツグが次に目を覚ますと、揺れ動く

山車の上…それもかなり見晴らしの良い場所に居る事を連れ去られながらも

理解する。そしてリーナに連れ去られて山車の一番上…そこで漸くマサツグが

解放されると周りからはまるでこの山車に対して敬意と歓声を上げている様な

声が聞こえ、丘の上から下る様に今自分の居る高さからは王都を一望出来る!…

そんな見晴らしの良い場所に居るのだが…


__ドサァ!!…


「おうふっ!!!…あたたたた…ったく!何だっての!…って、うおぁ!?…

何処ここ!?…ってか何か周りから?…ッ!?…なっ!?…たっか!!!…」


「はぁ!…はぁ!…こ、ここならもう誰の目にも届くまい!!…はぁ!……

にしても…降ろして早々五月蠅いな!…」


「シロ!!…シロ!!!…見てみ!?…いい景色が見れるぞ!?」


マサツグは解放された際尻を打ち付けたのか、痛がる声を挙げては自身の尻を

撫で出し…改めて自分がいる場所を確認して戸惑いの声を漏らし出すと、辺りを

見渡し今度はその光景に驚きの声を挙げる!…その際ただ困惑しっぱなしの

様子で自身が今高い所に居る事で高所恐怖症を発症しそうになるのだが、

それよりもそこから見える王都の光景を見てはそちらの方が勝ったのか、何とか

恐怖に打ち勝った様子でただその光景を見詰めてはマサツグは感動していた。

そしてここに連れて来たリーナはと言うと息を切らしながらも一安心と言った

様子でホッと心を撫で下ろすと、マサツグの様子に五月蠅いとツッコみ…

そんなリーナの様子など御構い無しにマサツグはこの光景をシロにも見せようと

名前を呼んでは、シロの頭を軽くポンポンと何度も叩いていた。


__ポンポン!…ポンポン!…


「んん~…ふぉうひはんへふ如何したんで…ッ!!…」


「…とにかく口の奴を取ろうな?……」


「……わあぁぁぁ!!!…」


マサツグが自身のお腹にくっ付くシロの頭を叩くと、シロは恐る恐る反応し…

何が有ったのかとマサツグに尋ね出すのだが、その口にはホイル焼きが二つ…

当然何を言っているのか…ニュアンス的にしか聞き取れないのでマサツグが

ツッコミを入れながらもシロの口からホイル焼きを取り外し、今見えている光景を

シロにも見えるよう胡坐を掻いて座らせると、シロもその光景を見ては感動した

のか歓喜の声を挙げては目を輝かせる!…そこから見える光景はまさに春の都!…

王都が色とりどりの花で彩られては花びらが舞い!…まるで王都全体が巨大な

花畑の様に見えては更に奥の方…大平原が風に揺れては緑の波を見せて居る!…

ビビット・パステル…更に緑と色の宝石箱やぁ~!…と思わず言いたくなる光景に

マサツグとシロが感動していると、後ろの方から突如聞き覚えの有る声が

聞こえて来る。


「…おや?…リーナが戻って来たと思えば?…先程ぶりだね?マサツグ君…」


「え?…ッ!?…お、王様!?…それに王妃様も!!…」


突如背後から聞こえる声に反応してマサツグが振り返るとそこには王様…

スティングが山車に設けられた玉座に座って居り、その隣には王妃のアムネスが

一緒になって座っていた。二人共リーナがマサツグを連れて来た事に若干驚いた

表情を見せてはマサツグを見詰め、マサツグもスティングとアムネスが居る事に

驚き戸惑った表情を見せて居ると、アムネスがリーナの事を暴露するようあの

場所にリーナが突如姿を現した理由について話し出す。


「ふふふ♪…あらあら♪…リーナが異変を感じる!…

…って言って飛び出したかと思えば…まさかマサツグ君を連れて来るなんて!…

意外と隅に置けないのねぇ?…」


「ッ!?!?…は、母上!?…な、何を!!!…」


「……ッ…」


{……ッ?…王様?…}


マサツグをこの山車に連れて来た事を弄るよう!…意地悪な笑みを浮かべては

扇子で顔半分を隠しながらリーナに言葉を掛け出し、その言葉に慌てて反応…

さっきの場所より不味い所に連れて来てしまった!…と言った様子でリーナが

顔を赤くし慌ててふためきながらアムネスに反抗すると、その様子を何処か

寂しそうに見詰めるスティングの姿をマサツグが見つけてしまう。

そんなスティングの様子にマサツグが困惑の視線を向けて居ると、スティングは

何を思ったのか?…妙に覚悟した!…しかし何処か朗らかな様子の表情をして

見せてはリーナに突如こう話しかけ出す!…


「……ふふ!…彼なら本当にリーナを任さられると私は思うけどね?…

いっその事お婿さんに来て貰うかい?」


__シュボッ!!!…ピクンッ!!!…


「なッ!!!!!…なッ!!!!!…お、お父様!?!?!?!?…

きゅ、急に何を!?!?!?!?…」


__ガッシ!!…


まるで娘を嫁に出す様な覚悟で!…かつ半分は冗談だよ?…と言った様子で

スティングがマサツグを認めた事を口にすると、リーナは今まで見た事が

無い位に顔も耳も真っ赤にしてはまるでトマトの様に!…声もひっくり返し

ては完全に冷静さを失った様子で気を動転させ!…シロも王様の言葉を

聞いて機敏に反応した様子を見せると、クルッとマサツグの方に振り返っては

またもやマサツグのお腹に張り付き出し始める!…まるで取られない様に

防御するよう!…その際シロの表情は頬を膨らませてムッとしており、

そのシロの様子を見て、先程までの話を全く聞いていない…何なら今だ

山車から見える光景に夢中だったマサツグが戸惑いの様相を見せる。


「え?…急に如何し……何で膨れてるの?…」


「んん~~~!!!!」


「……ッ?……ッ!…え?…ちょっ!!…リーナさん!?…

何でそんなに顔が真っ赤なんですか!?…やっぱあの時風邪でも!?…」


「ッ!?!?!?…う!?…うるしゃい!?!?!?」


「えぇ~~!?!?…」


マサツグはシロがくっ付いて来た事に戸惑いの表情をすると若干見える

膨れっ面のシロの頬を突き出し、その突かれている事にシロが反応すると

頬から空気が抜けないよう耐え出して抵抗する!…一体如何して

何が如何なって如何してこうなったのか?…全く状況が飲み込めていない

マサツグはシロの様子に戸惑いながらも王様やリーナの方に視線を

向けると、今度は頭から湯気が出て居るトマトリーナの姿を見つけ!…

そのリーナの様子に心配しマサツグが声を掛けるが、トマトリーナは逆ギレ!…

噛みながら文句を言われて、その文句にマサツグが更に戸惑い、シロは

マサツグのお腹に引っ付き虫!…リーナはもはやマサツグを直視出来ないのか

顔を両手で覆い隠しては視線を逸らし!…本当に何が何だか分からない

マサツグが双方を見詰めては困惑し続けて居ると、その様子をアムネスが

楽しそうに見詰めて悪い笑みを浮かべているのであった!…


……さて、ここからシロとリーナが落ち着きを取り戻すまでゲーム時間にして

2~3時間掛かった訳なのだが…その間スティング達の乗る山車に揺られて

服屋を探し…更にシロが頑張って抱えて持って来たホイル焼きをリーナに渡し、

自分達の分はアイテムポーチに仕舞ったりと色々して居ると、話題はあの時の…

シロが異様なまでに警戒した自称英雄ブラザーズの話になり始める…

マサツグがシロを胡坐の中に収めては背中を撫でてご機嫌を取り…ふとシロが

興奮した時の事を思い出した様子で尋ね出す。


「……ッ!…そう言えば?…シロ?…何であの二人を相手にした時…

って、もう一人だけだったけど……

あのモツモドキを相手にする時あんなに威嚇してたんだ?…

キングリザードを一撃で倒せる位のシロならあそこまで威嚇しなくても…」


「……あの人!…ご主人様に襲い掛かろうとして居たからです!!…

シロ!!…ご主人様を守る為なら容赦しません!!!」


「いやそれにしたって…」


シロの名前を呼ぶとシロは不思議そうな表情でマサツグを見詰め、マサツグが

シロの異様なまでの威嚇をした事について力量の差を交えて話し出し…

その理由について尋ねると、シロはムッとした凛々しい?表情を見せてその

理由についてハッキリと答える。ただ単純に主人に歯向かう者は抹殺する!…

そんな殺伐とした答えが返って来た事にマサツグが戸惑うもその答えの中に

あそこまで威嚇した…マサツグの納得行く理由は何処にも無く、その事に

ついて疑問を感じシロにもう一度訪ねようとすると、シロは更に説明を続ける。


「それに…あの人から変な感じがして?…」


「え?…変な感じ?…」


「はいです!…あの人達の後ろに!…

尻尾が沢山有る様な変なモノが!…嫌な感じがしたのです!…」


「え?…何それ?…アイツら何かに取り憑かれていたって事?…」


シロが言うにはこうである…あの自称英雄ブラザーズの後ろからは普通では無い

何かが取り憑いている様に見え、シロの視点だとその後ろに見えて居るモノと

言うのは尻尾だったらしい!…それも沢山生えている様に見えたらしく、更に

その尻尾からは邪な気を感じ取ったと言い!…それを見たシロはあの様に

威嚇した!と今だ警戒した様子でマサツグに話し、その話を聞いたマサツグは

シロの言葉に戸惑いを覚えるもその正体について考え出す!…もしシロの話が

本当だとするなら一体誰が?…そんな事を唸りながら考えるが、早々簡単に

答えが出て来る筈も無く…そうして居るとリーナが漸く落ち着いた様子で

マサツグの隣に腰掛けると、徐に何か遠い目をしては話し掛け始める。


__スッ…


「……マサツグ……今まで本当に迷惑を掛けたな……ありがとう!…」


「うぅ~ん…ッ!…うえぇ!?…な、何?…

…何でそんな藪からスティックに?…」


「いや!…ただ単にお礼を言いたくなっただけだ!…

こうして無事春王祭を迎える事が出来た!…

私が教祖に捕まった時も!…教祖討伐の手助けをしてくれた事も!……

そして一緒にこの国を護ってくれた事も!……

どの事件もお前とモツが居なければ乗り切る事は出来なかった!……」


「……え?…」


リーナがマサツグの隣で急にお礼の言葉を口にし出し、その言葉を聞いた

マサツグは先程までの考えが吹き飛んだ様子で戸惑いの言葉を漏らす。

何故急にお礼を?…何処かで聞いた事の有るル〇語を口にして困惑の表情を

リーナに向け、リーナはリーナでマサツグの事など御構い無しに妙に

しおらしく…訳を話し出しては今までのマサツグの活躍を思い出す様に

語り出す!…そんな突拍子も無く始まったリーナの語りにマサツグが

困惑しっぱなしでリーナに戸惑いの視線を向けて居ると、リーナの語りは

あのカルト教団が占拠していた旧・スプリング大聖堂へと続く。


「……覚えているか?…あの旧大聖堂を?…

実はあの旧・スプリング大聖堂はな?…父上と母上が結婚した場所なんだ……」


「ッ!………」


「最初お前があのステンドグラスをぶち破ると言った時!…

私は本当にお前を殴ってでも止めたかった!…あのステンドグラスは

特に思い出深い物である特定の時間になると!…まるでその場に居る者を

祝福しているかの様に日の光が降り注ぐ!…そんな神聖な物だったんだ!!…

そして私の願いはその光の中で!……その……アレだ!……とにかく!!!…

私個人の理由であの時の状況ではそんな我儘は通らない!……

自分を押し殺して我慢したけど!…お前がやったのはまさかの天窓を開けての

地味な突入方法だった!…天窓から一本の糸を伝って降りて来るマサツグと

モツを見た時!…私は余りの光景に笑ってしまいそうになったが…

それと同時に嬉しかった!…私の願いをお前が聞いてくれた気がしたんだ!!…」


リーナが話し出したのはその旧・スプリング大聖堂がリーナにとってどれ程

大事な物なのかと言う…自身の思い出と願いについてであった。あの大聖堂は

スティングとアムネスが結婚した場所と言う説明から始まり、次に大聖堂に

有ったステンドグラスが如何言った物なのか?と言う説明に続き…その際そこで

自身の密かな願い!…何かを口にしようとしては踏み切れない様子で誤魔化し、

顔を真っ赤にしては話を無理やり元に戻すと、その時のマサツグの決断に

対しての怒りや葛藤!…その他諸々自身の感じた事について全てを話し出す!…

そしてその話を聞かされている間マサツグは何も茶化す事無く黙って聞き続け、

最終的に何事も無く終わった事にリーナは酷く感動した様子でマサツグに

話すと、マサツグが話しの行き先について疑問点を持ち始める!…


{……あれ?…何だか雲行きが?…}


「……とにかく私はマサツグの事を尊敬しているのだ!!…

最初の出会いは最悪だったかもしれないが!…今は声を大にして言える!!…」


「いやいや!…そんな事無いって!!…俺は今でもまだまだ駆け出し!!…」


「それでも!!!…」


__ガッ!!!…ッ!?…


リーナが目をキラキラとさせてはマサツグの顔を覗き込み!…今からある事を言うと

決意を固め始めて居ると、さすがのマサツグもここまで来るとこの後の展開が容易に

想像出来たのか、それを本能的に回避しようと自分を卑下し出す!…

…のだが!…リーナは関係無いと言った様子でマサツグの手を掴むと、頬を染めては

マサツグと向き合い!…一旦呼吸を整え始めるとある意味オーディエンスが集まって

いる中でそれを口にしようとする!…


「それでも!!…私はお前が今まで助けてくれた事!!…

思い出の場所を護ってくれた事!!…私は嬉しかったのだぞ!!!…

今こうして向かい合って居るだけでも如何にかなってしまいそうだが!!…

私は!!!…」


「リ…リーナッ!?…」


「私は!!!…お前の事が!!!…」


お祭り気分でほだされてかテンションはMAX!!…そしてリーナも覚悟を決めた

様子でマサツグの手を握ったまま言葉を口にし始めると、顔を真っ赤にしては

一点にマサツグを見詰め出す!…その際自身を卑下して居たマサツグの言葉を

否定するよう救われたと口にし!…リーナは必死に緊張を押さえながらも意を決して

何かを言葉にしようとすると、その様子にマサツグが顔を赤くしては慌てた表情で

リーナの名前を呼ぶ!…そうしてリーナの奮闘ぶりをかなり面白がっている様子で

アムネスが見詰める中…遂にリーナが最後の言葉を口にしようとした瞬間!…


__……ぽよんっ!…


「ッ!……な、何?…ッ!…」


いざその言葉を口にするにはバッチリな場面!!…ローケーションも十分!!…

リーナがマサツグに顔を近づけその言葉を口にしようとした瞬間!…

リーナは胸に何かが当たる違和感を覚える!…ここぞと言うタイミングでの

この違和感!…リーナが困惑した様子で言葉を一時中断しその視線を自身の

胸の方に向けると…そこにはシロがリーナとマサツグの間に割って入るよう

仁王立ちしては、膨れっ面で両手を振り上げリーナに対して駄々っ子攻撃を

繰り出し、リーナの胸をひたすらに弾ませていた!…


__ムッスゥ~~~~~~!!!…ぽよぽよぽよぽよぽよぽよぽよぽよ!!…


「ッ!…し、シロさん?…」


「なっ!…何を!?……」


__わあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!…


シロはまるでマサツグをリーナに渡さない!…取られまい!…と抵抗するよう

無言で頬を膨らませてはリーナの胸部を叩き続け、その様子に先程までの緊張が

一気に崩壊した様子でマサツグがシロの様子に目を向け驚き出すと、リーナも

シロの様子に驚いて一気に緊張が解けて行く…幾らドレスアーマーを着ている

とは言え内側に有るのはやわっこい物、当然シロが叩く度にそのやわっこい物が

跳ねてリーナが困惑し、その様子が見える男性もこれにはニッコリ!…と

言った様子でシロに対し黄色い声援を送り出すと、もはやそんな場面では

無くなってしまう!…そしてそんな一部始終を見せられていたスティングは

密かにホッとした表情を見せては胸を撫で下ろし、アムネスはアムネスで

楽しませて貰ったと言った様子で笑い出すと、スティングも完全に安心し釣られた

様子で笑い出す。


「……ンブフッ!!…クッ!!…アッハッハッハッハッハ!!!!」


「……プッ!!……アッハッハッハッハッハ!!!!」


「ッ!?…は、母上!?…それに父上も!?…」


完全にシロの独壇場になった所でスティングとアムネスが噴き出し大笑いし

始めると、リーナがハッ!と気が付いた様子で二人の方を振り向く!…

それまで完全にスティングとアムネスが居る事を忘れて居た様子で驚き出し、

その様子にアムネスが笑いながら言葉を掛け始めるとリーナに状況を

説明するよう…リーナの決意を褒めつつもマサツグのガードの固さについて

話し出す。


「…私達の前で告白しようとした勇気は認めますが……

如何やらその思い人はかなり!…難攻不落の様ね?…

ここまで鉄壁の守護者が居ると……攻略は難しいですわよ?…

うふふふふ!…」


「え?…ッ!…」


アムネスはまるでマサツグの事を城の様に例えながら話し始めると難攻不落と

笑いながら話し、恐らくシロの事を言っているであろう守護者の存在を

口にすると、その言葉の意味を理解したのかリーナは視線をシロに向ける。

するとそこには今だ頬をパンパンに膨らませてはリーナの前で仁王立ちする

シロの姿が有り、リーナの胸を叩く事は止めても今だ気を許して居ないと

ばかりに両手を横に伸ばしては抵抗の意思をバンバンに見せていた!…


__バッ!…むぅ~~~~~~~!!!!…


「し、シロ!?…」


「ッ!?…い、いや…だが敵意は?…」


この時リーナだけでなくマサツグも戸惑った表情でシロの様子を見詰めて

暴れないか!?…と心配するも、シロはかなりご立腹の様子を見せて居る

だけであの自称英雄ブラザーズの時の様な警戒具合は見せて居ない!…

ただ違う警戒具合を見せては不機嫌と言った表情でその場に立つと必死に

両手を横へ伸ばし、危害を加える気は無いのか殺気等は何処からも

感じられずその様子にマサツグとリーナが安堵して居ると、スティングが

先程までの様子について気を使った事を話し出す。


「あはははは!…はぁ~いやはや…

私達が居るのに二人が良い雰囲気になったから気配を消していたんだけど……

まさかこんな展開になるとは!?…」


「……さて?…もうこの状態だと更なる攻撃はほぼ不可能になった訳だけど…

それで諦める?…私がもしリーナなら?…ねぇ?…」


スティングは先程の笑いを引っ張った様子で笑いながら気を使った事を話すと、

さすがにこの展開は読めなかったと言ってシロに驚きの視線を向け…

アムネスもまだリーナの告白を応援しているのか今は無理とだけ忠告すると、

リーナの意思がまだ萎えて居ないかどうかの確認をし出す!…その際今の

リーナの状況を自身と置き換えてはチラッとだけスティングを見詰め、

不敵に微笑んで見せては含みのある自分なりの回答を口にする。そのリーナを

励ます?…様に言葉を掛けるとその言葉を聞いたリーナはハッ!とした表情を

見せ、シロを見詰めたまま硬直し出すと何を思ったのか突如として名前を

呼び出す!…


「……シロ!」


__ッ!…バッ!!……スッ…


リーナがアムネスの言葉を受けてシロを呼んだかと思えば徐にその場で

立ち上がり!…シロはリーナに名前を呼ばれた事で更に警戒をした様子を

見せると、リーナの前で怯む事無く仁王立ちをし続ける!…しかし

リーナはそんなシロの事など御構い無しにシロに向かって指を指し出すと、

突如として正々堂々ライバル宣言をし始め…改めて自分の性格を教えるよう

青春漫画宜しくやる気に満ちた笑みを見せると、シロに話し掛け出す。


「私は諦めないぞ!!…お前を私のライバルと認めた上で言わせて貰う!!…

私は諦めが悪い!!!…絶対に負ける気は無いから覚悟して置け!!…」


「えっ!?…リーナさん!?…」


__ッ!?…ダッ!!…ガッシ!!…


「ごふぅ!!…し、シロさん!?…」


完全にシロの事をライバルとして見ているのかリーナは挑発するよう

言葉を掛け出し、そのリーナの様子にマサツグが戸惑い!…困惑した様子で

リーナの名前を口にして居ると、シロはリーナの言葉に反応した様子で

マサツグの方へ駆け寄る!そしてマサツグのお腹に勢い良く抱き着くと

その衝撃でマサツグが怯み、シロの様子に戸惑いながらも今度はシロの名前を

口にするが返事は帰って来ない!…ただマサツグのお腹に顔を埋めては

まだ膨れているのか妙な圧迫感を感じ、その圧迫感にマサツグが違和感を

覚えつつ困惑して居ると、シロがチラッとリーナの方に振り向いたかと

思えば次の瞬間二人の間で火花が散る!…


__クルッ!……バチバチバチバチ!!…


「え?…えぇ??…何これ!?…如何言う事!?…」


「……これは本当に大変な事になりそうだね?…」


「…リーナの中で一番苦戦する戦いになるのじゃ無いのかしら?…」


リーナとシロが互いに視線を逸らす事無く睨み合って居ると、マサツグが

その状態になった事に困惑し…スティングはスティングで今後のマサツグの

活動に苦労が見られる事を予測すると苦笑いをし始め、アムネスもリーナの

これからの長ぁ~い戦いを予見すると、本当に応援する気が有るのか

分からない様子で…とにかくこの場の雰囲気を楽しんでいた。そうして

その場の異様な興奮が収まるのにまたもやゲーム時間にして2~3時間掛かった

訳なのだが…もはやここまで来ると最初の目的も忘れた様子で山車に

乗り続け…マサツグが必死にシロの頭を撫でて宥めて居ると、シロは耳を

ピコピコと動かして機嫌を徐々に取り戻していた。


__…なでなで…なでなで……ピコピコッ!…


「……で?…ずっと乗っている訳だけど?…

何処かへ行く筈だったんじゃなかったのかい?…

別にこのまま乗って居ても良いのだが?」


「あッ!?……しまった忘れてた!!…」


「ッ!…如何したのだ?…」


シロの頭を撫でながら山車に揺られ…王都の光景を見詰めては何か違う

目的があったような…と、まるで何処かの御隠居の様な心境になって

居ると、スティングが若干困惑した様子でマサツグに質問をし出す。

今朝の感じから察した様子で何処かへ行くんじゃ?…そんな風に

マサツグに尋ね出すと、マサツグがその言葉にハッ!とした表情で

思い出し!…慌てた様子で辺りを見渡し服屋を探すと、慌てた勢い

そのままにリーナの質問に答え始める。


「実は俺達!…服屋を探して居て!!…」


「ッ!…服屋?…」


「いやほら…シロの格好を見てみ?……俺のお下がりのままなんだ…

このままだと色々問題が出て来るし…俺もこの格好だと落ち着かなくて…

それにこの服も借りっ放しですし……」


「ッ!…なるほど……ふむ…確かにその服だと冒険に出るには心許ないな……

…よし!…ちょっと待っててくれるかな?」


マサツグがキョロキョロと山車の上から辺りを見渡し必死に服屋を探して居ると、

その返答と挙動にリーナが戸惑い…そんなリーナの反応に気が付いたマサツグが

理由を話し出すと同時にシロの格好も抱えて見せると、スティングが納得した

様子で頷く。その際シロの格好を見て色々見えてはいけない部分が見えて

居ると言った様子で苦笑いし、マサツグも慌てて居る様子からある事を思い付いた

様子で、マサツグに待つよう声を掛けると徐に懐から紙とペンを取り出す。


__スッ…サラサラ…サラサラ…


「……よし!これで良いかな?…これを…」


「……これは?」


「ここから降りて次の通りを右に回ると直ぐにこの国一番の服屋がある。

そこで服を調達すると良いよ!…それとその手紙を店主に渡してくれ…

それを渡せば服屋の店主も理解して協力してくれると思うよ!…」


スティングが迷う事無く懐から紙とペンを取り出した事にマサツグが驚いて

居ると、スティングは何やら一筆認め始め…その何かを記した手紙をマサツグに

手渡すと、その手紙を受け取ったマサツグは戸惑いつつ尋ねる。この手紙が

また何か大事になるのでは!?…そんな心配をしつつマサツグがスティングからの

返答を待って居ると、スティングは笑顔でこの国一番の服屋の場所について

話し出し、その際話がスムーズに進むよう一筆認めた事をマサツグに告げると、

その言葉にマサツグは恐縮する…


「は、はぁ…分かりました……えぇ~っと…

何から何までお世話になって…」


マサツグが困惑した理由…それはと言う単語を聞いた

からである!…基本マサツグは余程の事が無い限り身なりを気にしない!…

気にするお金が有るのなら別の事に使うと言った貧乏性を持っており、

この国一番と言う事は高いのでは!?…と言った懸念が出て来ると、マサツグは

心の中で二の足を踏み始める!…しかし行かなければ!…折角進めてくれたのに!…

何なら紹介状らしき物まで書いてくれたのに無駄になってしまう!…と考えると、

行かない訳にも行かず…とにかくスティングにお礼を言って戸惑った表情を

見せて居ると、更にスティングは気を利かせたのかお礼の言葉を口にして

今着ている服もマサツグに譲ると言い出す。


「いや!…こちらこそ!…寧ろこの程度の事しか出来なくて申し訳ない!…

……あぁ!…後その服はそのまま君に…何かと色々必要になると思うから…

困ったら裂いて応急手当ての布にでも使ってくれ!…」


「え?…で、でもこの服結構高そう…」


「ッ!…もう直ぐ言っていた通りが見えて来ますわよ!

さぁ!…準備なさいな!」


マサツグが着て居る服は着心地から分かる!…貧乏性でも分かる!と言った

具合に肌触りが良く!…恐らく絹の中でもかなり上質な絹が使われている事が

良く分かり、その譲ると言う言葉を聞いたマサツグが困惑し…ちゃんと

返さないと!…と言った様子で返事をしようとすると、アムネスがまた心を

読んだ様子で…と言うよりはタイミングが悪いと言った方が良いか目的地が

近づいて来ている事を告げると、その言葉も有耶無耶になってしまう!…

そうして近付いて来る目的地にマサツグがシロを抱えて降りる準備を整えると、

何故かリーナも降りる気で居るのか隣で準備をし…二人と一匹がその路地に

飛び降り服屋との距離2~3mの所に降り立つと、突然の姫様の登場に周りから

視線を集めるのであった。

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