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-第一章-スプリングフィールド王国編-

-第一章七十九節 魔王降臨と初めての魔王戦と天の目-

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徐々に大きくなる黒い渦の亀裂に対しマサツグ・モツ・リーナの三人が

武器を構えると額に汗を掻き始める!…その間祭壇前(黒い渦の前)では

相変わらずデュへインが高笑いしており、亀裂から突如二本の巨大な

化け物の手が出て来ると出て来た亀裂の両端に手を掛け、更に亀裂を

大きくしようと力を込めては押し広げ始める!…爪が長くゴツゴツとした

手の大きさを見ると乗用車一台位ならを簡単に掴めそうな位に大きく…

力も強いのかまるでガラスが激しく割れる様な衝撃音と共に亀裂が徐々に

大きく裂け始めると、その亀裂から黒い空気も更に漏れ出す!…

そんな普通では無い光景に焦りと緊張感を覚えつつ…マサツグとモツが

ゲーマーとしての興奮も同時に覚え始めて居ると、マサツグがその手の

大きさから魔王の姿を想像し始める!…


「……あの手の大きさに魔王だろ?…ありゃ相当デカいだろうぁ~…

まともに攻撃が入る様な奴だと良いが?…」


「なぁ~に!…こっちにはサイクロプスを縦に裂いちまう奴が居るんだ!…

それもトライアルソードで!…それ位如何って事無いだろ?…」


「ッ!…おま!…簡単に言うけどなぁ!?…アレだって結構…

何ならまぐれであって!!…」


__パキッ!…パキッ!…パキッ!…パキッ!……ッ!?…


手の大きさから察するに本体は普通にデカい!…この教会の廃墟内に

収まるのか?とマサツグが軽い不安を覚えて居ると、モツがマサツグの

不安に対して過去のマサツグの経験談を持ち出しては大丈夫!と

茶化し始める。オーバー気味にモツが励ましの言葉を掛けるのだがその際

視線はと言うとしっかり黒い渦の方に向いており、モツ自身も不安を

覚えた様子で話しては何処と無く身に力が入り過ぎている様に感じる…

そんなモツの様子に気付いていないマサツグはいつもの様にモツに

ツッコミを入れては視線をモツの方に向けるのだが、亀裂の向こうから

何やら砕いたガラスを踏み締める音が聞こえて来ると直ぐに視線は

亀裂の向こうへと戻される!…


「……あぁ!…久しぶりの外だ!…

ここに封じられてどれ程の月日が経っただろうか?…

まだこの地には我の渇きを潤す者は居るだろうか?…」


「アァ!…アァ!!…オ懐カシキコノオ声!!…

ドレ程待チ望ンダ事カ!…コノオ方ヲ封印シタ忌々シキ勇者共ガ居ナイ今!!…

脅威トナルハアノ風除ケノ巫女タダ一人!!…ココデアノ巫女ヲ始末シ!…

ソノ血デ新タナラ力ヲ得タナラ!!…コノ世ハ貴方様ノ思ウガママ!!…」


__パキッ!…パキッ!…パキッ!…パキッ!…


ガラスを踏み締める様な音と共に亀裂の向こうから何者かの喋る声が

聞こえて来る!…それは外に出られると事を喜ぶ声であり、長い年月

封じられていた事を暗示する様なセリフであった!…そして次に

何やら意味深な言葉を口にして居ると確実に亀裂の外に向かって歩いて

いるのか、徐々に足音も大きくなるとそれに伴いデュへインが歓喜の

声を挙げ出し!…周りの雰囲気に更に緊張感が増して来て居ると、

遂に魔王が亀裂の向こうから黒い空気と共に姿を現してはマサツグ達の

前に立つ!…


__パキッ!…パキッ!…パキッ!…パキッ!……ズアアアァァァ!!!…


「ッ!?…」


「え?…イケメン?…」


「…てか、思ってた程…そんなに大きく無い?…」


マサツグ達の前に現れた魔王は人の姿をしていて身長はマサツグやモツと同じ位…

手には自身の身長と同じ位の杖が握られその杖の先に見覚えの有る宝玉が

付いており、まるで出て来るゲームを間違えたのか様に魔王の素顔は超美形!…

乙女ゲームに出て来る様な俺様系のイケメンで黒の長髪と頭には悪魔らしく

これまた立派な二本の角が生えていた。全体的に紫と黒のローブを身に纏い悠々と

歩いて来た姿はまさに強者の風格を放っており、マサツグとモツが意外と言った

様子で魔王の容姿を確認して居ると、魔王が武器を構えているマサツグ達を

見つけては興味を持った様子で質問し始める!…


「……ほう…我に武器を構えるか…お前達は何者だ?…

我に挑戦する者達か?…」


「ッ!?…」


「コ!…コノ者達ハ魔王様ヲ討チニ来タ者デス!!…

コノ魔王様ノ側近ノ私ヲ…」


「ッ!?…まだ出て来るつもりか!?…ったく!…いい加減に!…」


まるで武器を構えて居る事に喜んでいる様な様子で魔王が話し出し、冷徹な

笑みを浮かべる魔王にマサツグとモツが思わず逃げたい!と考えてしまうが、

そこは何処かのロボットアニメのパイロット宜しく…逃げちゃ駄目!と自分に

言い聞かせる!…そうして若干のたじろぎを見せつつ魔王に対してマサツグ達が

武器を構えて警戒し出すと、デュへインが魔王の前に突如割り込んで来ては

慌てた様子でマサツグ達を魔王の敵と言い出し、その様子にまだしゃしゃり

出て来るのか!と呆れた様子でマサツグ達がデュへインを睨み付けると、

次の瞬間トンデモナイ光景を目にする!…


__スッ……ズアアアァァァ!!!…


「ッ!?…ガッ!?…」


「なッ!?…」


「ッ!?…早めの再放送!?…」


「ンな事言ってる場合か!?…一体如何言う!?…」


目の前に割り込んで来たデュへインに魔王が右手で薙ぎ払うよう…

勢い良くデュへインを払うと次の瞬間デュへインの上半身と下半身が

いとも簡単に腕ごと分断される!…その際魔王は封印を解いてくれた

デュへインに対して養豚場の豚を見る様な冷たい目で見下しており、

何の感情も無いままにデュへインを討ち捨てて見せるとマサツグ達を

戸惑わせる!…リーナは目を見開き目の前の光景に言葉を失い!…

マサツグは既視感ある光景に戸惑っては思わずボケて見せるのだが、

そのボケをすかさずモツがツッコんで終わらせると更に緊張感が増す!…

そんな緊張感でガッチガチになった中…デュへインを黙らせた事に

関してはマサツグとモツが感謝して居ると、魔王がデュへインを

見下ろしては邪魔と言わんばかりの言葉を投げ掛ける!…


「……我は貴様の様な弱小な配下を持った覚えはない!…

ましてやを借りる等…失せよ!…ここで惨めに骸を晒せ!…」


「ッ!?…マ、魔王!…様!?……ッ!……」


「……さすが魔王!…やって見せる事も魔王ってか?…」


完全にデュへインを見限った様子で討ち払い魔王がマサツグ達に再度興味を

向けると、その様子にデュへインが戸惑いながらも息絶え絶えでその場に転がる…

その際デュへインはまだ上半身に残っている腕を必死に魔王に向けて伸ばすが

魔王は全く振り向く事をせず、その冷徹具合にマサツグがさすがと言った焦りの

様子で魔王に言葉を掛けて居ると、魔王はただマサツグ達の方に向いては

嬉々とした様子で、一応ディへインの言葉は聞いていたのかその事を確認するよう

再度質問をする!…


「…ふふふ!…さて、この雑魚の言う通りなら?…

貴様達は我を討たんとする為に集まった勇有る者達と言う事になるが…」


「……まぁ…一応そう言う事になったりもするけどぉ~……

念の為に聞くけど出来る事ならそのまま魔界に帰ってくれたりは?…」


「ふふふふ!…無いなぁ…

この様に面白そうな者達が居ると言うのに…

このままスゴスゴと帰る様な勿体無い事は出来ぬ!…

どれ…少し遊んでやろう!…」


「「ですよね!!ちくしょう!!!!」」×2


魔王の質問に対してマサツグが歯切れ悪く返答すると少し考える…

このまま返答次第によっては魔王と戦わずに終わるんじゃ?…そう考えた

マサツグが恐る恐る魔王にダメ元で帰るようお願いをし始めるのだが…

当然帰って来た言葉はNOであり、完全にやる気になっているのか魔王が

杖を手に両腕を広げて見せると、マサツグ達も魔王の返答に文句を言うよう

叫んでは構え直す!…そうして結局魔王との戦闘が始まろうとして居る中…

魔王は久々に暴れられると言った期待の様子で高らかに叫ぶようマサツグ達に

奮起の言葉を掛け始めると、モツが安定の初手から入り始める!


「さぁ!!…勇有る者達よ!!…存分に奮いて我を楽しませよ!!!

我が渇きを潤して見ろ!!!!」


「はあぁ~……鑑定アプレェィザァル!!」


__ピピピ!…ヴウン!…

 -----------------------------------------------------------------------

 「魔王 バルデウス」  

 Lv.75          魔王BOSS

   HP 163000 ATK 720   DEF ***

          MATK ***  MDEF 500


 SKILL

 風魔法 Lv.18 *** Lv.17 棒術 Lv.16 *** Lv.16 暴走詠唱 Lv.16

 天眼(条件有り) *** Lv.15
 -----------------------------------------------------------------------


「ハアアアアアアァァァァ!!!」×2


__ニィッ!!…スゥ…ブォン!!…


モツが溜息を吐きながらもバルデウスの鑑定をするとここで鑑定負荷の項目が

出て来る!…防御力に魔法攻撃力…更に一部スキルがアスタリスクで隠されては

レベルのみが表記され、不気味さを感じつつモツが鑑定を終えるとまずは先制と

ばかりにリーナとマサツグが怯む事無くバルデウスに向かって走り出す!

その向かって来る光景にバルデウスは興奮して来た様子で笑みを浮かべては

自身の前にまるで結界を張るよう杖を一振りし、魔法を詠唱し始めるのだが

直ぐに唱え終えたのかマサツグ達に向かって放ち始める!


「《逆巻く炎よ!!今こそ舞い上がれ!!…あらゆる物を全て灰燼と化し!…

この地を不毛な焦土と変えよ!!!…フレアストーム!!!》」


__ゴアアア!!!…ドゴオォォォォ!!!…


「ッ!?…詠唱早!?…」


詠唱時間…たった2秒でマサツグ達とバルデウスとの間に巨大な炎の渦を

作り上げ、辺り一帯を巻き込むようマサツグ達の方に進んで来ると、

その魔法の威力に一同が戸惑う!…炎の渦が通った後には焼け焦げた跡と

多少なりと地面を抉った痕跡も残り、詠唱時間が極端に速い事にマサツグ

が驚きを隠せないで居ると、モツが情報に無かったとばかりに炎の魔法に

戸惑いを見せる!…


「ッ!?…ちょっと待て!?…

炎魔法も使うのか!?…聞いてないぞ!?…」


__ボボッ!…ボボボボッ!!…


「ッ!?…アッチ!!…

おまけにスリップダメージ付きとか有りかよ!?…

……ッ!?…ベンチと床にも引火してやがる!?…」


「クッ!!…こうも派手に燃やされては!?…さすが魔王と言った所か!!…」


マサツグとリーナが距離を詰める前にその炎の渦に行く手を遮られると、

ただその炎の渦は火の粉を撒き散らしマサツグ達にスリップダメージを与え、

そしてそれだけでは無いとばかりに先のデュへインとの戦闘で壊した

ベンチの残骸や、床にまで引火し始めるとダメージエリアを作っては行動の

制限まで掛けて来る!…さすがの猪突猛進姫様も参った様子を見せては一歩…

また一歩と後退りをし始め、そんな危機的状況下にマサツグとモツが慌てて

合流すると、不味いと言った表情を見せては状況打破の一撃を放つ!…


「チッ!!…初っ端これはキツイっての!!…」


「マサツグ!!合わせてくれ!!!」


「うぇッ!?…りょ、了解!!…」


__ブワアァ!!…


炎の渦の向こうでバルデウスが両手を広げては楽しそうに大笑いし、マサツグが

バルデウスに対して文句の言葉を呟いて居ると、後方からモツが走って来ては

マサツグに合わせるよう突発的に声を掛ける!…そのモツの呼び掛けにマサツグが

一瞬戸惑った反応を見せるも、持ち前の順応力を発揮しては瞬時にモツの動きに

合わせ出し、二人が揃って赤い連携のオーラを纏い始めるとマサツグとモツは

揃って雷撃刃を放つ!


「「雷鳴!!…十文字撃!!!」」×2


__コオオォ…バシュン!!……ゴゴゴゴ!!!…バシュウゥゥン!!!!…


「ッ!…ほほう!…面白い!…味な真似をする!…」


マサツグとモツが放った雷撃刃は手馴れた様子で合わさっては大きな十字の

雷撃刃に昇華し、真っ直ぐバルデウスのフレアストームにぶつかって行くと、

まるで先程猛威を振るっていたのが嘘の様に突破出来てしまう!…その様子に

マサツグとモツも戸惑いの表情を見せては晴れて行くフレアストームを見詰め!…

バルデウスも自身の魔法が突破された事に若干驚いた反応を見せると、

マサツグとモツに関心を抱く。まるで不慣れながらも唱えた魔法が突破されるとは

思っても居なかった!…そんな好奇心の目をバルデウスが見せては二人に視線を

向けて居ると、デュへインに最初の一撃を入れた時同様…リーナが雷鳴十文字撃の

後ろに隠れるよう奇襲を仕掛けると一気にバルデウスとの差を詰め始める!…


__ダダダダダダ!!!…


「…ッ!…ほほぅ!…奇襲か!…

良い考えだ!…我が呆けている隙を狙うその意気や良し!……だが…」


__…ブォン!!…バシュン!!…バラバラバラバラ!!…


「ハアアアアアアァァァ!!!」


リーナがバルデウスとの差を詰めて攻撃射程圏内に相手を収めると、最初から

本気で行くのか突きの構えを取り始める!…まだ相手に悟られていない!…

このまま行ける!…リーナは油断をしている訳では無いのだが確信に近い自信を

身に着けると迷う事無く駆けて行くのだが、バルデウスはまるでリーナが

向かって来る事を予見した様子でニヤッと笑みを浮かべると、マサツグ達の

雷鳴十文字撃を杖一振りで粉砕する!…その後、後ろから当然リーナが突きの

構えでバルデウスに飛び掛かって行っては技を繰り出そうとするのだが、

バルデウスは分かって居たとばかりにリーナに向かい手を伸ばすと、魔王お約束の

謎波動を出してはリーナを吹き飛ばす!…


__スッ…ヴンッ!!…


「ウッ!?…グアアァァ!!!…」


「中々思い切りの良い奇襲であった!!…だがその程度で我に傷を与える等…」


向かって行ったリーナがまるで空中で止まるよう突如動きを止められては

そのまま後ろに吹き飛ばされる!…その際リーナも謎の波動に戸惑いながらも

何とか一太刀だけでもと言った様子で剣を振って見せるがバルデウスに届かず…

後ろに吹き飛ばされると床に散乱しているベンチの残骸などを掃除するよう

転がされては、リーナが慌てて受け身を取って剣を構え直す!…

そんな一連の出来事を楽しいと言った様子で笑ってはリーナの奇襲を褒める

余裕を見せるのだが、既にこの時もう一つの動きもバルデウスの気付かない所で

行われては今まさに実行されようとしていた!…


「余所見は良くないな!!…」


「ッ!?…」


「勿論これで終わりな訳無いだろう!!!」


__バッ!!!…


マサツグが呟くとその声に反応してバルデウスがマサツグの声が聞こえた方に

振り向く!…振り向くとそこにはいつ飛んでいたのか分からない状態で自身の

左肩の方から頭を狙う様に奇襲を掛けて来るマサツグの姿と、自身の右足の方から

胴体を狙う様に奇襲を掛けて来るモツの姿が有り、二人とも刹那を発動した

様子で構えては一撃逆転を狙った様に剣を振り下ろし、斬り上げようとしていた!

マサツグの方は声を掛けられた事でその存在に気付き、モツの方はスキルのお陰で

感付く事が出来たバルデウスは慌てる事無く…寧ろ最高!!…と言った様子で

更に笑みを浮かべては瞬時にガードの体勢に入る!…


__うおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!…フォン!!!…


「……フッ!…実に!…実に愉快!!!…」


__ブォン!!…ガッ!!…


「なッ!?…」


二人が同時に勢い良く斬り掛かりまずはワンダメージ!…と何方か片方が

防がれてももう片方が攻撃を入れるよう仕掛けるのだがこの魔王はそう簡単には

行かない!…バルデウスは更に仕掛けて来た二人に対して戦闘意欲を高めると

手に持っていた杖を棒術代わりに使い出し、まずはモツの攻撃を簡単そうに

杖で横薙ぎに弾きモツを戸惑わせると、モツの顔を狙う様に宝玉の付いている

先端部分で突く様にカウンターの一撃を入れる!…


__ブォン!!…ガキィィン!!!…


「グッ!!…はぁ!…はぁ!…

あっぶな!!…てか、いってぇぇ!!…」


バルデウスからのカウンター攻撃にモツが驚くも、刹那を発動していたお陰か

祭壇の段差を蹴ってはギリギリで体勢を整え直し…何とか無理やりにでも

カウンターを剣で防ぐとそのまま後ろに大きく後退させられる!…

そしてそのバルデウスの一撃は重く!…耐え切れないと言う訳では無いのだが

HPとTPの両方をゴッソリ持って行かれるとその一撃にモツが酷く困惑し、

片膝を着いてしまうとリーナが慌ててモツの心配をする!…


「モツ!?…」


{クッ!!…これを連撃で貰ったらって考えると末恐ろしいな!?…

本当に不味い!…痛てぇ!!…一体如何なってるんだ!?…

まるで見えて居る様な?……ッ!!…けど!!…}


__クルッ…ヴォン!!!…


{貰った!!!…}×2


リーナの心配の声に対して手を挙げて返事をしては剣を静かに構え直すが、

やはり一撃が重かったせいか肩で息をする様に体を揺らすと、あの攻撃を

連続で貰った時の事を考えてしまう…まぁ、考えなくとも連撃を貰った時点で

戦闘不能は確定なのだが、どうにもこちらの動きを読まれている様な…

バルデウスの動きにモツが戸惑いの表情を見せて居ると、今度はマサツグの番と

言った様子でバルデウスが振り返るのだが、既にマサツグの大剣は先程の

棒術では防げない所まで迫っており、それを見たモツがこれこそ入った!と

マサツグと一緒に確信を持ち始めるのだが…


「フンッ!!…」


__ガキイィィン!!!…


「ッ!?…ちょ!?…おま!!…」


「ハアアアァァ!!!」


バルデウスは避けると言った回避行動を取るのではなく!…左腕を大剣の前に

ガードするよう構えて見せてはそのまま大剣を受け止めて見せる!…マサツグが

振り下ろした大剣はまるで硬質な金属にでも当たったかの様な金属音を響かせ!…

受け止められた事にマサツグが戸惑いを見せて居ると、バルデウスは受け止め様に

声を挙げては左腕で薙ぎ払い!…マサツグを弾き飛ばすとそのまま近くに有った

廃墟の柱に叩き付ける!…


__ブォン!!…ドゴォ!!…


「グッ!!…ガハァ!!…」


「ッ!?…マサツグ(ヤブ)!?…」


「ゲッヘッ!!…ゴッホ!!…だ…大丈夫!…

まだ…やれる!!…」


マサツグが柱に減り込むよう叩き付けられる光景を見てはリーナとモツが酷く

動揺した表情を見せ、マサツグが咳き込みながらもゆっくりと体勢を立て直し…

大剣を構え直すとダメージを貰った様子でリーナとモツに返事をする。やはり

ここで出て来るは圧倒的レベル差であり、息を切らしながらもバルデウスに

対して剣を構えて見せるが、マサツグ・モツ・リーナの三人には勝てる所か

ダメージを与えるビジョンすら出て来ない有様!…それでも退く訳には行かないと

必死に闘志に火を付けてはバルデウスを睨み付け、まだ戦う意思がある!と

バルデウスに見せつけるのだがそれを見たバルデウスは嘲笑う様に笑みを

浮かべると、突如体をフルフルと小刻みに震わせては天を仰ぐ様に笑い

喜び出す!…


「……フフフ!……フハハハハハハ!!!…

アァ~ッハッハッハッハッハッハッハ!!!!…

良いぞ!…良いぞ!!…もっと我を楽しませよ!勇有る者達よ!!…

これぞ!…これこそ我が求めていた者だ!!!…

長きに渡る暗闇より舞い戻り!…この様な歓迎を受けるとは!!!…

戻って来た甲斐が有ったと言うものだ!!!…我は嬉しいぞ!!!」


「ッ!?…ゴホッ!!…ッ~~…うっへぇ……マジかよ……」


「チッ!!…一筋縄じゃ駄目そうだったから二重三重と仕掛けたってのに!…

見事なまでに看破して来る!!…一体何であそこまで正確に?…

……ッ!…確かめる他無いか!……ヤブ!!…」


「うぇ?…」


バルデウスは今自分が襲われている事に歓喜した表情で高笑いしてはこの状況に

酔い痴れる様子を見せ、その様子にマサツグが咳き込みながらも引いた様子で

見詰めては思わず口に出して呟いてしまうと、モツが先程の作戦を踏まえて

冷静にバルデウスの攻略法を探り始める!…バルデウスは何故あそこまで自分達の

動きを読む事が出来たのか?…それだけが気掛かりで仕方ないモツはスッと

バルデウス様子に目を向けるとある事が気になり、何度目となるか分からない

連携の赤いオーラを纏うとマサツグに声を掛けて再度バルデウスに仕掛け始める!


「合わせてくれ!!!」


「うぇぇぇ!?…ら、雷撃…ッ!?…」


__バッ!?…


「ちょ!?まっ!?…誤爆った!!…

モツ避けろ!!!…」


モツに合わせるよう言われマサツグがその言葉に反応するよう雷撃刃を放つが、

モツはバルデウスに対してダッシュ斬りを敢行していた!…今までの流れ…

そして癖…もはや十八番と化して雷鳴十文字撃だと思ったマサツグが失敗した!と

言った具合に慌て出すと、モツに避けるよう指示を出すのだがモツはこれで

良いとばかりに構わずバルデウスに向かって行くと、その途中でマサツグの

雷撃刃を回収するよう自身の剣で受け止める!


__ダダダダダダ!!…バッ!!…


「いや!…これで良い!!…」


__キイィィン!!…コオオォォ!!バチィ!!…


「疾風!!…刃雷!!!」


モツが剣で雷撃刃を受け止めた瞬間、モツの剣が共鳴するよう光ってはマサツグの

雷撃刃を吸収するよう帯電し始め、それと同時にモツのダッシュ速度も上がると

一気にバルデウスとの差を詰め始める!…その様子にバルデウスは若干驚いた

様子を見せるも慌てると言った動揺は見せず…ただ向かって来るモツに対して

迎撃の突きの構えを取り始めると、マサツグとモツの連携技に興味を持った様子で

呟く。


「ッ!…ほお…本当に芸達者な者達よ…実に愉快!!」


__スッ…フォン!!…


「ハアアアァァァァ!!!!」


__ブゥワチィ!!!…バチバチバチバチ!!!…バチィ!!…


まるでマサツグとモツの事を大道芸人の様に思っているのか楽しそうに笑っては

突きを繰り出し、モツも雷撃を纏った剣を勢い良く振り下ろすと互いの攻撃が

ぶつかり、辺り一帯に強力な電撃が放電される!…激しい感電音が鳴り響く中

モツが負けじとバルデウスの杖を押し返そうとするが、やはり相手の方が上なのか…

バルデウスが鼻で笑うようモツの攻撃を押し返すとそのままモツは弾かれ後ろに

後退し、ヨロヨロとフラ付いて見せるとその様子にバルデウスが笑う!…


「はっはっはっはっは!!!…

真正面から挑むとは!!…その気概は買ってやるが些か無謀と言うものだぞ?…

あの雑魚の様に我は雷に対して不得意では無い!…現に何の影響も…」


「はぁ!…はぁ!…いや…影響は出て居るさ!…」


「ッ!…何?…」


真っ向から挑んで来たモツにバルデウスは無謀!…意味が無い!と話しては

大笑いし続けるのだが、モツはある事を確認すると意味は有った!と息を

切らしながらバルデウスに反論する!…その際モツは自信満々の表情で

バルデウスに反論しており、そのモツの反応にバルデウスが戸惑った反応を

見せて居ると突如リーナの視界に何かがチラつき…気になって上を見上げると

そこにはある物が浮遊しており、それを指を差して驚いた反応を見せると

リーナは叫び出す!…


__ふわぁ……ッ?…


「何だ?急に…ッ!?…お、おい!?…マ、マサツグ!?…モツ!?…

何だアレは!?…」


「え?…ッ!?…」


「ッ!?…まさか!…」


モツはしてやったり!と言った表情でバルデウスを見詰め、バルデウスは

ある物が見つかった事に驚きの反応を見せる!…マサツグもリーナに

言われてある物を見つけるとその存在に戸惑い、リーナは見つけた者が

何なのか分からずただ困惑する!…しかしその浮遊して居る物は間違いなく

バルデウスが仕掛けた物に間違いないであろう…何故なら…マサツグ達の

頭上を浮遊するその物とはバルデウスが持っている杖の先端にある宝玉!…

…に良く似た目玉が三つ!…こちらを監視する様に浮遊して居たからである!…


__ギョムッ!…ギョロッ!…ギョロッ!…


「…わぁ!…猫目石みたいだな!…じゃなくて!!…

…ちょ!?…あんなの浮いてたか!?…いつ浮かせた!?…

てかギョロギョロしてるが!?…」


__バッ!…バッ!…ギョロッ!…ギョロッ!…


「……ッ!…まさかアレのせいで私達の攻撃が見透かされていたのか!?…」


目玉は瞬き…瞼が無いので当然なのだが瞬きする事無くマサツグ・モツ・リーナ

一人一人をギョロギョロと監視しており、目の模様が猫の目の様にも見えて思わず

綺麗と考えてしまうが、その目玉のせいで攻撃が当たらないと悟るとマサツグと

リーナが驚き戸惑う!…その際マサツグが何とか視線を切ろうと頑張るが目玉は

ぴったりとマサツグをマークしては離れず、バルデウスがバレてしまっては

仕方が無いと言った様子で笑みを零すとご丁寧に説明し始める。


「ふむ…その目に気付くのに時間は掛かった様だが…

気付けた事自体は及第点…褒めて遣わす!…

では見つけた褒美に少しこの目について説明をしてやろう!…

それは我が魔道具…天の目!…

あらゆる物の弱点…癖…動きを観察し、我の糧とする魔道具!…

これがある限りは我はどの様な奇襲を掛けられようとも!…

どの様な強力な技を繰り出されようとも!!…

察知して我が突き崩し無に帰してしまう!!…

故に!…これがある限りは我に傷一つ付ける事は敵わんぞ?…」


「クッ!!…魔王は一時保留だ!!!先にあの目を壊すぞ!!」


バルデウスはやはりマサツグ達の事を然程脅威とは思っていない様子で

褒めては頭上に浮かぶ目に付いて説明し、先程のカウンターや予知も

目のお陰と話すと絶対の自信が有るのか目の存在がある限りダメージは

入らないと豪語し出す!…その言葉を聞いたリーナはバルデウスを

悔しそうに睨むのだが、攻撃が当たらない事には如何しようも無いと

一旦置いては先に頭上を浮遊する目を標的にし始め、目を狙う様に

指示するリーナにマサツグも若干悩んだ様子を見せるが、リーナと同じ

考えに至ったのか同意すると注意を呼び掛ける!…


「……ッ!!…考えて居ても仕方ないか!!…モツ・リーナ!!…

目だけじゃなくて本体からの攻撃にも気を付けろよ!?…」


「分かって居る!!!」


「さて!…ここから如何したものか!…」


マサツグの注意勧告にリーナが焦りを覚えつつ返事をすると、バルデウスに

攻撃を弾かれたモツもマサツグ達と合流し、頭上を浮遊する目と対峙し始める!…

目はマサツグ達から攻撃の届かないギリギリを浮遊して今だ監視する様に

見詰め!…三人が目と対峙しつつもたまにチラッとだけバルデウスを確認すると、

その三人の様子を楽しむ様にバルデウスはただひたすらに笑みを浮かべていた…

そんな余裕の様子を見せるバルデウスにマサツグとモツがイラっと来ては

絶対に一回はギャフン!と言わせると心の中に誓い…武器を構えると

各々はまず!…自身の頭上に浮かぶ目に向かって技を放ち始めてバルデウスの

視界を奪おうと試み始めるのであった!…

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 ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。  しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。  このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。  そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。  父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。    それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。  両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。  軍と言っても、のどかな田舎の軍。  リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。  おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。  その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。  生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。    剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

転生騎士団長の歩き方

Akila
ファンタジー
【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】  たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。 【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。   【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?  ※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。

はぁ?とりあえず寝てていい?

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嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

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王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

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 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

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 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

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蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

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