どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん

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-第一章-スプリングフィールド王国編-

-第一章三十節 昇格試験と謎解きとお互いの冒険談-

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「……ッ!…そう言えば!…マサツグさん!…モツさん!…

そろそろクラスアップが出来る位に強くなったんじゃないですか?」


「え?…急に如何したの?…

藪からスティックに?…」


「何故ルー〇柴?…」


マサツグとモツがクエストの事で談笑し続け、クエスト内容の所に思わず休日出勤が

無いかを確かめて居ると、クラリスがマサツグ達へクラスアップの話を持ち掛ける。

その突然のクラリスの問い掛けにマサツグが戸惑いながらも某芸人の喋り口調で

返事をしてはモツにツッコまれ、クラリスはそんな二人のやり取りを見て笑いながら

自身の腰に付けているウエストポーチから、何処かで見た事有る野菜王子や

冷凍庫が身に着けていそうなスカウターを取り出すと、眼鏡越しではあるが装着して

マサツグとモツの事を品定めするようマジマジと観察し始める。


__カチャッ…ピピピピ!……


「ふむふむ!…なるほどなるほど!…」


「……えぇ~っと…クラリスさん?…それは?…」


「え?…あぁ!…ごめんなさい!…これはジョブスカウターと言いまして、

簡単に説明するとその人の強さを量る事が出来る魔具です!

強さと言ってもこれはその人の職業に対しての熟練度を量れるだけでして…

戦闘力等はまた別の物でないと量れませんが…」


クラリスがスカウターを掛けてはマサツグとモツを交互に見詰めて一人頷き

納得し、ウンウンと頷きながら手元に取り出したメモ帳に何かを書き込んでいく。

その様子に思わずクラリスがマサツグと自分の戦闘力を調べているのかと

モツが誤解をし、マサツグもその様子に困惑しクラリスに話し掛けると、

クラリスはスカウターの説明していなかった事にハッと気が付いては謝り始める。

そして自身が付けていたスカウターの説明をし始めてはマサツグとモツの熟練度を

量っていた事を話し、その話を聞いてモツは黙って頷き納得する中マサツグは

やはり戦闘力たったの5か…とあのセリフが頭の中で出て来ては若干困惑する。

そうしてマサツグが一人困惑して居るとスカウターの計測が終わったのか音が鳴り、

同時にクラリスのスカウターにはマサツグ達の熟練度が表示される。


__ピピピピピ!……ピィーー!!…


「あっ!…計測完了です!…どれどれ?…」


 --------------------------------------------------------------------------------

 「マサツグ」 剣士  I---------------------------------I 100% Lv.20

              「クラスアップ可能」

 --------------------------------------------------------------------------------

 --------------------------------------------------------------------------------

 「モツ」 万能冒険者 I---------------------------------I 100% Lv.20

              「クラスアップ可能」

 --------------------------------------------------------------------------------


「…うん…うん……はい!数値も正常!熟練度も十分!…

これなら十分にクラスアップ出来ますが…」


クラリスは自身の取ったメモとスカウターが表記した数値を見比べ、何方からも

問題が見られなかった事を頷きながら確認しては笑顔で頷き、マサツグ達に

クラスアップが出来る事を伝えようとするのだが…クラリスが話し切る前に

マサツグが興奮気味にその判定が下った事を悟っては立ち上がって、クラリスの

手を取ると詰め寄る様にして返事をする!


__ガバァ!!!…ガッシ!!…


「やります!!!!」


「ッ!?…は…はい!…分かりました…」


「あははは…じゃあ俺もクラスアップしようかな?…

お願い出来ますか?…」


マサツグが待ってました醍醐味!!と言わんばかりに目を輝かせ、クラリスに

顔を近づけ屈託のない笑みで返事をし手を握ると、そのマサツグの予想外の

反応にクラリスは困惑し、若干照れながらも後ろに仰け反って如何したら良いか

戸惑い始める。その様子にモツも苦笑いをしてはマサツグ同様クラスアップに

興味を持ったのか、クラリスに受ける意思を表明する。そのモツの返事を受けて

クラリスが返事を返すとマサツグの手を戸惑いつつも払い除け、クラスアップの

詳しい説明をし始める。


「あっ!…はい!…分かりました!……すいません!…

…ではクラスアップの説明をします!……

まず先程の様に私が測定して大丈夫と判断した方のみ!…

このに挑戦出来る様になってます!…

その理由としましては適性が有っても実力が無ければ意味が無いと言う

ギルド連盟の意向がありまして…そのクエストをクリアする事によって晴れて

クラスアップとなります!!…その際このクラスアップクエストには期限等は

有りませんが、少し他のクエストとは違って…

まず、パーティを組んでクエスト条件を達成してもクエスト達成になりません!

一人で達成しないと合格にはなりませんので注意してくださいね。」


「え?…マジで?…」


クラリスがクラスアップの詳細を話し始めるのだがそのクラスアップも

一筋縄では行かないのか、まずクラスアップ専用のクエストの存在を口にする。

そのクエストも今までのNPCが用意した物ではなく、ギルド連盟恐らく運営が用意した

物らしく、これをクリアしない事にはクラスアップは出来ないとクラリスが

注意するよう話し、更にパーティを組んでクエストに挑んでも条件が

達成されないと言う若干厳しい条件を足して来る。その話を聞きマサツグが

戸惑った様子でクラリスに本当かどうかの有無を尋ねるのだが、クラリスは

眼鏡をクイっと上げて見せては真剣な顔で答える。


「はい!…大マジです!!…

そしてこれがそのクラスアップのクエストなのですが…

…ちょっと待っててください?…」


__コッ…コッ…コッ…コッ……カサッ……コッ…コッ…コッ…コッ…


「まぁ…開いて見て貰った方が速いと思います。」


__カサッ……パラァ……?…


クラリスからの返事にマサツグは戸惑うのだがモツだけは表情を変えずに

ただ説明を聞き、クラリスが徐に受付カウンターの方へ戻って行きカウンターの

中から何かを取って来ると、マサツグとモツの方へと改めて戻って来る。

そして二人へ恐らく先ほどの説明にあったクラスアップの試験内容が書かれた

巻物スクロールを手渡し始めるのだが、クラリスは詳しい説明をせずただ巻物を開く様に

言っては悩んだ表情を見せ、その表情にマサツグとモツも困惑した様子を

見せるも言われた通り巻物開いて内容を確認すると、そこには簡単にしか

書かれていないクエストの全容が書かれていた。

    ----------------------------------------------------------------------

              クラスアップクエスト

              依頼レベル 15以上

      貿易都市クランベルズより西にある農村の近くの森より、

           光り輝く樹に生る実を入手する事。

         尚、パーティを組んでの達成は不可とする!

               報酬 クラスアップ

    -----------------------------------------------------------------------

「な…何だこれ?…」


「明確な位置は書いてないな…それに物も

まるでその場所を見つけるのも試験内容と言った感じで、

クラリスが言っていた通り…一人での達成って書いて有る…

それに…」


そこに書いて有ったのはクエスト名に依頼受諾レベルと、ここまでは普通の

依頼書と変わらないのだが次に書いて有る内容…そこには一つの方角と

村の存在が書かれており、その明確な場所名については一切書かれていない上に

それはただの目印と森の中にある木の実を取って来いと書いて有るだけ。

更にその木の実に関しても特徴が書いて有るだけで何と言う木の実を

取って来るかは書いてはおらず、ヒントはほぼ無いと言っても過言では無い。

ただでさえこのゲームはオープンワールドで目的の村一つ見つけるのも一苦労な

上に、目的地が分からないとなると更に彷徨い歩く事必至になる!その間勿論

モンスターの相手もしないといけない訳で、ただ無策に彷徨い歩いて物資枯渇…

そのままモンスターに襲われ全滅なども有り得る過酷仕様!…その事を知っている

モツが少し悩んだ様子で内容を確認し、他に手掛かりが無いか巻物を調べるのだが

何も見つからない。


__チラッ…チラッ…


「…これと言って仕掛けもある様に無いし……

これはマジの探索ゲーになったなコレ?…」


「…この通り…漠然としか書いてなくて何が正解なのか分からないのです…

…もしかするとリンなら分かるかもしれないのですが…

…こう言う時に限って…お使いに駆り出されて!……物が分からないと

こっちも対応し難いのですが…どうにもそのクエスト巻物…

その人その人のクラスアップに沿ってお題が変わる様で中々扱いに困った

物なんですよねぇ~…」


モツが巻物に目を通し何も無い事に焦りを覚えて居ると、その様子を見て

クラリスも困惑した様子を見せる。彼女もこのクエスト達成条件である正解の物が

分からない様子で頬に手を当て悩み、リンなら分かるかもと期待している様だが

生憎お出かけ中…物が分からないと対応し難い…コロコロお題が変わるから扱いに

困るなど愚痴を零し始めるのだが、マサツグがとにかくそれらしい場所を

見つけようとマップ画面を開くと辺りを調べ始める。


「……とにかくマップでその農村らしき場所に目星を付けてみるか…」


__ヴウン!!…パッ…パッ…


「えぇ~っと…西の方角だからこっちで……ッ!…あった!…

えっと…ブルーベルズって農村が確かにここから西の方角に在るな!…

距離からして…徒歩で約二日って言った所か…」


マサツグがマップ画面をスワイプさせながら農村を探す事数分…

クエスト巻物の通りに西の方角を探索しブルーベルズと言う農村を見つけては

ついでに距離も口にするのだが、その後ピタッと固まっては一人悩み出し

マップを凝視する。そしてマサツグの見つけたと言う声に反応してモツが

クエスト巻物を調べる事を一旦中断し、マサツグの方に振り返ると森の有無に

ついて質問をする。


「ッ!…ナイス!…じゃあ、その近くに森は!?…」


「………。」


「……?…如何したんだ?…」


モツが森の有無について尋ねクラリスも少し驚いた様子でマサツグの方を

見るのだが、マサツグは直ぐには答えず困惑した様子で固まりマップ画面を

凝視し続ける。その様子にモツがもう一度訪ねるようマサツグに声を掛け、

何が有ったのかについて尋ねるとマサツグは悩んだ様子でそのマップ画面を

見せてはモツに答えるのだが、それと同時にある事も聞き始める。


「……いや…有るのは有るんだけど…その農村の近くに森が在るんだが…

これ…どっちなんだろう?…」


「え?…」


マサツグの問い掛けにモツが困惑し、マサツグが表示したマップに目を通すと

そこにはブルーベルズの農村と一緒に森が二か所投影されており、その森の

名前がそれぞれ表示されていた。農村より右片方には「修行者の森」と

表記され、もう左片方には「狩人狩りの森」と表記されている。そして恐らくは

この困惑こそがこのクエストの最大の鬼門で難問なのであろう…何故なら

今マサツグ達が居るスプリングフィールド大陸には森が多く存在し、カチュアと

一緒に向かった迷いの森を始め、様々な負荷デバフが付いた森類が多数存在している

からであった。迷いの森の場合は外敵を外に追いやる魔法が掛けて有るのだが、

その逆も然り…外敵を引き込み森の養分にするダンジョン仕様の森も存在し、

そう言った森に情報を持たないまま迂闊に足を踏み入れると元凶を倒すまで

彷徨う等…本当の鬼仕様となっている!更に何の変哲もない普通の森だとしても

ボスモンスターが出現すれば直ぐにその森はダンジョンと化し、何も知らずに入って

そのまま帰って来れない…帰って来ない等恐ろしい事になり、ギルドの方でも

そう言った森に足を踏み入れた勇敢な冒険者から情報を集め、スプリング

フィールドの森情報等を公開しているのだがそれでも被害は増える一方…

本当に慎重に成らざるを得ないのであった。そしてこの二つの森に関しても

ギルドでは取り上げられていないのか、クラリスが不安な表情を浮かべては

マサツグのマップを覗き込み話し掛ける。


「……ッ!…この二つは……過去の物なら多少残っていますが…

現段階での最新のものは無いですね…両方とも初心者では少し厳しいと言った

レビューは有りますがどれも約十年前…

以降誰もこの森についてレビューした人はいないようです…」


「じ…十年前って!?…」


「はい…ですから森にボスモンスターが現れた場合は…」


「ダンジョン化って事か……」


クラリスが戸惑いながらも情報は残って居るとウエストポーチから情報紙の束を

取り出すも、その情報も古く十年前の情報が出て来る。その以降誰もレビューして

居ないのは誰も行った事が無いのか…はたまた行ったっきり帰って来ないのか…

何方か分からないと言った様子で困惑し、その情報にマサツグが驚き戸惑って

居るとクラリスが最悪のパターンを予想し口にする。そしてその答えを言う様に

渋い顔をしてモツがダンジョン化の言葉を口にすると、マサツグ達の周りは

シ~ンと静まり返り困惑の渦に飲み込まれる。しかしそれも長くは続かず、

マサツグが突如ハッと思い出した表情を見せてはある事を思い出し始める。


「うぅ~ん……ッ!…あれ?…狩人狩りの森?…そう言えば…」


{ここから西の農村の近くに「狩人狩りの森」ってのが在るそうなんだけどね?…

何でもその森には何でも青く光る樹が生えているらしいよ!…

ただ今の所その木を探しに行った人間は誰一人として見つけてない上に、

帰って来ないとか!…無理にとは言わないけど…もし興味があるなら探してごらん!

案外、お宝が眠ってるかもしれないよ!!……}


「……ん?…如何したんだマサツグ?…」


マサツグが「狩人狩りの森」の名前に改めて引っ掛かりを覚え、徐に

カチュアと共に迷いの森へ向かう際…道中で露天商のおばちゃんから

聞いた噂話を思い出し考えて居ると、その様子に気が付いたモツが

不思議そうな表情を浮かべて、マサツグの方に振り返り如何したと

問い掛けるとクラリスも興味を持った様子で振り返り、二人揃って

不思議そうな表情を見せ話の内容について回答を待って居ると、

マサツグは戸惑いながらもそのうわさ話について二人に話し始める。


「え?…い、いや…実はさ?…露天商のおばちゃんの噂話で

狩人狩りの森に青く光る樹があるとか何とかって言ってたのを思い出して…」


「ッ!?…それだ!!ブルーベルズに!…狩人狩り!!…

ナイスマサツグ!!!」


「えぇ!?…ちょ!…ちょっと待て!?…でもこれはあくまでも噂話で!…」


マサツグが二人に噂話の内容を簡単に話し、二人揃って目を見開くとそれだ!と

言った様子で喜びを露わにしては、謎が解けたと言った表情を見せる。モツ自身

こう言った謎解きは好きな方で、クエスト巻物に書いてあった内容が解けた事に

スッとした!と清々しい笑顔を見せ、改めてマサツグの開くマップを見詰めて

ブルーベルズと狩人狩りの森の場所を確認し始める。しかしマサツグはこの噂が

何処まで信じられるものなのか…あくまでも噂である事をモツに話すのだが、

モツは確信を持った様子でマサツグの肩を軽く叩くとクエストに出掛けるよう

急かし始める。


「火の無い所に何とやらって奴だ!…行ってみる価値はある!!…

よし!…じゃあ行ってみようぜ!」


「そ!…それにだ!!仮に目的地がそうだったとしてもこのクエストは

一人で攻略しないといけないんだぞ!?…一緒に行っちゃ駄目なんじゃ!?…」


「え?…あぁ!…それに関しては大丈夫だと思うぞ?…

何せ駄目なのはであって、は駄目とは

書いてなかったからな?…」


「え?……」


モツが久しぶりの協力プレイに燃えているのか若干興奮気味にマサツグを

急かすと、その様子にマサツグが戸惑い待つよう声を掛ける。そしてマサツグが

このクエストに置けるもう一つの難題について問題が有ると言った様子で戸惑い

ながらモツに問い掛けるのだが、モツはそのマサツグの問い掛けにキョトンとした

表情で困惑しては直ぐに納得したのかマサツグに返事をする。しかしモツからの

返答の意味が分からず戸惑った様子でマサツグが困惑しその場に固まり悩んで

居ると、同じ様にモツの話を聞いていたクラリスが納得した様子で手でポンと

槌を打つ。


「ッ!…あぁ~!…なるほど!…そう言う事ですか!!…」


「…え?……」


「モツさんが言いたいのは事との違いについてです!

パーティを組むと言う事は確かに協力体制の事を指しますが一蓮托生と言う

もう一つ意味を含み、最初から最後まで…解散するまでの事をパーティと指します。

ですが共闘の場合は一時的…つまりは個人と個人が不安定な関係状態のまま

協力し合う事を言いますので、このクエストに書いてある…パーティを組むと

言う事には該当しないと言う事です!…」


「……そんな抜け穴理論が通るのかな?…」


クラリスが分かったと言い、その反応にマサツグが戸惑った表情のまま

クラリスの方に振り返ると、クラリスはマサツグにパーティプレイと共闘の

違いについて説明し始める。パーティプレイは関係が終わるまで続く協力体制で、

共闘はその場限りの協力体制…そう言った説明をしマサツグが戸惑った様子で

納得するのだが、それが通じるのかとマサツグが若干の不安を覚えて居ると、

にモツがギルドの出入り口に立ってはマサツグに声を掛け続ける。


「大丈夫だって!!…駄目だったら駄目だったでもう一度受ければ良い!!…

マサツグが良く言ってた言葉だろ?…」


「…まぁ…そうなんだけど……はあぁ~…本ちゃんキャラ変わってるような?…

とにかく悩んで居ても仕方無いし…じゃあ、行きますか?…」


__コッ…コッ…コッ…コッ…ガタン!!…ギイイィィィ…


「ッ!…行ってらっしゃい!!お気をつけて!!」


モツの急かす声にマサツグが戸惑い、今までとキャラが違う様なと困惑しつつも

一人小言でツッコミ…モツの口車に乗せられるようやる気を出すとモツの

待つギルドの扉へと歩き出し始める。そして二人が扉を開けてギルドを後に

しようとすると後ろからクラリスの見送る声が聞こえ、マサツグが振り返り手を

振って答えながら後にすると、クランベルズの広場に出て来る。クランベルズ

からは今だゴーストタウンの様な静けさが漂い、一応人影はチラホラ見えるのだが

その人影も辺りを警戒し、気配を隠す様に歩いている様に見える。まるでまだ

信者達が居るのではと完全に怯え切った様子を見せ、マサツグ達が歩きながら

その人達を見掛けては思い思いに言葉を口にする。


「……やっぱ警戒している様子だな…

まぁ当たり前っちゃ当たり前だが…」


「肝心の元凶は健在…事件も完全に収束した訳じゃ無いからな…

…それに今だ警備兵は行方不明と来てんだからこればかりは……ん?…」


町の中を防衛クエストに参加している冒険者達が歩き回っているのだがどうにも

事件の収拾はまだまだ先の様子で慌ただしく、町の人達も冒険者達も厳戒態勢で

辺りを見渡しながら歩き回り落ち着きがない。そんな様子を目にしつつマサツグ達が

メインストリートを歩いて居ると、マサツグ達の進む方向から何やら騒がしい声が

聞こえて来る。その聞こえて来た声に二人が何事かと反応し耳を澄ますと聞こえた

様子からはまるで軍隊の様にキビキビしており、やたら大きな声で喋っているのが

伺える。


__ガヤガヤ!!…ガヤガヤ!!…


「……一体何の騒ぎだ?…」


「ッ!?…まさか信者達が!?…」


「ッ!!…とにかく行ってみよう!!…」


自分達が今まさに進もうと思っている道の先から聞こえて来る声に違和感を覚え、

マサツグ達は信者達が来たのかと警戒しつつ先を進んで行くと、徐々に町の

玄関口と共に奇妙な人の集まりが見え始める。その様子にマサツグ達が気付き

その人の集まりを注意深く見るのだがどうやら勘違いで、実際の所は町の玄関口で

号令を掛ける王都からの派遣兵達が立っており、兵士長が先頭に立っては各隊に

指示を飛ばして居る様子があるだけであった。


「……ッ!?…あれは?…」


「全員、これよりこのクランベルズの防衛に当たる!!

不審な者を見つけても深追いはするな!!…報告は密に!!…

まずは町の人の安全を第一に動くように!!連携を忘れるな!!…

以上、全員!!……持ち場に着け!!!」


「「「ハッ!!!」」」


__ガッチャ!!…ガッチャ!!…ガッチャ!!…ガッチャ!!…


兵士達は指示を聞いて綺麗に整列し一糸乱れぬ敬礼で返事をして見せ、

予め決められていた担当エリアへと慌しく駆け出して行く。鎧の掠れる音が

辺りに響き、その様子に気が付いた見ていた町の人達が若干安心した様子で

出て来てはまたチラホラと町の中を歩き出し、さすがにずっと籠るにも

食料等に不安が有るのか今の内に買い出しに行こう市場へ駆け出して行く

人影等も見て取れる。しかしその様子からもまだまだ安心出来ると言った

様子では無く、戸惑いは残って居るとばかりに警戒心バリバリの町の人が

行き交い始めるのだが、まだ外に出て来る様になっただけマシだと思いつつ

マサツグ達は自分達の荷物を軽く確認し、大丈夫だと確認し終えると町の門を

抜けて何度も見て来た大草原に花畑とその光景を自身の目を映す。


__サアァァァ……


「……気持ちいい風だな…」


「あぁ……じゃあ、行きますか!…」


__ザッ…ザッ…ッ!……ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


先程までクランベルズは厄介な出来事があったと言うのに町の外では

嘘の様に爽やかな風が吹き通り、マサツグ達がその風を全身に浴びて

決意を固めるとブルーベルズに向けて歩き始める。その際すれ違う様に

他の冒険者達がクランベルズに向かう様子が目に映り、マサツグは

その冒険者達が今のクランベルズを見て如何思うのかと思わず一人考えて

しまうのだが、今は自分の事!…と切り替えると改めて歩き出し始める。

そしてブルーベルズに向かう道中…モツは合流するまでの間マサツグが

何をして居たのかが気になったのか、徐に質問をし始める。


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「なぁ?マサツグ?…

マサツグって俺と合流するまでの間何をしていたんだ?…

あの信者に斬り掛かる時に見て感じたんだけど…かなり戦闘慣れしてないか?…」


「ッ!…あぁ…それには色々と理由があるんでさぁ…色々と…

はっはっはっはっは…」


「…え?……」


モツがマサツグの戦闘ぶりを見て上達が早いと指摘し、軽い気持ちでその事に

ついて質問をするとマサツグは遠い目をして空を見上げ、色々有ったと

答え始めては乾いた笑いを上げ始める。その様子にモツが戸惑いマサツグの

背中を見詰めて居ると、マサツグがそのモツの問い掛けに対して今まで体験して

来た事全てを話し始めるのだが、その話を聞いたモツは信じられないとばかりに

噴出し笑って見せては復唱し確認する。


__……ッ……ッ……ッ!?…


「…ぶっは!!…あっはっはっはっはっはっはっはっは!!!…

え!?…嘘だろなんかのネタだろ!?……え!?…

始めた当初王都を出て直ぐの平原でウサギを倒してレベルを上げてたら

トカゲに追われて?…

そのトカゲを倒したら今度は国一番の騎士様に喧嘩を売られて一騎打ちになって?…

で、その騎士様倒したと思ったら実は女の子でしたでボディブローを入れられて?…

それでも自由になったと思って護衛任務を受けたら今度はサイクロプス!…

オマケに妖精達を助ける為に駆り出される!?……って、本当に何をやったら

そんな人生ハードコアになるんだよ!!

イベント盛り沢山!…有り得ないっての!!」


「ンなもん俺が一番聞きたいっての!?…

ただ普通にゲームを始めただけだってのに!…

トントン拍子であれよあれよと言う間にこの始末!…

ホントに如何してこうなったんだ!?…」


歩きながら今まであった事を正直に話すもモツには爆笑され、そんなモツに

マサツグがツッコミを入れると自身の頭を抱えて嘆き始め、モツはそんな

マサツグの様子を見て更に爆笑する。本当にあったとは信じがたい内容なのだが

モツはマサツグの話を信じた様子で落ち着き始め、マサツグの戦闘慣れにも

納得したのか今度は自分の話をする。モツの話は普通でマサツグとは違い

波乱万丈な冒険はしていないがそれなりに充実したと言った内容なのだが、

ただ一つだけモツも護衛任務の時に一悶着あったらしく、盗賊団が襲って来た時…

その馬車を護衛するメンバーの中に実は盗賊団と結託していた奴がいた様で、

あわやクエスト失敗になり掛けた事があるらしい。その話をモツは臨場感一杯に

話し、マサツグが何時しか夢中で話を聞いて居ると自分とは違う冒険内容に

若干ショックを受けては改めて、自分の冒険がハードコアである事を自覚する

のであった。

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感想 63

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2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

エルリア
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HOTランキング1位ありがとうございます! 2000年代初頭。 突如として出現したダンジョンと魔物によって人類は未曾有の危機へと陥った。 しかし、新たに獲得したスキルによって人類はその危機を乗り越え、なんならダンジョンや魔物を新たな素材、エネルギー資源として使うようになる。 人類とダンジョンが共存して数十年。 元ブラック企業勤務の主人公が一発逆転を賭け夢のタワマン生活を目指して挑んだ探索者研修。 なんとか手に入れたものの最初は外れスキルだと思われていた収奪スキルが実はものすごく優秀だと気付いたその瞬間から、彼の華々しくも生々しい日常が始まった。 これは魔物のスキルを駆使して夢と欲望を満たしつつ、そのついでに前人未到のダンジョンを攻略するある男の物語である。

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嘉神かろ
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