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-第一章-スプリングフィールド王国編-

-第一章七節 BBSと御前試合・その後とまさかの登場-

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御前試合終了後の次の日…マサツグが仕事から帰って来てゲームを起動させる前、

このゲームを勧めて来た友達から掲示板でマサツグの事が面白い噂になって居ると

聞くと、気になったマサツグはその自分の事が書かれている掲示板を開いて確認を

する。するとそこには昨日の御前試合での事が掛かれており、あの戦い方は本当に

出来るのかとスレッドが建てられては物議を繰り広げられていた。


-駆け出し冒険者vs騎士団長の戦い考察板-


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 1.「名無しの冒険者」


 御前試合見に行って来たけど無茶苦茶な戦いしている駆け出しを目撃なう。

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 2.「いいですとも兄貴」


 俺も見た。あんな戦い方初めて見た!

 まず、相手の攻撃を利用しないし!wwww

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 3.「50歳賢者」


 あれは、正規の戦いで出来るのか?

 job賢者だからわからんのだが?

 情報提供求む!!

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 4.「Darkness Stalker]」


 あれは、チートだろ。

 でなきゃ、絶対できない。戦い方だろwww!!

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 5.「働きたくないでござる!」


 それがあのあと、感化された者がアーマードボアの突進を

 利用して検証してたでござる。

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 6.「50歳賢者」


 マジか!?

 で! 結果は!!

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 7.「働きたくないでござる!」


 それが、出来たみたいでござる。

 拙者は見てないでござるが…

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 8.「終焉の日は近い」


 その話俺も聞いたけど信憑性はあるのか?

 デマっぽいが?

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 9.「ニンポ使い」


 それ、マジらしいぞ。

 その検証した奴、あの「Nightmare」のクランメンバーがやったてよ。

 しかも、クランの人間が全員証人で。

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 10.「50歳賢者」

 
 マジか!!

 あのクランがやったのかwwww

 ほんと、あそこなんでもやるなwwww!

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 11.「misaka」


 ただし、その後反射ダメージ及び高所ダメージでお亡くなりになった

 けどね。まぁ…その現場に居たし…何よりあんな戦闘を見せられたんじゃ…

 好奇心がね?… ちはみにこれがその時の実験時に撮ったSSスクリーンショット

 ・SS

 ・SS

 ・SS

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 12.「いいですとも兄貴」


 クランメンバーご本人様登場wwwwww

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 13.「50歳賢者」


 すげぇー!!

 ちょっとサブアカで剣士キャラ作ってくるw!!

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 14.「過労死寸前賢王」


 初見です。

 その件の駆け出しvs騎士団長の動画を見てみたいのですが…

 どこかで閲覧できませんか?

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 15.「ニンポ使い」


 初見さんいらっしゃ~い!

 たぶんヌフヌフ動画かPoutubeにうpされてると思うよ!

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 16.「過労死寸前賢王」


 ありがとうございます!

 探してみます!

 でも、そんなに珍しい戦い方なのですか?

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 17.「働きたくないでござる」


 珍しいの域を出てるでござる!

 あれは、システムの限界に挑戦しているような戦い方でござる!

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 18.「ロリコン男爵」


 実は私あの戦い終了時、その駆け出しの冒険者を鑑定してみたのですが…

 彼にかなり珍しいSSサブスキルが付いていましたよ?

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 19.「名無しの冒険者」


 何が付いていたんですか!?

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 20.「ロリコン男爵」


 言っても信じてくれないと思います…

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 21.「終焉の日は近い」


 もったいぶらないでとっとと言ってしまえww

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 22.「ロリコン男爵」


 それが「超幸運」が付いていたんです。

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 23.「50歳賢者」


 は?

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 24.「名無しの冒険者」


 ほんとですか?

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 25.「ロリコン男爵」


 ほ~ら~信じてない~!

 でも、本当なんです!!

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 26.「misaka」


 でも、本当だったら凄いよ!

 本当にあるかどうかも分からない幻のレアスキルなんだから!!

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 27.「過労死寸前賢王」

 
 何ですか?その「超幸運」というのは?

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 28.「いいですとも兄貴」


 「超幸運」ていうのは、無条件でLUKをカンストにするだけでなく

 色々と本人の都合のいい事が起きると言われるスキル。

 でも、実際はカンスト表記以上の効力があるとか憶測の域を出た

 ことが無いんだと。

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 29.「働きたくないでござる」


 して、その御仁の名はなんというのでござるか?

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 30.「終焉の日は近い」


 たしか、「マリツグ」だったと思う。

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etcetc……


「……何だこれ?…

てか、「マリツグ」って誰?…俺は「マサツグ」何だけど…

それにあの「超幸運」が幻のスキル?…今の所その恩恵を受けた覚えはないけど…」


掲示板に書かれてある文章を一通り読んでは困惑した様子でツッコミを入れる。

マサツグなのにマリツグと呼ばれ、本当に効果が有るのか如何かが分からないスキル

「超幸運」が幻のレアスキルと呼ばれて居る事…更には自分が取ったあの戦闘方法は

有り得ないと言った事が書かれて有り、検証組まで動いて居た事が分かった。

それらの掲示板を見た後…自分がある意味有名人になった事により、気ままに

ぼっちプレイをするのが難しくなるのでは?…と言った心配をひそかにするのだが、

まぁ…なるようになるだろ…言った様子で一人納得してはゲームを起動させるので

あった。



そうしてマサツグがゲームを起動しログインすると知らない天井が目に映る、

そして次に体を起こそうとするも何故か体を起こす事が出来ない…始まって早々

詰んだ状態から始まった事に驚き、何事かと考えるも始めたばかりなのでログには

何も書いてはおらず、状況がつかめない…そんな自分の体に戸惑いつつもとにかく

昨日の最後の光景を思い出し始めると、徐々に何故自分がここに居るのかと言う事を

思い出し始める。それはマサツグが昨日ある人達の厚意を受けてここに泊まって居る

と言う事を…きっかけはマサツグが闘技場でハイドリヒに勝利し、その後色々と

ゴタゴタに巻き込まれたと言う事からであった。



昨日・闘技場闘技エリア・リング上にて…



__わああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!…


「バ…馬鹿な?…私が…負けた!?…

それも…降参などと!?……ッ!!!…」


「はぁ!…はぁ!…

な…何とかなるもんだなぁ?…あとHPが……ッ!?…

じゅ…10しかない!?…これってリアルに置き換えると

意識が有るだけで倒れてるよな?…」


闘技場全体からマサツグの勝利を称える様に歓声が上がり、そのリング上では

今だハイドリヒが座り込みマサツグに負けたショックを受け、その際降参の言葉を

口にしたのが余程自分でも有り得ないと言った様子で俯き、少し間を置いてから

ハッ!と頭を挙げてはマサツグを睨み付ける。そしてマサツグはと言うと

息を切らしながらも自分が勝った事に驚いては徐に残りHPを確かめ始める。

マサツグの視界の端がずっと赤く表示されてはHPの危険を知らせ続け、その様子に

マサツグが鬱陶しいさを覚えるも画面を開くと、そこには残りHPが10となっている

表記が出て来る。それを見てマサツグが現実リアルでの事と置き換えて一人驚いて居ると、

ハイドリヒがその場から立ち上がっては不服そうな表情でマサツグに詰め寄る!


__ガッチャ!!…ガッガッガッガッガ!!……ガッ!!!…


「おい貴様ァ!!!…何をした!?…

今度はどんなズルをした!?…」


「ッ!?…ちょ!?…はぁ!?…」


「私が降参などするはずが無いのだ!!!…

きっとまたよく分からない魔法か何かを使ったのだろう!?…

それにどうやってあの上空に現れた!?…

確かに貴様は私のエルレイドフルーレの直撃を受けた筈!!!…

如何やって防いだと言うのだ!?…」


ハイドリヒが早歩きでマサツグに向かって近付き、手を伸ばして胸倉を掴むと

グッと引き寄せ締め上げながら文句を言い始める。まるでマサツグが卑怯な手を

使って勝利した様に言ってはその文句にマサツグが戸惑い、答えが帰って来ない事に

更に苛立ちを隠せない様子でマサツグを揺さぶってはあの一瞬で感じた疑問の全てを

マサツグに問い質す!勿論何が何だかと言った様子でマサツグは混乱し続けるの

だが、とにかく放して貰おうとマサツグがハイドリヒに呼び掛ける。


「ちょ!…ちょっと待て!?…

放してくれないと話そうにも話せないだろうが!!…」


「ッ!!…」


__バッ!!!…


「ゴホゴホッ!!…あぁ~…死ぬかと思った…」


マサツグがハイドリヒから物理的に揺すられ話せないと口にすると、ハイドリヒは

その言葉にピクっと反応してはマサツグから手を放す。揺さぶられた状態から

解放されたマサツグはそのまま後ろに仰け反って咳き込み、何とかバランスを

取り直して膝に手を着き咳き込みながらも呼吸を整えるのだが…待ちきれないと

言った様子でハイドリヒが自身の腰に両手を当てマサツグの前に仁王立ちすると

急かし始める!


「さぁ話せ!!…一体何を!!…」


「ゲホ!…なぁに簡単な事だよ!!…

チョイとばっかし賭けに出たんだよ!…」


「ッ!?…何だと!?…」


急かすハイドリヒにマサツグが咳き込みながらもニヤッと笑い一言賭けに出たと

答えると、そのマサツグの言葉と様子にハイドリヒが戸惑いの表情を見せる。

その際…が徐々にマサツグ達の居る

リングに向かい歩いて来ている事など知らない様子で…


「さて…アンタが何処ま理解出来るかは分からんが…一から説明してやるよ!…

まず俺はアンタがあの良く分からん竜巻突きが来るのを待って居たんだ!…

あれが無ければ奇襲が出来なかったからな?…」


「なっ!?…エルレイドフルーレをだと!?…」


「そうだ!…俺はあの技が飛んで来た瞬間「刹那」を発動した後、

そのエルレイドフルーレに向かって兜斬りを叩き込んだ!…」


マサツグの呼吸が落ち着き始めて漸く真っすぐ立てる様になると、ハイドリヒと

向き合いやって見せた事の説明をし始める。マサツグは最初からハイドリヒの

エルレイドフルーレを待って居た事を話し、その話を聞いてハイドリヒが驚いては

マサツグの顔を見詰めて居ると、マサツグは続けてそのエルレイドフルーレが

飛んで来た時…兜割りをして見せた事を話すと、ハイドリヒは更に戸惑った様子で

マサツグに答える。


「ッ!?…馬鹿な!?…そんな事をすれば弾かれ!……ッ!?…」


「そうだよ!…お前の言う通り!!…空に!!…」


「バ…馬鹿な!?…」


「勿論無傷じゃ済まなかったさ…かなりキツかった…

でもお陰でこうしてアンタとの一騎打ちで勝てた事になっている…

後は言わなくても分かるよな?…空からアンタ目掛けて降っては兜割りを

叩き込んで…アンタの持っていた剣を壊して喉元に剣を突き付けた!…

例えアンタに剣を突き付ける事が出来たとしても剣を持っていたんじゃ

抵抗されそうな気がしたから剣を圧し折った!…これが俺のやった行動全部だ!!…

……まぁ…言うなれば完全に運任せの捨て身技ってところだな?…」


ハイドリヒがマサツグに有り得ないと話すも直ぐにハッ!と気が付いた表情を

見せてはマサツグの顔を見て驚き、その表情を見せたハイドリヒにマサツグが不敵に笑みを浮かべると

空に向けて指を差し始める。そのマサツグの態度にハイドリヒが更に戸惑い、

マサツグが指差す空を見上げては先ほどの光景を思い出したかの様に後退りをする。

そんな様子を目にしつつもマサツグが最後に簡単にまとめると運任せと豪語し、

その言葉を聞いたハイドリヒがまたショックを受けた様子で項垂れ、そして数分間

ハイドリヒが沈黙して居ると思うと徐に肩を震わせ一言呟き始める。


「ふざけるな!…」


「…え?…あんだって?…」


「ふざけるな!!!…あんな事をやっておいて運任せだと!?…

馬鹿にするのも大概にしろ!!!…それとも!!…やはり何かしらの

インチキをしたと言うのか!?…」


「ちょ!?…はぁ!?…」


「運任せで出来る訳が無いだろうが!!!…

嘘を吐くにしてももっとマシな嘘を吐け!!!…

もう一回!!…もう一回私と戦え!!!…

ちゃんとした一騎打ちを!!…私と戦って証明しろ!!!!」


ハイドリヒが呟いた言葉にマサツグが反応しては良く聞こえなかったともう一度

聞き返すと、ハイドリヒはマサツグに詰め寄ってはその言葉を信じられない様子で

激昂する!そしてまたマサツグが不正を働いたと豪語し、その様子に観客達が

騒然とし始めると、その様子にマサツグが戸惑い落ち着く様に呼び掛けようと

するのだが、ひたすら納得が行かなかったのか今にも泣き出しそうな表情で両肩を

掴み、再戦を訴え掛ける!今までに見せた事の無い姿なのであろう…観客達は

必死に再戦を願うハイドリヒの姿を見ると戸惑い徐々に歓声も小さくなり始める。

そんな訳が分からなくなって来た状況下、ここで助け舟とばかりにある人物が

リングに上がって来ては二人に声を掛ける。


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「でも、負けてしまった…そうでしょ?…」


「え?…」


「ッ!?…」


ヒールで歩いて来る足音が聞こえて来るが歓声で掻き消され、突如現れたかの様に

ハイドリヒの後ろから聞き覚えの有る声が聞こえると、マサツグが戸惑った様子で

ハイドリヒの後ろに目をやる。それと同時にハイドリヒもマサツグの両肩を掴んだ

まま突如青ざめてはバッ!と慌てて振り返り、二人してその声の主を確かめると

そこにはマサツグを案内したあの毒吐きメイドが身なりをちゃんと整えて優雅な

ドレスを着て姿を現し、その隣には先ほどマサツグの勝利と号令を出した白熊が

黒い鎧を着た様な大男が共に姿を現す。その二人が出て来た事にハイドリヒは

慌ててマサツグを放しては敬礼をし、マサツグはメイドがドレスを着て居る事に

驚いてはその事について質問をする。


「……?…あれ?…メイドさん何でドレスなんか?…」


「なッ!?…」


「……?メイド?……ッ!…

あぁ~…そう言う事か…王妃殿困りますぞ?…勝手な事をされては…

もう貴方は我が王の妃なのですぞ?…」


「……え?…妃?…」


マサツグの一言にハイドリヒが酷く驚いてはマサツグを睨み付け、白熊はと言うと

その言葉を聞いて若干考えるも直ぐに理解したのか、納得した様子で言葉を

漏らしてはそのドレス姿のメイドを妃と呼ぶ。その白熊の言葉にマサツグが

不思議そうにしては尋ねる様に復唱すると、先ほどからのマサツグの言動に

ハイドリヒが戸惑った様子を見せては激昂した様子のままマサツグを叱咤する!


「ッ!?…貴様!!口を慎め!!!…

ここに居られる方々は!…

我れらが王国を守る[黒鉄の破壊王]と呼ばれる!…ラインハルト将軍と!!…

我が王の妃様であられる!…アムネス王妃様で在らせられるぞ!!!」


「え?…えぇ!?…うえええええぇぇぇぇぇぇぇ!?…」


「うふふふ!…先ほどは如何もお馬鹿さん?…

…と言ってももうお馬鹿さんではないわね?…」


「はあぁ~…悪戯が過ぎますぞ?…また王に怒られても知りませんぞ?…」


ハイドリヒがマサツグを叱咤して二人の事を慌てて紹介すると、その紹介に

マサツグがキョトンとした様子で固まり、その後二人を交互に見詰めては

徐々に驚き、最後には叫んで驚くと思わず後ろに後退りを始める。その反応が

面白かったのかアムネスは笑みを浮かべて喜び、その隣ではラインハルトが

アムネスを流し眼で見ては呆れた表情をする。まるで「またこの人は…」と

言いたげに見えた表情にマサツグが戸惑って居ると、改めて二人がマサツグに

自己紹介をし始める。


「ふふふ!…こういう反応が期待出来るから止められないのですもの♪…

…では改めて…初めまして…私はスプリングフィールド王国・国王の妻…

アムネス・ハイデルグ…スプリングフィールドと申します…」


「ワシの方はスプリングフィールド王国…第五十九代目将軍!…

名をラインハルト・アイアンズと言う!……

先ほどの戦い!…良く見させて貰ったぞ?…冒険者殿~?…

我が部隊に入隊させたい位だった!!」


「ど、どうも…」


ただ目の前で顔を青くしている騎士様に喧嘩を売られてこの場に来ただけなのに…

気が付けばこの国の最重要人物の二人を目の前にする!…

幾らゲームとは言えこんな事が有るのか?と思いつつもマサツグは状況を

飲み込めずにただ戸惑った様子で返事をして居ると、ハイドリヒが意を決した表情を

見せてはマサツグの前に立ち、まだ異論がある様子で先ほどの戦いについて再戦を

要求し始める。


「ま、待ってください!!ししょ!…じゃなく将軍!!!…

この戦いは余りにも可笑しすぎます!!…

いきなり訳の分からない動きをする上に私のエルレイドフルーレを

利用するなど!?…もはや奇妙な魔法を使ったとしか思えません!!!…

その点を踏まえてもう一度再試合を!!!…それにまだ私は完全に本気を!!!…」


「ッ!?…ッ……!!!」


「…はぁ~……ハイドリヒ?…貴方は本気でそれを言って居るのですか?…

騎士が惨めったらしく言い訳をするなど…それも一個の隊を率いる者が…

我が娘ながら情けない…」


「ん?…え?…今なんて?…娘?…その前に女なの?」


ハイドリヒがマサツグのとの再戦を要求する際、マサツグの挙動・取った行動と

言い訳を並び立て、更に自分が本気を出して居ない事をアムネスとラインハルトに

言うとアムネスは呆れた表情を見せてハイドリヒの言葉に落胆し、ハイドリヒが

自分の娘である事を暴露すると、マサツグは戸惑いの表情を見せて自分の目の前に

いるハイドリヒをチラッと確認する。そしてラインハルトもハイドリヒの言葉に

ピクっと反応するとプルプルと肩を震わせ、ハイドリヒがアムネスの言葉に戸惑いの

表情を見せてオロオロして居ると、アムネスがラインハルトの気配を察してかスッと

澄ました表情で自分の耳を手で覆い隠した次の瞬間、闘技場にラインハルトの

激昂した声が響き渡る!


「この!!…ぶぁか者があああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


__ドウッ!!!!…


「うひぃ!?…」


「ッ!?!?……」


ラインハルトがハイドリヒの言葉に怒り心頭の表情を見せると一喝し、その場に居た

マサツグがラインハルトの怒声に驚き慌てて耳を塞ぐも時既にお寿司とばかりに耳が

キ~ンと響く。そしてその怒声にハイドリヒも驚いた様子で固まっては

ラインハルトの前に立ち尽くし、怯えて戸惑った表情を見せて居るとラインハルトは

表情そのまま怒り続けてはハイドリヒに説教を始める!


「お前!!今何と言った!?…

この御前試合を何だと思っている!!!」


「は、はい!?…」


「相手が誰であろうと軽んずる事なかれ!!…全身全霊を持って戦うべし!!…

相手の技量を見極め!!…それに打ち勝つ勇気を持つべし!!!…

それを忘れたと言うのか!!!……冒険者殿には申し訳ないが…

ましてや自分より弱い者に負けたからと言って相手を卑怯者呼ばわりするなど…

言語道断!!!!…あの必死に戦う姿を見て卑怯と思う者は居るまいて!…

寧ろ格段に上の者を相手に一歩も引く事無く挑む精神は見習うべきもの!!!

動きがおかしい?…取った行動が考えられない?…自惚れるな!!!…

相手の力量を量れなかったのはお前のミスで!!!…

取った行動が考えられないと言うのはお前の経験不足だ!!!…

何事にも置いて!…戦場に立てば何が起きるか分からない!!…

それを図る為の御前試合だろう!!!…寝ぼけた事を抜かすでない!!!…

貴様それでも騎士団長か!?…」


「ッ!?…」


ラインハルトがハイドリヒの言葉に怒り心頭の表情を見せては説教を始め、

この御前試合に置いて大事な事・この闘技場で戦うに必要な事を口にしては

ハイドリヒに雷を落とす!マサツグや観客達からはまるで師弟関係の様に見え、

弟子が間違った事をした際その行いを正す師匠の説教の様に見える。

その一言一言の怒声を聞く度にハイドリヒはビクビクしながら説教を聞き続け、

ラインハルトの隣ではアムネスが滾々と説教を続けるラインハルトと怒られる

ハイドリヒを尻目にマサツグに手招きをしては呼び寄せる。


__チョイチョイ!…


「……?…え?…俺?…」


__コクコク!…チョイチョイ!!…


「えぇ~…」


マサツグがアムネスから手招きをされた事に気付くと戸惑った表情で自身の事を

指差してはアネムスに確認を取り、そのマサツグの反応を見てアムネスが笑みを

浮かべて軽く二回頷き、もう一度マサツグに手招きをする。マサツグが戸惑った

表情のまま声を漏らすが王妃様のお呼びを無碍にする訳には行かず、渋々王妃様の

元まで歩いて行くと王妃様はニコッと笑ってはマサツグの手を取り案内を始める。


__パッ!!…


「え!?…」


「もう日が暮れてしまいましたわね…

今日は私達の城に泊まって行きなさいな?…

授賞式は明日執り行いますし…今日はもうお休みなさいませ?…」


アムネスがマサツグの手を取って闘技場の出口に向かい歩き始めるとその事に

マサツグが戸惑い、驚きの声を挙げるとアムネスはマサツグに今日は遅いと

言っては自分達の城に泊まる様に言い、授賞式は明日執り行うと口にすると、

チラッとだけ王様が居るであろう観客席を見詰めてはウィンクをする。すると

その観客席の方から恐らく王様であろう影が立ち上がって頷いているの

だろうかその影が見える。それを確認してアムネスが軽く微笑むとマサツグを

更に城へと連れて行こうとするのだが、勿論状況が読めていないマサツグは

ただただ困惑する。


「え?…えぇ!?…ちょ、ちょっと!?…

そんな一介の冒険者を簡単にお城に止めても良いのですか!?…

それに将軍さんとハイドリヒは!?…」


「…?…あぁ、あの二人は放って置いて大丈夫です。

いつもの事ですから……それに今回は私達の娘が起こした問題ですもの…

お城に止める位如何って事は有りません…

勿論夫…既に王からの了承も得ています…」


「えぇ~…」


マサツグが戸惑いながらもアムネスに良いのか?と慌てながらも困惑した様子で

尋ね、更にラインハルトとハイドリヒの事を放置しても大丈夫なのか?と更に慌てた

様子で再度尋ねるも、アムネスはキョトンとした表情でマサツグの方を振り向いては

大丈夫と答え、更に王様から了承を貰ったとマサツグに伝えると手を引きながら

笑みを浮かべる。その一連の問答と答えにマサツグが戸惑いながらも王妃直々に

部屋へと案内され、これが「超幸運」の力なのか?と考えさせられるのであった。

そうしてその日は王城・数ある客室の一室を王妃と王様の厚意に甘えて借りると、

ベッドに横になってログアウトし、ゲームを終える…ここまでが昨日の出来事で

あった。


そして時間は戻って御前試合終了後の次の日…王城客室・空の王国の客員剣士の一室


依然として体を起こす事が出来ず昨日のダメージが残っているのかと思い自身の

ステータス画面を開いて状態を確認するもHP・TP共に全快している。そして

変な事に体右半分だけが動かなくて体左半分は何の問題も無く動くと言う事…

更に言うと体右半分だけが妙に暖かい上に何かが伸し掛かって居る様な感覚を

覚える…そんな感覚を覚えつつもマサツグが左腕を動かそうとすると右腕に

違和感を感じる…


__ゴソゴソ…


「…ん?…何かやわっこい感触が…」


「ん!…う…ん…」


「……え?」


__ギギ!…ギギギ!!…ギギギギギ!!…ッ!?…


右腕を動かすと何か今までに触った事の無い柔らかい感触を感じ、更に何か

色々と思わせる声が漏れ出て居るのがハッキリと聞こえる。その声を聞いて

マサツグがフリーズし、間を置いてから戸惑いの声を漏らすとまるで錆び固まった

ブリキの玩具の様な挙動で、その動かない体右半分の方を振り向き目をやる。

するとそこには何故今まで気づかなかったであろう…全く見覚えも身に覚えも無い

ナイスバデーの金髪美人女性がネグリジェ姿でマサツグに抱き付き、眠っている

ではありませんか!…その光景を目にしてマサツグは更に硬直した。まるで

某ステルスアクションゲームで蛇の主人公が見つかった時の様なSE効果音が頭の中で

再生されると、マサツグの心の中はとんでもない事になるのであった。

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