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昔の話、今の話。
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駐車スペースに車を停めると二人は車を降りた。
日射しは暑く強い日射しが降り注ぐ。だが、コンクリートより土が多く、ビルよりも木々が多い場所だからか涼しかった。
海からの風があるのも、恐らくは涼しい理由の一つだろうと思う。
建物を見上げる悠人の隣りに純一が来ると軽く説明をした。
「二階は客席もあるけど基本は展示スペースになってる。普通にレストランだけど、そういう個人作家の展示スペースとして貸し出してもいるし、希望があれば作家とコラボしてドンリンクとかフードとかも提案して提供するって感じのレストラン」
「なんか凄いな」
「凄いよ、オーナーも。居るかなぁ今日」
鍵をポケットにしまいながら純一が歩いて行く。その後ろをついて行きながら悠人は回りをぐるりと見回した。
自然の中と一言で言うには勿体ないほど木々の緑も、海の青も綺麗な場所だった。
風で揺れる木々の音と、来た道を走る車の走行音が遠くで聞こえるぐらいだ。
「街からは少し離れてるけど、都心からも小旅行で来る人もいるんだってさ。あの建物の反対側、ちょっと山みちになってるけど舗装はされてるんだよ。あそこから降りて行くと、街の方に出られる。ちょっと歩くけど、歩けない距離じゃないから」
「へぇ。確かに、気分転換には良さそう」
「そ。そういうお客さんが多いらしいし、俺たちもここの仕事してる時は楽しかったよ」
「通ったの? 家から」
「いや。さすがに色々面倒になって、俺と慎二とで泊まれるようにウィークリーマンション借りた」
ドアを開けると冷房の涼しい風に思わずため息が漏れた。
いくら外が幾分マシとはいえ、暑いものは暑い。
入ってきた二人を見てすぐに店員が声を掛けて近づいて来た。
一階の店内は八割は埋まっていて、胃を刺激する料理の匂いが漂っていた。
時刻はまもなく正午前。お昼時だからそれもそうかと納得した。
「あ、六條さんお久しぶりです。二階行きます?」
「お久しぶりです。二階いいです? と、オーナーいます?」
「オーナー、今日体調不良で休みなんです」
眉根を下げて対応していた女性店員は言った。
すぐに二階へと促された。席はどこでも大丈夫だと言われ、純一は礼を言うと悠人に目配せで促す。
少し狭い階段を上って行く。二階にも簡単なキッチンスペースがあるが、個室のようになっていてガラス窓でしか中が見られないようになっている。
その日の壁には絵が飾られていた。小さな看板のようなイラストが描かれたものもあり、それをみるとイラストレーターの作品の展示販売をしているようだった。
「へぇ……あっちが個室みたいになってるのって、作品置くからってこと?」
「そ。湿気とか大変だしね。よく分かったね」
悠人は小さく頷いて、店内を見回しながら言った。
「冬真さん……ああ、ウチの店長ね。彼もなんかこういうの、やりたいらしいんだよねぇ」
「へぇ。あの辺なら集客も簡単そうじゃん。出展料もある程度価格つけても見合った入客ありそうだから、展示する側にもいいんじゃない?」
「そういうのあの人に絶対言うなよ。乗り気になったら巻き込まれるのは俺なんだ」
小さく笑って純一は隅っこの窓際の席へと向かった。
椅子を引いて座ろうとすると、そこからだと外が一望出来た。ちょうど海が林の隙間から見られる位置だ。
「やっと連れてこられたからオーナーに会いたかったんだけどなぁ」
「やっとって、俺のこと?」
「そ。オーナーには色々世話になったし。あの人は悠人に会わせたいんだよね、いつかは」
「どんな人なの」
「めちゃくちゃパワフルな女の人。確か悠人と同い年じゃないかな」
そう言い終えたところで、先ほどの女性店員がやってきてお冷やの入ったグラスを二つ置いた。
メニューと日替わりのパスタはイカのパスタで、日替わりの一つはカレーだと告げる。
ランチのメニューは五種だった。
日替わりのパスタと、定番としてカルボナーラとミートソースパスタ、そしてオムライス。もう一つのご飯ものが日替わりであると書かれていた。
サラダとデザート、パスタにはパンが付いて、さらにドリンクがついている。
「俺のおすすめはパスタ。っていうかパン」
純一がそう言うと、店員は少し微笑んで言った。
「パンは朝から仕込んでランチ時は焼きたてなので、美味しいですよ。パンはテイクアウトもありますから、よかったらどうぞ」
「中身はランダムだけど、ハズレはないですよね」
店員は純一の言葉に「もちろんです」と答える。
そうまで言われるとパンが食べたいと思い、悠人は日替わりのパスタを頼むことにした。
純一はミートソースパスタを選び、二人ともドリンクをアイスコーヒーにした。
メニューを下げて立ち去る店員を見送って、純一は椅子に深く腰掛ける。
「ここのオーナー、女性でΩなんだよ。だけどなんて言うかマジで俺と慎二なんかよりパワフルですごいの」
「へぇ?」
「俺の先輩のパートナーなんだけどね。なんていうか、俺とやろうとしてることが似てたから、色々元気もらったっていうか。俺が頑張れたのも彼女のおかげでもあるかな」
悠人はグラスの水を一口飲んだ。
レモンの味がほんのりとする。心地良さに、悠人も椅子に深く座り直した。
「オーナーも色々あって、でも自分のやりたい事はやり遂げるって決めてて。色々あったらしい。俺が聞いたって多分理解出来ないぐらい大変なことが沢山あったんだと思う。でもパートナーの先輩も協力して一緒に頑張って来たんだ。そのやり遂げる最後の目標がココだった」
「店を持つのが目標だったってこと?」
「それもあるけど。ここの展示は基本、作家は在廊しないんだよ。どこからでも送ってきたのを飾る。パーソナルな部分は秘匿でイイ。申込みの時も最低限の情報でイイ。わかる?」
純一の言葉に悠人は壁に掛っているイラストを見つめて小さく頷いた。
何事にも、性は纏わり付く。
申込みの一枚の紙切れに対しても、男女性はもちろん、その後にα・Ω・βのチェックが必要となるものもまだまだ多い。
それが関係あるのか、と思うが、古い慣習はなかなかなくならない。
クリエイターの多くはαだ。それはやはり、学校への入学も、その後の仕事にも性がまとわりつく為だ。
男だから、女だから。αだから、Ωだから。βならば良いかといえば、αでなければイヤだという利己的且つ差別的主張をする人間も多い。
「俺はそんな話を聞いて普通に『すげー!』って思った。でも俺にその話をしてくれたのは、そのいろいろなことを俺に任せたいからだって言われたときは思わず『無理です』って言っちゃったよ。イヤ、言いたくなるって。無理。俺はそこまでの才能はないから」
「なかったら、今仕事してないだろ」
「俺の場合は努力して得たものだよ。勉強して、がむしゃらに進んで。時々ぶち当たる壁もαだからで突破できることもあって。そういうのもムカついたけど、それを利用しない手はないと思って突き進んできた。それで落とされたΩやβがいるってのも分かるけど。それを掬い上げる前に、まずは理解出来てる奴らが上にいかなきゃいけないから」
低く、囁く言葉は真剣だった。店で再会した時の大人びた印象がそこにある。
「だから俺が無理って言った時もめっちゃ怒られて。で、確かに俺が考えて来たことは無理って終わらせちゃダメだなって思って、やりますって答えてマジ勉強した。役立ちそうな資格とかとって、とにかく時間を費やして。その間、他の仕事は慎二に殆ど回したけど、アイツも手伝ってくれて。最終的にこの店を建てるあたりになったら、ウィークリーマンション借りて、行き来しながら泊まり込んで色々考えたり、手直しをお願いしたりして。まぁ、その休みの日とかに海に行きたいって、道具買って慎二は海に遊びに行ったりしたんだけどね」
「その残骸があのマネキンか」
「そ。それ以来行ってないらしいから、完全に思い出記念のマネキン」
小さく笑いながら純一は視線を悠人にあわせず床へと落とした。
「ここの仕事が終わったら、俺は悠人に会おうって決めた。オーナーにはね、その話をしてたんだよ。ずっと、俺が頑張る理由は何かって先輩もいるところで話してて」
「なんて答えたの」
悠人に視線をあわせた純一は真剣な眼差しを向けていた。
夏の日射しに双眸がキラキラと光って見える。
「ずっと好きだった幼なじみに告白したいから。その人が、不安に思うことも、なにもかもひっくるめて誰からも文句を言わせないぐらい、幸せにしたいから」
小さく息を止めた。
心臓が煩く脈打ち、思わず涙が溢れそうになったのはなぜだかよく分からなかった。
ただ視線を合わせている事ができなくて、悠人は窓の外へと視線を向けた。
「会えたら連れてこいって言われたんだけどね。まぁ、ちゃんと返事もらってから会わせた方が、俺の身が安全かな」
「なに、それ」
笑って悠人は呟いた。
匂いはずっとしている。むしろ今、その匂いが強く感じられる。
甘くて心地よい、季節外れのキンモクセイ。
「マジ強いんだよ。まだ返事ちゃんともらってないケド連れてきた。っていったら多分絞められる」
肩を振るわせて笑うと、悠人は純一を見て言った。
「いっそ絞められた方がいいんじゃね?」
は胸の奥をぎゅっとつかんで、涙を流したいほどに甘く痺れて焦がれる匂いがした。
日射しは暑く強い日射しが降り注ぐ。だが、コンクリートより土が多く、ビルよりも木々が多い場所だからか涼しかった。
海からの風があるのも、恐らくは涼しい理由の一つだろうと思う。
建物を見上げる悠人の隣りに純一が来ると軽く説明をした。
「二階は客席もあるけど基本は展示スペースになってる。普通にレストランだけど、そういう個人作家の展示スペースとして貸し出してもいるし、希望があれば作家とコラボしてドンリンクとかフードとかも提案して提供するって感じのレストラン」
「なんか凄いな」
「凄いよ、オーナーも。居るかなぁ今日」
鍵をポケットにしまいながら純一が歩いて行く。その後ろをついて行きながら悠人は回りをぐるりと見回した。
自然の中と一言で言うには勿体ないほど木々の緑も、海の青も綺麗な場所だった。
風で揺れる木々の音と、来た道を走る車の走行音が遠くで聞こえるぐらいだ。
「街からは少し離れてるけど、都心からも小旅行で来る人もいるんだってさ。あの建物の反対側、ちょっと山みちになってるけど舗装はされてるんだよ。あそこから降りて行くと、街の方に出られる。ちょっと歩くけど、歩けない距離じゃないから」
「へぇ。確かに、気分転換には良さそう」
「そ。そういうお客さんが多いらしいし、俺たちもここの仕事してる時は楽しかったよ」
「通ったの? 家から」
「いや。さすがに色々面倒になって、俺と慎二とで泊まれるようにウィークリーマンション借りた」
ドアを開けると冷房の涼しい風に思わずため息が漏れた。
いくら外が幾分マシとはいえ、暑いものは暑い。
入ってきた二人を見てすぐに店員が声を掛けて近づいて来た。
一階の店内は八割は埋まっていて、胃を刺激する料理の匂いが漂っていた。
時刻はまもなく正午前。お昼時だからそれもそうかと納得した。
「あ、六條さんお久しぶりです。二階行きます?」
「お久しぶりです。二階いいです? と、オーナーいます?」
「オーナー、今日体調不良で休みなんです」
眉根を下げて対応していた女性店員は言った。
すぐに二階へと促された。席はどこでも大丈夫だと言われ、純一は礼を言うと悠人に目配せで促す。
少し狭い階段を上って行く。二階にも簡単なキッチンスペースがあるが、個室のようになっていてガラス窓でしか中が見られないようになっている。
その日の壁には絵が飾られていた。小さな看板のようなイラストが描かれたものもあり、それをみるとイラストレーターの作品の展示販売をしているようだった。
「へぇ……あっちが個室みたいになってるのって、作品置くからってこと?」
「そ。湿気とか大変だしね。よく分かったね」
悠人は小さく頷いて、店内を見回しながら言った。
「冬真さん……ああ、ウチの店長ね。彼もなんかこういうの、やりたいらしいんだよねぇ」
「へぇ。あの辺なら集客も簡単そうじゃん。出展料もある程度価格つけても見合った入客ありそうだから、展示する側にもいいんじゃない?」
「そういうのあの人に絶対言うなよ。乗り気になったら巻き込まれるのは俺なんだ」
小さく笑って純一は隅っこの窓際の席へと向かった。
椅子を引いて座ろうとすると、そこからだと外が一望出来た。ちょうど海が林の隙間から見られる位置だ。
「やっと連れてこられたからオーナーに会いたかったんだけどなぁ」
「やっとって、俺のこと?」
「そ。オーナーには色々世話になったし。あの人は悠人に会わせたいんだよね、いつかは」
「どんな人なの」
「めちゃくちゃパワフルな女の人。確か悠人と同い年じゃないかな」
そう言い終えたところで、先ほどの女性店員がやってきてお冷やの入ったグラスを二つ置いた。
メニューと日替わりのパスタはイカのパスタで、日替わりの一つはカレーだと告げる。
ランチのメニューは五種だった。
日替わりのパスタと、定番としてカルボナーラとミートソースパスタ、そしてオムライス。もう一つのご飯ものが日替わりであると書かれていた。
サラダとデザート、パスタにはパンが付いて、さらにドリンクがついている。
「俺のおすすめはパスタ。っていうかパン」
純一がそう言うと、店員は少し微笑んで言った。
「パンは朝から仕込んでランチ時は焼きたてなので、美味しいですよ。パンはテイクアウトもありますから、よかったらどうぞ」
「中身はランダムだけど、ハズレはないですよね」
店員は純一の言葉に「もちろんです」と答える。
そうまで言われるとパンが食べたいと思い、悠人は日替わりのパスタを頼むことにした。
純一はミートソースパスタを選び、二人ともドリンクをアイスコーヒーにした。
メニューを下げて立ち去る店員を見送って、純一は椅子に深く腰掛ける。
「ここのオーナー、女性でΩなんだよ。だけどなんて言うかマジで俺と慎二なんかよりパワフルですごいの」
「へぇ?」
「俺の先輩のパートナーなんだけどね。なんていうか、俺とやろうとしてることが似てたから、色々元気もらったっていうか。俺が頑張れたのも彼女のおかげでもあるかな」
悠人はグラスの水を一口飲んだ。
レモンの味がほんのりとする。心地良さに、悠人も椅子に深く座り直した。
「オーナーも色々あって、でも自分のやりたい事はやり遂げるって決めてて。色々あったらしい。俺が聞いたって多分理解出来ないぐらい大変なことが沢山あったんだと思う。でもパートナーの先輩も協力して一緒に頑張って来たんだ。そのやり遂げる最後の目標がココだった」
「店を持つのが目標だったってこと?」
「それもあるけど。ここの展示は基本、作家は在廊しないんだよ。どこからでも送ってきたのを飾る。パーソナルな部分は秘匿でイイ。申込みの時も最低限の情報でイイ。わかる?」
純一の言葉に悠人は壁に掛っているイラストを見つめて小さく頷いた。
何事にも、性は纏わり付く。
申込みの一枚の紙切れに対しても、男女性はもちろん、その後にα・Ω・βのチェックが必要となるものもまだまだ多い。
それが関係あるのか、と思うが、古い慣習はなかなかなくならない。
クリエイターの多くはαだ。それはやはり、学校への入学も、その後の仕事にも性がまとわりつく為だ。
男だから、女だから。αだから、Ωだから。βならば良いかといえば、αでなければイヤだという利己的且つ差別的主張をする人間も多い。
「俺はそんな話を聞いて普通に『すげー!』って思った。でも俺にその話をしてくれたのは、そのいろいろなことを俺に任せたいからだって言われたときは思わず『無理です』って言っちゃったよ。イヤ、言いたくなるって。無理。俺はそこまでの才能はないから」
「なかったら、今仕事してないだろ」
「俺の場合は努力して得たものだよ。勉強して、がむしゃらに進んで。時々ぶち当たる壁もαだからで突破できることもあって。そういうのもムカついたけど、それを利用しない手はないと思って突き進んできた。それで落とされたΩやβがいるってのも分かるけど。それを掬い上げる前に、まずは理解出来てる奴らが上にいかなきゃいけないから」
低く、囁く言葉は真剣だった。店で再会した時の大人びた印象がそこにある。
「だから俺が無理って言った時もめっちゃ怒られて。で、確かに俺が考えて来たことは無理って終わらせちゃダメだなって思って、やりますって答えてマジ勉強した。役立ちそうな資格とかとって、とにかく時間を費やして。その間、他の仕事は慎二に殆ど回したけど、アイツも手伝ってくれて。最終的にこの店を建てるあたりになったら、ウィークリーマンション借りて、行き来しながら泊まり込んで色々考えたり、手直しをお願いしたりして。まぁ、その休みの日とかに海に行きたいって、道具買って慎二は海に遊びに行ったりしたんだけどね」
「その残骸があのマネキンか」
「そ。それ以来行ってないらしいから、完全に思い出記念のマネキン」
小さく笑いながら純一は視線を悠人にあわせず床へと落とした。
「ここの仕事が終わったら、俺は悠人に会おうって決めた。オーナーにはね、その話をしてたんだよ。ずっと、俺が頑張る理由は何かって先輩もいるところで話してて」
「なんて答えたの」
悠人に視線をあわせた純一は真剣な眼差しを向けていた。
夏の日射しに双眸がキラキラと光って見える。
「ずっと好きだった幼なじみに告白したいから。その人が、不安に思うことも、なにもかもひっくるめて誰からも文句を言わせないぐらい、幸せにしたいから」
小さく息を止めた。
心臓が煩く脈打ち、思わず涙が溢れそうになったのはなぜだかよく分からなかった。
ただ視線を合わせている事ができなくて、悠人は窓の外へと視線を向けた。
「会えたら連れてこいって言われたんだけどね。まぁ、ちゃんと返事もらってから会わせた方が、俺の身が安全かな」
「なに、それ」
笑って悠人は呟いた。
匂いはずっとしている。むしろ今、その匂いが強く感じられる。
甘くて心地よい、季節外れのキンモクセイ。
「マジ強いんだよ。まだ返事ちゃんともらってないケド連れてきた。っていったら多分絞められる」
肩を振るわせて笑うと、悠人は純一を見て言った。
「いっそ絞められた方がいいんじゃね?」
は胸の奥をぎゅっとつかんで、涙を流したいほどに甘く痺れて焦がれる匂いがした。
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