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偶然とは、必然の上に成り立つ
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「幼なじみなんです、アイツ」
そう言うと悠人は出されたパスタをくるくるとフォークで巻いていく。
賄いはナスとベーコンのトマトパスタが用意されていた。あとは温野菜のシーザーサラダが少し冷めた状態で用意されていた。
それを電子レンジで温めて冬真は休憩室まで持って来てくれた。
すでに他の従業員は賄いも食して帰宅しており、残っているのは悠人と冬真だけだった。
「田舎は帰ってないんだっけ?」
「出てから一度も帰ってないです。だから……さっき本当、久しぶりで」
「よく気づいたね、向こうも、悠人も」
「俺は本当全然気づかなかったけど……でも、なんか、見覚えはあるなって思って」
だが記憶はいくら手繰ってみてもまだ純一がまだ中学生の頃で記憶は途切れている。
悠人はパスタを味わいながら天井を上目に見つめて思考を巡らせる。
「確か四つ下なんですよ。だから、俺が上京する頃にはまだアイツ中学生で。その、中学生と高校生って、近いけど何か色々変わるじゃないですか。生活リズムも、友達付き合いの仕方とかも? それに……」
そこで言葉を切って、サラダのカボチャをフォークで刺した。
「俺、その時はもうΩって分かってたんで。アイツとの距離もとってたっていうか」
「ああ、なるほど。それで疎遠のまま上京したと」
「ええ。だから、よく俺のことに気づいたなって……思って」
カボチャを頬張りながら悠人は小さく鼻息を漏らした。
一〇年という月日は人の見た目から思考まで変えるには十分の長さだ。
特に見た目に関しては、垢抜けたと言われるほど変わることだってある。
悠人自身はさほど変わっているとは思っていない。それでも、社会人として会社勤めもしたことがあるので、それなりに変わったところもあると思っていた。
「それで、彼はαなの? そんな感じはしたけど」
「ええ、おそらくは」
「おそらく? 知らないの?」
「知らないっていうか、知る前に、その……付き合いを俺が途絶えさせたっていうか」
だから正式な性については知らないのだ。
だがしかし、純一がαであるという確信は悠人にあった。
それは今話すことではないと思い、それはアイスティーで飲み込んでしまう。代わりに思い出したことを口にした。
「まぁ、アイツの家は元々父親がαだったんです、確か、そう」
「その辺、話すのイヤなら話さなくてもいいよ?」
パスタの具材だけをフォークで集めながら冬真が言う。
彼はこういった話題になるとき、必ず相手の気を遣って先回りにそういう言葉をくれる。
それが心地よく、仕事をし始めてからも冬真との距離が近くなり親しい友人とも言える存在になったのは彼のこの気遣いのおかげである。
「まぁ、この辺は田舎の嫌なところオンパレードなだけですよ」
そう言って悠人は話を続けた。
「俺は、前にも話したと思うんですが隔世遺伝のΩなんです。親はどっちもβだし。平々凡々っていう感じだったんですけど。父方の祖母がΩだったとかで」
「結構そういうΩは多いって俺も聞くよ」
「へぇ、やっぱり多いんですか。まぁそれで、俺はΩってわかって。ってなると見た目もちょっと普通の男子なら男っぽくこぉ、なっていくじゃないですか。でもΩってなるとちょっとゴツくはなれないっていうか。ちょっと、こぉ……細いっていうか」
「二次性徴だからね。βやαの男なら、体躯が良くなる。まぁ俺みたいに元々細いタイプもいるけどね。元々筋肉質なタイプは、一気にマッチョになる奴も居る」
悠人は頷いて同意した。
「αはそうですよね。Ωの場合は、それがなくって。細くて今の俺みたいになるっていうか」
そう言って悠人は自分の掌を見つめた。
悠人は普通の世代と比べても身長は高いし、さほどΩというほど見た目にも華奢な感じはなかった。
小さくて可愛い、というタイプではない。ただそれだけだ。
見た目には男性的な感じは薄くなり、中性的という方が的確だ。
「特に高校の時って、まだ普通にβでもまだ中性的なヤツって多いじゃないですか。だから俺もそういう感じだったんですけど、Ωってなるとやっぱ……どうしても、ヒートとかあるし」
始めて身体が自分の意思で押さえきれなくなった。
目の前に手を伸し、それを欲した。
溶けてなくなる直前の理性が自分を押しとどめた。
欲しいモノに手を伸す。
だが、それに手を伸してはダメだと言い聞かせて、突き飛ばした。
声を上げて、自分を傷つけて、とにかく離れようとした。
忌々しい。
「届け出して、抑制剤もらいたくても田舎って医者も薬局も限られてるから、イヤでもバレるんですよね。対面で医者に行かないといけないでしょう?」
冬真は頷いていた。
今は中学生になってから高校生までの間に健康診断で第二性についての検査が行われるようになっていた。
これによりΩだと分かった場合には保険が適用されて抑制剤の処方が無料となる。
これらの医療制度は悠人がΩだと判明したころには制定されており、過去の人々の努力によって制定されたものだと後から知った。
抑制剤が無料になるものの、専門医のもとに通わねばならない。
特に判明したばかりの頃となれば、ヒートの状況も抑制剤の副作用なども分からないことが多い。それらの相談や指導のためにも医者に行かなくてはならないのだ。
だが田舎の場合はその医者が限られるため、イヤでも周りにバレてしまう。
プライバシーなどあってないようなものだと悠人は学生の時に思った。
「だから、俺は通販で買ってたんです、実費で。だから色々、合う合わないとかも分からないけど、とにかくヒートで親にも迷惑掛けたくないし。でも買ってることって、案外バレるっていうか。いくら飲んでいても自分に合わないやつだとヒートだってαのヤツにはバレるっていうか。多分、冬真さんの言う匂いみたいな感じで」
「うん、確かに分かるね。匂いがちょっと漏れ出てる感じで。俺みたいに鼻が良くなくても、大体のαなら分かると思う」
「ですよねぇ……まぁ、それで、俺も卒業前にはかなり広くバレて。学校じゃ散々な目にあうし。でもまだ俺がこぉ……手が出るタイプだったから、マシだったっていうか。だから大学は絶対誰も知らないところに行こうって決めて探して、進学して。そこからは親とも殆ど連絡取ってないんですよ。親にも迷惑かけたくないし。
「なるほどねぇ……で、あの彼のことは好きだったの、その時から」
唐突な冬真の言葉に、悠人は咽せそうになって口を手で押さえた。
「なんすか、突然」
「だって、どう考えてもあっちは悠人のこと好きでしょ」
「知らないっすよ。俺は、本当……最後の方アイツと全然話してないし」
「でもさぁ、考えてみろ? あってすぐに分かるって、そうそうないだろ? それに偶然なんてもんは案外必然的に成り立ってるんだよ。偶々ここにきた。でもその偶々はカレがこの辺りに来たからだろう? その偶々は彼が選択した上での偶々だ」
「なにが言いたいんですか」
「つまり、俺の予想では。彼はお前を探してたんじゃないかってこと」
「……はぁ? まさか、そんなことあるわけないでしょ」
それでどうやってここまでたどり着くのか。
悠人は両親にも仕事のことについて何も話していない。
大学に進学してからは殆ど連絡を取っていないのだ。本当に、金銭面での援助も多くは断っている。
授業料に関してだけは両親が支払ってくれたが、後は全部自分でなんとかしてここまで生きてきている。
だから地元の誰にも、今悠人が何をしているのか。今に至るまでも、何をしていたのか知らないはずだ。
「でもさ、お前が彼のこと好きなのは確かだろ? てか、前、言ってた幼なじみって彼だろう?」
その言葉に悠人は黙って冬真を睨んだ。
「それ、忘れてくれって言いましたよね」
「忘れられるかって」
クツクツと笑って冬真はパスタを頬張る。
大きなため息を吐いて、悠人もパスタへとフォークをのばした。
そう言うと悠人は出されたパスタをくるくるとフォークで巻いていく。
賄いはナスとベーコンのトマトパスタが用意されていた。あとは温野菜のシーザーサラダが少し冷めた状態で用意されていた。
それを電子レンジで温めて冬真は休憩室まで持って来てくれた。
すでに他の従業員は賄いも食して帰宅しており、残っているのは悠人と冬真だけだった。
「田舎は帰ってないんだっけ?」
「出てから一度も帰ってないです。だから……さっき本当、久しぶりで」
「よく気づいたね、向こうも、悠人も」
「俺は本当全然気づかなかったけど……でも、なんか、見覚えはあるなって思って」
だが記憶はいくら手繰ってみてもまだ純一がまだ中学生の頃で記憶は途切れている。
悠人はパスタを味わいながら天井を上目に見つめて思考を巡らせる。
「確か四つ下なんですよ。だから、俺が上京する頃にはまだアイツ中学生で。その、中学生と高校生って、近いけど何か色々変わるじゃないですか。生活リズムも、友達付き合いの仕方とかも? それに……」
そこで言葉を切って、サラダのカボチャをフォークで刺した。
「俺、その時はもうΩって分かってたんで。アイツとの距離もとってたっていうか」
「ああ、なるほど。それで疎遠のまま上京したと」
「ええ。だから、よく俺のことに気づいたなって……思って」
カボチャを頬張りながら悠人は小さく鼻息を漏らした。
一〇年という月日は人の見た目から思考まで変えるには十分の長さだ。
特に見た目に関しては、垢抜けたと言われるほど変わることだってある。
悠人自身はさほど変わっているとは思っていない。それでも、社会人として会社勤めもしたことがあるので、それなりに変わったところもあると思っていた。
「それで、彼はαなの? そんな感じはしたけど」
「ええ、おそらくは」
「おそらく? 知らないの?」
「知らないっていうか、知る前に、その……付き合いを俺が途絶えさせたっていうか」
だから正式な性については知らないのだ。
だがしかし、純一がαであるという確信は悠人にあった。
それは今話すことではないと思い、それはアイスティーで飲み込んでしまう。代わりに思い出したことを口にした。
「まぁ、アイツの家は元々父親がαだったんです、確か、そう」
「その辺、話すのイヤなら話さなくてもいいよ?」
パスタの具材だけをフォークで集めながら冬真が言う。
彼はこういった話題になるとき、必ず相手の気を遣って先回りにそういう言葉をくれる。
それが心地よく、仕事をし始めてからも冬真との距離が近くなり親しい友人とも言える存在になったのは彼のこの気遣いのおかげである。
「まぁ、この辺は田舎の嫌なところオンパレードなだけですよ」
そう言って悠人は話を続けた。
「俺は、前にも話したと思うんですが隔世遺伝のΩなんです。親はどっちもβだし。平々凡々っていう感じだったんですけど。父方の祖母がΩだったとかで」
「結構そういうΩは多いって俺も聞くよ」
「へぇ、やっぱり多いんですか。まぁそれで、俺はΩってわかって。ってなると見た目もちょっと普通の男子なら男っぽくこぉ、なっていくじゃないですか。でもΩってなるとちょっとゴツくはなれないっていうか。ちょっと、こぉ……細いっていうか」
「二次性徴だからね。βやαの男なら、体躯が良くなる。まぁ俺みたいに元々細いタイプもいるけどね。元々筋肉質なタイプは、一気にマッチョになる奴も居る」
悠人は頷いて同意した。
「αはそうですよね。Ωの場合は、それがなくって。細くて今の俺みたいになるっていうか」
そう言って悠人は自分の掌を見つめた。
悠人は普通の世代と比べても身長は高いし、さほどΩというほど見た目にも華奢な感じはなかった。
小さくて可愛い、というタイプではない。ただそれだけだ。
見た目には男性的な感じは薄くなり、中性的という方が的確だ。
「特に高校の時って、まだ普通にβでもまだ中性的なヤツって多いじゃないですか。だから俺もそういう感じだったんですけど、Ωってなるとやっぱ……どうしても、ヒートとかあるし」
始めて身体が自分の意思で押さえきれなくなった。
目の前に手を伸し、それを欲した。
溶けてなくなる直前の理性が自分を押しとどめた。
欲しいモノに手を伸す。
だが、それに手を伸してはダメだと言い聞かせて、突き飛ばした。
声を上げて、自分を傷つけて、とにかく離れようとした。
忌々しい。
「届け出して、抑制剤もらいたくても田舎って医者も薬局も限られてるから、イヤでもバレるんですよね。対面で医者に行かないといけないでしょう?」
冬真は頷いていた。
今は中学生になってから高校生までの間に健康診断で第二性についての検査が行われるようになっていた。
これによりΩだと分かった場合には保険が適用されて抑制剤の処方が無料となる。
これらの医療制度は悠人がΩだと判明したころには制定されており、過去の人々の努力によって制定されたものだと後から知った。
抑制剤が無料になるものの、専門医のもとに通わねばならない。
特に判明したばかりの頃となれば、ヒートの状況も抑制剤の副作用なども分からないことが多い。それらの相談や指導のためにも医者に行かなくてはならないのだ。
だが田舎の場合はその医者が限られるため、イヤでも周りにバレてしまう。
プライバシーなどあってないようなものだと悠人は学生の時に思った。
「だから、俺は通販で買ってたんです、実費で。だから色々、合う合わないとかも分からないけど、とにかくヒートで親にも迷惑掛けたくないし。でも買ってることって、案外バレるっていうか。いくら飲んでいても自分に合わないやつだとヒートだってαのヤツにはバレるっていうか。多分、冬真さんの言う匂いみたいな感じで」
「うん、確かに分かるね。匂いがちょっと漏れ出てる感じで。俺みたいに鼻が良くなくても、大体のαなら分かると思う」
「ですよねぇ……まぁ、それで、俺も卒業前にはかなり広くバレて。学校じゃ散々な目にあうし。でもまだ俺がこぉ……手が出るタイプだったから、マシだったっていうか。だから大学は絶対誰も知らないところに行こうって決めて探して、進学して。そこからは親とも殆ど連絡取ってないんですよ。親にも迷惑かけたくないし。
「なるほどねぇ……で、あの彼のことは好きだったの、その時から」
唐突な冬真の言葉に、悠人は咽せそうになって口を手で押さえた。
「なんすか、突然」
「だって、どう考えてもあっちは悠人のこと好きでしょ」
「知らないっすよ。俺は、本当……最後の方アイツと全然話してないし」
「でもさぁ、考えてみろ? あってすぐに分かるって、そうそうないだろ? それに偶然なんてもんは案外必然的に成り立ってるんだよ。偶々ここにきた。でもその偶々はカレがこの辺りに来たからだろう? その偶々は彼が選択した上での偶々だ」
「なにが言いたいんですか」
「つまり、俺の予想では。彼はお前を探してたんじゃないかってこと」
「……はぁ? まさか、そんなことあるわけないでしょ」
それでどうやってここまでたどり着くのか。
悠人は両親にも仕事のことについて何も話していない。
大学に進学してからは殆ど連絡を取っていないのだ。本当に、金銭面での援助も多くは断っている。
授業料に関してだけは両親が支払ってくれたが、後は全部自分でなんとかしてここまで生きてきている。
だから地元の誰にも、今悠人が何をしているのか。今に至るまでも、何をしていたのか知らないはずだ。
「でもさ、お前が彼のこと好きなのは確かだろ? てか、前、言ってた幼なじみって彼だろう?」
その言葉に悠人は黙って冬真を睨んだ。
「それ、忘れてくれって言いましたよね」
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