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二章:共助/共犯

11(*)

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 ソファに座ったロスの上に、ユーマは座るように言われてその通りにした。服をたくしあげるように言われ、その通りにする。生ぬるい舌が乳首を舐めて、もう片方の乳首を指の腹でコロコロと転がす。尖らせた舌先で、突起を突いたり、弾くように舐められると下腹部に重たい熱が溜まり始める。しばらくそうやって弄ぶと、今度は左右を入替えて、指で弄っていた乳首に舌を這わせ、濡れた乳首に指で触れる。
「ッぁ……あ」
 思わず声が漏れて、ユーマは腰を退いた。だがロスの手が腰をぐっと寄せてそれを拒絶すると、胸を自ら逸らせるようになってしまう。
 濡れた乳首を指が滑ると、ぬるりとした感触に淡い快感が身体に走る。同時に、舌がもう片方を刺激して、時々歯で噛むように鋭い刺激を与えてくると思わず腰が揺れた。
「ぁ……ぅ、ろ、す……」
「ん? ふぁに?」
 じゅっと音を立てるように胸を吸い上げられ、ユーマは目を閉じて息を吐いた。うっすらと瞼を開けて、軽く弾む呼吸と共に言葉を紡ぐ。
「きす……、して」
「やだ」
 笑いながらロスは答えると乳首を口に含んだまま、舌で転がして弄ぶ。
 じくじくと熱が下腹部に集まる中、ユーマは自らねだるように身を捩り、ロスにキスをしようとする。しかしそれを咎めるように、腰を掴んでいた手が額に宛てられると、ぐいっと顔を逸らすように力を込められた。その手を避けるように顔を横にふるった。その間もロスの舌と指は胸元への愛撫を止めない。

「ッぅ……ぁあ……あ」
「キスして気持ちよくなったら、おもしろくないでしょ?」
「そ、れは……ッ、あ、あ……」
「ん?」
「それは……ッ、ろす、が、だろ……ぁぅ」
「うん、そう。だからキスはしないよ」

 そう言ってロスの手は肌を滑り腹部へとさがって行く。ズボンの上に指が乗る。少しだけ強く上から指がその下にあるものを刺激するように掴んだ。
「うぁ、ぅ……ん」
 親指から中指までの三本が、ゆっくりと服越しに形をなぞるように動く。直接触れられていないにもかかわらず、そこは熱く湿っているのを感じた。早く直接触ってほしくて思わず腰が揺れる。
 ユーマはシャツを握っていた手で口元を押さえた。
 声が溢れる。ロスにキスをしてほしいとねだる声が漏れそうになる。正気のまま溶かされる羞恥に身体が更にわななき、さらなる快感を求めて腰が動く。
 ロスが舐めていた乳首から唇を離すと、ユーマに立ち上がるように言った。
 言われるがママに腰を浮かせると、ロスは少し横にずれて、自分が座っていた場所にユーマを座らせてそのままソファに押し倒した。

 音を立てて唇に掠めるだけのキスをすると、ロスの唇は首筋へと向かう。すぐに反射的に舌を覗かせたユーマは、悪態を吐いてロスの頭を力なく掴んだ。
「や……ぅ、あ、ああ……あ」
 じくじくと集まった熱が雄の形を変える。衣服越しに再び指がその形を確かめるように這い、軽く揉みしだかれるとじわりと熱が溢れ出す。
「すごい熱い。キスしなくても感じてんじゃん?」
 そう言ったロスの歯が首筋の肌を囓ると、また声を漏らしてユーマは腰を軽く持ち上げた。自ら指に触れてもらえるように腰を揺らして更に強く深い快感をねだる。
 意識を快感へ集中させて何も考えないようにユーマは目を閉じた。
「その男とは、ヤッたの?」
 唐突な質問にユーマはうっすらと目を開けて、小さく答えた。
「したよ」
「ふぅん」
 どこか不満げな声を漏らしてロスは身体を起こすと、ユーマの肌に手を滑らせた。胸元、心臓がある当たりからすっと指先が腹を通りズボンへと向かう。
「でもまぁどうせ、キスしたんでしょ? ならまぁ、いっか」
 そういってロスは笑う。その笑みを見てユーマは何か言ってやりたい気もしたが、コレから世話になることを考えると強くは言えず、視線を逸らした。

 * * *

「ッぁ、ああ……あ」
 後ろの孔を指が出入りする。どこから取り出したのか、用意周到に準備していたジェルを使って、後ろからぐちゅぐちゅと音を立てていた。指は中の襞を擦りながら、奥の一箇所を時々刺激する。
 そこがユーマの感じる場所だと分かっている手つきで、緩急をつけて刺激されると、ユーマは声を抑えることも出来なくなる。
「や、やめ……ッ、ぁう、ぁあ……」
「ここ、好きだよねぇ……、どう?」
「あ、ああ……ッ、んぁ……あ」
 片足をソファの背もたれに上げられて、羞恥でさらに身体が反応する。だが止める事はできないまま、指は中を刺激しながら拡げていく。
 脱ぎ捨てられたズボンは床に落ちていて、既に露わになった下肢には反り返った雄がだらだらと蜜を漏らしている。それには触れることなく、ロスは時々内腿に唇を寄せて、柔い肉を喰む。

「は、あ……ああ……」
「もっとはやく、俺の事頼ってくれてよかったのに。そしたら、そんな奴に抱かせなかったのになぁ」
「あ……ッ、ぁあ……ッ、こようと、思ったけどぅ、すぐには、無理で」
 言い訳をしながら、ユーマはロスを恨めしく睨んだ。
 その視線を受けてロスは楽しそうに笑うと、指を抜いた。
「スマホ……も、壊さないとダメだったし」
「でもそんなの、すぐにできたっしょ? 結局、ヤリたかった?」
「ちが……あ、ああッ、ぅ」
 反り返った雄を掴み上げられ、ユーマは声を上げた。軽く上下に扱かれると、気持ちがよくて蕩けた声が漏れる。
「まぁ、どうせ最初からそのつもりだったんだろうし、ユーマはキスしたらああなっちゃうからねぇ」
 そう言って顔を近づけてロスは目を細めた。
「どうにかしてあげたいけど、ありゃどうにもできない」
「あ、ああ……ッ、ぅ、なら、き、す……して」
「ヤダね。でもそろそろ俺も入れたいから……いい?」
 その問いにユーマはガクガクと首を振る。
「いれて……ッ、は、やく、ほし、ぃ」
「はっ。凄い素直じゃん、どうしたの?」
 楽しそうにロスは言って自分の衣服に手を掛ける。そうして固くなった熱を解した入口に宛がわれると、身体は期待に震える。
 ゆっくりと中へ押し進む。はっと息を吸って、ユーマはロスに手を伸ばした。自分からキスをしようとしたが、それを拒むようにロスは一気に中を突き上げた。
「ッ、あ――あ、ああ……ッ!」
「ヤダって言ったっしょ?」
 唐突に身体を巡った快感にユーマは息を荒げながら、ロスを見つめて首を横に振った。
 キスをしないでセックスをするのは、彼だけだ。いつだって彼はそうする。否、最初にしたときだけはしていたか。今のユーマには思い出せない。
「ッ、ぅ……ろ、す」
「愛してるよ。だからいつでも頼ってよ」
 そう言ってまた突き上げられる。ぐちゅっと音がして、抽挿で中の襞が抉られる。気持ち良くなると、思考はまとまらなくなる。
 それでも先日の時よりも鮮明な意識を持ったまま喘ぎ声を漏らして、ユーマはロスの身体を抱きしめた。
 彼の気持ちに自分は答える事ができない。答えるほど、愛されるほど、自分は彼に相応しくないのに。なぜそれほどまでに、彼は自分を愛そうとするのか。
 キスをねだるユーマを避けて、ロスは何度も首筋に唇を寄せた。
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