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二章:共助/共犯
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ロスの部屋は綺麗というにはほど遠い。だが汚いというわけでもなく、単純に雑多だという印象がユーマの中にはずっとある。実際に今日もそのとおりであり、季節感のない恰好と同じぐらい、調和というものがない部屋に少しだけ落ち着いた。
リビングはソファとモニターとテーブルがある至って普通の調度品が揃っている。
「なんか飲む?」
「あ、うん。炭酸系ある?」
「あるよ~」
食べ物や飲み物の趣味は意外にも合うことが多く、ロスの部屋には必ず炭酸飲料があることはユーマの中でかなり嬉しい部類に入る。エナジードリンクの類が殆どではあるが、それで十分だった。
「んで、仕事って最後じゃなかったの?」
「そうだよ。それがまぁいろいろあって」
案の定、エナジードリンクの缶を持ってきたロスはそれを一つユーマに手渡した。礼を言い受け取ると、いつものようにユーマはリビングのソファに腰を下ろす。何度か来たことある部屋は見た目にはまったく落ち着かないが、今のユーマにとってはかなり落ち着く場所なのも確かだった。
座るとユーマは缶を開けて一口飲んだ。甘ったるい炭酸飲料に妙な落ち着きを感じて溜息を吐く。そうしてコレまでの経緯をロスに話しながら、本題へと入っていく。
「それでキュリアを調べてほしいんだ。ハチって男が襲われた理由。そしてハチはそもそも何をターゲットにしていたのかってことを」
「なるほどねぇ。で、それはさっき聞いた話っしょ? あとは何が知りたいのさ」
ロスも同じようにエナジードリンクをぐびぐびと飲む。あっという間に一缶を空にしたロスにユーマは答えた。
「そのハチって男が一体何者かってことを知りたい」
「一緒に行動してるのに、今さら?」
「なし崩しで俺はアイツを雇うって言って一緒に行動してるだけ。まぁ、でもそれが一番最善だと思ったし?」
「まぁユーマの仕事は彼が生きていて、側にいて、いつでも渡せる状態ならば失敗にはならないか。でも流石に端末壊しただけじゃ、いつ尻尾掴まれるかなんて分かったもんじゃないでしょ?」
「だから街の外にいまハチはいるし、俺もそこに帰るよ」
「帰るの?」
空になった缶をテーブルに置いてロスは肩を竦めた。
「残念だぁ」
「何が」
「折角久々に会ったんだし。ゆっくりしてもらいたいなぁって思ってたんだけど?」
その言葉にユーマは溜息を吐く。
「一晩ぐらいは大丈夫だよ」
「ホントに?」
「うん。それに、今大きく金を動かすのは足つくし……」
だからと言ってユーマは缶を口につけた。中の甘ったるい炭酸を口に含むと、咥内がシュワシュワとする。小さな気泡がはじける感触が気持ちよいが、それが収まると口の中はただただ甘い。
ロスの肩に手を置くと、身を屈めて口づけた。少しだけ上を向いてロスがそれを受け止めると、口の中に液体を流し込む。コクリと飲み干しながら、ロスは舌を伸ばした。
くちゅりと小さな音が、砂糖の所為か粘度を増した音を出す。
舌を吸い、ロスが唇を離すと唇をペロリとなめた。
「まぁ、それもそうか。じゃあ起きたら全部用意しとくってのでどう?」
ユーマは小さく頷いてその提案に同意した。
リビングはソファとモニターとテーブルがある至って普通の調度品が揃っている。
「なんか飲む?」
「あ、うん。炭酸系ある?」
「あるよ~」
食べ物や飲み物の趣味は意外にも合うことが多く、ロスの部屋には必ず炭酸飲料があることはユーマの中でかなり嬉しい部類に入る。エナジードリンクの類が殆どではあるが、それで十分だった。
「んで、仕事って最後じゃなかったの?」
「そうだよ。それがまぁいろいろあって」
案の定、エナジードリンクの缶を持ってきたロスはそれを一つユーマに手渡した。礼を言い受け取ると、いつものようにユーマはリビングのソファに腰を下ろす。何度か来たことある部屋は見た目にはまったく落ち着かないが、今のユーマにとってはかなり落ち着く場所なのも確かだった。
座るとユーマは缶を開けて一口飲んだ。甘ったるい炭酸飲料に妙な落ち着きを感じて溜息を吐く。そうしてコレまでの経緯をロスに話しながら、本題へと入っていく。
「それでキュリアを調べてほしいんだ。ハチって男が襲われた理由。そしてハチはそもそも何をターゲットにしていたのかってことを」
「なるほどねぇ。で、それはさっき聞いた話っしょ? あとは何が知りたいのさ」
ロスも同じようにエナジードリンクをぐびぐびと飲む。あっという間に一缶を空にしたロスにユーマは答えた。
「そのハチって男が一体何者かってことを知りたい」
「一緒に行動してるのに、今さら?」
「なし崩しで俺はアイツを雇うって言って一緒に行動してるだけ。まぁ、でもそれが一番最善だと思ったし?」
「まぁユーマの仕事は彼が生きていて、側にいて、いつでも渡せる状態ならば失敗にはならないか。でも流石に端末壊しただけじゃ、いつ尻尾掴まれるかなんて分かったもんじゃないでしょ?」
「だから街の外にいまハチはいるし、俺もそこに帰るよ」
「帰るの?」
空になった缶をテーブルに置いてロスは肩を竦めた。
「残念だぁ」
「何が」
「折角久々に会ったんだし。ゆっくりしてもらいたいなぁって思ってたんだけど?」
その言葉にユーマは溜息を吐く。
「一晩ぐらいは大丈夫だよ」
「ホントに?」
「うん。それに、今大きく金を動かすのは足つくし……」
だからと言ってユーマは缶を口につけた。中の甘ったるい炭酸を口に含むと、咥内がシュワシュワとする。小さな気泡がはじける感触が気持ちよいが、それが収まると口の中はただただ甘い。
ロスの肩に手を置くと、身を屈めて口づけた。少しだけ上を向いてロスがそれを受け止めると、口の中に液体を流し込む。コクリと飲み干しながら、ロスは舌を伸ばした。
くちゅりと小さな音が、砂糖の所為か粘度を増した音を出す。
舌を吸い、ロスが唇を離すと唇をペロリとなめた。
「まぁ、それもそうか。じゃあ起きたら全部用意しとくってのでどう?」
ユーマは小さく頷いてその提案に同意した。
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