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一章:終わりの始まり
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舌を絡めると、少しだけ血の味がした。
ハチの指先が強く後頭部を掴むと、ユーマはぞくりと熱が背筋を走るのを感じた。
両手でハチの肩を掴んで、ユーマは更に深く舌を絡めようとした。
ハチの舌がザラりと上顎をなぞり、歯列を伝う。
溢れる唾液を飲み込もうとしてゴクリと喉を鳴らして、ユーマは掴んでいた肩をぎゅっと強く掴んだ。
息がしにくい。酸素が欲しい。
そう思い始めたとき、ふと後頭部を抑えていた手の力が抜けた。
ユーマは唇を開けたまま、離れていく舌を少しだけ名残惜しく感じる。
「やっぱ、アンタ血が似合う」
ハチはそう言うと両手で頬に触れた。
既に指に絡みついていた血液は乾き始めている。
ちらりと視線を傷口へと向けた。
衣服は赤黒く変色している。痛々しい傷がその下にあるだろう、早く手当をした方がいい。
ハチの肩を掴んでいた手を滑らせて、ユーマは傷口のほうへ触れようとした。
「せめて洗ってから……」
「大丈夫、気にしないでいい」
「でも」
死なれては困る。例え浅くともこれだけ血が出ているのだし、膿んだりしたら大変だ。
そう思って伸した手をハチは握る。そしてまた口づけると、掴んだ手を傷口に押し当てた。
「ん……」
指先がぐちゅり、と傷口の付近で血に濡れる。
だがその先、傷口特有の感触がなく、指に触れる肌は滑らかだ。
ユーマは驚いて唇を離した。
「傷……が、ない?」
「だから、大丈夫っていったでしょ? 一応後で軽くケアしとけばいい」
「なんで……」
「さぁ、なんででしょう?」
試すようにハチは言うと、ユーマの腰に直に触れた。
シャツの下から手が滑り込み、細い腰を撫でる。
淡い熱が走りユーマは顔を顰めた。
手が上へと滑り、肌が露わになるとそこにハチが口づける。
「ッ……ぁ」
「すごい感じやすいんだ?」
「る、さい……ぁあ」
指先が胸元を這い、乳首に触れた。
それだけで理性と欲望のスイッチが切り替わる。
今は違うと思い、理性をかき集めようとする。
だがハチは構わずに舌を伸ばして小さく尖った乳首を舐めた。
「あ、ぁ……ん」
「もっと鳴いて?」
「ッ、ぁ、ああ」
舌先で転がすように舐められて、ユーマは自らハチへ身体を預けた。
何度も抱かれ、何度も教え込まれた身体は快感に従順だ。
ほんの少しの口づけと、ほんの少しの愛撫で、すぐにその先を求める。
まるで甘い菓子を与えられて、その味を忘れられない子どものように。
まだ食べたいとねだりはじめる身体は、ユーマの理性で抑え込めるものではない。
考えることは沢山あった。
だが今は欲しくて堪らない。
ユーマはハチの耳元に唇を近づけると、耳朶を唇で喰む。
「っ……、なに、どうしたの、突然」
余裕のあるハチの声にユーマは、はぁっと小さく吐息を漏らして囁いた。
「もっとほしい」
「なにを、どうしてほしい?」
楽しげに踊る声にユーマは抗わず、従順に答える。
「もっと、触ってほしい」
「どこを? ここ?」
そう言ってハチの手がユーマの乳首を押し潰し、ぐいぐいと強く刺激する。
ぐっと下腹部に熱が落ちて行き、ユーマは声を甘い声を漏らす。
「あ……ッ、そこも、ほかも……」
「ほかも?」
ハチの片手が背に伸される。
シャツの下、直に肌を触れて手の平は背筋を撫でて尾てい骨へと這っていく。
少しぬるりとした感触があって、それもまた快感に変わる。
指先に付いた血は殆ど乾いていた。だがユーマの肌にほんの僅かに浮かび始めた汗が、薄く血を溶かす。
「薬? それとも、抑制プログラム? どれにしても……厄介だね」
ハチの囁く言葉の意味を、ユーマは上手く理解出来ない。
「かわいそうに」
哀れんだ声は熱が籠もっていた。
ユーマはその言葉の意味を理解出来ないまま、ねだるようにハチの首筋に唇を押し当てた。
ハチの指先が強く後頭部を掴むと、ユーマはぞくりと熱が背筋を走るのを感じた。
両手でハチの肩を掴んで、ユーマは更に深く舌を絡めようとした。
ハチの舌がザラりと上顎をなぞり、歯列を伝う。
溢れる唾液を飲み込もうとしてゴクリと喉を鳴らして、ユーマは掴んでいた肩をぎゅっと強く掴んだ。
息がしにくい。酸素が欲しい。
そう思い始めたとき、ふと後頭部を抑えていた手の力が抜けた。
ユーマは唇を開けたまま、離れていく舌を少しだけ名残惜しく感じる。
「やっぱ、アンタ血が似合う」
ハチはそう言うと両手で頬に触れた。
既に指に絡みついていた血液は乾き始めている。
ちらりと視線を傷口へと向けた。
衣服は赤黒く変色している。痛々しい傷がその下にあるだろう、早く手当をした方がいい。
ハチの肩を掴んでいた手を滑らせて、ユーマは傷口のほうへ触れようとした。
「せめて洗ってから……」
「大丈夫、気にしないでいい」
「でも」
死なれては困る。例え浅くともこれだけ血が出ているのだし、膿んだりしたら大変だ。
そう思って伸した手をハチは握る。そしてまた口づけると、掴んだ手を傷口に押し当てた。
「ん……」
指先がぐちゅり、と傷口の付近で血に濡れる。
だがその先、傷口特有の感触がなく、指に触れる肌は滑らかだ。
ユーマは驚いて唇を離した。
「傷……が、ない?」
「だから、大丈夫っていったでしょ? 一応後で軽くケアしとけばいい」
「なんで……」
「さぁ、なんででしょう?」
試すようにハチは言うと、ユーマの腰に直に触れた。
シャツの下から手が滑り込み、細い腰を撫でる。
淡い熱が走りユーマは顔を顰めた。
手が上へと滑り、肌が露わになるとそこにハチが口づける。
「ッ……ぁ」
「すごい感じやすいんだ?」
「る、さい……ぁあ」
指先が胸元を這い、乳首に触れた。
それだけで理性と欲望のスイッチが切り替わる。
今は違うと思い、理性をかき集めようとする。
だがハチは構わずに舌を伸ばして小さく尖った乳首を舐めた。
「あ、ぁ……ん」
「もっと鳴いて?」
「ッ、ぁ、ああ」
舌先で転がすように舐められて、ユーマは自らハチへ身体を預けた。
何度も抱かれ、何度も教え込まれた身体は快感に従順だ。
ほんの少しの口づけと、ほんの少しの愛撫で、すぐにその先を求める。
まるで甘い菓子を与えられて、その味を忘れられない子どものように。
まだ食べたいとねだりはじめる身体は、ユーマの理性で抑え込めるものではない。
考えることは沢山あった。
だが今は欲しくて堪らない。
ユーマはハチの耳元に唇を近づけると、耳朶を唇で喰む。
「っ……、なに、どうしたの、突然」
余裕のあるハチの声にユーマは、はぁっと小さく吐息を漏らして囁いた。
「もっとほしい」
「なにを、どうしてほしい?」
楽しげに踊る声にユーマは抗わず、従順に答える。
「もっと、触ってほしい」
「どこを? ここ?」
そう言ってハチの手がユーマの乳首を押し潰し、ぐいぐいと強く刺激する。
ぐっと下腹部に熱が落ちて行き、ユーマは声を甘い声を漏らす。
「あ……ッ、そこも、ほかも……」
「ほかも?」
ハチの片手が背に伸される。
シャツの下、直に肌を触れて手の平は背筋を撫でて尾てい骨へと這っていく。
少しぬるりとした感触があって、それもまた快感に変わる。
指先に付いた血は殆ど乾いていた。だがユーマの肌にほんの僅かに浮かび始めた汗が、薄く血を溶かす。
「薬? それとも、抑制プログラム? どれにしても……厄介だね」
ハチの囁く言葉の意味を、ユーマは上手く理解出来ない。
「かわいそうに」
哀れんだ声は熱が籠もっていた。
ユーマはその言葉の意味を理解出来ないまま、ねだるようにハチの首筋に唇を押し当てた。
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