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雑賀重清の目標
第435話:紅葉の条件
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「では、そろそろ本題に入らせていただきます」
紅葉が怒鳴ったことでなんだかほんわかした雰囲気になりつつあったその場の空気が変わり、ノリは改めて居を正し、紅葉を見据えた。
「・・・・・・」
そんなノリに背を向けた紅葉は、どこか居心地悪そうに目を泳がせていた。
(まだ怒ってんのか?ったく、本家ってのはどうしてこうも面倒なヤツが多いんだよ)
一切話を聞こうとしない紅葉の様子にノリがイライラし始めていると、亀太郎が
「ぷっ!!」
突然吹き出した。
「いや、失敬。甲賀ノリ殿。どうか気を悪くしないで下さい。お嬢様はまだ怒りが収まっていないというわけではないのです。
先程も申し上げたように、お嬢様は極度のひきこ―――インドア派。
人との会話もろくに出来ない有様でして・・・
聡太様だけは、甥御様ということもあって話すことが出来るようなのですが・・・」
「いや、さっき思いっきり『お前と話す気はない』とか言われたぞ」
亀太郎の言葉に、ノリが不服そうにそう言うと、
「あのときは、本に隠れておりましたから。面と向かってでなければ、お嬢様もある程度は話せるのです」
(いやどこの本家より面倒くせぇな風魔家!)
ノリはため息をついて、聡太へと目を向けた。
「ソウ。悪いが、お前から話してくれ」
「・・・はい。なんだか、伯母がすみません」
既に紅葉が伯母であることを受け入れた聡太は、頷いて紅葉へと話しかけた。
「えーっと・・・紅葉さん。お願いがあります」
「条件があるわ」
「へ?」
まだお願いの内容も言わないうちに出てきた紅葉からの言葉に、聡太は声を漏らした。
「話なら既に雑賀雅からある程度聞いているわ。風魔に伝わるあの術を、『玄武の術』を寄越せと言うんでしょう?」
先程のノリへの態度とは違い全く狼狽える様子もなく、紅葉はスラスラとそう言って聡太を見つめた。
「聡太、風魔本家の当主になりなさい」
「え?」
紅葉の突然の申し出に、聡太は言葉を失った。
「私は早く当主の座から降りて、婚活に集中したいの。
聡太なら、あの人の血も継いでるし、誰にも文句は言わせないわ。あれ程の力を持った、あなたならね」
「やっぱり、あの時あそこに居たのは紅葉さんと亀太郎さんだったんですね」
紅葉の言葉に、聡太はやはりというように頷いた。
「え?ソウ、この人達と会ったことあるの?」
重清がおどろいたように聡太へ言うと、
「ううん。会ったのは初めてだよ。
だけど、忍力だけは感じたことがあるんだ。
あのゴウさん達が襲ってきたときに。
初めはゴウさん達の仲間だと思ってたけど、敵意が感じられなかったから言わなかったんだ。ごめんね、黙ってて」
聡太はそう言って、重清に小さく頭を下げた。
「やはり聡太様は、お気付きになっていたのですね。
確かに我々は、聡太様のお力を確認するためにあの場におりました。
お嬢様が初めて外へ出たいと自分から仰った時には、涙が止まりませんでしたよ」
ヨヨヨと泣き真似をしながら、亀太郎は聡太の言葉を肯定し、言葉を続ける。
「あの時感知した聡太様の忍力。お嬢様や楓様どころか、先代の当主様すらも超える程のそのお力に、お嬢さんも決心がついたのです」
「ま、そういうことよ。私より力がないようならば、無理矢理にでも弟子として迎えて鍛えるつもりだったけれど、既に私より高い忍力を持つ聡太ならば、誰にも文句は言わせない。
忍力こそが、我々風魔の象徴なのだから」
紅葉はそう言うと、聡太を見つめた。
「どう?良い取引でしょ?あなたは当主になる。そうすれば、『玄武の術』は自動的に、あなたのものになる」
「そして、お嬢様は婚活に専念できる」
「亀太郎っ!!」
ボソリと呟く亀太郎に、紅葉は顔を赤くして叫んだ。
敢えて触れなかった自身の易に言及されて、恥ずかしかったようである。
そんななか、聡太は申し訳無さそうに口を開いた。
「あの~・・・条件については分かったんですけど、1つ問題が・・・」
聡太はそう言うと、チラリとノリに目を向け、決心したように紅葉を見つめた。
「実は・・・ぼくはもう、間に合ってるんです。
ぼくの予想通り、風魔の持つ術が『玄武の術』であれば、ぼくじゃなく、このシゲに術を契約してもらいたいんです」
「は、え、ちょっと!どういうことよ!?
風魔が代々受け継ぐ『玄武の術』を、よりにもよってこんなバカそうな子に契約させろって言うの!?
聡太、どういうことか説明しなさい!!」
紅葉は怒りの形相で聡太を睨み、亀太郎はそれを面白そうに見つめながら、重清に笑いかけていた。
「えっと・・・実は・・・・」
聡太は紅葉の顔に怯えつつも、話し始めた。
紅葉が怒鳴ったことでなんだかほんわかした雰囲気になりつつあったその場の空気が変わり、ノリは改めて居を正し、紅葉を見据えた。
「・・・・・・」
そんなノリに背を向けた紅葉は、どこか居心地悪そうに目を泳がせていた。
(まだ怒ってんのか?ったく、本家ってのはどうしてこうも面倒なヤツが多いんだよ)
一切話を聞こうとしない紅葉の様子にノリがイライラし始めていると、亀太郎が
「ぷっ!!」
突然吹き出した。
「いや、失敬。甲賀ノリ殿。どうか気を悪くしないで下さい。お嬢様はまだ怒りが収まっていないというわけではないのです。
先程も申し上げたように、お嬢様は極度のひきこ―――インドア派。
人との会話もろくに出来ない有様でして・・・
聡太様だけは、甥御様ということもあって話すことが出来るようなのですが・・・」
「いや、さっき思いっきり『お前と話す気はない』とか言われたぞ」
亀太郎の言葉に、ノリが不服そうにそう言うと、
「あのときは、本に隠れておりましたから。面と向かってでなければ、お嬢様もある程度は話せるのです」
(いやどこの本家より面倒くせぇな風魔家!)
ノリはため息をついて、聡太へと目を向けた。
「ソウ。悪いが、お前から話してくれ」
「・・・はい。なんだか、伯母がすみません」
既に紅葉が伯母であることを受け入れた聡太は、頷いて紅葉へと話しかけた。
「えーっと・・・紅葉さん。お願いがあります」
「条件があるわ」
「へ?」
まだお願いの内容も言わないうちに出てきた紅葉からの言葉に、聡太は声を漏らした。
「話なら既に雑賀雅からある程度聞いているわ。風魔に伝わるあの術を、『玄武の術』を寄越せと言うんでしょう?」
先程のノリへの態度とは違い全く狼狽える様子もなく、紅葉はスラスラとそう言って聡太を見つめた。
「聡太、風魔本家の当主になりなさい」
「え?」
紅葉の突然の申し出に、聡太は言葉を失った。
「私は早く当主の座から降りて、婚活に集中したいの。
聡太なら、あの人の血も継いでるし、誰にも文句は言わせないわ。あれ程の力を持った、あなたならね」
「やっぱり、あの時あそこに居たのは紅葉さんと亀太郎さんだったんですね」
紅葉の言葉に、聡太はやはりというように頷いた。
「え?ソウ、この人達と会ったことあるの?」
重清がおどろいたように聡太へ言うと、
「ううん。会ったのは初めてだよ。
だけど、忍力だけは感じたことがあるんだ。
あのゴウさん達が襲ってきたときに。
初めはゴウさん達の仲間だと思ってたけど、敵意が感じられなかったから言わなかったんだ。ごめんね、黙ってて」
聡太はそう言って、重清に小さく頭を下げた。
「やはり聡太様は、お気付きになっていたのですね。
確かに我々は、聡太様のお力を確認するためにあの場におりました。
お嬢様が初めて外へ出たいと自分から仰った時には、涙が止まりませんでしたよ」
ヨヨヨと泣き真似をしながら、亀太郎は聡太の言葉を肯定し、言葉を続ける。
「あの時感知した聡太様の忍力。お嬢様や楓様どころか、先代の当主様すらも超える程のそのお力に、お嬢さんも決心がついたのです」
「ま、そういうことよ。私より力がないようならば、無理矢理にでも弟子として迎えて鍛えるつもりだったけれど、既に私より高い忍力を持つ聡太ならば、誰にも文句は言わせない。
忍力こそが、我々風魔の象徴なのだから」
紅葉はそう言うと、聡太を見つめた。
「どう?良い取引でしょ?あなたは当主になる。そうすれば、『玄武の術』は自動的に、あなたのものになる」
「そして、お嬢様は婚活に専念できる」
「亀太郎っ!!」
ボソリと呟く亀太郎に、紅葉は顔を赤くして叫んだ。
敢えて触れなかった自身の易に言及されて、恥ずかしかったようである。
そんななか、聡太は申し訳無さそうに口を開いた。
「あの~・・・条件については分かったんですけど、1つ問題が・・・」
聡太はそう言うと、チラリとノリに目を向け、決心したように紅葉を見つめた。
「実は・・・ぼくはもう、間に合ってるんです。
ぼくの予想通り、風魔の持つ術が『玄武の術』であれば、ぼくじゃなく、このシゲに術を契約してもらいたいんです」
「は、え、ちょっと!どういうことよ!?
風魔が代々受け継ぐ『玄武の術』を、よりにもよってこんなバカそうな子に契約させろって言うの!?
聡太、どういうことか説明しなさい!!」
紅葉は怒りの形相で聡太を睨み、亀太郎はそれを面白そうに見つめながら、重清に笑いかけていた。
「えっと・・・実は・・・・」
聡太は紅葉の顔に怯えつつも、話し始めた。
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