467 / 519
雑賀重清の目標
第417話:これにて終幕?
しおりを挟むある嵐の日、公園でずぶ濡れになり震えていたその犬を見つけ、自宅に連れ帰った書記さま。
誰にも言わずこっそり自室で世話をしていたが、案の定というかお約束通り家の者に見つかってしまう。
もちろん犬は部屋から追い出され、そのまま大人達が何処かへと連れて行ったきり、二度と会えなかったそうです。
この悲しい出来事がきっかけで、書記さまは一生他の犬を飼わないと心に誓ったのだとか。
まぁ子供には辛い思い出だよね。
でも俺には関係無くない?
と思ったが書記さまいわく、昔大好きだった雑種のノラ犬は俺によく似ていたらしい。
いや待て、それ俺に対して失礼だろ。
「ダメ、離れる……嫌。わんわんと一緒に、いる」
「え? ちょっ、うわッ」
何なのこの人。
イヤイヤ、と頭を振りながら俺の腹にしがみつかないでください。
振動が気持ち良いです。じゃなくて。
中庭のベンチに座らされている俺。
その前で地面に膝をつき、人の腰に腕を回して抱きつく書記さま。
うーん、今この状態で親衛隊の子に見られたら俺どうなるのかなぁ。
というか絶対に制裁されるし。
「あ、あの、本当に止めて。頼むから離れてくださいってば!」
「何……で、せっかく会えた、のに。俺……キライ?」
うわまたしても既に涙目ですか書記さま。
その捨てられたワンコみたいな顔、止めてください。まるで俺が人で無しのように思えてくるじゃないですか。
ハッ!? きゅうぅーんって切ない鳴き声が聞こえてきた。え、幻聴?
ど、どうしてかなぁ。垂れた犬耳と尻尾も見えるぞ。疲れてんのか、俺。
「はぁ」
「……っ!」
あ、しまった。
何気なく溜め息吐いたら、書記さまの身体がビクッと跳ねて不安そうな目がますます潤んじゃってるよ。うわもぉ本当にワンコでも虐めてる気がして嫌だ。
とりあえず怒ってないよ~みたいな感じに、頭を撫でてみたりして。
そ、そおっとね。そおっと……。
うわー髪の毛ふわふわ、柔らかいなぁ。
ん?
俺を見上げてる書記さまが、驚いたように目を見開いた。で、今度は嬉しそうに笑顔を浮かべる。
ぐはあッ、なななんという威力。
やっぱ美形の微笑み(鼻水無し)は綺麗かつ男前すぎて別格。悔しいがノーマルな俺ですら一瞬どきどきしちゃったもの。そりゃ親衛隊も出来るわけですね、うん納得。
とか言ってたら、おや?
書記さまの身体がプルプルし始めました。
でもって――。
「わんわん、大……好き!」
「ハッ? うわぁあっ、待てちょっ、何でまたしてもーッ!」
急に書記さまの腕に力が入り、ぎゅううううっと締められたら。
結果はもう分かるよね。
焦る書記さまの声を遠くに聞き。
再び意識を失うハメになった俺は、健勝ながら何故か川岸の向こうにいる祖母ちゃんに向かって、手を振ってみせた。
.
誰にも言わずこっそり自室で世話をしていたが、案の定というかお約束通り家の者に見つかってしまう。
もちろん犬は部屋から追い出され、そのまま大人達が何処かへと連れて行ったきり、二度と会えなかったそうです。
この悲しい出来事がきっかけで、書記さまは一生他の犬を飼わないと心に誓ったのだとか。
まぁ子供には辛い思い出だよね。
でも俺には関係無くない?
と思ったが書記さまいわく、昔大好きだった雑種のノラ犬は俺によく似ていたらしい。
いや待て、それ俺に対して失礼だろ。
「ダメ、離れる……嫌。わんわんと一緒に、いる」
「え? ちょっ、うわッ」
何なのこの人。
イヤイヤ、と頭を振りながら俺の腹にしがみつかないでください。
振動が気持ち良いです。じゃなくて。
中庭のベンチに座らされている俺。
その前で地面に膝をつき、人の腰に腕を回して抱きつく書記さま。
うーん、今この状態で親衛隊の子に見られたら俺どうなるのかなぁ。
というか絶対に制裁されるし。
「あ、あの、本当に止めて。頼むから離れてくださいってば!」
「何……で、せっかく会えた、のに。俺……キライ?」
うわまたしても既に涙目ですか書記さま。
その捨てられたワンコみたいな顔、止めてください。まるで俺が人で無しのように思えてくるじゃないですか。
ハッ!? きゅうぅーんって切ない鳴き声が聞こえてきた。え、幻聴?
ど、どうしてかなぁ。垂れた犬耳と尻尾も見えるぞ。疲れてんのか、俺。
「はぁ」
「……っ!」
あ、しまった。
何気なく溜め息吐いたら、書記さまの身体がビクッと跳ねて不安そうな目がますます潤んじゃってるよ。うわもぉ本当にワンコでも虐めてる気がして嫌だ。
とりあえず怒ってないよ~みたいな感じに、頭を撫でてみたりして。
そ、そおっとね。そおっと……。
うわー髪の毛ふわふわ、柔らかいなぁ。
ん?
俺を見上げてる書記さまが、驚いたように目を見開いた。で、今度は嬉しそうに笑顔を浮かべる。
ぐはあッ、なななんという威力。
やっぱ美形の微笑み(鼻水無し)は綺麗かつ男前すぎて別格。悔しいがノーマルな俺ですら一瞬どきどきしちゃったもの。そりゃ親衛隊も出来るわけですね、うん納得。
とか言ってたら、おや?
書記さまの身体がプルプルし始めました。
でもって――。
「わんわん、大……好き!」
「ハッ? うわぁあっ、待てちょっ、何でまたしてもーッ!」
急に書記さまの腕に力が入り、ぎゅううううっと締められたら。
結果はもう分かるよね。
焦る書記さまの声を遠くに聞き。
再び意識を失うハメになった俺は、健勝ながら何故か川岸の向こうにいる祖母ちゃんに向かって、手を振ってみせた。
.
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。

墓守の荷物持ち 遺体を回収したら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアレア・バリスタ
ポーターとしてパーティーメンバーと一緒にダンジョンに潜っていた
いつも通りの階層まで潜るといつもとは違う魔物とあってしまう
その魔物は僕らでは勝てない魔物、逃げるために必死に走った
だけど仲間に裏切られてしまった
生き残るのに必死なのはわかるけど、僕をおとりにするなんてひどい
そんな僕は何とか生き残ってあることに気づくこととなりました

月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる