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新学期と
第373話:シゲとソウと保健室
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「11、12!ほら、やっぱり1段増えてるぞ?」
階段を登り終えた重清は、得意げな顔で聡太を見つめていた。
「シゲ、今最後の段も数えたよね?」
「当たり前じゃん」
小声で返す聡太に、重清はさも当然のように答えた。
「そこってさ、下る時は数えなかったんじゃない?」
「ん~。覚えてないな。ちょっと待ってて」
重清は小声で聡太に返すと、再び数えながら階段を下り、そして上がってきた。
「なるほどねぇ」
そして再び聡太のもとへと戻ってきた重清は、1人納得したように頷いていた。
「ね、そういうことなんだよ」
(ちょっと待て!オイラわかんねぇぞ!)
(ボクもわかんないよぉ~)
聡太の言葉に、プレッソとブルーメが異論を唱えていた。
「えっと・・・シゲは今、階段を上ったときは1番上の段を数えたのに、下る時は1つ下りた所から数え始めてたんだ。
つまり1番上の段は、下りの時は踊り場の一部として認識して、上りの時には階段の一部と認識してたんだ。
だから、1番上の段の分だけ、数が合わなかったんだ」
「((おぉ~))」
(なんだか、保育士さんになった気分だよ)
重清と、プレッソ、ブルーメの言葉が重なるのを聞いた聡太は、心の中でそっとため息をつきながらも重清へと目を向けた。
「それで、このあとはどうする?」
「ん~、ここから近いのは、保健室か」
「だね。ぼくの『探知』でも、保健室には誰も向かっていないみたいだし、保健室に向かおうか」
こうして重清と聡太、そして聡太の首元に巻き付いたブルーメ(人形姿)と具現化されていないプレッソは、保健室へと向かうのであった。
「まぁ、近いからすぐ着くんだけどね」
どこへともなくつっこむ重清とともに保健室の前に到着した聡太は、
(ブルーメ、誰もいない?)
そう、ブルーメへと心の中で声をかけた。
(うん!大丈夫だよ!)
ブルーメの元気な返事を聞いた聡太は重清へと頷き、そっと保健室の扉を開いた。
「うわぁ・・・夜の保健室って、なんか怖いな」
「それを言うなら、夜の学校自体が怖いよ」
重清の言葉に、聡太は若干身震いしながらあたりを見渡していた。
そして、2人の視界にそれは入った。
暗がりの中にじっと佇む、人体模型の姿が。
それがなぜ、理科室でなく保健室にあるのか。
そもそもはそこ自体が大いなる不思議なわけであるが、今それを目にしている2人にとって、それは些末なことであった。
なぜならば・・・
シゲ「なぁソウ。おれの目がおかしいのかな?なんかあの人体模型、ほのかに光ってない?」
プレ(ひ、光ってるな)
ソウ「あー、シゲにもそう見えるんだ・・・しかも、なんだかちょっとだけ、揺れてない?」
ブル(おぉ、揺れてるね!なんでなんで!?)
「「これって・・・・」」
重清と聡太が顔を真っ青にして見つめあっていると、
カッ、カッ、カッ、カッ、カッ
廊下の方からそんな音が聞こえてきた。
「へっ?」
聡太が小さく声を上げるなか、
「ソウ、なにぼさっとしてるんだよ!」
重清は聡太を捕まえると、急いでベッドの下へと聡太もろとも潜り込んだ。
ガラガラッ
その瞬間、保健室のドアが開かれ、懐中電灯を持ったカオルンこと、保健室の養護教諭、花園薫が保健室へと入ってきた。
「はぁ~、見つからないみつからなぁ~い」
ツカツカと歩く花園は、
「自分の部屋があると、こういうときさぼれちゃうから助かるわねぇ~」
そう言いながら、人体模型へと向かって歩き出した。
「あらぁ~、着信が入ってるわねぇ~。もしかしてソウ君からかしらぁ~?」
突然名前を呼ばれたことにビクンとしながらも、聡太は重清とともにベッドの下から花園の様子を伺っていた。
花園は人体模型の手の上にのせていたスマホを取り上げると、光る画面に目を落とし、
「あらぁ、残念。可愛げのない弟君だわぁ~」
そう、残念同に呟いていた。
(いやまさかのスマホスタンド!人体模型が光ってたのも、ちょっと動いてたのもスマホのせいか~い)
(・・・そうみたいだね)
重清のつっこみに、聡太は苦笑いを浮かべて返していた。
(で、ソウ。カオルンと連絡先交換してるの?)
(聡太、お前も隅に置けないな)
(え、今そこ!?してないし!花園先生に電話すらしたことないよ!)
(そうだよ!シゲもプレッソ兄ちゃんも、変なこと言わないでよ!)
(なぁーんだ、面白くない。でもそうなってくると、今のカオルンの発言、めちゃくちゃ怖いな。もはやこっちのほうが七不思議だ)
(いや、今うまいこと言わなくていいからね?)
聡太が重清に突っ込んでいると、
「誰か、早く見つけてくださいよぉ~。夜の学校怖いですよぉ~~」
花園はそう言いながら自身の椅子へチョコンと座りこみ、そのままデスクへと突っ伏した。
そして5分後・・・・
「むにゃむにゃ・・・これおかわりくださぁ~い」
(おぉ、まさかの大食いキャラ)
デスクに突っ伏したまま眠りこけた花園の寝言に重清がつっこんでいると、
(今それはいいから!今のうちに保健室から出ようよ!)
聡太は重清を引っ張って、保健室を後にするのであった。
階段を登り終えた重清は、得意げな顔で聡太を見つめていた。
「シゲ、今最後の段も数えたよね?」
「当たり前じゃん」
小声で返す聡太に、重清はさも当然のように答えた。
「そこってさ、下る時は数えなかったんじゃない?」
「ん~。覚えてないな。ちょっと待ってて」
重清は小声で聡太に返すと、再び数えながら階段を下り、そして上がってきた。
「なるほどねぇ」
そして再び聡太のもとへと戻ってきた重清は、1人納得したように頷いていた。
「ね、そういうことなんだよ」
(ちょっと待て!オイラわかんねぇぞ!)
(ボクもわかんないよぉ~)
聡太の言葉に、プレッソとブルーメが異論を唱えていた。
「えっと・・・シゲは今、階段を上ったときは1番上の段を数えたのに、下る時は1つ下りた所から数え始めてたんだ。
つまり1番上の段は、下りの時は踊り場の一部として認識して、上りの時には階段の一部と認識してたんだ。
だから、1番上の段の分だけ、数が合わなかったんだ」
「((おぉ~))」
(なんだか、保育士さんになった気分だよ)
重清と、プレッソ、ブルーメの言葉が重なるのを聞いた聡太は、心の中でそっとため息をつきながらも重清へと目を向けた。
「それで、このあとはどうする?」
「ん~、ここから近いのは、保健室か」
「だね。ぼくの『探知』でも、保健室には誰も向かっていないみたいだし、保健室に向かおうか」
こうして重清と聡太、そして聡太の首元に巻き付いたブルーメ(人形姿)と具現化されていないプレッソは、保健室へと向かうのであった。
「まぁ、近いからすぐ着くんだけどね」
どこへともなくつっこむ重清とともに保健室の前に到着した聡太は、
(ブルーメ、誰もいない?)
そう、ブルーメへと心の中で声をかけた。
(うん!大丈夫だよ!)
ブルーメの元気な返事を聞いた聡太は重清へと頷き、そっと保健室の扉を開いた。
「うわぁ・・・夜の保健室って、なんか怖いな」
「それを言うなら、夜の学校自体が怖いよ」
重清の言葉に、聡太は若干身震いしながらあたりを見渡していた。
そして、2人の視界にそれは入った。
暗がりの中にじっと佇む、人体模型の姿が。
それがなぜ、理科室でなく保健室にあるのか。
そもそもはそこ自体が大いなる不思議なわけであるが、今それを目にしている2人にとって、それは些末なことであった。
なぜならば・・・
シゲ「なぁソウ。おれの目がおかしいのかな?なんかあの人体模型、ほのかに光ってない?」
プレ(ひ、光ってるな)
ソウ「あー、シゲにもそう見えるんだ・・・しかも、なんだかちょっとだけ、揺れてない?」
ブル(おぉ、揺れてるね!なんでなんで!?)
「「これって・・・・」」
重清と聡太が顔を真っ青にして見つめあっていると、
カッ、カッ、カッ、カッ、カッ
廊下の方からそんな音が聞こえてきた。
「へっ?」
聡太が小さく声を上げるなか、
「ソウ、なにぼさっとしてるんだよ!」
重清は聡太を捕まえると、急いでベッドの下へと聡太もろとも潜り込んだ。
ガラガラッ
その瞬間、保健室のドアが開かれ、懐中電灯を持ったカオルンこと、保健室の養護教諭、花園薫が保健室へと入ってきた。
「はぁ~、見つからないみつからなぁ~い」
ツカツカと歩く花園は、
「自分の部屋があると、こういうときさぼれちゃうから助かるわねぇ~」
そう言いながら、人体模型へと向かって歩き出した。
「あらぁ~、着信が入ってるわねぇ~。もしかしてソウ君からかしらぁ~?」
突然名前を呼ばれたことにビクンとしながらも、聡太は重清とともにベッドの下から花園の様子を伺っていた。
花園は人体模型の手の上にのせていたスマホを取り上げると、光る画面に目を落とし、
「あらぁ、残念。可愛げのない弟君だわぁ~」
そう、残念同に呟いていた。
(いやまさかのスマホスタンド!人体模型が光ってたのも、ちょっと動いてたのもスマホのせいか~い)
(・・・そうみたいだね)
重清のつっこみに、聡太は苦笑いを浮かべて返していた。
(で、ソウ。カオルンと連絡先交換してるの?)
(聡太、お前も隅に置けないな)
(え、今そこ!?してないし!花園先生に電話すらしたことないよ!)
(そうだよ!シゲもプレッソ兄ちゃんも、変なこと言わないでよ!)
(なぁーんだ、面白くない。でもそうなってくると、今のカオルンの発言、めちゃくちゃ怖いな。もはやこっちのほうが七不思議だ)
(いや、今うまいこと言わなくていいからね?)
聡太が重清に突っ込んでいると、
「誰か、早く見つけてくださいよぉ~。夜の学校怖いですよぉ~~」
花園はそう言いながら自身の椅子へチョコンと座りこみ、そのままデスクへと突っ伏した。
そして5分後・・・・
「むにゃむにゃ・・・これおかわりくださぁ~い」
(おぉ、まさかの大食いキャラ)
デスクに突っ伏したまま眠りこけた花園の寝言に重清がつっこんでいると、
(今それはいいから!今のうちに保健室から出ようよ!)
聡太は重清を引っ張って、保健室を後にするのであった。
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