417 / 519
新学期と
第368話:はい、ごめんなさい
しおりを挟む
龍の忍力に吹き飛ばされてズタボロになったノリを回収した一同は、ケンとノリをいったん社会科研究部の部室へと運び出し、その傷を癒したのちに再び忍者部の部室へと集まっていた。
お忘れの方も多いだろうが、忍者部が普段修行に利用しているのはかの有名な天才忍者、雑賀雅の作り上げた空間である。
しかも、ただの別空間ではない。
その空間でどれだけ傷つこうとも、そこから出た途端にその傷は全てなかったことになるという、非常に便利な機能を持った空間なのである。
もちろんこれは、この忍者カリキュラムを作り上げた雑賀平八の優しさによるものであった。
忍者となったばかりの中学生に余計な傷を負ってほしくないという、平八の優しさを汲んだ雅が、その想いに応えるべく作り上げたのが、この空間なのである。
ちなみに、その空間での時間が現実世界ではほとんど進んでいないことも、「勉強の時間を確保してあげたい」という、平八の優しさなのである。
それはさておき。
「ほら。さっさとケンさんに謝る!」
忍者部の部室に、龍の攻撃から回復したノリの背中を、ドンと叩きながら言うアカの言葉が響いた。
「痛いな。わかってるよ!アカ、お前どんどん、雅様みたいになっていってるぞ?」
「あら、お褒めの言葉ありがとうございます」
(褒めてねぇってんだよ!)
満面の笑みで返事をするアカに、ノリは心の中で毒づきながらケンへと目を向ける。
「あー、その、なんだ。悪かったな」
「な・に・が!?」
気まずそうに呟くノリの背から、アカの厳しい声が聞こえてくる。
(あー、アカ、ほんとばあちゃんみたいだ。怒ってるとき、ばあちゃんあんな感じだもんなー)
重清は、そんなアカを見ながら1人で脱線していた。
そんななか、ノリは深いため息をついて再びケンへと頭を下げた。
「ケンに彼女が出来たのが悔しくて、殴ってしまいました。すみませんでした!」
若干不貞腐れ気味にそう言ったノリに対して、ケンは首を振った。
「いや。ノリさんが謝る必要、ない。ノリさんの力も計らずに攻めた俺に問題があったから」
「あーあ、やっぱり彼女のいる男は、モテないやつらとは違うわね~」
ケンの言葉に、アカはその場の一部の男たちに目を向けながら、感心したように言った。
主に、ノリとシンと恒久を見ながら。
「え、俺今回関係なくね?なんで俺までモテない認定されてんの?」
「ツネ、アカには逆らっちゃダメ」
「そうだぞツネ!ママの言うとおりだ!アカには逆らっちゃダメなんだぞ!」
アカの視線を受けた恒久がボソリとつっこむと、隣のソウがそれを小さな声で咎め、さらにソウの首に巻き付いていた龍もソウの言葉に同調していた。
「そうそう。もしもノリさんが今後同じ過ちを繰り返そうものなら、またこの子に、ぶっ飛ばしてもらいますからね!」
アカはそう言って、ソウの首に巻き付いた龍の小さな頭を撫でた。
「うん!アカには逆らえないから、ボク頑張るよ!」
龍は元気にそう言って、頷いていた。
「へいへい、わかりましたよ!はい!この話はこれで終わり!」
ノリはそう言うと、龍へと目を向けた。
「それで・・・ソウ、そいつがお前の持っていた卵から生まれた具現獣ってことでいいんだよな?」
そう問いかけるノリに、ソウは小さく頷いた。
「その子、可愛いわね。ちなみに、わたしに逆らえないってどういうことか、ちゃんとソウが説明しなさいよ?」
アカが龍に微笑みつつ、ソウを小さく睨みつけた。
「「うぐっ・・・」」
ソウとともに、龍も小さく呻いていた。
「ママ、ボクのせいで、ごめんね」
「なははは。まぁ仕方ないんだけどね。それよりも、その『ママ』ってやめてくれない?ぼく男の子なんだよ?」
「だって、ママは美味しいご飯をいつもくれたんだもん!だから、ママはママだよ!」
「えー、その考え古くないか~?」
龍の言葉に、重清が口をはさんだ。
「でたなー、シゲ!シゲは黙っててよ!」
龍は、不機嫌そうな顔で重清を見つめていた。
「あれ?おれ名乗ったっけ?」
重清は、龍に名前を呼ばれて不思議そうに首をかしげていた。
「聞かなくてもわかるよ!ボク、卵の中でみんなの話、ずっと聞いてたんだから」
そう得意げに言い返す龍に、ソウは笑いかけた。
「ふふふ。早速シゲと一緒に脱線するほど仲良くなってくれて嬉しいけど、話を戻そうね」
ソウは母のような優しさに包まれた笑顔で、龍を見つめるのであった。
お忘れの方も多いだろうが、忍者部が普段修行に利用しているのはかの有名な天才忍者、雑賀雅の作り上げた空間である。
しかも、ただの別空間ではない。
その空間でどれだけ傷つこうとも、そこから出た途端にその傷は全てなかったことになるという、非常に便利な機能を持った空間なのである。
もちろんこれは、この忍者カリキュラムを作り上げた雑賀平八の優しさによるものであった。
忍者となったばかりの中学生に余計な傷を負ってほしくないという、平八の優しさを汲んだ雅が、その想いに応えるべく作り上げたのが、この空間なのである。
ちなみに、その空間での時間が現実世界ではほとんど進んでいないことも、「勉強の時間を確保してあげたい」という、平八の優しさなのである。
それはさておき。
「ほら。さっさとケンさんに謝る!」
忍者部の部室に、龍の攻撃から回復したノリの背中を、ドンと叩きながら言うアカの言葉が響いた。
「痛いな。わかってるよ!アカ、お前どんどん、雅様みたいになっていってるぞ?」
「あら、お褒めの言葉ありがとうございます」
(褒めてねぇってんだよ!)
満面の笑みで返事をするアカに、ノリは心の中で毒づきながらケンへと目を向ける。
「あー、その、なんだ。悪かったな」
「な・に・が!?」
気まずそうに呟くノリの背から、アカの厳しい声が聞こえてくる。
(あー、アカ、ほんとばあちゃんみたいだ。怒ってるとき、ばあちゃんあんな感じだもんなー)
重清は、そんなアカを見ながら1人で脱線していた。
そんななか、ノリは深いため息をついて再びケンへと頭を下げた。
「ケンに彼女が出来たのが悔しくて、殴ってしまいました。すみませんでした!」
若干不貞腐れ気味にそう言ったノリに対して、ケンは首を振った。
「いや。ノリさんが謝る必要、ない。ノリさんの力も計らずに攻めた俺に問題があったから」
「あーあ、やっぱり彼女のいる男は、モテないやつらとは違うわね~」
ケンの言葉に、アカはその場の一部の男たちに目を向けながら、感心したように言った。
主に、ノリとシンと恒久を見ながら。
「え、俺今回関係なくね?なんで俺までモテない認定されてんの?」
「ツネ、アカには逆らっちゃダメ」
「そうだぞツネ!ママの言うとおりだ!アカには逆らっちゃダメなんだぞ!」
アカの視線を受けた恒久がボソリとつっこむと、隣のソウがそれを小さな声で咎め、さらにソウの首に巻き付いていた龍もソウの言葉に同調していた。
「そうそう。もしもノリさんが今後同じ過ちを繰り返そうものなら、またこの子に、ぶっ飛ばしてもらいますからね!」
アカはそう言って、ソウの首に巻き付いた龍の小さな頭を撫でた。
「うん!アカには逆らえないから、ボク頑張るよ!」
龍は元気にそう言って、頷いていた。
「へいへい、わかりましたよ!はい!この話はこれで終わり!」
ノリはそう言うと、龍へと目を向けた。
「それで・・・ソウ、そいつがお前の持っていた卵から生まれた具現獣ってことでいいんだよな?」
そう問いかけるノリに、ソウは小さく頷いた。
「その子、可愛いわね。ちなみに、わたしに逆らえないってどういうことか、ちゃんとソウが説明しなさいよ?」
アカが龍に微笑みつつ、ソウを小さく睨みつけた。
「「うぐっ・・・」」
ソウとともに、龍も小さく呻いていた。
「ママ、ボクのせいで、ごめんね」
「なははは。まぁ仕方ないんだけどね。それよりも、その『ママ』ってやめてくれない?ぼく男の子なんだよ?」
「だって、ママは美味しいご飯をいつもくれたんだもん!だから、ママはママだよ!」
「えー、その考え古くないか~?」
龍の言葉に、重清が口をはさんだ。
「でたなー、シゲ!シゲは黙っててよ!」
龍は、不機嫌そうな顔で重清を見つめていた。
「あれ?おれ名乗ったっけ?」
重清は、龍に名前を呼ばれて不思議そうに首をかしげていた。
「聞かなくてもわかるよ!ボク、卵の中でみんなの話、ずっと聞いてたんだから」
そう得意げに言い返す龍に、ソウは笑いかけた。
「ふふふ。早速シゲと一緒に脱線するほど仲良くなってくれて嬉しいけど、話を戻そうね」
ソウは母のような優しさに包まれた笑顔で、龍を見つめるのであった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる