おれは忍者の子孫

メバ

文字の大きさ
上 下
410 / 519
新学期と

第361話:雑賀重清&ロイ 対 伊賀恒久&甲賀アカ その2

しおりを挟む
モテない男達と、意外な伏兵の悲しいバトルが繰り広げられている頃。

「重清、力の使い方が様になってきておるではないか」
「おっ、マジで?」
恒久とアカの攻撃を避けながら、重清とロイは呑気な会話を楽しんでいた。

「あの2人ムカつくっ!何で私達の攻撃が当たんないのよっ!」
そんな重清達の様子にイライラしながら、アカは重清に向けて『火弾かだんの術』による火の弾丸を飛ばしていた。

「ほっ」
それを華麗に避ける重清を見つめつつ、

「落ち着け、アカ。シゲ相手にイライラしてたら、あいつの思うツボだぞ」
恒久はアカへと声をかけた。

「思うツボって。シゲがわたし達を挑発するために避けるなんて、そんな心理戦できると思ってるの?」
恒久が投げた手裏剣に合せて再び火の弾丸を飛ばしながら、アカは恒久へと返した。

「あー、悪い。思うツボは言い過ぎたわ。シゲがそんなことできるわけねぇよな」

「ねぇ、なんか2人して、おれの悪口言ってない?」

「「うるさいっ!!」」

重清の呑気な声に、アカと恒久が怒りのこもった視線とともに怒鳴った。

重清に向けた攻撃をことごとく避けられていた事に、恒久も内心ではイライラしていたようである。

「えぇ~、なんかめっちゃ怒られたんだけど」
重清は2人の勢いに圧倒されながら、ともに2人の攻撃を避けていたロイへと声をかけた。

「これだけ避け続けていれば、誰でもイライラするからのぉ」
ロイは重清へと返しつつ、

(それを天然でやるとはのぉ。重清の将来が心配になるわい)
そう、心の中で呟きながら重清に慈愛に満ちた瞳を向けていた。

「ん?なに?ロイ」
「いや、何でもない。それより重清、忍力は回復したか?」

「まぁまぁかな?おれがさっきツネの忍力吸収してから、あんまりツネが忍力込めて攻撃してこないからね。でもまぁ、さっきよりはマシになったよ」
「そうか。ではあちらもヤキモキしておるようだし、攻撃に移るかのぉ」

「それなんだけどさ、ロイ。ちょっとだけ、あの2人を足止めしてくんない?」
「どうせ儂からは攻撃できんのだし、それは構わんが・・・」

「じゃ、よろしくっ!」
重清はそう言うと、ロイから離れていった。

「まったく、少しは説明してから行かんかい」
ロイは重清を見つめて呟くと、アカと恒久へと歩み寄った。

「なんだよ。シゲはまた何かやるつもりかよ?」
恒久は重清に目を向けつつ、ロイへと語りかけた。

「そのようじゃ。何をするつもりなのか説明はなかったがのぉ」
ロイは笑ってそう答えると、2人を交互に見た。

「さて。重清からお主らの足止めを頼まれたのでな。ちぃと遊んでもらうぞ?
今まで散々この可愛い子犬を追い回してくれたな礼に、お主らにも同じ目にあってもらおうかのぉ」
ロイがそう言うのと同時に、アカと恒久の周りにいくつもの小さな靄が生まれ、その靄が徐々に形を作っていった。

「に、肉球?」

自身の周りに現れた、いくつもの白と黒それぞれの肉球を見つめながら、アカが呟いた。

「そのとおりじゃ。儂からは攻撃できぬことになっておるからのぉ。
あれは、あくまでも肉球のスタンプじゃよ。
当たっても痛くはないが、その体にしっかりと肉球の跡を残す。
ちなみに、黒いのがプレッソ、白いのがチーノの肉球じゃ」

「いやわかんねーし」
ロイの蛇足な説明に、恒久はつっこんだ。

「そして―――」
ロイの言葉とともに、アカと恒久でもわかるほどの殺気が、肉球達から湧き上がった。

「これで準備は万端じゃな。ちなみに、これくらい殺気を込めたものなら、重清であればほぼ全てを避けることができるじゃろうのぅ」
2人を挑発するようなロイの言葉を聞いたアカお恒久は、

「「じゃぁこっちも、全部避けてやるわ(よ)!!」」

ロイへと叫び返した。

「ほっほっほ。やる気満々じゃな。では、ゆくぞ」
ロイがそう言うと、いくつもの黒と白の肉球が、2人へと襲いかかった。


そして1分後。

「「はぁ、はぁ、はぁ」」

肉球スタンプだらけの恒久と、いくつかの肉球が顔にバッチリスタンプされたアカが、息を切らして立っていた。

「ふむ。茜は雅ちゃんにしごかれとるだけはあるのぉ。恒久よ、お主普通なら死んでおるぞ?」

「わかってるよっ!わざわざ言わなくても―――」

「お待たせっ!!」

恒久がロイへと言い返していると、空気を読まない重清が叫んだ。

「いやタイミングっ!」
恒久がそう言いながら重清に目を向けると、重清の周りにいくつもの水と氷の弾丸が浮かんでいた。

「『弾丸の術』、水弾すいだん氷弾ひょうだんだっ!」

重清の声と同時に、いくつもの水弾と氷弾がアカと恒久へと向かっていった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

ちょいダン? ~仕事帰り、ちょいとダンジョンに寄っていかない?~

テツみン
SF
東京、大手町の地下に突如現れたダンジョン。通称、『ちょいダン』。そこは、仕事帰りに『ちょい』と冒険を楽しむ場所。 大手町周辺の企業で働く若手サラリーマンたちが『ダンジョン』という娯楽を手に入れ、新たなライフスタイルを生み出していく―― これは、そんな日々を綴った物語。

大人気ダンジョン配信者のサポーターをやっていたけど、あまりにパワハラが酷いから辞めることにする。ん? なんか再生数激オチしているけど大丈夫?

空松蓮司
ファンタジー
「アンタは1人じゃ何もできない」 事あるごとにそう言い放ってくるパートナー、成瀬美亜にうんざりしつつも葉村志吹は彼女をサポートし続けた。 過去にモンスターに右腕を喰われ隻腕となり、さらに何も特殊な能力を持たない自分を雇ってくれるのは美亜だけ……そう志吹は思い込み、どれだけパワハラされようが耐えてきた。 しかし、現実は違った。 確かに志吹は隻腕で、特殊能力を持たない。だがそのサポート能力は最高レベルであり、美亜のダンジョン配信を見ている視聴者達の目当ても美亜ではなく志吹の完璧なまでのサポート能力だった。そんな高い能力を持つ志吹が放置されるわけがなく、彼は美亜より遥か格上のS級シーカー・唯我阿弥数にギルドへの勧誘を受ける。 「今日はギルドへの勧誘に来たんだ」 「そういう話なら美亜を交えて改めて場を設けるよ。今日はグラビアの撮影で忙しいから、後日都合の良い日に……」 「え? 成瀬美亜ちゃん? 彼女はいらないよ別に」 「ん? 美亜の勧誘じゃないのか?」 「君がどうしてもと言うなら入れてあげてもいいけど、特に魅力は感じないな。僕が欲しいのは君だけだよ」 自分に敬意を示し、真摯に接してくれる唯我と自分を見下し、雑に扱う美亜……比べるまでもなく志吹は唯我を選び、美亜とのパートナー契約を打ち切る。 新たなギルドで正当な評価を受け始める志吹。 一方で志吹を失い、動画の再生数が落ち込んでいく美亜。 やがて美亜は自分の失墜を志吹のせいにし、自分が所属するギルドにありもしないことを吹き込んで志吹を悪者に仕立て上げ、ギルドを率いて志吹への復讐を企てる……。 無能と罵られ続けた実は有能な男が、環境を変えたことをきっかけに正当な評価を受け始める迷宮成り上がりファンタジー、ここに開幕。

無能とされた双子の姉は、妹から逃げようと思う~追放はこれまでで一番素敵な贈り物

ゆうぎり
ファンタジー
私リディアーヌの不幸は双子の姉として生まれてしまった事だろう。 妹のマリアーヌは王太子の婚約者。 我が公爵家は妹を中心に回る。 何をするにも妹優先。 勿論淑女教育も勉強も魔術もだ。 そして、面倒事は全て私に回ってくる。 勉強も魔術も課題の提出は全て代わりに私が片付けた。 両親に訴えても、将来公爵家を継ぎ妹を支える立場だと聞き入れて貰えない。 気がつけば私は勉強に関してだけは、王太子妃教育も次期公爵家教育も修了していた。 そう勉強だけは…… 魔術の実技に関しては無能扱い。 この魔術に頼っている国では私は何をしても無能扱いだった。 だから突然罪を着せられ国を追放された時には喜んで従った。 さあ、どこに行こうか。 ※ゆるゆる設定です。 ※2021.9.9 HOTランキング入りしました。ありがとうございます。

幻の十一代将軍・徳川家基、死せず。長谷川平蔵、田沼意知、蝦夷へ往く。

克全
歴史・時代
 西欧列強に不平等条約を強要され、内乱を誘発させられ、多くの富を収奪されたのが悔しい。  幕末の仮想戦記も考えましたが、徳川家基が健在で、田沼親子が権力を維持していれば、もっと余裕を持って、開国準備ができたと思う。  北海道・樺太・千島も日本の領地のままだっただろうし、多くの金銀が国外に流出することもなかったと思う。  清国と手を組むことも出来たかもしれないし、清国がロシアに強奪された、シベリアと沿海州を日本が手に入れる事が出来たかもしれない。  色々真剣に検討して、仮想の日本史を書いてみたい。 一橋治済の陰謀で毒を盛られた徳川家基であったが、奇跡的に一命をとりとめた。だが家基も父親の十代将軍:徳川家治も誰が毒を盛ったのかは分からなかった。家基は田沼意次を疑い、家治は疑心暗鬼に陥り田沼意次以外の家臣が信じられなくなった。そして歴史は大きく動くことになる。 印旛沼開拓は成功するのか? 蝦夷開拓は成功するのか? オロシャとは戦争になるのか? 蝦夷・千島・樺太の領有は徳川家になるのか? それともオロシャになるのか? 西洋帆船は導入されるのか? 幕府は開国に踏み切れるのか? アイヌとの関係はどうなるのか? 幕府を裏切り異国と手を結ぶ藩は現れるのか?

婚活したい魔王さま(コブつき)を、わたしが勝手にぷろでゅーす! ~不幸を望まれた人質幼女が、魔王国の宝になるまで~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
 人間の国の王女の一人だったリコリス(7歳)は、王妃さまの策略により、病死した母(側妃)の葬儀の後すぐに、残忍な魔族たちの住まう敵国・魔王国に人質代わりに送られてしまった。  しかしリコリスは悲観しない。お母さまのようなカッコいい『大人のレディー』になるべく、まだ子どもで非力な自分がどうすれば敵国で生きて行けるかを一生懸命に考え――。 「わたしが王さまをモッテモテにします!!」  お母さま直伝の『愛され十か条』を使って、「結婚したい」と思っている魔王さまの願いを叶えるお手伝いをする。  人間の国からきた人質王女・リコリス、どうやら『怠け者だった国王を改心させた才女』だったらしい今は亡きお母さまの教えに従い、魔王様をモッテモテにするべく、少し不穏な魔王城内をあっちこっちと駆け回りながら『大人のレディ』を目指します!! ※カクヨムで先行配信中です。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...