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新学期と
第358話:甲賀ソウ 対 怜央、智乃
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「さっきまでよくも、オイラを散々追い回してくれたなっ!
いくぞ、聡太っ!」
玲央はそう言うと、ソウの周りに心の力で作り上げた小さな足場を展開させた。
そのまま飛び上がった玲央は、足場を高速で動き回った。
小さな足音だけを空中で響かせる玲央は、
「へっへ~ん。ロイみたいに足音までは消せねぇけど、このスピードならいくら聡太でもどこにオイラがいるかはわかんねぇだろ!?いくぞ!」
そうソウへと声をかけた。
対するソウは、スッと花の巻き付いた腕を伸ばし、花の種を撃つ。
「うにゃぁっ!?」
先程まで姿を消していた玲央は、花の種を肩へと受けて声を上げながらのけ反った。
「な、なんでわかるんだよ!?」
玲央は肩を押えながらソウへと目を向けた。
「あー・・・ごめんね?確かに速くて見えなかったけど、感知でどこにいるかはバレバレで・・・」
「それを忘れてた!!」
申し訳無さそうに言うソウに、玲央は驚きの声を上げていた。
「まったく。まぁ力を消す方法まではあなたに教えていなかったけれど・・・ちょっと真っ直ぐに攻めすぎよ、玲央。
こういう方法もあるのよ?」
そう言った智乃が、玲央同様ソウの周りに足場を展開させて飛び上がった。
玲央と同じく小さな足音を残して動き回る智乃は、
「あなたと同じくらい足音は残しているわよ、玲央。
ソウのように感知の得意な相手には、こういう方法もあるのよ?」
そう玲央へと声をかけた。
それと同時にソウは、とてつもない殺気を感じ、その方向へ花の種を飛ばした。
その種が、何かにぶつかって弾けるのと同時に、その場に猫の姿のチーノが現れ、そのまま霧のように消えていった。
「ほらね。感知が得意な相手は、大きな力にすぐに騙される」
いつの間にかソウの背に負ぶさった智乃が、笑って言った。
「うわ、全然わからなかったよ」
ソウは冷や汗を流しながら智乃へと返した。
「ふふふ。聡太は、力に敏感すぎるのね。もう少し、相手の力をしっかりと見極める必要があるわ」
「べ、勉強になります」
背中から降りた智乃に、ソウが苦笑いを浮かべて返していると、
「じゃぁ、今度はオイラの番だっ!」
玲央が再び、足場を作り上げて叫んだ。
「2人とも、私が言ったことをよく思い出しなさい」
「おうっ!」
「はいっ!」
玲央は飛び上がりながら、ソウは腕を構えながらそう返事をした。
「いくぜ、聡太っ!」
「こい、プレッソ!」
2人の声が重なるのと同時に、猫の姿のプレッソがソウへと襲いかかった。
「くっ!」
ソウはそれを花の種で迎え撃ちながらも、感知を怠ることなく周りに感知の網を張り続けていた。
そのまま立て続けに、何体ものプレッソがソウへと襲いかかった。
(へぇ。気配が消せないなら、数で勝負ってわけね。
さすがは重清の具現獣。意外と考えているじゃない)
その様子を見ていた智乃が感心してその様子を見つめていると、
最後のプレッソを撃ち落としたソウが、突然後方に炎の壁を作り上げた。
「うぉっ!」
ソウの背後から迫っていた玲央は、そう声を上げてその場で足を止めた。
その直後、玲央はその場から飛び退いた。
それと同時に、先程まで玲央のいた場所に風の刃を帯びた竜巻が巻き起こった。
「あれ、外しちゃったか」
ソウは小さく呟いていた。
「何度も痛い目を見たんだ!さすがにオイラだって、力を感じるってのっ!」
玲央は空中に作った足場に乗ったまま、ソウを見下ろして叫んでいた。
「2人とも、良い感じよ。
玲央はよく、自分の力を見極めているわね。いくつもの幻を作り上げて、自分の消せない気配をよく隠したわ。
聡太も、玲央の気配をしっかりと感知できていたみたいじゃない」
智乃はそう言いながら、玲央へと目を向けた。
「でも玲央。油断しちゃダメよ?」
「は?智乃、なにを―――」
「そういうことっ!」
智乃を見ていた玲央の背後から、『飛翔の術』で飛び上がったソウの声が聞こえ、
「にゃぁっ!」
そのまま空中で放たれた炎の砲弾を受けた玲央は、そのまま地面へと落下していった。
「くっ!」
なんとか体勢を整えて着地した玲央はそのまま膝を付き、
「悔しいけど、オイラの負けみたいだな。もう忍力も切れそうだ」
そう言葉を残して玲央は光となり、そのままその姿を消した。
「まったく。重清といい玲央といい、ここぞというときに油断するんだから」
智乃はため息をついて、消えていく玲央を見つめていた。
「それで、プレッソはいなくなっちゃったけど、チーノはどうするの?」
「私とロイは、重清とプレッソの補助に徹する予定だから」
「でも、シゲにはロイが付いているし、プレッソは今ので、今日はもうリタイアでしょ?だったら、チーノは今、手が空いてるよね?」
「えぇ。ノリが言ったルールで、私達具現獣は一度負ければリタイアのルールだから、今の私は暇になっちゃったわね」
「だったらさ、このままチーノ、ぼくの相手してくれない?」
「あら、私からはあなたに攻撃はしないわよ?」
「それでも、チーノとの手合わせは良い修行になると思うんだ」
「あら、そういうことなら、もう少しお相手させて頂こうかしら」
智乃はそう言うと、ニコリとソウへ笑いかけるのであった。
いくぞ、聡太っ!」
玲央はそう言うと、ソウの周りに心の力で作り上げた小さな足場を展開させた。
そのまま飛び上がった玲央は、足場を高速で動き回った。
小さな足音だけを空中で響かせる玲央は、
「へっへ~ん。ロイみたいに足音までは消せねぇけど、このスピードならいくら聡太でもどこにオイラがいるかはわかんねぇだろ!?いくぞ!」
そうソウへと声をかけた。
対するソウは、スッと花の巻き付いた腕を伸ばし、花の種を撃つ。
「うにゃぁっ!?」
先程まで姿を消していた玲央は、花の種を肩へと受けて声を上げながらのけ反った。
「な、なんでわかるんだよ!?」
玲央は肩を押えながらソウへと目を向けた。
「あー・・・ごめんね?確かに速くて見えなかったけど、感知でどこにいるかはバレバレで・・・」
「それを忘れてた!!」
申し訳無さそうに言うソウに、玲央は驚きの声を上げていた。
「まったく。まぁ力を消す方法まではあなたに教えていなかったけれど・・・ちょっと真っ直ぐに攻めすぎよ、玲央。
こういう方法もあるのよ?」
そう言った智乃が、玲央同様ソウの周りに足場を展開させて飛び上がった。
玲央と同じく小さな足音を残して動き回る智乃は、
「あなたと同じくらい足音は残しているわよ、玲央。
ソウのように感知の得意な相手には、こういう方法もあるのよ?」
そう玲央へと声をかけた。
それと同時にソウは、とてつもない殺気を感じ、その方向へ花の種を飛ばした。
その種が、何かにぶつかって弾けるのと同時に、その場に猫の姿のチーノが現れ、そのまま霧のように消えていった。
「ほらね。感知が得意な相手は、大きな力にすぐに騙される」
いつの間にかソウの背に負ぶさった智乃が、笑って言った。
「うわ、全然わからなかったよ」
ソウは冷や汗を流しながら智乃へと返した。
「ふふふ。聡太は、力に敏感すぎるのね。もう少し、相手の力をしっかりと見極める必要があるわ」
「べ、勉強になります」
背中から降りた智乃に、ソウが苦笑いを浮かべて返していると、
「じゃぁ、今度はオイラの番だっ!」
玲央が再び、足場を作り上げて叫んだ。
「2人とも、私が言ったことをよく思い出しなさい」
「おうっ!」
「はいっ!」
玲央は飛び上がりながら、ソウは腕を構えながらそう返事をした。
「いくぜ、聡太っ!」
「こい、プレッソ!」
2人の声が重なるのと同時に、猫の姿のプレッソがソウへと襲いかかった。
「くっ!」
ソウはそれを花の種で迎え撃ちながらも、感知を怠ることなく周りに感知の網を張り続けていた。
そのまま立て続けに、何体ものプレッソがソウへと襲いかかった。
(へぇ。気配が消せないなら、数で勝負ってわけね。
さすがは重清の具現獣。意外と考えているじゃない)
その様子を見ていた智乃が感心してその様子を見つめていると、
最後のプレッソを撃ち落としたソウが、突然後方に炎の壁を作り上げた。
「うぉっ!」
ソウの背後から迫っていた玲央は、そう声を上げてその場で足を止めた。
その直後、玲央はその場から飛び退いた。
それと同時に、先程まで玲央のいた場所に風の刃を帯びた竜巻が巻き起こった。
「あれ、外しちゃったか」
ソウは小さく呟いていた。
「何度も痛い目を見たんだ!さすがにオイラだって、力を感じるってのっ!」
玲央は空中に作った足場に乗ったまま、ソウを見下ろして叫んでいた。
「2人とも、良い感じよ。
玲央はよく、自分の力を見極めているわね。いくつもの幻を作り上げて、自分の消せない気配をよく隠したわ。
聡太も、玲央の気配をしっかりと感知できていたみたいじゃない」
智乃はそう言いながら、玲央へと目を向けた。
「でも玲央。油断しちゃダメよ?」
「は?智乃、なにを―――」
「そういうことっ!」
智乃を見ていた玲央の背後から、『飛翔の術』で飛び上がったソウの声が聞こえ、
「にゃぁっ!」
そのまま空中で放たれた炎の砲弾を受けた玲央は、そのまま地面へと落下していった。
「くっ!」
なんとか体勢を整えて着地した玲央はそのまま膝を付き、
「悔しいけど、オイラの負けみたいだな。もう忍力も切れそうだ」
そう言葉を残して玲央は光となり、そのままその姿を消した。
「まったく。重清といい玲央といい、ここぞというときに油断するんだから」
智乃はため息をついて、消えていく玲央を見つめていた。
「それで、プレッソはいなくなっちゃったけど、チーノはどうするの?」
「私とロイは、重清とプレッソの補助に徹する予定だから」
「でも、シゲにはロイが付いているし、プレッソは今ので、今日はもうリタイアでしょ?だったら、チーノは今、手が空いてるよね?」
「えぇ。ノリが言ったルールで、私達具現獣は一度負ければリタイアのルールだから、今の私は暇になっちゃったわね」
「だったらさ、このままチーノ、ぼくの相手してくれない?」
「あら、私からはあなたに攻撃はしないわよ?」
「それでも、チーノとの手合わせは良い修行になると思うんだ」
「あら、そういうことなら、もう少しお相手させて頂こうかしら」
智乃はそう言うと、ニコリとソウへ笑いかけるのであった。
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