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一息ついて
第329話:ありがとうございました
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その後、アカの献身的な介護のかいあって目を覚ましたショウと共に、一同は忍者部の部室へと戻っていた。
「いやー、本当に楽しかったねぇー」
目を覚ましたショウは、非常にご機嫌であった。
ショウはそのままの笑顔を、シン、ケン、ノブへと向けた。
「3人の連携は、やっぱり凄いねー。シゲ達から貰った術でも、勝てなかったよー。これで僕も、安心して引退できるねー」
それまでシン達の活躍を褒め称える声で溢れていた部室は、ショウの『引退』という言葉で静寂に包まれた。
その静寂を破るように、ショウが話し始めた。
「みんな、今まで本当にありがとー。
みんなと一緒だったから、僕はあのコウにも勝てる程に強くなったと思うよー。
シン、ケン、ノブ。君達の連携は、本当に凄いよー。君達のお陰で、僕は最後まで目標を持つことができたんだー。君達に勝つ、っていう目標をねー」
ショウはそう言ってシン、ケン、ノブに目を向けて笑うと、重清達に視線を移した。
「シゲ、ソウ、アカ、ツネ。この1年で、君達は本当に強くなったねー。君達の成長を見ていたお陰で、『僕も負けられない』って、自分を奮い立たせることができたよー」
笑いながらそう言うショウを見つめる一同の目からは、涙が溢れていた。
「シン、これからは君がこの2中忍者部の部長として、皆を引っ張っていってねー」
ショウは、シンを見据えて言った。
対するシンは、しばし沈黙した後、口を開いた。
「本当に、俺でいいんでしょうか」
「えー?どういうことー?」
シンの言葉に、首を傾げた。
「だって俺、多分こいつらよりも、弱いですよ?」
シンはそう言いながら、重清達1年生を見た。
「なーんだ。そんなことかー」
ショウはそう言って笑った。
「確かに、1年生は強いよー?でもそれは、あくまでも個人としてなんだよねー。彼らにはまだ、人をまとめ上げるだけの力はないんだよー。
その点、シンにはその力があると思うんだー。3人の連携の中心には、必ずシンがいるからねー。
だからこそ僕は、次の部長をシンにお願いしたいんだよー。
しっかりと1年生に、連携を叩き込んであげてねー?」
ショウがそう言うと。
ノブ「はっはっは!そうだぞシン!お前しかおらん!」
ケン「今日だけは、ゴリラに同意する」
シゲ「まぁ、おれは誰でもいいんだけどね~」
ソウ「シンさん、お願いします!」
アカ「まぁ、ショウさんみたいなカッコよさはないけど、仕方ないわよね」
ツネ「なんだったら、俺が代わりますよ?」
一同が好き勝手言い始めた。
「はぁ。お前ら言いたい放題言いやがって。わかったよ!やりゃぁいいんだろ!?やりゃぁ!」
シンはため息混じりにそう言って、立ち上がった。
「次の部長である俺の最初の号令だっ!全員起立っ!!」
シンが叫ぶと、一同はその場で立ち上がった。
「ショウさん!今まで本当にお世話になりましたっ!!
俺なんかが部長で、ショウさんみたいに皆を引っ張れる自信はないけど、俺は俺なりに、頑張ってみます!
そして来年の中忍体は、全国に行ってみせます!
だからショウさんも、応援しててください!!
本当に、ありがとうございましたっ!」
「ありがとうございました!!」
シンの号令に合わせて、一同はそう叫んでショウへと頭を下げた。
そのまま、何故か始まったショウの胴上げを終え、掛け軸から社会科研究部の部室へと戻った一同をショウは見渡した。
もう直ぐそこまで来ているショウとの別れに、一同は静かにショウの言葉を待った。
「・・・・・・」
そんななか茜だけは、深刻そうな目でショウを見つめていた。
「次は僕の弟が入学してくるはずだから、もしもこの部に入ることになったら、可愛がってあげてね」
ショウのそんな言葉に、一同は結局ざわついた。
シゲ「ショウさんの弟かぁ」
ソウ「なんか、絶対ウチに来そうだよね」
シン「ショウさんの弟とか、絶対才能あんじゃん!俺らまた、置いていかれるぞ」
ノブ「はっはっは!違いない!」
ケン「ゴリラ、うるさい。島田さんに怒られる」
ザワつく一同をよそに茜は、
「あははは。確かに~」
と、気持ちのこもっていない言葉と共に、ただ寂しそうに笑っていた。
「・・・・・・・はぁ」
恒久は、そんな茜を見てため息をついていた。
ほとんどいつものように騒がしい忍者部の面々を、ショウは笑みを浮かべて見つめていた。
「あれ、そういえば・・・・」
そう言葉を漏らしたのは、重清だった。
「にん・・・じゃなくて社会科研究部って、卒業しても、えっと、練習?に来るものなんじゃなかったっけ?
今日でショウさんとお別れじゃ、なくない?」
「いや今かよ!最後の最後までお前は脱線するな!ここは、最後の別れの場面だろ!」
我らのつっこみ番長が、重清へとつっこんだ。
そんないつもの様子に、ショウは笑みを浮かべて答えた。
「僕は4月から忍ヶ丘高校に通うんだけどー、そこの社会科研究部の顧問の先生から、卒業したらすぐにそっちに来て良いって誘われてるんだよー。だから正真正銘、今日がお別れだよー」
ショウそう言うと、一同に笑いかけた。
「じゃー、いつまでも居るわけにはいかないから、僕はそろそろ帰るねー。みんなー、元気でねー」
ショウはそう告げて、社会科研究部の部室を去っていくのであった。
「いやー、本当に楽しかったねぇー」
目を覚ましたショウは、非常にご機嫌であった。
ショウはそのままの笑顔を、シン、ケン、ノブへと向けた。
「3人の連携は、やっぱり凄いねー。シゲ達から貰った術でも、勝てなかったよー。これで僕も、安心して引退できるねー」
それまでシン達の活躍を褒め称える声で溢れていた部室は、ショウの『引退』という言葉で静寂に包まれた。
その静寂を破るように、ショウが話し始めた。
「みんな、今まで本当にありがとー。
みんなと一緒だったから、僕はあのコウにも勝てる程に強くなったと思うよー。
シン、ケン、ノブ。君達の連携は、本当に凄いよー。君達のお陰で、僕は最後まで目標を持つことができたんだー。君達に勝つ、っていう目標をねー」
ショウはそう言ってシン、ケン、ノブに目を向けて笑うと、重清達に視線を移した。
「シゲ、ソウ、アカ、ツネ。この1年で、君達は本当に強くなったねー。君達の成長を見ていたお陰で、『僕も負けられない』って、自分を奮い立たせることができたよー」
笑いながらそう言うショウを見つめる一同の目からは、涙が溢れていた。
「シン、これからは君がこの2中忍者部の部長として、皆を引っ張っていってねー」
ショウは、シンを見据えて言った。
対するシンは、しばし沈黙した後、口を開いた。
「本当に、俺でいいんでしょうか」
「えー?どういうことー?」
シンの言葉に、首を傾げた。
「だって俺、多分こいつらよりも、弱いですよ?」
シンはそう言いながら、重清達1年生を見た。
「なーんだ。そんなことかー」
ショウはそう言って笑った。
「確かに、1年生は強いよー?でもそれは、あくまでも個人としてなんだよねー。彼らにはまだ、人をまとめ上げるだけの力はないんだよー。
その点、シンにはその力があると思うんだー。3人の連携の中心には、必ずシンがいるからねー。
だからこそ僕は、次の部長をシンにお願いしたいんだよー。
しっかりと1年生に、連携を叩き込んであげてねー?」
ショウがそう言うと。
ノブ「はっはっは!そうだぞシン!お前しかおらん!」
ケン「今日だけは、ゴリラに同意する」
シゲ「まぁ、おれは誰でもいいんだけどね~」
ソウ「シンさん、お願いします!」
アカ「まぁ、ショウさんみたいなカッコよさはないけど、仕方ないわよね」
ツネ「なんだったら、俺が代わりますよ?」
一同が好き勝手言い始めた。
「はぁ。お前ら言いたい放題言いやがって。わかったよ!やりゃぁいいんだろ!?やりゃぁ!」
シンはため息混じりにそう言って、立ち上がった。
「次の部長である俺の最初の号令だっ!全員起立っ!!」
シンが叫ぶと、一同はその場で立ち上がった。
「ショウさん!今まで本当にお世話になりましたっ!!
俺なんかが部長で、ショウさんみたいに皆を引っ張れる自信はないけど、俺は俺なりに、頑張ってみます!
そして来年の中忍体は、全国に行ってみせます!
だからショウさんも、応援しててください!!
本当に、ありがとうございましたっ!」
「ありがとうございました!!」
シンの号令に合わせて、一同はそう叫んでショウへと頭を下げた。
そのまま、何故か始まったショウの胴上げを終え、掛け軸から社会科研究部の部室へと戻った一同をショウは見渡した。
もう直ぐそこまで来ているショウとの別れに、一同は静かにショウの言葉を待った。
「・・・・・・」
そんななか茜だけは、深刻そうな目でショウを見つめていた。
「次は僕の弟が入学してくるはずだから、もしもこの部に入ることになったら、可愛がってあげてね」
ショウのそんな言葉に、一同は結局ざわついた。
シゲ「ショウさんの弟かぁ」
ソウ「なんか、絶対ウチに来そうだよね」
シン「ショウさんの弟とか、絶対才能あんじゃん!俺らまた、置いていかれるぞ」
ノブ「はっはっは!違いない!」
ケン「ゴリラ、うるさい。島田さんに怒られる」
ザワつく一同をよそに茜は、
「あははは。確かに~」
と、気持ちのこもっていない言葉と共に、ただ寂しそうに笑っていた。
「・・・・・・・はぁ」
恒久は、そんな茜を見てため息をついていた。
ほとんどいつものように騒がしい忍者部の面々を、ショウは笑みを浮かべて見つめていた。
「あれ、そういえば・・・・」
そう言葉を漏らしたのは、重清だった。
「にん・・・じゃなくて社会科研究部って、卒業しても、えっと、練習?に来るものなんじゃなかったっけ?
今日でショウさんとお別れじゃ、なくない?」
「いや今かよ!最後の最後までお前は脱線するな!ここは、最後の別れの場面だろ!」
我らのつっこみ番長が、重清へとつっこんだ。
そんないつもの様子に、ショウは笑みを浮かべて答えた。
「僕は4月から忍ヶ丘高校に通うんだけどー、そこの社会科研究部の顧問の先生から、卒業したらすぐにそっちに来て良いって誘われてるんだよー。だから正真正銘、今日がお別れだよー」
ショウそう言うと、一同に笑いかけた。
「じゃー、いつまでも居るわけにはいかないから、僕はそろそろ帰るねー。みんなー、元気でねー」
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