おれは忍者の子孫

メバ

文字の大きさ
上 下
364 / 519
一息ついて

第326話:2年生 対 甲賀ショウ(猫) その2

しおりを挟む
「うぉーーーっ!!」

鉄の鎧に身を包んだノブは声を上げながら、ショウに向かって走り出した。

氷拳ひょうけんの術)

武具のナックルに氷を纏わせたノブは、そのままショウに殴りかかった。

しかしその瞬間、ショウの姿がその場から消え、ノブの背後に現れた。

「ぐっ!」

ノブはそのままショウの拳を背に受け、声を漏らしながらもその場で耐えた。

「おぉー、流石ノブー。今の耐えるんだねー」
ショウは笑ってそう言うと、そのままノブに何度も拳を繰り出した。

「グォーーーーっ!」

ノブは叫びながらもショウの拳を捌き、ショウに拳を返していた。


「ケン、いくぞ!」
ノブとショウが攻防を繰り返しているなか、シンがそう言って武具のクナイを何本も具現化させ、ショウ達に向かって投げつけた。

ケンはその全てのクナイを技の力で操りながら、ノブと打ち合うショウの周りへと展開させた。

(分身の術!)

ショウの周りを取り囲むクナイを介し、シンが術を発動した。

するとクナイは、シンやケン、ノブの姿へと変わり、ショウとノブの周りに留まっていた。

何故かいくつかは、シンの顔にノブのガタイ、ケンの低い身長の混ざった歪な分身もあったのだが・・・

その様子を目にしたショウは、攻防を繰り広げていたノブから離れ、身構えた。

「・・・行け」

ケンはそう呟きながら、シンのクナイを介した分身達をショウへと向かって放った。

シン達の分身は、真っ直ぐにショウに向かって走り出した。

ように見えるが、実際はクナイの動きに合わせ、シンが分身を走るように映し出しているだけなのだが。

「・・・・いつもより、多いねぇー」

ショウはそう呟きながら、実体化された分身の拳や蹴りをガードしつつ、分身達を次々に肉球溢れる拳で殴り飛ばしていった。

殴り飛ばされた分身達は、

「ボンッ」
と音を立てて霧散し、残されたクナイだけが地へと転がった。

しかし転がった直後、クナイからは新たな分身が現れ、再びショウに向かって走り始める。

無数に襲いかかる分身達を殴り飛ばしていたショウの額から汗が溢れ始めた頃、ショウは突然その場から飛び上がった。

その直後、ショウが先程までいた場所に上空から飛んできた刀が突き刺さった。

その瞬間刀が突き刺さった地から細長い蔓が現れ、飛び上がったショウの足へと巻き付いた。

「うぉーーーっ!!」

それと同時に、ノブが叫びながらショウに向かって金属に包まれた拳を突き出しながら飛び上がってきた。

「くっ!」

ショウは声を漏らしながらも杖を具現化させ、その先をノブへと向けた。

(水砲の術)

杖から放たれた水の砲弾は、金属の拳を携えたノブへと直撃した。

しかしそんなノブの姿は、霞のようにそのまま霧散していった。

シン術、蜃気楼の術である。

その瞬間ショウの背後から現れたノブの拳が、ショウへと直撃した。

「うわっ!」

ノブの拳を受けたショウは、そのまま吹き飛んでいった。


ショウと2年生の攻防を見学していた重清達は、それまで閉じていることしかできなかった重い口を開いた。

「す、すげぇ。ノブさんの体の力、半端ないな。今のショウさんと互角にやり合ってた」
重清が呟くように言うと、

「ケンさんだってすげぇって。あれだけのシンさんのクナイを自在に操りながら、自分の武具で攻撃して、更に『木縛もくばくの術』まで使ってんだそ」
恒久がそう、言い返した。

「シンさんだって凄いわ。前はクナイ投げるくらいしかできなかった分身の実体化を、攻撃にまで使ってるし、蜃気楼の術のタイミングも完璧だったわ」
アカも、重清達の言葉に頷きながら言った。

「っていうか、シンさん達の連携が、凄すぎだよ。ぼくらは、ただ自分達ができるだけ攻撃を思い思いにぶつけることしか出来なかったけど、シンさん達は違う。
それぞれがしっかりと相手の事を理解した上で、連携してる」
ソウがそう言うと、重清達もそれぞれに頷き返した。

「みんな、ぼくら4人で、シンさん達に勝てると思う?」
ソウが続けてそう言うと、

「「「いや、無理」」」

重清達は声を揃えてそれを否定した。

「だよね・・・・ぼくらももっと、連携の練習、しないといけないね」

「「「・・・・・・」」」

ソウの言葉に、重清達はただ、無言を返すだけであった。

(おい、チーノもロイも、何も言ってやらねぇのかよ)
同じくショウ達の戦いを観戦していたプレッソが、チーノとロイだけに語りかけた。

(いいのよ。今重清達は、自分達でどうすべきか考えているんだから)
(そうじゃな。儂らは重清達が行き詰まった時にだけ、アドバイスしてやればよい。まぁプレッソだけは、重清たちと共に考えてやって良いと思うがのぉ)

(ちぇっ。やっぱりオイラはあいつら側かよ)
不貞腐れるプレッソに、チーノとロイはただ笑みを返すのであった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...