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一息ついて
第326話:2年生 対 甲賀ショウ(猫) その2
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「うぉーーーっ!!」
鉄の鎧に身を包んだノブは声を上げながら、ショウに向かって走り出した。
(氷拳の術)
武具のナックルに氷を纏わせたノブは、そのままショウに殴りかかった。
しかしその瞬間、ショウの姿がその場から消え、ノブの背後に現れた。
「ぐっ!」
ノブはそのままショウの拳を背に受け、声を漏らしながらもその場で耐えた。
「おぉー、流石ノブー。今の耐えるんだねー」
ショウは笑ってそう言うと、そのままノブに何度も拳を繰り出した。
「グォーーーーっ!」
ノブは叫びながらもショウの拳を捌き、ショウに拳を返していた。
「ケン、いくぞ!」
ノブとショウが攻防を繰り返しているなか、シンがそう言って武具のクナイを何本も具現化させ、ショウ達に向かって投げつけた。
ケンはその全てのクナイを技の力で操りながら、ノブと打ち合うショウの周りへと展開させた。
(分身の術!)
ショウの周りを取り囲むクナイを介し、シンが術を発動した。
するとクナイは、シンやケン、ノブの姿へと変わり、ショウとノブの周りに留まっていた。
何故かいくつかは、シンの顔にノブのガタイ、ケンの低い身長の混ざった歪な分身もあったのだが・・・
その様子を目にしたショウは、攻防を繰り広げていたノブから離れ、身構えた。
「・・・行け」
ケンはそう呟きながら、シンのクナイを介した分身達をショウへと向かって放った。
シン達の分身は、真っ直ぐにショウに向かって走り出した。
ように見えるが、実際はクナイの動きに合わせ、シンが分身を走るように映し出しているだけなのだが。
「・・・・いつもより、多いねぇー」
ショウはそう呟きながら、実体化された分身の拳や蹴りをガードしつつ、分身達を次々に肉球溢れる拳で殴り飛ばしていった。
殴り飛ばされた分身達は、
「ボンッ」
と音を立てて霧散し、残されたクナイだけが地へと転がった。
しかし転がった直後、クナイからは新たな分身が現れ、再びショウに向かって走り始める。
無数に襲いかかる分身達を殴り飛ばしていたショウの額から汗が溢れ始めた頃、ショウは突然その場から飛び上がった。
その直後、ショウが先程までいた場所に上空から飛んできた刀が突き刺さった。
その瞬間刀が突き刺さった地から細長い蔓が現れ、飛び上がったショウの足へと巻き付いた。
「うぉーーーっ!!」
それと同時に、ノブが叫びながらショウに向かって金属に包まれた拳を突き出しながら飛び上がってきた。
「くっ!」
ショウは声を漏らしながらも杖を具現化させ、その先をノブへと向けた。
(水砲の術)
杖から放たれた水の砲弾は、金属の拳を携えたノブへと直撃した。
しかしそんなノブの姿は、霞のようにそのまま霧散していった。
シン術、蜃気楼の術である。
その瞬間ショウの背後から現れたノブの拳が、ショウへと直撃した。
「うわっ!」
ノブの拳を受けたショウは、そのまま吹き飛んでいった。
ショウと2年生の攻防を見学していた重清達は、それまで閉じていることしかできなかった重い口を開いた。
「す、すげぇ。ノブさんの体の力、半端ないな。今のショウさんと互角にやり合ってた」
重清が呟くように言うと、
「ケンさんだってすげぇって。あれだけのシンさんのクナイを自在に操りながら、自分の武具で攻撃して、更に『木縛の術』まで使ってんだそ」
恒久がそう、言い返した。
「シンさんだって凄いわ。前はクナイ投げるくらいしかできなかった分身の実体化を、攻撃にまで使ってるし、蜃気楼の術のタイミングも完璧だったわ」
アカも、重清達の言葉に頷きながら言った。
「っていうか、シンさん達の連携が、凄すぎだよ。ぼくらは、ただ自分達ができるだけ攻撃を思い思いにぶつけることしか出来なかったけど、シンさん達は違う。
それぞれがしっかりと相手の事を理解した上で、連携してる」
ソウがそう言うと、重清達もそれぞれに頷き返した。
「みんな、ぼくら4人で、シンさん達に勝てると思う?」
ソウが続けてそう言うと、
「「「いや、無理」」」
重清達は声を揃えてそれを否定した。
「だよね・・・・ぼくらももっと、連携の練習、しないといけないね」
「「「・・・・・・」」」
ソウの言葉に、重清達はただ、無言を返すだけであった。
(おい、チーノもロイも、何も言ってやらねぇのかよ)
同じくショウ達の戦いを観戦していたプレッソが、チーノとロイだけに語りかけた。
(いいのよ。今重清達は、自分達でどうすべきか考えているんだから)
(そうじゃな。儂らは重清達が行き詰まった時にだけ、アドバイスしてやればよい。まぁプレッソだけは、重清たちと共に考えてやって良いと思うがのぉ)
(ちぇっ。やっぱりオイラはあいつら側かよ)
不貞腐れるプレッソに、チーノとロイはただ笑みを返すのであった。
鉄の鎧に身を包んだノブは声を上げながら、ショウに向かって走り出した。
(氷拳の術)
武具のナックルに氷を纏わせたノブは、そのままショウに殴りかかった。
しかしその瞬間、ショウの姿がその場から消え、ノブの背後に現れた。
「ぐっ!」
ノブはそのままショウの拳を背に受け、声を漏らしながらもその場で耐えた。
「おぉー、流石ノブー。今の耐えるんだねー」
ショウは笑ってそう言うと、そのままノブに何度も拳を繰り出した。
「グォーーーーっ!」
ノブは叫びながらもショウの拳を捌き、ショウに拳を返していた。
「ケン、いくぞ!」
ノブとショウが攻防を繰り返しているなか、シンがそう言って武具のクナイを何本も具現化させ、ショウ達に向かって投げつけた。
ケンはその全てのクナイを技の力で操りながら、ノブと打ち合うショウの周りへと展開させた。
(分身の術!)
ショウの周りを取り囲むクナイを介し、シンが術を発動した。
するとクナイは、シンやケン、ノブの姿へと変わり、ショウとノブの周りに留まっていた。
何故かいくつかは、シンの顔にノブのガタイ、ケンの低い身長の混ざった歪な分身もあったのだが・・・
その様子を目にしたショウは、攻防を繰り広げていたノブから離れ、身構えた。
「・・・行け」
ケンはそう呟きながら、シンのクナイを介した分身達をショウへと向かって放った。
シン達の分身は、真っ直ぐにショウに向かって走り出した。
ように見えるが、実際はクナイの動きに合わせ、シンが分身を走るように映し出しているだけなのだが。
「・・・・いつもより、多いねぇー」
ショウはそう呟きながら、実体化された分身の拳や蹴りをガードしつつ、分身達を次々に肉球溢れる拳で殴り飛ばしていった。
殴り飛ばされた分身達は、
「ボンッ」
と音を立てて霧散し、残されたクナイだけが地へと転がった。
しかし転がった直後、クナイからは新たな分身が現れ、再びショウに向かって走り始める。
無数に襲いかかる分身達を殴り飛ばしていたショウの額から汗が溢れ始めた頃、ショウは突然その場から飛び上がった。
その直後、ショウが先程までいた場所に上空から飛んできた刀が突き刺さった。
その瞬間刀が突き刺さった地から細長い蔓が現れ、飛び上がったショウの足へと巻き付いた。
「うぉーーーっ!!」
それと同時に、ノブが叫びながらショウに向かって金属に包まれた拳を突き出しながら飛び上がってきた。
「くっ!」
ショウは声を漏らしながらも杖を具現化させ、その先をノブへと向けた。
(水砲の術)
杖から放たれた水の砲弾は、金属の拳を携えたノブへと直撃した。
しかしそんなノブの姿は、霞のようにそのまま霧散していった。
シン術、蜃気楼の術である。
その瞬間ショウの背後から現れたノブの拳が、ショウへと直撃した。
「うわっ!」
ノブの拳を受けたショウは、そのまま吹き飛んでいった。
ショウと2年生の攻防を見学していた重清達は、それまで閉じていることしかできなかった重い口を開いた。
「す、すげぇ。ノブさんの体の力、半端ないな。今のショウさんと互角にやり合ってた」
重清が呟くように言うと、
「ケンさんだってすげぇって。あれだけのシンさんのクナイを自在に操りながら、自分の武具で攻撃して、更に『木縛の術』まで使ってんだそ」
恒久がそう、言い返した。
「シンさんだって凄いわ。前はクナイ投げるくらいしかできなかった分身の実体化を、攻撃にまで使ってるし、蜃気楼の術のタイミングも完璧だったわ」
アカも、重清達の言葉に頷きながら言った。
「っていうか、シンさん達の連携が、凄すぎだよ。ぼくらは、ただ自分達ができるだけ攻撃を思い思いにぶつけることしか出来なかったけど、シンさん達は違う。
それぞれがしっかりと相手の事を理解した上で、連携してる」
ソウがそう言うと、重清達もそれぞれに頷き返した。
「みんな、ぼくら4人で、シンさん達に勝てると思う?」
ソウが続けてそう言うと、
「「「いや、無理」」」
重清達は声を揃えてそれを否定した。
「だよね・・・・ぼくらももっと、連携の練習、しないといけないね」
「「「・・・・・・」」」
ソウの言葉に、重清達はただ、無言を返すだけであった。
(おい、チーノもロイも、何も言ってやらねぇのかよ)
同じくショウ達の戦いを観戦していたプレッソが、チーノとロイだけに語りかけた。
(いいのよ。今重清達は、自分達でどうすべきか考えているんだから)
(そうじゃな。儂らは重清達が行き詰まった時にだけ、アドバイスしてやればよい。まぁプレッソだけは、重清たちと共に考えてやって良いと思うがのぉ)
(ちぇっ。やっぱりオイラはあいつら側かよ)
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