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一息ついて
第313話:ショウの卒業式
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重清と聡太、そして恒久が『獣装の術』と契約して2週間が経った。
ついにその日がやってきた。
そう。卒業式である。
つつがなく式を終えた重清達忍者部一同は放課後、いつもの社会科研究部の部室へと集まっていた。
「あれ?ショウさんはまだ来てないんだ」
部室へと入った重清が部室を見渡して言った。
「ショウさんは今日で卒業だからな。同級生とのお別れとか、忙しいんだろ?」
シンがそう言いながら、大きな包みを抱いていた。
「シンさん。それもしかして、ショウさんへの?」
聡太がそう言うと、
「あぁ。俺とケン、そしてノブからのな」
シンがそう言うと、
「はっはっは!これならばショウさんも喜んでくれるはずだ!」
ノブは豪快に笑いながらそう言い、
「・・・・・・・・だな」
どこか寂しげなケンはただ、そう答えていた。
「そう言うお前らはどうしたんだ?何も持っていないみたいだけど」
シンは怪訝な表情を浮かべて、聡太と重清、恒久の手元を見つめていた。
「なはは。ちゃんと準備はしてますって。ほんとギリギリだったけど」
重清が笑ってシンに答えると、
「いや、マジで危なかったよな。ソウがいなかったら、絶対間に合わなかったわ」
「いや~、2人も頑張ってたよ?」
恒久と聡太も、安堵の表情を浮かべながら褒め合っていた。
そんな中、茜は1人、ただじっと考え込んでいた。
恒久は、ちらりとそんな茜を見て、軽く舌打ちをして重清達との会話に戻っていた。
ちなみに本日、麻耶は欠席なのである。
同じく1中での卒業式を迎えている麻耶もこの場へ呼ばれてはいたが、
「せっかくの大事な日なんだから、2中の皆で楽しんで!」
そう言ってこの日の出席を断っていたのだ。
ケンが少しだけ残念そうな表情を浮かべているのはそのせいなのである。
とはいえ、肝心の主役がまだ来ていない社会科研究部の部室で一同は、先に忍者部の部室へ行くわけにもいかずしばし主役の登場を待ちながら雑談にふけっていた。
そうこうしていると。
「ごめーん。遅くなったねぇー」
そんないつもののんびりとした口調とともに、部室の扉が開け放たれた。
「「「「「「「えっ????」」」」」」」
扉から入ってくるショウの姿に、一同は声を漏らしていた。
「ショ、ショウさん、その格好は・・・」
シンが全員を代表して、ショウへと声をかけた。
そのショウの姿とは。
いつも着ている制服は、ノースリーブ&短パンという物凄くワイルドな物へと変貌しており、制服の前のボタンは全て剥ぎ取られ、開け放たれた制服の前からはショウの素肌が惜しげもなく晒されていた。
「ぶふぉっ!!」
その姿を見た茜は、吹き出して悶絶していた。
もちろん、面白さからではなく、そのなんとも言えぬショウの色気に。
しかし男子共は違った。
肩を震わせ、笑いを必死に堪えていた。
しかし彼らは直後、その震えを怒りの物へと変えることになる。
「いやー、なんか女子の皆が、僕の制服のボタン欲しがっちゃってねー。ボタンがなくなったら、今度はハサミ取り出して制服切っていくんだよー?
しかもいつの間にか、中のシャツまで持っていかれちゃったよー。特別な布出もないのに、皆変だよねー」
((((((あー、はいはい。そういう事ですかっ!って、どんだけモテればそんな事になるんだよっ!!))))))
男子一同は、ショウの常識を超えたモテ具合に、どこに向ければ良いのか分からないほどの怒りに震え始めた。
そんな中、茜は1人、
(あっ、制服貰うって手があったわ!)
そう感心し、出遅れたことを後悔していた。
「とりあえず僕は、ジャージに着替えるよー。いやー、長宗我部さんのアドバイス、昨日は不思議に思ってたけど、ちゃんとジャージ持って来て助かったよー」
ショウはそう言いながら、突然その場で着替え始めた。
ちなみにショウの言う長宗我部さんとは、生徒会長である長宗我部のことである。
この生徒会長、ショウがこうなることを予測してジャージを持ってくるよう進言していたわけだが、かく言う長宗我部さん自身は、ショウのシャツを丸々、本人すらも気付かない内に剥ぎ取っていたりする。
流石は長宗我部氏の姉なのである。
「「「ちょっ!!」」」
ショウが着替え始めた瞬間、重清と聡太が、恒久に引っ張られながら動いた。
茜の目の前へと。
「ちょ、あんた達!見えない!何で邪魔するのよっ!」
「そりゃするだろうが!人の覗きは糾弾しといて、1人だけ覗きを楽しもうなんて、許せるかっ!」
恒久が茜の視界を塞ぎながら言った。
「違う!これは覗きじゃないわ!ショウさんが目の前で着替えてくれるのに、それを見逃すなんて一生悔いが・・・だから、お願いっ!!」
「させるかぁっ!!」
((ツネ、覗き怒られたことまだ気にしてたんだ))
必死に茜の視界を塞ぐ恒久に、重清と聡太は茜の腕を抑えながらも、そんなことを考えていた。
それと同時に思っていた。
((いや茜、力強っ!))
と。
かくして、ショウのお別れ会は、何時ものようにしちゃかちゃになりながら始まったのであった。
ついにその日がやってきた。
そう。卒業式である。
つつがなく式を終えた重清達忍者部一同は放課後、いつもの社会科研究部の部室へと集まっていた。
「あれ?ショウさんはまだ来てないんだ」
部室へと入った重清が部室を見渡して言った。
「ショウさんは今日で卒業だからな。同級生とのお別れとか、忙しいんだろ?」
シンがそう言いながら、大きな包みを抱いていた。
「シンさん。それもしかして、ショウさんへの?」
聡太がそう言うと、
「あぁ。俺とケン、そしてノブからのな」
シンがそう言うと、
「はっはっは!これならばショウさんも喜んでくれるはずだ!」
ノブは豪快に笑いながらそう言い、
「・・・・・・・・だな」
どこか寂しげなケンはただ、そう答えていた。
「そう言うお前らはどうしたんだ?何も持っていないみたいだけど」
シンは怪訝な表情を浮かべて、聡太と重清、恒久の手元を見つめていた。
「なはは。ちゃんと準備はしてますって。ほんとギリギリだったけど」
重清が笑ってシンに答えると、
「いや、マジで危なかったよな。ソウがいなかったら、絶対間に合わなかったわ」
「いや~、2人も頑張ってたよ?」
恒久と聡太も、安堵の表情を浮かべながら褒め合っていた。
そんな中、茜は1人、ただじっと考え込んでいた。
恒久は、ちらりとそんな茜を見て、軽く舌打ちをして重清達との会話に戻っていた。
ちなみに本日、麻耶は欠席なのである。
同じく1中での卒業式を迎えている麻耶もこの場へ呼ばれてはいたが、
「せっかくの大事な日なんだから、2中の皆で楽しんで!」
そう言ってこの日の出席を断っていたのだ。
ケンが少しだけ残念そうな表情を浮かべているのはそのせいなのである。
とはいえ、肝心の主役がまだ来ていない社会科研究部の部室で一同は、先に忍者部の部室へ行くわけにもいかずしばし主役の登場を待ちながら雑談にふけっていた。
そうこうしていると。
「ごめーん。遅くなったねぇー」
そんないつもののんびりとした口調とともに、部室の扉が開け放たれた。
「「「「「「「えっ????」」」」」」」
扉から入ってくるショウの姿に、一同は声を漏らしていた。
「ショ、ショウさん、その格好は・・・」
シンが全員を代表して、ショウへと声をかけた。
そのショウの姿とは。
いつも着ている制服は、ノースリーブ&短パンという物凄くワイルドな物へと変貌しており、制服の前のボタンは全て剥ぎ取られ、開け放たれた制服の前からはショウの素肌が惜しげもなく晒されていた。
「ぶふぉっ!!」
その姿を見た茜は、吹き出して悶絶していた。
もちろん、面白さからではなく、そのなんとも言えぬショウの色気に。
しかし男子共は違った。
肩を震わせ、笑いを必死に堪えていた。
しかし彼らは直後、その震えを怒りの物へと変えることになる。
「いやー、なんか女子の皆が、僕の制服のボタン欲しがっちゃってねー。ボタンがなくなったら、今度はハサミ取り出して制服切っていくんだよー?
しかもいつの間にか、中のシャツまで持っていかれちゃったよー。特別な布出もないのに、皆変だよねー」
((((((あー、はいはい。そういう事ですかっ!って、どんだけモテればそんな事になるんだよっ!!))))))
男子一同は、ショウの常識を超えたモテ具合に、どこに向ければ良いのか分からないほどの怒りに震え始めた。
そんな中、茜は1人、
(あっ、制服貰うって手があったわ!)
そう感心し、出遅れたことを後悔していた。
「とりあえず僕は、ジャージに着替えるよー。いやー、長宗我部さんのアドバイス、昨日は不思議に思ってたけど、ちゃんとジャージ持って来て助かったよー」
ショウはそう言いながら、突然その場で着替え始めた。
ちなみにショウの言う長宗我部さんとは、生徒会長である長宗我部のことである。
この生徒会長、ショウがこうなることを予測してジャージを持ってくるよう進言していたわけだが、かく言う長宗我部さん自身は、ショウのシャツを丸々、本人すらも気付かない内に剥ぎ取っていたりする。
流石は長宗我部氏の姉なのである。
「「「ちょっ!!」」」
ショウが着替え始めた瞬間、重清と聡太が、恒久に引っ張られながら動いた。
茜の目の前へと。
「ちょ、あんた達!見えない!何で邪魔するのよっ!」
「そりゃするだろうが!人の覗きは糾弾しといて、1人だけ覗きを楽しもうなんて、許せるかっ!」
恒久が茜の視界を塞ぎながら言った。
「違う!これは覗きじゃないわ!ショウさんが目の前で着替えてくれるのに、それを見逃すなんて一生悔いが・・・だから、お願いっ!!」
「させるかぁっ!!」
((ツネ、覗き怒られたことまだ気にしてたんだ))
必死に茜の視界を塞ぐ恒久に、重清と聡太は茜の腕を抑えながらも、そんなことを考えていた。
それと同時に思っていた。
((いや茜、力強っ!))
と。
かくして、ショウのお別れ会は、何時ものようにしちゃかちゃになりながら始まったのであった。
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