おれは忍者の子孫

メバ

文字の大きさ
上 下
347 / 519
一息ついて

第309話:変な人からの伝言

しおりを挟む
「こ、このくらいか?」
「あ、ツネ。ちょっと忍力弱いかも」

「むぐぐぐぐ。ど、どうだ!?」
「シゲ、体の力強すぎ」

獣装じゅうそうの術』と契約すべく力を出す重清と恒久を見ていた聡太が、2人にそう注意していた。

「っていうかソウ、おれらの力の配分、分かるの?」
一旦休憩を取ることにした重清が、自身のベッドにドカリと座り込みながら聡太へと目を向けた。

「え?シゲはわかんないの?」
聡太は不思議そうに重清へと顔を向けた。

「えぇっと・・・ツネ、分かる?」
重清は聡太に答えず、恒久へと目を向けた。

すると恒久も、その場に座り込んで、

「いや、さっぱりわからねぇ」

そう言い切った。

「おぉ、良かった」
仲間が増えたことに安心した重清は、

「おれも全然わかんない」
と、聡太に言い返した。

「2人とも、安心しなさい」
そんな重清と恒久に、智乃が声をかけてきた。

「他者の力の配分なんて、そうそう分かるものではないわ。私だけじゃなく、平八ですらもそうなるには時間がかかったわ。聡太が異常なのよ」
「いや異常って」
智乃の言葉に、聡太が不満そうな顔を向けた。

「ほっほっほ。智乃の言い方はアレじゃが、その年で他の者の力の配分までわかる者など、そうそうおらんのは確かじゃよ」
定位置プレッソの頭の上から、ロイがそう、フォローを入れた。

「ちなみに、2人は分かるの?智乃は、分かるって言ってたけど」
重清が、プレッソとロイに目を向けた。

「ほっほっほ。伊達に長いこと生きとらんわ」
ロイがそう言って重清の言葉を肯定すると、プレッソは不貞腐れ気味に口を開いた。

「オイラはまだわかんねぇなぁ。どっかのジジババと違って、生まれて1年も経ってねーし」
「「ジジババ言うなっ!!」」
プレッソの言葉に、ジジババ達は声を上げていた。

「いや~、そのやり取りも、だいぶ板についてきたね~」
重清は、そんな具現獣達を笑って見つめていた。

「それよりも聡太」
そんな中、智乃が聡太へと目を向ける。

「あなたの力の配分、おそらく問題なかったわよ」
「あ、本当?自分の力の配分には自信なかったけど・・・でも、やっぱりこのままじゃ、術の契約は出来ないみたいだね」
智乃の言葉に、聡太はそう言って懐の卵へそっと手をやった。

「ってことは、やっぱ俺が頑張るしかないか」
重清は、そう言って立ち上がった。

「まぁ、ソウが力の配分掴んだんだし、無理に契約しなくてもいいんじゃないか?」
恒久は、そう言って重清に目を向ける。

「いや、ここまで来たら契約したい!」
そう言って立ち上がる重清を見て、

「へいへい。じゃぁ俺も、もう少し付き合ってやるよ。ソウ、アドバイス頼むな」
そう言って立ち上がり、重清と恒久は再び『獣装の術』と契約すべく力を出していった。


そして1時間後。

「ピロリン♪」
「っしゃぁーーっ!!」
頭の中で着信音が鳴り響いた重清が、叫び声を上げた。

「おっ。やっとか」
先に終わっていた恒久が、そう言って重清に目を向けた。

「あれ?何も起きない」
叫んだ重清は、プレッソ達を見つめながら呟いた。

「重清。術の契約書を見てみなさい」
智乃の言葉を聞いた重清は、手元に術の契約書を具現化させて、手元に洗われた1枚の紙に目を落とした。

「あ。今から協会に来いって書いてある」
そう言って重清は、聡太と恒久に目を向ける。

「あ、そんなパターンもあるんだね」
1度、契約にこぎつけたのと同時に別空間へ強制移動させられた経験のある聡太がそう言っていると、

「むしろ、このパターンの方が多いみたいよ。オウが、手を抜いているだけよ」
智乃が聡太へそう返していた。

『飛翔の術』の現管理者であり聡太の師、甲賀オウをディスりながら。

「まぁ協会だったら、忍者なら簡単に行けるからな」
恒久は、最近身につけた知識を当たり前のように呟いていた。

「あぁ~、ちなみに、2人も来いってさ。なんか、変な人かも」
「「どうゆこと!?」」

重清の言葉を聞いた聡太と恒久は、身を乗り出して重清の術の契約書を覗き込んだ。

『今すぐ協会まで来るにゃ☆近くにいる2人も一緒だにゃ☆』

「「・・・・・変な人、だね(な)」」

聡太と恒久は、術の契約書に書かれている1文に、そう呟いていた。

「で、行く?」
重清が2人を覗き込むと、

「「もち!」」
2人はそう言って頷いた。

「よし!じゃぁ、協会に向けて出発だ!!」

重清はそう言いながら部屋の出口に走り出し、足を止めて振り向いた。

「で、協会ってどこにあるの?」

「いや知らねぇのかよっ!!『中央公園』から行けるよっ!!」

恒久のつっこみが、重清の部屋に響くのであった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

伯爵夫人のお気に入り

つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。 数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。 喜ぶ伯爵夫人。 伯爵夫人を慕う少女。 静観する伯爵。 三者三様の想いが交差する。 歪な家族の形。 「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」 「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」 「家族?いいえ、貴方は他所の子です」 ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。 「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。

EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~

青空顎門
SF
病で余命宣告を受けた主人公。彼は介護用に購入した最愛のガイノイド(女性型アンドロイド)の腕の中で息絶えた……はずだったが、気づくと彼女と共に見知らぬ場所にいた。そこは遥か未来――時空間転移技術が暴走して崩壊した後の時代、宇宙の遥か彼方の辺境惑星だった。男はファンタジーの如く高度な技術の名残が散見される世界で、今度こそ彼女と添い遂げるために未来の超文明の遺跡を巡っていく。 ※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。

アリシアの恋は終わったのです【完結】

ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。 その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。 そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。 反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。 案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。 ーーーーー 12話で完結します。 よろしくお願いします(´∀`)

オタクな母娘が異世界転生しちゃいました

yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。 二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか! ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?

パーティーを追放された落ちこぼれ死霊術士だけど、五百年前に死んだ最強の女勇者(18)に憑依されて最強になった件

九葉ユーキ
ファンタジー
クラウス・アイゼンシュタイン、二十五歳、C級冒険者。滅んだとされる死霊術士の末裔だ。 勇者パーティーに「荷物持ち」として雇われていた彼は、突然パーティーを追放されてしまう。 S級モンスターがうろつく危険な場所に取り残され、途方に暮れるクラウス。 そんな彼に救いの手を差しのべたのは、五百年前の勇者親子の霊魂だった。 五百年前に不慮の死を遂げたという勇者親子の霊は、その地で自分たちの意志を継いでくれる死霊術士を待ち続けていたのだった。 魔王討伐を手伝うという条件で、クラウスは最強の女勇者リリスをその身に憑依させることになる。 S級モンスターを瞬殺できるほどの強さを手に入れたクラウスはどうなってしまうのか!? 「凄いのは俺じゃなくて、リリスなんだけどなぁ」 落ちこぼれ死霊術士と最強の美少女勇者(幽霊)のコンビが織りなす「死霊術」ファンタジー、開幕!

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

処理中です...