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一息ついて
第299話:伊賀家と幻術
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小会議室5291室にいたはずの恒久の父恒吉が、伊賀本家当主宗時の化けていた姿であったことに驚いていたのは恒久だけでなく、宗時の息子、宗久も同様であった。
「お、親父・・・」
宗久はそう呟き、宗時のデコピンを受けた額をさすりながら思っていた。
(今のデコピン、絶対俺がパチンコ玉を当てた腹いせだ!)
と。
そこで宗久は、これ以上そのことを追求される前に、話を逸らすことにした。
「親父!親父のつっこみ談義なんて、今は関係ないだろ!?」
息子の言葉を聞いた宗時は、
(こいつ。今絶対にパチンコ玉を当てた事から話を逸らす気だ)
そう思いながらも、息子を睨みつけて口を開いた。
「お前はまだそんなことを言っているのか。伊賀家にとって、つっこみは大切なことなのだぞ!!」
「だからそれが意味わかんねーんだって!」
宗久は、宗時へと怒鳴った。
そして、若干置いてけぼりを食らっている恒久は、そんな2人の様子を呆然と見つめながら思っていた。
(まさか、ここでこんなにつっこみって言葉が連呼されるとは思わなかったな)
と。
「お前も、どうやらこの場でつっこみという言葉がこれほど出てくるとは思ってもいなかったようだな」
恒久がぼ~っと伊賀本家の2人を見つめていると、伊賀本家当主宗時が、恒久に目を向けてそう言ってきた。
(こわっ!心の中読んでんのかよっ!?)
ピンポイントで考えていることを当てられた恒久は、冷や汗をかきながら宗時を見返した。
「バカ息子に説教するついでだ。お前にも、つっこみの重要性を話してやろう」
宗時はそう言って、宗久と恒久に座るよう促した。
「なんで俺が末席なんかと・・・」
宗久はブツブツ言いながらも、父の言葉に従って腰を下ろし、恒久もまた、伊賀本家当主の言葉に従うのであった。
しかし恒久は、大切なことを忘れていた。
父、恒吉のことである。
この部屋に入ったときから恒吉は、宗時の化けた姿であったのだ。
では、父恒吉はどこへ行ったのか。
(え?まだ入っちゃダメなのか?『入れ』と言われてから入るようにって話だったが、今絶対一段落ついたよな?どっち?入っていいの?ダメなの??)
恒吉は現在、部屋の外で1人、そんなことを考えながらオロオロしていた。
そんな父の事など気にも止めず、恒久はじっと宗時を見ていた。
少しは父の事も気にかけてほしいものである。
「さて。我が伊賀家は、長い歴史を持つ家系であるわけだが。他にもいくつかある忍者の家系との違いはわかるか?宗久」
宗時から視線を向けられた宗久は、自信満々にそれに答えた。
「心の力に優れている、だろ?だから俺達伊賀家は、幻術が得意なんだろ?」
「そう、その通りだ。ここまでは、伊賀家出ない者たちにもよく知られている事実だ。
我々伊賀家の固有忍術は、そのほとんどが幻術を生み出す術であることからも、そのことはわかるだろう。
しかしそれでありながら、伊賀家には幻術を生み出さない術も存在する。
何かわかるな?」
宗時はそう言って、恒久を見つめた。
「幻滅の術、ですね?」
「正解だ。幻を作ることが得意とされている我が伊賀には、幻術を破る術が存在する。
お前が言った幻滅の術などが、良い例だ。幻滅の術自体は、それほど覚えるのに難しいことはない。しかし、使い方によっては恐ろしい威力を発揮する術なのだ」
「それが、つっこみだって言いたいんだろ?」
宗久が、宗時の言葉に被せ気味で言った。
「だからそれが意味わかんねーんだって。なんでそこに、つっこみが関係あるんだよ?」
「まったく。宗久は何度説明すれば、分かってくれるんだか」
宗時は呆れながらそう言うと、再び恒久に視線を戻した。
「つっこみとは、なんだ?」
「はへっ!?」
宗時の突然の哲学的な質問に、恒久は変な声を漏らしながら、
「えっ、あー、相手の間違いを、指摘すること?」
そう、宗時へと答えた。
「そう。その通りだ。お前は、このバカ息子よりは素質があるのではないか?」
宗時は言いながら、宗久を見つめた。
「ちっ」
宗久は、苛立たしげに舌打ちをしていた。
「つっこみとは、しっかりと間違いを把握し、それを的確に指摘する行為だ」
「だから、それと幻滅の術とどんな関係が―――」
「ま、まさか。幻滅の術は、幻術と分かっていれば、どんな術でも消滅させることができる、んですか!?」
宗久がイライラしながら言う言葉を遮るように、恒久が声を漏らした。
「その通りなのだよ。やはりお前は、つっこみが得意と言うだけあって物分りが良い」
宗時は満足そうに頷いて、恒久を見た。
「通常、相手の幻術を破る為には相手と同等以上の心の力の練度が必要となる。しかし、つっこみと幻滅の術が合わされば、いくら格上の幻術だろうとも、破る事ができるのだ」
宗時は、声高にそう宗久と恒久に言い放った。
「お、親父・・・」
宗久はそう呟き、宗時のデコピンを受けた額をさすりながら思っていた。
(今のデコピン、絶対俺がパチンコ玉を当てた腹いせだ!)
と。
そこで宗久は、これ以上そのことを追求される前に、話を逸らすことにした。
「親父!親父のつっこみ談義なんて、今は関係ないだろ!?」
息子の言葉を聞いた宗時は、
(こいつ。今絶対にパチンコ玉を当てた事から話を逸らす気だ)
そう思いながらも、息子を睨みつけて口を開いた。
「お前はまだそんなことを言っているのか。伊賀家にとって、つっこみは大切なことなのだぞ!!」
「だからそれが意味わかんねーんだって!」
宗久は、宗時へと怒鳴った。
そして、若干置いてけぼりを食らっている恒久は、そんな2人の様子を呆然と見つめながら思っていた。
(まさか、ここでこんなにつっこみって言葉が連呼されるとは思わなかったな)
と。
「お前も、どうやらこの場でつっこみという言葉がこれほど出てくるとは思ってもいなかったようだな」
恒久がぼ~っと伊賀本家の2人を見つめていると、伊賀本家当主宗時が、恒久に目を向けてそう言ってきた。
(こわっ!心の中読んでんのかよっ!?)
ピンポイントで考えていることを当てられた恒久は、冷や汗をかきながら宗時を見返した。
「バカ息子に説教するついでだ。お前にも、つっこみの重要性を話してやろう」
宗時はそう言って、宗久と恒久に座るよう促した。
「なんで俺が末席なんかと・・・」
宗久はブツブツ言いながらも、父の言葉に従って腰を下ろし、恒久もまた、伊賀本家当主の言葉に従うのであった。
しかし恒久は、大切なことを忘れていた。
父、恒吉のことである。
この部屋に入ったときから恒吉は、宗時の化けた姿であったのだ。
では、父恒吉はどこへ行ったのか。
(え?まだ入っちゃダメなのか?『入れ』と言われてから入るようにって話だったが、今絶対一段落ついたよな?どっち?入っていいの?ダメなの??)
恒吉は現在、部屋の外で1人、そんなことを考えながらオロオロしていた。
そんな父の事など気にも止めず、恒久はじっと宗時を見ていた。
少しは父の事も気にかけてほしいものである。
「さて。我が伊賀家は、長い歴史を持つ家系であるわけだが。他にもいくつかある忍者の家系との違いはわかるか?宗久」
宗時から視線を向けられた宗久は、自信満々にそれに答えた。
「心の力に優れている、だろ?だから俺達伊賀家は、幻術が得意なんだろ?」
「そう、その通りだ。ここまでは、伊賀家出ない者たちにもよく知られている事実だ。
我々伊賀家の固有忍術は、そのほとんどが幻術を生み出す術であることからも、そのことはわかるだろう。
しかしそれでありながら、伊賀家には幻術を生み出さない術も存在する。
何かわかるな?」
宗時はそう言って、恒久を見つめた。
「幻滅の術、ですね?」
「正解だ。幻を作ることが得意とされている我が伊賀には、幻術を破る術が存在する。
お前が言った幻滅の術などが、良い例だ。幻滅の術自体は、それほど覚えるのに難しいことはない。しかし、使い方によっては恐ろしい威力を発揮する術なのだ」
「それが、つっこみだって言いたいんだろ?」
宗久が、宗時の言葉に被せ気味で言った。
「だからそれが意味わかんねーんだって。なんでそこに、つっこみが関係あるんだよ?」
「まったく。宗久は何度説明すれば、分かってくれるんだか」
宗時は呆れながらそう言うと、再び恒久に視線を戻した。
「つっこみとは、なんだ?」
「はへっ!?」
宗時の突然の哲学的な質問に、恒久は変な声を漏らしながら、
「えっ、あー、相手の間違いを、指摘すること?」
そう、宗時へと答えた。
「そう。その通りだ。お前は、このバカ息子よりは素質があるのではないか?」
宗時は言いながら、宗久を見つめた。
「ちっ」
宗久は、苛立たしげに舌打ちをしていた。
「つっこみとは、しっかりと間違いを把握し、それを的確に指摘する行為だ」
「だから、それと幻滅の術とどんな関係が―――」
「ま、まさか。幻滅の術は、幻術と分かっていれば、どんな術でも消滅させることができる、んですか!?」
宗久がイライラしながら言う言葉を遮るように、恒久が声を漏らした。
「その通りなのだよ。やはりお前は、つっこみが得意と言うだけあって物分りが良い」
宗時は満足そうに頷いて、恒久を見た。
「通常、相手の幻術を破る為には相手と同等以上の心の力の練度が必要となる。しかし、つっこみと幻滅の術が合わされば、いくら格上の幻術だろうとも、破る事ができるのだ」
宗時は、声高にそう宗久と恒久に言い放った。
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