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一息ついて
第291話:重清、生徒会長に絡まれる
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「さぁて、我が校の伝統をバカにしたのは、あなたかしら?」
生徒会長、長宗我部卑弥呼が、重清へと目を向けた。
「え、あぁ、まぁ。っていうか、生徒会長って長宗我部氏の姉ちゃんなんだ」
(シゲ、今そこじゃない!)
重清のすっとぼけた言葉に、隣の席から聡太が小声でつっこんでいると、長宗我部氏が姉の足元へと跪いた。
「お姉様、彼は悪気があって言っているわけでは―――」
「おだまりっ!!」
長宗我部氏の言葉を、生徒会長、長宗我部が遮った。
「太郎左衛門!学校では生徒会長様とお呼びと言っているでしょう!?」
「も、申し訳ございません!生徒会長様っ!!」
(なんていうか、濃い姉弟だな)
姉弟の様子を見ていた重清が、聡太に小声で言っていると。
「ちょっとあなた!なにを呑気にお喋りなんかしてるのよ!?この私を前にして、いい度胸じゃない!」
長宗我部(姉)は、重清を睨みつけながら言った。
「え、あ、はい、すみません。でも、やっぱどう考えてもおかしいじゃないですか。3年生しか演劇できないなんて」
(おいシゲ!お前正気か!?相手はあの、生徒会長だぞ!?)
重清の背後でそう囁いている後藤の言葉を無視して、重清は続けた。
「おれは今年、演劇をやりたいんですよ!」
「な・・・この私を前にまだそんなことを。ちょっと!あなたからも言っておあげなさいっ!」
長宗我部(姉)はそう言いながら、教室の外へと目を向けた。
(ま、まさか。あいつまで来ているのか!?)
そう呟いた後藤に、重清が振り向いた。
(今度はどなたがいらっしゃるんでしょうか、解説役の正さん)
(誰が解説役だっ!って、そう言ってるうちに現れやがった。
生徒会長を裏で操る男。裏の生徒会長、芥川 翔が!)
「芥川・・・えっ!ショウさん!?」
後藤の言葉に重清が教室の扉に目を向けた。
「あー、シゲとソウだー。やっほー」
ショウが笑顔で手を振っていた。
「あら、あなたの知り合いだったのね」
笑顔のショウに、生徒会長がそう声をかけていた。
これまでの厳しい表情ではなく、乙女の顔で。
「社会科研究部の後輩なんだよー」
そんな生徒会長にショウは、笑顔でうなずき返した。
「そうなの。って、そんなことはいいのよ!あなたからも後輩に言ってあげなさい!我が校の伝統がいかに大事かを!」
「えー。僕、生徒会でもなんでもないのにー?」
「いや生徒会じゃないんかーい!」
ショウの言葉に、重清がたまらずつっこんだ。
「シゲ、相変わらずだねー。でも、2中の伝統を破ろうとするなんて・・・」
笑顔のまま、ショウは重清を見つめていた。
その視線に、重清はゴクリと喉を鳴らしながらショウの言葉の続きを待っていた。
「いいんじゃないかなー」
「「へ?」」
重清と生徒会長が、同時に声を漏らした。
「ちょっと芥川君!何を言っているのよ!?我が校の伝統を、何だと思っているの!?」
「うーん。古臭くて必要のないものー?
まさか長宗我部さん、こんな伝統、守るべきものだなんて思ってないよねー?」
「な、え、えぇ!もちろんよ!私はずっと待っていたのよ!こんな伝統を破ろうとする強者を!
そこのあなた!よくぞ言ってくれたわ!
演劇、頑張りなさいよねっ!」
そう言い捨てると、生徒会長は足早に教室を後にした。
去り際にちらりと、ショウへ乙女の顔を向けながら。
それを追うように教室の扉へと向かったショウは振り返り、重清に向かってウインクをして、そのまま教室をあとにしたのだった。
「うぉーーーーっ!!すげーぞシゲ!!」
クラスの多くのものが、席を立ち上がり重清の元へと駆け寄った。
ちなみに、席を立ち上がらなかった一部の女子達は、ショウの出ていった扉をうっとりとした表情で見つめていた。
罪深き男、ショウなのであった。
「やるじゃねーかシゲ!まさかあの伝統を打ち破るなんて!」
「いや、シゲはなんもしてないからね?」
後藤の言葉に、聡太がつっこんだ。
「でもシゲ。演劇やりたいなんて、どうしちゃったの?」
聡太は重清へと目を向けた。
「あー、ちょっとな。ねぇみんな!演劇でどんな話するか、おれに任せてくれないかな?」
「「「「えっ、シゲに?」」」」
重清の元へ集まった一同は、一歩引いて声を揃えた。
「いや、おれの信頼の無さよ!」
「まぁ、シゲだからね」
聡太のそんな痛烈な言葉に、一同が頷いた。
「失礼!みんな失礼!!
でも安心してよ。おれが考えるわけじゃないからさ!」
「どういうことだ?」
頬を膨らませながら言う重清に、後藤が問いかけた。
「まぁ、ちょっとアテがあってね」
重清が後藤に苦笑いを返すと。
「まぁ、伝統を打ち破ったのはシゲだしな。
なぁみんな!今度の文化祭、3組は演劇をやる。そして何をやるかはシゲに任せる。この案に、賛成の人!」
後藤がそう言ってクラスを見渡すと、クラス全員がしっかりと手を上げていた。
一部は、まだじっとショウの出た扉を見つめてはいたが。
「ってことで、全員賛成により可決!じゃぁシゲ、任せたぞ!」
「おう!任されろ!!」
重清は、笑顔で答えるのであった。
生徒会長、長宗我部卑弥呼が、重清へと目を向けた。
「え、あぁ、まぁ。っていうか、生徒会長って長宗我部氏の姉ちゃんなんだ」
(シゲ、今そこじゃない!)
重清のすっとぼけた言葉に、隣の席から聡太が小声でつっこんでいると、長宗我部氏が姉の足元へと跪いた。
「お姉様、彼は悪気があって言っているわけでは―――」
「おだまりっ!!」
長宗我部氏の言葉を、生徒会長、長宗我部が遮った。
「太郎左衛門!学校では生徒会長様とお呼びと言っているでしょう!?」
「も、申し訳ございません!生徒会長様っ!!」
(なんていうか、濃い姉弟だな)
姉弟の様子を見ていた重清が、聡太に小声で言っていると。
「ちょっとあなた!なにを呑気にお喋りなんかしてるのよ!?この私を前にして、いい度胸じゃない!」
長宗我部(姉)は、重清を睨みつけながら言った。
「え、あ、はい、すみません。でも、やっぱどう考えてもおかしいじゃないですか。3年生しか演劇できないなんて」
(おいシゲ!お前正気か!?相手はあの、生徒会長だぞ!?)
重清の背後でそう囁いている後藤の言葉を無視して、重清は続けた。
「おれは今年、演劇をやりたいんですよ!」
「な・・・この私を前にまだそんなことを。ちょっと!あなたからも言っておあげなさいっ!」
長宗我部(姉)はそう言いながら、教室の外へと目を向けた。
(ま、まさか。あいつまで来ているのか!?)
そう呟いた後藤に、重清が振り向いた。
(今度はどなたがいらっしゃるんでしょうか、解説役の正さん)
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「芥川・・・えっ!ショウさん!?」
後藤の言葉に重清が教室の扉に目を向けた。
「あー、シゲとソウだー。やっほー」
ショウが笑顔で手を振っていた。
「あら、あなたの知り合いだったのね」
笑顔のショウに、生徒会長がそう声をかけていた。
これまでの厳しい表情ではなく、乙女の顔で。
「社会科研究部の後輩なんだよー」
そんな生徒会長にショウは、笑顔でうなずき返した。
「そうなの。って、そんなことはいいのよ!あなたからも後輩に言ってあげなさい!我が校の伝統がいかに大事かを!」
「えー。僕、生徒会でもなんでもないのにー?」
「いや生徒会じゃないんかーい!」
ショウの言葉に、重清がたまらずつっこんだ。
「シゲ、相変わらずだねー。でも、2中の伝統を破ろうとするなんて・・・」
笑顔のまま、ショウは重清を見つめていた。
その視線に、重清はゴクリと喉を鳴らしながらショウの言葉の続きを待っていた。
「いいんじゃないかなー」
「「へ?」」
重清と生徒会長が、同時に声を漏らした。
「ちょっと芥川君!何を言っているのよ!?我が校の伝統を、何だと思っているの!?」
「うーん。古臭くて必要のないものー?
まさか長宗我部さん、こんな伝統、守るべきものだなんて思ってないよねー?」
「な、え、えぇ!もちろんよ!私はずっと待っていたのよ!こんな伝統を破ろうとする強者を!
そこのあなた!よくぞ言ってくれたわ!
演劇、頑張りなさいよねっ!」
そう言い捨てると、生徒会長は足早に教室を後にした。
去り際にちらりと、ショウへ乙女の顔を向けながら。
それを追うように教室の扉へと向かったショウは振り返り、重清に向かってウインクをして、そのまま教室をあとにしたのだった。
「うぉーーーーっ!!すげーぞシゲ!!」
クラスの多くのものが、席を立ち上がり重清の元へと駆け寄った。
ちなみに、席を立ち上がらなかった一部の女子達は、ショウの出ていった扉をうっとりとした表情で見つめていた。
罪深き男、ショウなのであった。
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「いや、シゲはなんもしてないからね?」
後藤の言葉に、聡太がつっこんだ。
「でもシゲ。演劇やりたいなんて、どうしちゃったの?」
聡太は重清へと目を向けた。
「あー、ちょっとな。ねぇみんな!演劇でどんな話するか、おれに任せてくれないかな?」
「「「「えっ、シゲに?」」」」
重清の元へ集まった一同は、一歩引いて声を揃えた。
「いや、おれの信頼の無さよ!」
「まぁ、シゲだからね」
聡太のそんな痛烈な言葉に、一同が頷いた。
「失礼!みんな失礼!!
でも安心してよ。おれが考えるわけじゃないからさ!」
「どういうことだ?」
頬を膨らませながら言う重清に、後藤が問いかけた。
「まぁ、ちょっとアテがあってね」
重清が後藤に苦笑いを返すと。
「まぁ、伝統を打ち破ったのはシゲだしな。
なぁみんな!今度の文化祭、3組は演劇をやる。そして何をやるかはシゲに任せる。この案に、賛成の人!」
後藤がそう言ってクラスを見渡すと、クラス全員がしっかりと手を上げていた。
一部は、まだじっとショウの出た扉を見つめてはいたが。
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