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一息ついて
第286話:だから言ったでござる
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「グラさん、これはどういうことかなー?」
グラの首元に杖をつきつけたまま、ショウはグラへと笑いかけた。
その笑みは、いつもの優しいショウのものではなく、そこには深い怒りがにじみ出ていた。
「「ショ、ショウさんが怖い・・・・」」
その様子を見ていた重清とソウは、グラに感じた以上の恐怖を抱いていた。
「どういうことか、だと?それはこっちのセリフだぜ、ショウ!」
グラは抵抗しないまま、ショウを睨みつけた。
「お前は、動物好きの良い奴だと思ってたのによお!」
「えー、僕、動物大好きだよー?それを言うなら、グラさんの方こそだよー?猫好きに悪い人はいないって思ってたのにー」
「俺は悪いことなんてしてねぇよ!お前は、あんなやつを見過ごして、なんとも思わないのかよっ!?」
グラはそう言いながら、重清を指さした。
「え?おれ??」
重清は自分を指さしながら、周りをキョロキョロしていた。
「えー?シゲがなにかやったのー??」
「なにか、だと!?あの年で具現獣があんなにいるなんて、おかしいだろ!?誰かから無理矢理奪って、使役してるに決まってるじゃないか!」
「えー?」
「ん?」
グラの言葉にショウが首を傾げると、その様子にグラも首を傾げていた。
「え、ち、違うの?」
グラそう言いながら、重清へと目を向ける。
コクリと頷いた重清を見たグラは、ショウを見つめていた。
「そこにいる玲央は、元々シゲの具現獣だしー。あっちの智乃とロイも、自分達の意思でシゲの具現獣になったって聞いてるよー?」
「え?マジで?」
グラはそう言いながら、恐る恐る智乃とロイへと目を向ける。
((コクリ))
2人がはっきりと頷くのを見たグラから、大量の汗が湧き上がってきた。
そして次の瞬間、グラの体が光り輝き、直後その場には土下座したグラと、彼の具現獣であるゴリラ、鳩の姿があった。
ちなみに何故かオオカミだけは、土下座せず思いっきりグラを踏みつけていた。
「え?なに??どゆこと!?」
グラの突然の姿に、重清達がアワアワしていると。
「すんませんっしたぁーーーっ!!」
グラが叫んだ。
「俺、どうやら勘違いしてたみたいです!そこの彼が、その年で具現獣をたくさん連れてるから、俺はてっきり、何か悪いことして具現獣達を無理矢理使役しているものとばっかり!」
「だから、拙者が何度も勘違いだと言うていたではござらんか!!」
「だったら、もっとちゃんと俺を止めてくれよ!」
「何度も止めていたではござらんか!」
平謝りするグラと、それを踏みつけているオオカミが言い合いを始めていた。
「んー。これ、どうしよかなー?」
いつの間にか重清たちの元へとやって来ていたショウが、そんなグラ達を見ながら苦笑いしていた。
「流石に、このままってわけにもいかないですし、とりあえずノリさんに連絡してみます?」
「だねー。じゃ、みんな一度、部室まで戻ろうかー」
ソウの言葉に頷いたショウは、そう言って荒野にぽつんと立つ扉へと目を向けるのであった。
「なるほど。君が噂の『具現獣狩り』か」
ショウから連絡を受けたノリに代わって忍者部の部室へとやって来たガクが、未だに土下座を続けるグラを見下ろしながら呟いた。
「お、俺そんな風に呼ばれてるんですか!?でも俺、何も悪いことはしてないですよ!」
顔を上げたグラは、潤んだ瞳でガクを見上げながら叫んだ。
「まぁ落ち着け。君が悪くないと、君の具現獣達からもたっぷり聞かされている。とはいえ、このままという訳にもいかん。一度、署まで・・・じゃなくて、協会まで来てもらうぞ」
「ゴリッ(グラは悪くないゴリ!)」
「ぽっぽー(グラを許してあげて!)」
「いや、何言ってるかわかんないんですけど」
ガクに嘆願するゴリラと鳩に、ガクは苦笑いを浮かべて返していた。
「こいつらも、グラを守ろうと必死なのでござる。どうかグラを助けてやってはくれぬか!?主のためならば拙者、切腹も覚悟のうえでござる!」
「いや切腹とかしなくていいからね!?」
真面目な顔でどこからか小刀を取り出したオオカミに、ガクは慌てたようにつっこんだ。
「ここはいつから動物園になったんだ?」
そんな光景に、部室で合流した恒久がつっこみ、同じくこの訳のわからない状況を目の当たりにした取り残された一同も、その光景をただ見つめていた。
「彼はこの辺りで、『具現獣狩り』と呼ばれている伊賀グラだ。どうやら彼は、具現者である忍者から暴力を受けていた具現獣を救い、自身と契約をさせて回っているらしいんだよ。この子達のような、ね」
そう言いながらガクは、ゴリラと鳩へと目を向ける。
「それで、私達も重清からひどい扱いを受けていると勘違いして、襲ってきたというわけね」
智乃がそう言いながらグラを睨むと、
「だ、だって、普通おかしいと思うでしょ!?こんな間抜け面したガキが、こんなに具現獣に懐かれているなんて、思わないでしょ!」
「あー、うん。確かに」
「え、みんなひどくない!?」
グラの言葉に重清を除く全員が納得し、重清はそれに非難の声をあげたのであった。
グラの首元に杖をつきつけたまま、ショウはグラへと笑いかけた。
その笑みは、いつもの優しいショウのものではなく、そこには深い怒りがにじみ出ていた。
「「ショ、ショウさんが怖い・・・・」」
その様子を見ていた重清とソウは、グラに感じた以上の恐怖を抱いていた。
「どういうことか、だと?それはこっちのセリフだぜ、ショウ!」
グラは抵抗しないまま、ショウを睨みつけた。
「お前は、動物好きの良い奴だと思ってたのによお!」
「えー、僕、動物大好きだよー?それを言うなら、グラさんの方こそだよー?猫好きに悪い人はいないって思ってたのにー」
「俺は悪いことなんてしてねぇよ!お前は、あんなやつを見過ごして、なんとも思わないのかよっ!?」
グラはそう言いながら、重清を指さした。
「え?おれ??」
重清は自分を指さしながら、周りをキョロキョロしていた。
「えー?シゲがなにかやったのー??」
「なにか、だと!?あの年で具現獣があんなにいるなんて、おかしいだろ!?誰かから無理矢理奪って、使役してるに決まってるじゃないか!」
「えー?」
「ん?」
グラの言葉にショウが首を傾げると、その様子にグラも首を傾げていた。
「え、ち、違うの?」
グラそう言いながら、重清へと目を向ける。
コクリと頷いた重清を見たグラは、ショウを見つめていた。
「そこにいる玲央は、元々シゲの具現獣だしー。あっちの智乃とロイも、自分達の意思でシゲの具現獣になったって聞いてるよー?」
「え?マジで?」
グラはそう言いながら、恐る恐る智乃とロイへと目を向ける。
((コクリ))
2人がはっきりと頷くのを見たグラから、大量の汗が湧き上がってきた。
そして次の瞬間、グラの体が光り輝き、直後その場には土下座したグラと、彼の具現獣であるゴリラ、鳩の姿があった。
ちなみに何故かオオカミだけは、土下座せず思いっきりグラを踏みつけていた。
「え?なに??どゆこと!?」
グラの突然の姿に、重清達がアワアワしていると。
「すんませんっしたぁーーーっ!!」
グラが叫んだ。
「俺、どうやら勘違いしてたみたいです!そこの彼が、その年で具現獣をたくさん連れてるから、俺はてっきり、何か悪いことして具現獣達を無理矢理使役しているものとばっかり!」
「だから、拙者が何度も勘違いだと言うていたではござらんか!!」
「だったら、もっとちゃんと俺を止めてくれよ!」
「何度も止めていたではござらんか!」
平謝りするグラと、それを踏みつけているオオカミが言い合いを始めていた。
「んー。これ、どうしよかなー?」
いつの間にか重清たちの元へとやって来ていたショウが、そんなグラ達を見ながら苦笑いしていた。
「流石に、このままってわけにもいかないですし、とりあえずノリさんに連絡してみます?」
「だねー。じゃ、みんな一度、部室まで戻ろうかー」
ソウの言葉に頷いたショウは、そう言って荒野にぽつんと立つ扉へと目を向けるのであった。
「なるほど。君が噂の『具現獣狩り』か」
ショウから連絡を受けたノリに代わって忍者部の部室へとやって来たガクが、未だに土下座を続けるグラを見下ろしながら呟いた。
「お、俺そんな風に呼ばれてるんですか!?でも俺、何も悪いことはしてないですよ!」
顔を上げたグラは、潤んだ瞳でガクを見上げながら叫んだ。
「まぁ落ち着け。君が悪くないと、君の具現獣達からもたっぷり聞かされている。とはいえ、このままという訳にもいかん。一度、署まで・・・じゃなくて、協会まで来てもらうぞ」
「ゴリッ(グラは悪くないゴリ!)」
「ぽっぽー(グラを許してあげて!)」
「いや、何言ってるかわかんないんですけど」
ガクに嘆願するゴリラと鳩に、ガクは苦笑いを浮かべて返していた。
「こいつらも、グラを守ろうと必死なのでござる。どうかグラを助けてやってはくれぬか!?主のためならば拙者、切腹も覚悟のうえでござる!」
「いや切腹とかしなくていいからね!?」
真面目な顔でどこからか小刀を取り出したオオカミに、ガクは慌てたようにつっこんだ。
「ここはいつから動物園になったんだ?」
そんな光景に、部室で合流した恒久がつっこみ、同じくこの訳のわからない状況を目の当たりにした取り残された一同も、その光景をただ見つめていた。
「彼はこの辺りで、『具現獣狩り』と呼ばれている伊賀グラだ。どうやら彼は、具現者である忍者から暴力を受けていた具現獣を救い、自身と契約をさせて回っているらしいんだよ。この子達のような、ね」
そう言いながらガクは、ゴリラと鳩へと目を向ける。
「それで、私達も重清からひどい扱いを受けていると勘違いして、襲ってきたというわけね」
智乃がそう言いながらグラを睨むと、
「だ、だって、普通おかしいと思うでしょ!?こんな間抜け面したガキが、こんなに具現獣に懐かれているなんて、思わないでしょ!」
「あー、うん。確かに」
「え、みんなひどくない!?」
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