おれは忍者の子孫

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雑賀家お家騒動

第246話:雑賀本家のご挨拶

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鈴木宅に美影が来た翌日の日曜日。

前日に忍者部の活動も休みであったことから、重清はその休日をただ1日ダラダラと過ごし、すっかり元気になった体に、なんとなくモヤモヤする気持ちを携えて、社会科研究部の部室へと入っていった。

隣に聡太とチーノ、頭の上にプレッソと言ういつものスタイルで。

するとそこには既に、同級生である恒久や茜、そして先輩の面々や麻耶も揃っていた。

そして、2日前にドタバタした雑賀本家の面々も、一堂に会していた。

何故か雑賀本家当主、雑賀六兵衛まで伴って。

「全員、揃ったようだな」
重清達が入ってきたのを確認した六兵衛が言った。

「六兵衛様。お話はあちらへ行ってからに」
ノリが、部室に掛けられた掛け軸へと目を向けながら言うと、

「そうだな」
そう頷いた六兵衛を確認したノリは、掛け軸へと近寄り手をかざした。

そのまま光りだす掛け軸の向こうへと進んでいったノリに、六兵衛が続き、それに雑賀本家の面々がゾロゾロとついて行った。

「・・・・とにかく、行こうかぁー」
ショウがそう言って掛け軸の向こうへと進んで行き、一同もそれに従って忍者部の部室へと入って行った。


「さて。改めて、全員揃ったようだな」
一同が部室の席へと座ったのを確認した六兵衛が、再び口を開いた。

「雑賀重清君」
「はへっ!?はい!」

急に忍名を呼ばれた重清は、変な声を上げながら返事をして立ち上がった。

自身の忍名を呼んだのは、祖母である雅の弟とはいえ雑賀本家の当主なのである。

重清は、柄にもなく緊張していた。

重清は今、美影が琴音から襲われた日に、目覚めた美影に駆け寄るために六兵衛を押しのけたことを、今更ながら思い出して冷や汗をかいていた。

「そう緊張するな。先日押しのけられたことなど、気にしてはおらんよ」
(いや、絶対気にしてんじゃん!!)
六兵衛の言葉に、重清は心の中でつっこんでいた。

さすがに、口に出す程の勇気は無かったのである。

「改めて、雑賀重清君。我が孫娘、そして次期雑賀本家当主でもある美影の為に自身の危険も顧みず、犯人へと立ち向かってくれた事、現雑賀本家当主として礼を言わせてもらう」
「あー、はい・・・・」
深々と頭を下げる六兵衛に、重清は何とも言えない表情でそう返していた。

重清の中では確かにあの日、1人で琴音の元へと向かったのには美影の為という一面もあった。
しかしそれ以上に、琴音を信じたいという想いの為に動いた側面が強いのだ。

であるからこそ重清は、六兵衛の言葉を素直に受け取ることができずに微妙な返事をしたのであった。

「しかし」
そんな重清に向かって、頭を上げた六兵衛が厳しい表情で言葉を続ける。

「君はまだ、忍者になって1年も経っていないひよっこだ。あまり無理をしないで欲しい。これは、同じ雑賀の血を引く者、そして、姉上の弟であり、君の親戚として言わせてもらう」
「あ、はい・・・すみません」
重清は、真面目な表情で六兵衛へと返した。

「うむ。君には勇気がある。そして、師にも恵まれておる。これからも修行を積んで、姉上や平八殿のような忍者になるんだぞ」
「いやぁ~、ばあちゃんみたいには、なりたいような、なりたくないような・・・・」

「なに!?あんな素晴らしい人、この世に他にいないのだぞ!?」
「あぁ・・・はい、頑張ります」
六兵衛の言葉に、何となく充希の匂いを感じた重清は、これ以上余計な事を口にするのはまずいと判断し、六兵衛に対してそう、雑に返した。

「それから・・・」
(いやまだあんのかーーい!)
更に言葉を続けようとする六兵衛に、重清は再び心の中でつっこんだ。

「美影のことを、頼んだぞ。これは、美影の祖父としての、言葉じゃな」
そう言って六兵衛は、重清にウインクをかました。

爺さんのウインク。

それは、誰も得することの無いものなのである。

重清へとウインクをかました六兵衛は、部屋を見渡した。

「皆もこの数日、ウチの者達が迷惑をかけたな。知らぬ者も居るだろうが、先日美影が襲われた。重清君は、果敢にもその犯人と対峙したのだ」
その言葉に、

ショウ「あー、確かに数日前、忍力感じたねー」
シン「マジかよ、全然気付かなかった。シゲ、や大丈夫だったのかよ!?」
ノブ「ガッハッハ!!さすがはシゲだ!!」
ケン「シゲ、やる」
ショウ達が口々言った。

シン達に至っては、かなり久しぶりのコメントなのである。

雑賀本家の面々が来てあまりにもごちゃごちゃしていたために、あまり話す機会が無かったのである。

決して、忘れられていたわけではないのである。

いや。本当に。

そんな4人へと頷き返した六兵衛は、再び口を開いた。

「美影が襲われたから、というわけではないが、本日をもって、美影達は雑賀本家へと返すことにした」

「えっ!?そうなの!?」

六兵衛の言葉に、重清は美影へと視線を送るのであった。
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