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雑賀家お家騒動
第224話:恋は盲目
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「ちょ、ちょっと君!いきなりなんなんだ!?」
少女からヤマトと呼ばれていた少年が、美影に声を上げた。
「なんだじゃないわよ!さっきから聞いていたら馬鹿な事を言って!何が『女のくせに』よ!?そんなこと、この人が選んで女に生まれてきたわけじゃないでしょ!?それをあなたの物差しに当てはめて罵倒するなんて、最低よっ!!」
(((いやどの口がっ!!)))
美影の言葉を聞いた忍者部の3人は、すかさず心でつっこんでいた。
「っと、見てる場合じゃないか!」
そう言って重清が美影の元へ駆け出すと、アカがそれを途中で制止した。
「アカ!なんで止めるのさ!?」
「少し待って!なんかこれ、面白そうじゃない?」
重清の非難の言葉に、アカはニヤリと笑って美影の方へと目を向ける。
「いや面白そうって・・・はぁ。美影が手を出しそうになったら、止めるからね」
重清は、ため息混じりにそういってアカ同様美影を見守るのであった。
「き、君には関係ないだろ!?これは、僕と彼女の問題だ!」
ヤマト少年が、理知的だった顔を歪ませて美影に怒鳴り声をあげる。
「えぇそうね。あなたの言うとおりだわ。ちょっとあなた!」
少年の怒鳴り声に怯む様子のない美影は、そう言って少年の隣でオロオロしている少女へと目を向けた。
「あなた、男を見る目、ないんじゃないの?」
「なぁっ!?」
ヤマト少年がそう声を漏らすのを無視して、美影は少女へと話しかける。
「こんな男尊女卑男なんて、やめておきなさい!この程度の男と付き合おうとするなんて。もっと自分を大切にしなさい!!」
美影にそう言われた少女は、何も言わず、ただ俯いていた。
「おまえ!さっきから聞いていればこの僕が『この程度』だって!?調子に乗るのも大概にしろっ!!」
そう言って少年は、美影に殴りかかった。
降りかかる拳を美影が払いのけると、少年は勢いのまま美影の足元へと倒れ混んだ。
「だ、大丈夫!?ヤマト君っ!?」
先ほどまで俯いていた少女が、少年へと駆け寄った。
「う、うるさいっ!!」
しかし少年は、差し伸べられた手を咄嗟に払い除け、また払い除けられた少女も、その余りの勢いにその場に尻餅をついてしまう。
「・・・あんた、彼女に手を上げたわね?」
その様子を見ていた美影が、低い声で呟いた。
(あ~、あのマジで怒った感じ、ばあちゃんにそっくりだ)
それを見ていた重清が、ついそんなことを思ってしまう程に、迫力のある声であった。
その時、美影から忍力が溢れ出す。
「「あ、やばい」」
重清とアカは、忍力を出す美影に、そんな声を漏らした。
「くっ。美影、手は出すなよっ!!」
重清は、咄嗟に美影に向って走り出した。
「ひぃーーっ!!!!」
しかしヤマト少年は、美影の出す忍力に得体のしれない恐怖を感じ、そんな声を出して走り去ってしまった。
彼女を置き去りにして。
「ふん。なによあの男。女がどーとか言いながら、自分こそ男のくせに情けないじゃないの。あなたも、これで少しは目が覚めたんじゃない?」
何故か顔を赤くした美影が、皮肉を込めてそう言って少女に目を向ける。
「・・・・・・」
しかし少女は、美影の言葉には答えず、美影をひと睨みして少年を追うように走り去っていった。
「恋は盲目とは、よく言ったものね」
走り去る少女の背を見つめながら、美影はひとり呟いた。
「美影!!」
そんな美影の元へとやって来た重清は、その背に声をかけた。
「あ、し、重清・・・・」
やって来た重清に気付いた美影は、モジモジしながら重清を見つめた。
「『美影に手を出すな』なんて・・・私、凄く嬉しかったわ」
「はい??」
美影の言葉に、重清はしばし硬直した。
(あ~、ニュアンスは全然違うけど、言葉は確かに近かったか)
重清は、自身の言葉を思い出し、思わず納得していた。
どうやら重清、段々と美影の思い込みの激しさを当たり前のように受け入れ始めていたようである。
「ん~、とりあえず、無事で良かったよ」
つっこみも面倒くさくなった重清が、ヤマト少年の無事に安堵の言葉を漏らすと、
「そんなに私のことを心配してくれたのね!嬉しいっ!!」
美影はそう言って、重清に抱きつくのであった。
(うん。今のは完全におれの言葉足らずだ。今度から、気をつけなきゃだな)
そう心に誓いつつ、重清はそっと抱きついてくる美影を引き離す。
「ご、ごめんなさい重清。こんな公衆の面前で・・・つ、続きはふたりっきりのときに、ね」
(誘惑に負けそうな自分が怖い!!)
顔を赤らめて言う美影の言葉に、重清はまた、頭を抱えるのであった。
-------
依頼
姉が彼氏からDVを受けているかもしれないので、調査し、必要に応じて姉を救ってほしい
結果
調査の結果、対象者はデートDVを受けていた模様。
『通りがかりの少女』が指摘したことで、その場は収まった。
今後、彼氏の様子を引き続き監視する必要あり。
評価
被害有無の確認方法は、具現獣と連携した良い動きでした。
しかし、美影様の衝動的な動きは、忍者の存在を脅かす可能性もあります。
街での行動には、十分に注意してください。
今後の監視については、警察担当者と連携しこちらで行います。
-------
少女からヤマトと呼ばれていた少年が、美影に声を上げた。
「なんだじゃないわよ!さっきから聞いていたら馬鹿な事を言って!何が『女のくせに』よ!?そんなこと、この人が選んで女に生まれてきたわけじゃないでしょ!?それをあなたの物差しに当てはめて罵倒するなんて、最低よっ!!」
(((いやどの口がっ!!)))
美影の言葉を聞いた忍者部の3人は、すかさず心でつっこんでいた。
「っと、見てる場合じゃないか!」
そう言って重清が美影の元へ駆け出すと、アカがそれを途中で制止した。
「アカ!なんで止めるのさ!?」
「少し待って!なんかこれ、面白そうじゃない?」
重清の非難の言葉に、アカはニヤリと笑って美影の方へと目を向ける。
「いや面白そうって・・・はぁ。美影が手を出しそうになったら、止めるからね」
重清は、ため息混じりにそういってアカ同様美影を見守るのであった。
「き、君には関係ないだろ!?これは、僕と彼女の問題だ!」
ヤマト少年が、理知的だった顔を歪ませて美影に怒鳴り声をあげる。
「えぇそうね。あなたの言うとおりだわ。ちょっとあなた!」
少年の怒鳴り声に怯む様子のない美影は、そう言って少年の隣でオロオロしている少女へと目を向けた。
「あなた、男を見る目、ないんじゃないの?」
「なぁっ!?」
ヤマト少年がそう声を漏らすのを無視して、美影は少女へと話しかける。
「こんな男尊女卑男なんて、やめておきなさい!この程度の男と付き合おうとするなんて。もっと自分を大切にしなさい!!」
美影にそう言われた少女は、何も言わず、ただ俯いていた。
「おまえ!さっきから聞いていればこの僕が『この程度』だって!?調子に乗るのも大概にしろっ!!」
そう言って少年は、美影に殴りかかった。
降りかかる拳を美影が払いのけると、少年は勢いのまま美影の足元へと倒れ混んだ。
「だ、大丈夫!?ヤマト君っ!?」
先ほどまで俯いていた少女が、少年へと駆け寄った。
「う、うるさいっ!!」
しかし少年は、差し伸べられた手を咄嗟に払い除け、また払い除けられた少女も、その余りの勢いにその場に尻餅をついてしまう。
「・・・あんた、彼女に手を上げたわね?」
その様子を見ていた美影が、低い声で呟いた。
(あ~、あのマジで怒った感じ、ばあちゃんにそっくりだ)
それを見ていた重清が、ついそんなことを思ってしまう程に、迫力のある声であった。
その時、美影から忍力が溢れ出す。
「「あ、やばい」」
重清とアカは、忍力を出す美影に、そんな声を漏らした。
「くっ。美影、手は出すなよっ!!」
重清は、咄嗟に美影に向って走り出した。
「ひぃーーっ!!!!」
しかしヤマト少年は、美影の出す忍力に得体のしれない恐怖を感じ、そんな声を出して走り去ってしまった。
彼女を置き去りにして。
「ふん。なによあの男。女がどーとか言いながら、自分こそ男のくせに情けないじゃないの。あなたも、これで少しは目が覚めたんじゃない?」
何故か顔を赤くした美影が、皮肉を込めてそう言って少女に目を向ける。
「・・・・・・」
しかし少女は、美影の言葉には答えず、美影をひと睨みして少年を追うように走り去っていった。
「恋は盲目とは、よく言ったものね」
走り去る少女の背を見つめながら、美影はひとり呟いた。
「美影!!」
そんな美影の元へとやって来た重清は、その背に声をかけた。
「あ、し、重清・・・・」
やって来た重清に気付いた美影は、モジモジしながら重清を見つめた。
「『美影に手を出すな』なんて・・・私、凄く嬉しかったわ」
「はい??」
美影の言葉に、重清はしばし硬直した。
(あ~、ニュアンスは全然違うけど、言葉は確かに近かったか)
重清は、自身の言葉を思い出し、思わず納得していた。
どうやら重清、段々と美影の思い込みの激しさを当たり前のように受け入れ始めていたようである。
「ん~、とりあえず、無事で良かったよ」
つっこみも面倒くさくなった重清が、ヤマト少年の無事に安堵の言葉を漏らすと、
「そんなに私のことを心配してくれたのね!嬉しいっ!!」
美影はそう言って、重清に抱きつくのであった。
(うん。今のは完全におれの言葉足らずだ。今度から、気をつけなきゃだな)
そう心に誓いつつ、重清はそっと抱きついてくる美影を引き離す。
「ご、ごめんなさい重清。こんな公衆の面前で・・・つ、続きはふたりっきりのときに、ね」
(誘惑に負けそうな自分が怖い!!)
顔を赤らめて言う美影の言葉に、重清はまた、頭を抱えるのであった。
-------
依頼
姉が彼氏からDVを受けているかもしれないので、調査し、必要に応じて姉を救ってほしい
結果
調査の結果、対象者はデートDVを受けていた模様。
『通りがかりの少女』が指摘したことで、その場は収まった。
今後、彼氏の様子を引き続き監視する必要あり。
評価
被害有無の確認方法は、具現獣と連携した良い動きでした。
しかし、美影様の衝動的な動きは、忍者の存在を脅かす可能性もあります。
街での行動には、十分に注意してください。
今後の監視については、警察担当者と連携しこちらで行います。
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