257 / 519
雑賀家お家騒動
第223話:幸せそうな2人?
しおりを挟む
「あれだねー」
一行が公園についたところで、ショウがベンチに座る一組の男女に目を向けて囁いた。
2人とも高校生であろうか。
制服を着た2人は、ベンチで仲良さそうに話していた。
「なんだ、普通に仲良さそうじゃん」
重清は、離れた所にいる2人を見ながら呟いた。
中学生より少し大人っぽいショートヘアの少女が、眼鏡をかけた理知的で優しそうな少年と楽しそうに会話している。
ここに恒久がいたら、きっと彼らに鳩の餌を投げかけていたであろう、そんな幸せそうな光景であった。
「んー、ここからだとよく分からないねー。せめて2人の会話が聞こえるといいんだけどねー」
「にゃぁ!」
ショウの言葉に、プレッソが鳴き声をあげた。
「プレッソが、近付いて聞いてくるって言ってます。1人だと大変だから、爺さんにも手伝ってほしいって。爺さんって、隠君が抱いてるゴロウのことかな?」
そう言って重清がプレッソの言葉を代弁して隠が抱えているゴロウに目を向ける。
「それは無理よ」
そんな重清に、美影はキッパリと言い切った。
「え?なんで??あ、ゴロウと契約してるのは美影のおじいさんなんだっけ。話せない具現獣は、契約者としか意思疎通できないんだもんな」
重清は納得したように、ゴロウに笑いかけた。
「いいえ、おじい様も、ゴロウとは話せないわ。もう何十年も、ゴロウは話していないらしいのよ。もう年で、話せないんでしょ。まぁ、具現獣なんかと話せても、そんなに意味はないけどね」
そう冷たく言い放った美影に重清は、
(またそういう事を言う)
と、呆れた様ため息をついて頷いた。
(だってさ、プレッソ)
(・・・・)
(ん?プレッソ、どうした?)
(オイラ、あの爺さんと話したぞ?)
(え?そうなの!?)
(あぁ。ま、あの爺さんにも何か理由があんだろ?いいよ、オイラ1人で行ってくるから)
そう重清にだけ答え、プレッソはベンチで話す2人の元へと掛けていった。
(爺さん、いつか理由、教えてくれよ?)
(ふんっ。うるさいわ、童が)
(なんだよ、やっぱ話せるんじゃねーか)
(・・・・・・)
(なんだ爺さん、スネたのか?)
(スネてなどおらんわ。さっさと行かんか!)
(へいへい)
プレッソは、ゴロウにそう返事をして2人の掛けるベンチの後ろへと座った。
ここからの2人の会話は、プレッソが重清に伝え、それを重清が代弁したものである。
「―――それでね、今度の休みの日に、皆でカラオケに行こうって話になったの」
「へぇ、いいね。楽しんでおいでよ」
「うん。それでね、一緒に行く人の中に、男の子もいて・・・」
「・・・ふぅ~ん。キミは、他の男と遊びたいんだ」
「ち、違う、そうじゃなくて・・・」
「何が違うの?じゃぁ、そのカラオケには行かないってこと?」
「いや、えっと・・・」
「行くんだろ?それで、他の男と仲良くなりたいんだろ?」
「そんなんじゃないの!ただ私は、友達と遊びたいだけなの!」
「別に友達なんて、女だけでいいじゃん。なんで男とも遊びたいんだよ?」
「だって、クラスメイトだし・・・」
「・・・わかったよ!勝手にすればいいだろ!!その代わり、俺は、お前と別れる!お前は、そのクラスメイトとやらと、存分に仲良くすればいいだろ!」
「そ、そんなに怒らないでよ!」
「うるさい!女のくせに、いちいち俺に反論するなっ!!」
「わ、わかったから!私、カラオケには行かないから!ずっとあなたといるからっ!!」
「・・・・それでいいんだ。君は、ただ僕の言うことを聞いていればいい。僕が必ず、君を幸せにしてあげるから」
「う、うん。ヤマト、大好きだよ」
「僕も、君の事が大好きだよ」
「うわっ、ちょ、あの2人キスしてるっ!!」
2人の様子を陰ながら見つつ会話を代弁していた重清が、2人から目を逸らして一同を見た。
「途中ちょっと怒鳴ってたみたいだけど、最終的にハッピーエンドだったし、特に問題ないんじゃない?」
顔を赤らめながらそう言った重清に、
「アンタ馬鹿じゃないの!?」
アカが反論した。
「今のは明らかにデートDVってやつよ。友達付き合いのことまで口出されて、あの人凄く可哀想・・・それに、『女のくせに』なんて、今どきそんなこと言うなんて!あなたもそう思うでしょ!?」
そう言ってアカは、重清の隣にいる美影へと目を向け―――
「ちょっとあなた!!何を言っているの!?」
その時、離れた所から重清の隣にいたはずの美影の怒鳴り声が聞こえてきた。
「「「うわぁ・・・」」」
いつの間にか高校生カップルの前に立ちはだかる美影の姿に、重清とアカ、そしてショウが言葉を漏らすのであった。
一行が公園についたところで、ショウがベンチに座る一組の男女に目を向けて囁いた。
2人とも高校生であろうか。
制服を着た2人は、ベンチで仲良さそうに話していた。
「なんだ、普通に仲良さそうじゃん」
重清は、離れた所にいる2人を見ながら呟いた。
中学生より少し大人っぽいショートヘアの少女が、眼鏡をかけた理知的で優しそうな少年と楽しそうに会話している。
ここに恒久がいたら、きっと彼らに鳩の餌を投げかけていたであろう、そんな幸せそうな光景であった。
「んー、ここからだとよく分からないねー。せめて2人の会話が聞こえるといいんだけどねー」
「にゃぁ!」
ショウの言葉に、プレッソが鳴き声をあげた。
「プレッソが、近付いて聞いてくるって言ってます。1人だと大変だから、爺さんにも手伝ってほしいって。爺さんって、隠君が抱いてるゴロウのことかな?」
そう言って重清がプレッソの言葉を代弁して隠が抱えているゴロウに目を向ける。
「それは無理よ」
そんな重清に、美影はキッパリと言い切った。
「え?なんで??あ、ゴロウと契約してるのは美影のおじいさんなんだっけ。話せない具現獣は、契約者としか意思疎通できないんだもんな」
重清は納得したように、ゴロウに笑いかけた。
「いいえ、おじい様も、ゴロウとは話せないわ。もう何十年も、ゴロウは話していないらしいのよ。もう年で、話せないんでしょ。まぁ、具現獣なんかと話せても、そんなに意味はないけどね」
そう冷たく言い放った美影に重清は、
(またそういう事を言う)
と、呆れた様ため息をついて頷いた。
(だってさ、プレッソ)
(・・・・)
(ん?プレッソ、どうした?)
(オイラ、あの爺さんと話したぞ?)
(え?そうなの!?)
(あぁ。ま、あの爺さんにも何か理由があんだろ?いいよ、オイラ1人で行ってくるから)
そう重清にだけ答え、プレッソはベンチで話す2人の元へと掛けていった。
(爺さん、いつか理由、教えてくれよ?)
(ふんっ。うるさいわ、童が)
(なんだよ、やっぱ話せるんじゃねーか)
(・・・・・・)
(なんだ爺さん、スネたのか?)
(スネてなどおらんわ。さっさと行かんか!)
(へいへい)
プレッソは、ゴロウにそう返事をして2人の掛けるベンチの後ろへと座った。
ここからの2人の会話は、プレッソが重清に伝え、それを重清が代弁したものである。
「―――それでね、今度の休みの日に、皆でカラオケに行こうって話になったの」
「へぇ、いいね。楽しんでおいでよ」
「うん。それでね、一緒に行く人の中に、男の子もいて・・・」
「・・・ふぅ~ん。キミは、他の男と遊びたいんだ」
「ち、違う、そうじゃなくて・・・」
「何が違うの?じゃぁ、そのカラオケには行かないってこと?」
「いや、えっと・・・」
「行くんだろ?それで、他の男と仲良くなりたいんだろ?」
「そんなんじゃないの!ただ私は、友達と遊びたいだけなの!」
「別に友達なんて、女だけでいいじゃん。なんで男とも遊びたいんだよ?」
「だって、クラスメイトだし・・・」
「・・・わかったよ!勝手にすればいいだろ!!その代わり、俺は、お前と別れる!お前は、そのクラスメイトとやらと、存分に仲良くすればいいだろ!」
「そ、そんなに怒らないでよ!」
「うるさい!女のくせに、いちいち俺に反論するなっ!!」
「わ、わかったから!私、カラオケには行かないから!ずっとあなたといるからっ!!」
「・・・・それでいいんだ。君は、ただ僕の言うことを聞いていればいい。僕が必ず、君を幸せにしてあげるから」
「う、うん。ヤマト、大好きだよ」
「僕も、君の事が大好きだよ」
「うわっ、ちょ、あの2人キスしてるっ!!」
2人の様子を陰ながら見つつ会話を代弁していた重清が、2人から目を逸らして一同を見た。
「途中ちょっと怒鳴ってたみたいだけど、最終的にハッピーエンドだったし、特に問題ないんじゃない?」
顔を赤らめながらそう言った重清に、
「アンタ馬鹿じゃないの!?」
アカが反論した。
「今のは明らかにデートDVってやつよ。友達付き合いのことまで口出されて、あの人凄く可哀想・・・それに、『女のくせに』なんて、今どきそんなこと言うなんて!あなたもそう思うでしょ!?」
そう言ってアカは、重清の隣にいる美影へと目を向け―――
「ちょっとあなた!!何を言っているの!?」
その時、離れた所から重清の隣にいたはずの美影の怒鳴り声が聞こえてきた。
「「「うわぁ・・・」」」
いつの間にか高校生カップルの前に立ちはだかる美影の姿に、重清とアカ、そしてショウが言葉を漏らすのであった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

いや、婿を選べって言われても。むしろ俺が立候補したいんだが。
SHO
歴史・時代
時は戦国末期。小田原北条氏が豊臣秀吉に敗れ、新たに徳川家康が関八州へ国替えとなった頃のお話。
伊豆国の離れ小島に、弥五郎という一人の身寄りのない少年がおりました。その少年は名刀ばかりを打つ事で有名な刀匠に拾われ、弟子として厳しく、それは厳しく、途轍もなく厳しく育てられました。
そんな少年も齢十五になりまして、師匠より独立するよう言い渡され、島を追い出されてしまいます。
さて、この先の少年の運命やいかに?
剣術、そして恋が融合した痛快エンタメ時代劇、今開幕にございます!
*この作品に出てくる人物は、一部実在した人物やエピソードをモチーフにしていますが、モチーフにしているだけで史実とは異なります。空想時代活劇ですから!
*この作品はノベルアップ+様に掲載中の、「いや、婿を選定しろって言われても。だが断る!」を改題、改稿を経たものです。

ダンマス(異端者)
AN@RCHY
ファンタジー
幼女女神に召喚で呼び出されたシュウ。
元の世界に戻れないことを知って自由気ままに過ごすことを決めた。
人の作ったレールなんかのってやらねえぞ!
地球での痕跡をすべて消されて、幼女女神に召喚された風間修。そこで突然、ダンジョンマスターになって他のダンジョンマスターたちと競えと言われた。
戻りたくても戻る事の出来ない現実を受け入れ、異世界へ旅立つ。
始めこそ異世界だとワクワクしていたが、すぐに碇石からズレおかしなことを始めた。
小説になろうで『AN@CHY』名義で投稿している、同タイトルをアルファポリスにも投稿させていただきます。
向こうの小説を多少修正して投稿しています。
修正をかけながらなので更新ペースは不明です。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。
そして夢をみた。
日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。
その顔を見て目が覚めた。
なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!
山田みかん
ファンタジー
「貴方には剣と魔法の異世界へ行ってもらいますぅ~」
────何言ってんのコイツ?
あれ? 私に言ってるんじゃないの?
ていうか、ここはどこ?
ちょっと待てッ!私はこんなところにいる場合じゃないんだよっ!
推しに会いに行かねばならんのだよ!!
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる