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雑賀家お家騒動
第200話:甲賀ソウ 対 雑賀クル 決着
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(岩石の術)
クルが手を掲げた直後、ソウの上空に直径10メートル程の巨大な岩が現れた。
「なっ!?」
ソウがその光景に絶句していると、クルはその場を飛び上がって岩の上へと着地し、拳を構えた。
「うそうそウソウソ!?」
ソウが慌ててその場を離れようとしていると、クルの拳が岩へと吸い込まれるようにぶつかり―――
「イヤイヤいやいや!!」
そのまま粉々に砕けてソウへと降り注いだ。
(くっ、木壁の術!)
咄嗟にソウは、アーチ状になった木の壁を出し、降り掛かる岩を防ごうと試みる。
直後、木の壁をいくつもの衝撃が襲った。
(つ、土の力なら、木の術で防げるはず―――)
「ピシッ!」
木の壁に忍力を送り続けていたソウの耳に、不吉な音が響いた。
そして、木の壁を突き破った複数の岩が、ソウを襲った。
「う、うわぁ~~っ!」
そんなソウの叫び声は、落下する岩の音へと吸い込まれていった。
「いや死んじゃうよっ!!」
瓦礫の中から立ち上がって、ソウは叫んだ。
思いっきり元気よく飛び出しはしたものの、その体にはいくつもの傷がついており、岩を防ぐために全力で纏っていた木の忍力が、ほとんど消えそうなくらいに弱々しくなっていた。
「凄い。今ので勝てると思ってたのに。あんなに直ぐ、忍力を纏う方に切り替えるなんて・・・」
クルが、そんなソウを見て驚いたように声を漏らしていた。
「とはいえ、あんまりゆっくりやってると、お2人に見られちゃうからね。そろそろ終わらせるよ?」
そう言ったクルは、再びマントで身を包み、姿を消した。
「くっ!」
ソウは声を上げながら、飛翔の術で飛び上がり、そのまま空中を動き回り始めた。
(凄い。あれを耐えるほど忍力を使ったのに、もうすぐに術で飛び回ってる。ソウ君、忍力量が僕なんかよりも圧倒的に多いんだ)
姿を隠しつつ空を見上げていたクルが、そんなことを考えていると。
(っ!?今、目が合った?うわっ!!)
クルがその場を離れると、地面に花の種がめり込んでいた。
(まさか、感知されてる?)
そう、クルが考えている間に、地面にめり込んでいた花の種から一輪の花が咲き、そこからクルへと花の種が飛ばされる。
(くっ!!)
クルは飛んでくる花の種を片手で撃ち落としながら花へと近づき、手刀でその花を切り裂いた。
霧散していく花からソウへと視線を向けたクルは、隠密の術に更に忍力を加えていった。
(うわぁ、また隠君の場所が分からなかった。けど――――)
ソウは辺りをキョロキョロと見るフリをして、直後にその場から飛翔の術で離れた。
「まさか、今のも感知したの?」
ソウが先程までいた所からマントを外して現れたクルが驚きの色が混じった声でソウを見ていると、
「ううん。今のは、ただの勘。でもこれで君は、逃げられない!空中では、自由に動けないでしょ?」
ソウはそう言って、再び自身の手に花を咲かせ、クルへと向けた。
「そうとは限らないよ?」
クルは笑ってそう答え、自身の足元に1メートル程の岩を出現させた。
「あっ!?」
ソウが声を上げたときには、クルはその岩を足場にソウへと向かって飛んできていた。
「くっ!!」
苦し紛れに、そうはそのまま花の種を放った。
それを片手でいなしたクルがソウへと迫り、そのままソウへと手のひらを向けて、
(岩石の術)
ソウの目の前に巨大な岩を出現させ、そのままソウごと地面に向ってそれを投げつけた。
(ぐっ、このままじゃ、ぺちゃんこだ!)
ソウは岩と地面に挟まれる直前に、飛翔の術で岩の下から抜け出し、直後に地面へと激突したその岩の上に立って、上空のクルに目を向けた。
(また、岩?)
クルのいたはずの上空にはただ、1つの岩があるだけであり、それにソウが気を取られていると、
「岩隠の術」
その声と同時に、ソウの首にクルの腕が巻き付いた。
(い、息が・・・)
ソウは必死にクルの腕を振りほどこうとするも、体の力で強化されたクルの腕はびくともせず、ただソウはもがくことしかできなかった。
「今のは、岩隠の術。普段僕は、この術しか使わないんだ。というか、お2人にはこの術しか覚えてないって言ってるから。でもおかげで、ただ岩の中に隠れるだけじゃなく、近くの岩に移動できるようになっちゃったんだ」
人の首を締めながら、世間話でもするように落ち着いた声でそう話すクルは、
「ソウ君。降参、してくれない?」
そう、優しくソウへと声をかけた。
(ぐっ)
それを聞いたソウは、そっと、クルの腕をタップするのであった。
クルが手を掲げた直後、ソウの上空に直径10メートル程の巨大な岩が現れた。
「なっ!?」
ソウがその光景に絶句していると、クルはその場を飛び上がって岩の上へと着地し、拳を構えた。
「うそうそウソウソ!?」
ソウが慌ててその場を離れようとしていると、クルの拳が岩へと吸い込まれるようにぶつかり―――
「イヤイヤいやいや!!」
そのまま粉々に砕けてソウへと降り注いだ。
(くっ、木壁の術!)
咄嗟にソウは、アーチ状になった木の壁を出し、降り掛かる岩を防ごうと試みる。
直後、木の壁をいくつもの衝撃が襲った。
(つ、土の力なら、木の術で防げるはず―――)
「ピシッ!」
木の壁に忍力を送り続けていたソウの耳に、不吉な音が響いた。
そして、木の壁を突き破った複数の岩が、ソウを襲った。
「う、うわぁ~~っ!」
そんなソウの叫び声は、落下する岩の音へと吸い込まれていった。
「いや死んじゃうよっ!!」
瓦礫の中から立ち上がって、ソウは叫んだ。
思いっきり元気よく飛び出しはしたものの、その体にはいくつもの傷がついており、岩を防ぐために全力で纏っていた木の忍力が、ほとんど消えそうなくらいに弱々しくなっていた。
「凄い。今ので勝てると思ってたのに。あんなに直ぐ、忍力を纏う方に切り替えるなんて・・・」
クルが、そんなソウを見て驚いたように声を漏らしていた。
「とはいえ、あんまりゆっくりやってると、お2人に見られちゃうからね。そろそろ終わらせるよ?」
そう言ったクルは、再びマントで身を包み、姿を消した。
「くっ!」
ソウは声を上げながら、飛翔の術で飛び上がり、そのまま空中を動き回り始めた。
(凄い。あれを耐えるほど忍力を使ったのに、もうすぐに術で飛び回ってる。ソウ君、忍力量が僕なんかよりも圧倒的に多いんだ)
姿を隠しつつ空を見上げていたクルが、そんなことを考えていると。
(っ!?今、目が合った?うわっ!!)
クルがその場を離れると、地面に花の種がめり込んでいた。
(まさか、感知されてる?)
そう、クルが考えている間に、地面にめり込んでいた花の種から一輪の花が咲き、そこからクルへと花の種が飛ばされる。
(くっ!!)
クルは飛んでくる花の種を片手で撃ち落としながら花へと近づき、手刀でその花を切り裂いた。
霧散していく花からソウへと視線を向けたクルは、隠密の術に更に忍力を加えていった。
(うわぁ、また隠君の場所が分からなかった。けど――――)
ソウは辺りをキョロキョロと見るフリをして、直後にその場から飛翔の術で離れた。
「まさか、今のも感知したの?」
ソウが先程までいた所からマントを外して現れたクルが驚きの色が混じった声でソウを見ていると、
「ううん。今のは、ただの勘。でもこれで君は、逃げられない!空中では、自由に動けないでしょ?」
ソウはそう言って、再び自身の手に花を咲かせ、クルへと向けた。
「そうとは限らないよ?」
クルは笑ってそう答え、自身の足元に1メートル程の岩を出現させた。
「あっ!?」
ソウが声を上げたときには、クルはその岩を足場にソウへと向かって飛んできていた。
「くっ!!」
苦し紛れに、そうはそのまま花の種を放った。
それを片手でいなしたクルがソウへと迫り、そのままソウへと手のひらを向けて、
(岩石の術)
ソウの目の前に巨大な岩を出現させ、そのままソウごと地面に向ってそれを投げつけた。
(ぐっ、このままじゃ、ぺちゃんこだ!)
ソウは岩と地面に挟まれる直前に、飛翔の術で岩の下から抜け出し、直後に地面へと激突したその岩の上に立って、上空のクルに目を向けた。
(また、岩?)
クルのいたはずの上空にはただ、1つの岩があるだけであり、それにソウが気を取られていると、
「岩隠の術」
その声と同時に、ソウの首にクルの腕が巻き付いた。
(い、息が・・・)
ソウは必死にクルの腕を振りほどこうとするも、体の力で強化されたクルの腕はびくともせず、ただソウはもがくことしかできなかった。
「今のは、岩隠の術。普段僕は、この術しか使わないんだ。というか、お2人にはこの術しか覚えてないって言ってるから。でもおかげで、ただ岩の中に隠れるだけじゃなく、近くの岩に移動できるようになっちゃったんだ」
人の首を締めながら、世間話でもするように落ち着いた声でそう話すクルは、
「ソウ君。降参、してくれない?」
そう、優しくソウへと声をかけた。
(ぐっ)
それを聞いたソウは、そっと、クルの腕をタップするのであった。
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