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雑賀家お家騒動
第190話:高まらないモチベーション
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本当に前話を読み飛ばした方のためのあらすじ
暴走する充希をなんとか押し留めた隠君であったが、そんなことはお構いなしに、美影は重清に手合わせを申し込むのであった。
「はぁ。マジで面倒臭い」
重清が、気だるそうに言いながら美影と距離を置いて対峙していた。
その声は小さかったため、離れて重清に向かい合う形で立っていた美影耳には届いてはいなかった。
そんな美影は、
「姉上、あんな末席、ちゃちゃっとやっちゃってください!
何なら、私が代わりましょうか!?そして勝ったら、ご褒美にハグなんかしてくれちゃったりして!?」
「しないわよ!クル!このバカ抑えといてよ!」
「は、はいっ!充希様、す、少し離れましょう!」
弟とじゃれ合っていた。
「はぁ。あんなんが本当に雑賀の本家なの?」
その光景を見ていた重清は、ため息交じりに呟いた。
(重清、甘く見るんじゃないわよ。雑賀家は、平八までとはいかないまでもしっかりとした教育体制が整っているわ)
そんな重清に、まだ具現化されていないチーノが重清の頭の中で語りかけてきた。
「姉上っ!!戦の前にマッサージでもっ!!」
「ちょっとやめて!私は今、あのバカ面末席をどう消滅させるかを考えてるんだから、邪魔しないでしょ!!」
(いや、チーノ。あれ本当にちゃんと教育されてんのか?)
チーノの言葉に、プレッソも呆れ声を出していた。
(・・・に、人間的にはどうかはわからないけど、力は本物のはずなのよっ!)
重清の目を通して美影達の様子を見ていたチーノは、焦ったようにそう返した。
「プレッソもそう思うよなぁ。なんか、やる気出ないよなー」
重清もまた、そうやってプレッソ達と戯れていると(ただし、傍から見たら独り言を言っているだけ)、重清の元へノリと麻耶がやってきた。
「ん?どうしたの、2人とも」
真剣な顔をした2人に、重清が緊張した面持ちで構えた。
「「重清、ちょっとお願いがある(の)」」
「な、なんだよ2人して」
「「重清、あいつ思いっきりぶっ飛ばせ!!」」
「はいぃ??」
2人の言葉に、重清は間抜けな声をあげた。
「いやいやいやいや。ノリさん、さっき言ってたじゃん!おれだけの問題じゃないって!
麻耶姉ちゃんだって、おれがそんなことしたら平太伯父さんの立場だって悪くなるんでしょ!?」
「いや、今回おそらくそれはない」
「へ?」
ノリの言葉に、重清は再び間の抜けた声を出した。
「さっきあの雑賀本家の高慢ちき娘は、“お前の”体に雑賀本家の実力を教え込むと言っていた。であれば、この後何が起ころうとも、それはあいつとお前、個人の話だ」
「うっわぁ~。それめちゃくちゃ屁理屈じゃないですか?」
重清が、笑ってノリに答えた。
「いいんだよ、そんなこと!最低でも、これで本家には言い訳できるんだから!」
「教師が言うことじゃないと思うけどな~。それで、麻耶姉ちゃんはいいの?」
「良いも何も、こっちからお願いしたいくらいよ。あの女、いつもこっちを見下してきてイライラしてんのよ!」
「だったら、自分でやればいいじゃん!」
「嫌よ。別にお父さんは、本家に睨まれても気にしないって言ってるけど、あの女普段からあれだけ面倒くさいのよ?もしも勝っちゃったりしたら、どうなるか分かったもんじゃないじゃない!」
「まぁ、そう言われたらそうだけど。って、おれはどうなってもいいのかよ!?」
「あんたがどうなろうと、私には影響ないから問題なし!!」
そう言って思いっきり笑顔で親指を立てるいとこに、重清は若干イラっとしたそうな。
「とはいえ・・・」
ノリが、そんな2人を遮った。
「雑賀家の実力は本物だ。実際に重清が勝てるかどうかは俺にもわからん。重清、心してかかれよ」
「いや、おれの意思関係なしに、もうおれが全力で行くこと決定してない?」
「「え、やれよ」」
「やれよって言っちゃったよ!もうわかったよ!やってみるよ!
ノリさん、何があっても、父さんたちに迷惑かからないように、フォローお願いします!
麻耶姉ちゃん、おれが負けたら、敵をうってくれ!」
「任せろ重清。お前以外の雑賀家の皆さんは、おれが全力で守る!」
「嫌よ。あんたが負けたら、ただ笑ってやるわ」
「やる気失くすなおい!
ノリさん、いい感じに返事してるけど、なんかおれだけはどうなってもいいとか思ってません!?
麻耶姉ちゃんに至っては、もう自分のことしか考えてないじゃん!!」
「「ごちゃごちゃ言わずに、当たって砕けてこい!!」」
「砕けること前提!?」
こうして重清は、いまいちモチベーションの上がらないまま、美影との模擬戦に臨むのであった。
暴走する充希をなんとか押し留めた隠君であったが、そんなことはお構いなしに、美影は重清に手合わせを申し込むのであった。
「はぁ。マジで面倒臭い」
重清が、気だるそうに言いながら美影と距離を置いて対峙していた。
その声は小さかったため、離れて重清に向かい合う形で立っていた美影耳には届いてはいなかった。
そんな美影は、
「姉上、あんな末席、ちゃちゃっとやっちゃってください!
何なら、私が代わりましょうか!?そして勝ったら、ご褒美にハグなんかしてくれちゃったりして!?」
「しないわよ!クル!このバカ抑えといてよ!」
「は、はいっ!充希様、す、少し離れましょう!」
弟とじゃれ合っていた。
「はぁ。あんなんが本当に雑賀の本家なの?」
その光景を見ていた重清は、ため息交じりに呟いた。
(重清、甘く見るんじゃないわよ。雑賀家は、平八までとはいかないまでもしっかりとした教育体制が整っているわ)
そんな重清に、まだ具現化されていないチーノが重清の頭の中で語りかけてきた。
「姉上っ!!戦の前にマッサージでもっ!!」
「ちょっとやめて!私は今、あのバカ面末席をどう消滅させるかを考えてるんだから、邪魔しないでしょ!!」
(いや、チーノ。あれ本当にちゃんと教育されてんのか?)
チーノの言葉に、プレッソも呆れ声を出していた。
(・・・に、人間的にはどうかはわからないけど、力は本物のはずなのよっ!)
重清の目を通して美影達の様子を見ていたチーノは、焦ったようにそう返した。
「プレッソもそう思うよなぁ。なんか、やる気出ないよなー」
重清もまた、そうやってプレッソ達と戯れていると(ただし、傍から見たら独り言を言っているだけ)、重清の元へノリと麻耶がやってきた。
「ん?どうしたの、2人とも」
真剣な顔をした2人に、重清が緊張した面持ちで構えた。
「「重清、ちょっとお願いがある(の)」」
「な、なんだよ2人して」
「「重清、あいつ思いっきりぶっ飛ばせ!!」」
「はいぃ??」
2人の言葉に、重清は間抜けな声をあげた。
「いやいやいやいや。ノリさん、さっき言ってたじゃん!おれだけの問題じゃないって!
麻耶姉ちゃんだって、おれがそんなことしたら平太伯父さんの立場だって悪くなるんでしょ!?」
「いや、今回おそらくそれはない」
「へ?」
ノリの言葉に、重清は再び間の抜けた声を出した。
「さっきあの雑賀本家の高慢ちき娘は、“お前の”体に雑賀本家の実力を教え込むと言っていた。であれば、この後何が起ころうとも、それはあいつとお前、個人の話だ」
「うっわぁ~。それめちゃくちゃ屁理屈じゃないですか?」
重清が、笑ってノリに答えた。
「いいんだよ、そんなこと!最低でも、これで本家には言い訳できるんだから!」
「教師が言うことじゃないと思うけどな~。それで、麻耶姉ちゃんはいいの?」
「良いも何も、こっちからお願いしたいくらいよ。あの女、いつもこっちを見下してきてイライラしてんのよ!」
「だったら、自分でやればいいじゃん!」
「嫌よ。別にお父さんは、本家に睨まれても気にしないって言ってるけど、あの女普段からあれだけ面倒くさいのよ?もしも勝っちゃったりしたら、どうなるか分かったもんじゃないじゃない!」
「まぁ、そう言われたらそうだけど。って、おれはどうなってもいいのかよ!?」
「あんたがどうなろうと、私には影響ないから問題なし!!」
そう言って思いっきり笑顔で親指を立てるいとこに、重清は若干イラっとしたそうな。
「とはいえ・・・」
ノリが、そんな2人を遮った。
「雑賀家の実力は本物だ。実際に重清が勝てるかどうかは俺にもわからん。重清、心してかかれよ」
「いや、おれの意思関係なしに、もうおれが全力で行くこと決定してない?」
「「え、やれよ」」
「やれよって言っちゃったよ!もうわかったよ!やってみるよ!
ノリさん、何があっても、父さんたちに迷惑かからないように、フォローお願いします!
麻耶姉ちゃん、おれが負けたら、敵をうってくれ!」
「任せろ重清。お前以外の雑賀家の皆さんは、おれが全力で守る!」
「嫌よ。あんたが負けたら、ただ笑ってやるわ」
「やる気失くすなおい!
ノリさん、いい感じに返事してるけど、なんかおれだけはどうなってもいいとか思ってません!?
麻耶姉ちゃんに至っては、もう自分のことしか考えてないじゃん!!」
「「ごちゃごちゃ言わずに、当たって砕けてこい!!」」
「砕けること前提!?」
こうして重清は、いまいちモチベーションの上がらないまま、美影との模擬戦に臨むのであった。
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