おれは忍者の子孫

メバ

文字の大きさ
上 下
214 / 519
外伝〜出会いの章〜

第12話:平八と雅のその後

しおりを挟む
後日、改めて雑賀本家当主、雑賀五兵衛から2人に連絡がありました。

雅は、やはり雑賀家との縁を切られることになりました。
ただし、それは雅が16歳になってから。

結婚について触れられてはいませんでしたが、そのことからも雑賀五兵衛の気持ちは、2人にしっかりと伝わっていました。

その後、2人は結婚しました。

でも、それからの方が大変だったと思います。

平八は予定より1年遅かったけれど、教師になりました。
そして、雅と共に平八は、契約忍者の教育体制を作り上げていきました。

しかし、それがすぐに受け入れられる訳ではなかったのです。

長い歴史のある血の契約者の家系は、平八達の作った教育体制に異議を唱え続けました。
その頃が1番、平八達の命を狙う刺客が多かったと思います。

もちろん、平八と雅に敵う忍者はいなかったけれど。

血の契約者の寄り合いと化していた協会も、もちろん平八達の考えには難色を示していました。

そんな流れを変えるきっかけを作ったのは、雅の父、雑賀五兵衛でした。

彼は、忍者としての力はそれ程でもなかったけれど、忍者教育者としては、一目置かれる存在でした。
そんな彼が少しずつ、平八の教育方法を取り入れていったのです。

それから平八と雅は、少しずつ、血の契約者達の説得に奔走していました。

そしてついに、正式に平八達の教育体制が取り入れられることになりました。

あの時は、本当に嬉しかったわ。

そして長年の苦労を認められた平八は、忍者協会の幹部になりました。
最終的には、会長にまでなっちゃったけれど。

それと時を同じくして、雅は再び、雑賀家へ戻ることが認められました。
雑賀五兵衛は、この機会を待っていたみたいでした。

それでも、本家としてではなく分家の末席という扱いでした。

古臭いしきたりなんか捨てて雅を当主に迎え入れていれば、『雑賀家は血の契約者で最弱』だなんて呼ばれることはなかったのではないかと思います。

でもおそらく、本家当主といえどそこまですることは出来なかったのだと思います。
それでも雑賀家に戻したいと考えるあたり、雑賀五兵衛の雅への愛が伺えました。

といっても、雅の方も本家に戻る気持ちなんてさらさらなかったみたいでした。

結局雑賀本家の当主は、雅の弟が継いだみたいです。
年の離れた弟が継いだことで、雅はどこか嬉しそうだったのを覚えています。

ちなみに平八は、雅が雑賀家末席に加わった時に、甲賀から雑賀へと忍名を変え、忍者としては婿入りした形になりました。

おそらく、自身の教育体制を後押ししてくれた雑賀五兵衛への、平八なりの恩返しの意味もあったのだと思います。

実際、あの2人が雑賀家の一員になって、雑賀家は大きく成長を遂げました。
それと同時に、『最弱』の名も、いつの間にか消えて無くなりました。

何故か『最強』とは、呼ばれなかったけれど。
まぁ、分家の末席だし、しょうが無いんでしょうね。

ここで、2人のお話はお終いよ。

もちろんあの2人だから、まだまだたくさんの偉業があります。
でも、それまで話しだしたらきりが無いから、今日のところはこれまでよ。

機会があったら、また2人の話、聞かせてあげるわね。

え?平八がどんなプロポーズをしたか、ですって?

ふふふ。それは、平八と雅、そして私だけの秘密よ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!

さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ 祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き! も……もう嫌だぁ! 半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける! 時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ! 大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。 色んなキャラ出しまくりぃ! カクヨムでも掲載チュッ ⚠︎この物語は全てフィクションです。 ⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

幻の十一代将軍・徳川家基、死せず。長谷川平蔵、田沼意知、蝦夷へ往く。

克全
歴史・時代
 西欧列強に不平等条約を強要され、内乱を誘発させられ、多くの富を収奪されたのが悔しい。  幕末の仮想戦記も考えましたが、徳川家基が健在で、田沼親子が権力を維持していれば、もっと余裕を持って、開国準備ができたと思う。  北海道・樺太・千島も日本の領地のままだっただろうし、多くの金銀が国外に流出することもなかったと思う。  清国と手を組むことも出来たかもしれないし、清国がロシアに強奪された、シベリアと沿海州を日本が手に入れる事が出来たかもしれない。  色々真剣に検討して、仮想の日本史を書いてみたい。 一橋治済の陰謀で毒を盛られた徳川家基であったが、奇跡的に一命をとりとめた。だが家基も父親の十代将軍:徳川家治も誰が毒を盛ったのかは分からなかった。家基は田沼意次を疑い、家治は疑心暗鬼に陥り田沼意次以外の家臣が信じられなくなった。そして歴史は大きく動くことになる。 印旛沼開拓は成功するのか? 蝦夷開拓は成功するのか? オロシャとは戦争になるのか? 蝦夷・千島・樺太の領有は徳川家になるのか? それともオロシャになるのか? 西洋帆船は導入されるのか? 幕府は開国に踏み切れるのか? アイヌとの関係はどうなるのか? 幕府を裏切り異国と手を結ぶ藩は現れるのか?

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成! この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。 戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。 これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。 彼の行く先は天国か?それとも...? 誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。 小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中! 現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!

ユウ
ファンタジー
侯爵令嬢のサーシャは平凡な令嬢だった。 姉は国一番の美女で、才色兼備で聖女と謡われる存在。 対する妹のサーシャは姉とは月スッポンだった。 能力も乏しく、学問の才能もない無能。 侯爵家の出来損ないで社交界でも馬鹿にされ憐れみの視線を向けられ完璧を望む姉にも叱られる日々だった。 人は皆何の才能もない哀れな令嬢と言われるのだが、領地で自由に育ち優しい婚約者とも仲睦まじく過ごしていた。 姉や他人が勝手に憐れんでいるだけでサーシャは実に自由だった。 そんな折姉のジャネットがサーシャを妬むようになり、聖女を変われと言い出すのだが――。

処理中です...