おれは忍者の子孫

メバ

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彼らの日常と蠢く影

第179話:夏休みも終わりに近づき

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なんだかんだあった夏休みも、いよいよ最終日の前日となったこの日。

忍者部の面々は部室に集まっていた。
もちろん、社会科研究部の部室ではなく、いつも修行をしている雅の作った空間である忍者部の部室に。

「あー。結局、夏休みの間に新しい術できなかったな~」
そんななか重清が、残念そうに呟いていた。

「まぁ、術なんてそうそう自力では作れないらしいから、仕方ないよ」
ソウが、重清を励ますように返した。

「自力で2つも術を契約したソウに言われてもなー」
重清が、ソウをジト目で見ていると、一同の前に立ったノリが全員を見渡して話し出す。

「明日で夏休みも終わりだ。明日は1日休みとする。今年は色々とあったが、みんな毎日よく頑張ったな。麻耶も、こいつらに付き合ってくれて助かった。これからもよろしく頼むな」
ノリはそう言って麻耶に頭を下げた。

「いいえ、私も、良い修行になりました。みんな、これからもよろしくね!」
そう言って一同に笑顔を振りまく麻耶に重清は、

「そういえば、麻耶姉ちゃんって、2中に転校してくることになるの?」
そう、声をかけた。

「いいえ、転校はしないわよ。あくまで1中に在学しながら、修行だけこっちでやるってだけ。私にだって1中に友達いるし、わざわざ転校するまでもないわよ」
「でも、なんか気まずくないの?」

「その辺は気にすんな。俺の方からロキには話してるから、そこまで気まずくなることはねーだろ。」
「ノリさんの言う通りよ重清。まぁ、一部面倒なことになりそうなやつはいるんだけどね」
麻耶は、自身にあからさまに好意を寄せるイチを思い浮かべてため息をついた。

「モテる女は大変だな、麻耶。でも俺としては、お前ら全員、この夏休みの間に誰1人として恋人ができず、本当にうれしい限りだ。毎日を修行で拘束した甲斐があったってもんだ」
「いやそこかよっ!そもそも別にここでの修行は実際には時間取られてねーから、意味ねーだろっ!!」
ノリの言葉に、恒久がつっこんだ。

「いいんだよ、んなことは!お前らが青春してねーことの方が俺には大事なんだよ!!たまにいるんだよな、夏休みの間に『彼女出来ちゃいました』とか言い出すヤツが。今年はそんなヤツがいなくて、俺は本当に嬉しいぞ!」
「そんなに人の幸せがムカつくんだったら、さっさとアンタが恋人の1人でも作れよ!」
恒久が、再びノリにつっこむ。

「うるせーな!!教師ってのは忙しいんだよっ!恋人とか作る余裕も無いわ!!あー、彼女欲しい」
ノリは、恒久に返しつつ、最後に本音を駄々漏らしていた。

「ノリさんって、普通にかっこいいのに、なんで彼女作らないんだろうね?」
「あー、なんかね、ノリさんには理想の出会いがあるらしいわよ」
そんなノリをしり目に、麻耶とアカがそう話していた。

「あっ、それおれも聞いたことある!」
アカの言葉に、重清が食いついた。

「ちょっ、その話はやめろっ!雅様だな、アカに言ったのは!」
ノリが、焦ってアカたちに割って入る。

「でも、どんな出会いなのかは聞いてないんですよね。ノリさん、教えてくださいよ~」
アカが、焦るノリにニヤニヤしながら返すと、

「だっ、誰が話すか!それよりもお前ら、ちゃんと夏休みの宿題は終わらせてんだろうな!?
こういう時、重清あたりが全くやってなくてパニクるのが定番だろ!?」
「え、ちょっと、なんでおれ!?」
話を逸らすためのノリの流れ弾に着弾した重清が、抗議の声をあげた。

「ちゃんとやってるし!な!」
「うん。ぼくたち、修行の後にいつもt『中央公園』でやってたからね」
「あぁ、あそこがあるお陰で宿題が捗ったもんな」
「本当よね。わたしも、みーちゃんとの修行が終わったら一緒にやってたから、みんなちゃんと宿題終わらせることができたもんね」
重清達1年生が、口々にどや顔でノリに返した。

「そりゃよかったよ。ってことは、あっちの方もちゃんとできてるんだよな?」

「「「「あっち、とは??」」」」
ノリの言葉に、それまでどや顔だった4人がポカンとした表情でノリを見た。

「お、お前らまさか、忘れてるんじゃないだろうな?」
そんな4人に、シンが立ち上がって言った。

「いや、立ち上がるほどのことですか?」
恒久が、そんなシンに笑ってつっこんだ。

「もしお前らが忘れてたんなら、立ち上がるほどのことなんだよ。
お前ら、1週間後、何があるかわかってるか?」

「「「「1週間後??」」」」
シンの言葉に、4人が再びポカンとする。

「うん、これは忘れてるねー。」
4人の表情を見たショウが、笑いながらシンに代わって話し出した。

「この学校ではね、夏休み明けの1週間後に、文化祭があるんだよー。うちではクラスごとの出し物とかは無くて、あくまで文化部の発表の場、って位置づけだからねー」

「「「「文化祭??」」」」
4人が、首を傾げた。

「はっはっは!こいつら、完全に忘れとるぞ!」
「あーあ」
ノブとケンが、4人に憐れんだ視線を向けた。

ノブが憐れんでいるかはさておき。

「俺、最初の方で話したよな?ここは忍者部ではあるが、表向きは社会科研究部だ。だから、文化祭では社会科研究部としてそれなりに何かをまとめた報告書を出す、って。」

「「「「あ」」」」
4人は、それぞれに絶望の表情を浮かべるのであった。
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