おれは忍者の子孫

メバ

文字の大きさ
上 下
175 / 519
彼らの日常と蠢く影

第167話:下着はしっかり着けましょう

しおりを挟む
重清の様子に老人が笑みを浮かべていると、

「親父殿。あなたも脱線し始めてますよ。そろそろ行かないと・・・」
「わかっておる。重清よ、最後にひとつだけアドバイスをしてやろう。」
ドウに声をかけられた老人は、ドウの元へと歩きながらそう言って重清に声をかけた。

「ユキが言ったかもしれんが、お前さん達は術に頼りすぎておる。術だけでなく、心・技・体の力の使い方を、しっかりと身につけよ。そうすれば自ずと術の力も上がってこよう。
幸いお前さんには、すぐ近くに力の使い方に長けた者がおる。力を失った身でありながら、ウチのグリを倒すほどの者が、の。
おっと、噂をすれば、お前さんの具現獣達も近づいておるようだな。
それでは重清よ、またな。」

「重清君、失礼しますね。」

「じゃぁーねぇー。今日はごめんねぇ、殴っちゃってぇ。お詫びに、ちょっとだけおパンチラのサービスだよぉ。」
ユキはそういうと、ドウが担いでいるグリと呼ばれていたエロ女のチャイナドレスをちらりとめくる。

「「「「ノーパンッ!?」」」」

「あれぇ?パンチラサービスのつもりだったのにぃ。ちょっと中学生には刺激が強すぎたかなぁ。
でもなんで履いてないんだよぉ。」
「グリはいつも言ってましたからね。いつでも親父を誘惑できる準備はできている、と。こういうことでしたか・・・
というかユキ、パンチラって結構古くないですか?」
「はぁ!?儂!?え、これ儂のせいなのか!?というかユキ、さっさとその服を元に戻さぬかっ!!
そしてドウ!パンチラに古いもなにもあるか!パンチラは永遠の現役だ!」

3人は、騒ぎながらそのままフッと姿を消すのであった。



「「重清っ!」」
そのすぐ後に、プレッソと智乃の姿となったチーノが重清のもとに駆けつけた。

「おい重清、大丈夫か!?鼻血出てるぞっ!!」
「ノーパ・・・じゃなくって、ノープロブレム!!」
そう言って鼻血を垂らしながらプレッソに対して親指を立てる重清の表情は、未だ嘗てないほど輝いていたそうな。

少しだけ、大人の階段を上った重清なのであった。

「何が起きたか、なんとなくだけど想像がついたわ。」
智乃が、呆れたようにそう呟いていた。

「あれ、智乃もしかして今、『色気抑えてないバージョン』?」
鼻血を拭いながら、重清が智乃に声をかける。

「あら、忘れていたわ。このままだと、みんなと合流するのに都合が悪いわね。」
智乃はそう言うと、猫の姿へと戻るのであった。

「それにしても重清、今のチーノの姿でも、全然動揺しねーんだな。」
「まぁ、『エロ姉ちゃんバージョン』の姿を見てるからなー。それに、今はさらに色々とあって耐性ができたみたいだな。」
そう言ってにやける重清に、

「あら、そう言われると、少し悔しくなるわね。」
そう言ったチーノから、色気という名の凶器が溢れてくる。

「うわっっ!ちょ、チーノ、やばいから!それほんとやばいからっ!!」
チーノの色気にあてられた重清は、増量した鼻血を溢れさせながら慌ててそう言うと、

「あれ??なんか、グルグルする・・・」

そう呟いて、そのままその場へと倒れ込んだ。

「チーノ、やりすぎじゃねーか?」
「・・・昔の癖で、つい。反省してます・・・」
シュンとして落ち込む、チーノなのであった。



「・・・あれ、ここは?」
「あっ、シゲ!大丈夫!?」
テントの中で目を覚ました重清に、聡太が寄ってくる。

「そ、ソウ、か。おれ、どうしちゃったんだ?」
「シゲ、倒れちゃってたんだよ?鼻血いっぱい出して。そんなにひどくやられたの?」

「いや、まぁ、うん。」
ノーパン×チーノの色気という二重攻撃によるものだと言えなかった重清は、聡太の言葉に目を伏せてそう答えていた。

「??まぁ、無事ならいいんだけどさ。」
そんな重清を不思議に思いつつ、聡太はそう返して重清に濡れたタオルを渡した。

「ありがとな。ソウは、大丈夫だったのか?っていうか、他のみんなは?」
タオルを受け取った重清が、鼻周りを重点的に拭きながら言うと、

「みんな無事だよ。ぼく以外は、誰もあの人たちには会わなかったみたい。」
聡太は、重清にそう返してテントの入り口を開け放った。

「うわっ、眩しい・・・えっ、眩しい!ちょ、ソウ!もしかしてもう、朝なの!?」
「え?そうだよ??シゲ、ぼくらが迎えに行った時には倒れてて、そのままず~っと寝てたんだよ?」

「まじかぁー。せっかくのキャンプ、台無しじゃんか~。」
「いや、今は絶対に、そこじゃないよね。みんな心配してたんだからね?」

「は、はい。」
「それでシゲ、あの人たちとは何か話したの?」

「ん?襲ってきた人達のこと?うんまぁ、少しはね。」
「ノリさんが、詳しく聞きたいんだってさ。とりあえず、シゲが起きたら一度帰って、『中央公園』に行くって言ってたよ。」

「はぁ~。もう帰んのかよ~。おれ達、何しに来たんだろうなぁ。」
「ノリさんの裸覗きに、だね。」
落ち込む重清に、聡太は笑ってそう返すのであった。

こうして重清達のキャンプは終わりを告げ、一行は『中央公園』へと向かうことになるのであった。

しかし、彼らはこのゴタゴタのせいで忘れていた。

彼らが何の途中でゴタゴタに巻き込まれたのかを。
そして、その禊が終わっていないことを。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

旧転生者はめぐりあう

佐藤醤油
ファンタジー
リニューアル版はこちら https://www.alphapolis.co.jp/novel/921246135/161178785/

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

墓守の荷物持ち 遺体を回収したら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアレア・バリスタ ポーターとしてパーティーメンバーと一緒にダンジョンに潜っていた いつも通りの階層まで潜るといつもとは違う魔物とあってしまう その魔物は僕らでは勝てない魔物、逃げるために必死に走った だけど仲間に裏切られてしまった 生き残るのに必死なのはわかるけど、僕をおとりにするなんてひどい そんな僕は何とか生き残ってあることに気づくこととなりました

転生オートマタ

未羊
ファンタジー
舞台は魔法石という魔力を持った石を使った自律人形(オートマタ)をパートナーとして持つ世界。 自分の書いたお話で、どうしても救えなかった登場人物を救うために、天寿を全うした女性はその世界へと降り立った。救いたかった人物のパートナーであるオートマタとして……

職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ
ファンタジー
幕末最強の人斬りが、異世界転移。 令和日本人なら、誰しも知ってる異世界お約束を何も知らなくて、毎度、悪戦苦闘。 しかし、並々ならぬ人斬りスキルで、逆境を力技で捩じ伏せちゃう物語。 『骨から始まる異世界転生』の続き。

処理中です...