173 / 519
彼らの日常と蠢く影
第165話:力の差
しおりを挟む
「くっ、速ぇ!!」
重清は、言いながら相手の攻撃を避けていた。
「その割には当たらないねぇ~。」
相手の男は笑いながら飛び上がり、そのまま重清に踵を振り下ろした。
(鉄壁の術・柔!)
重清は、それを柔らかくした盾で受け止める。
「おっとぉ~。足が抜けないなぁ~。
なぁ~んてねっ。」
男はそう言いながら、力づくで鉄壁から抜いた足でそのまま重清を蹴りつけた。
「うわぁっ!!」
「練度がまだまだだよぉ~。そんなんで、よくヒトに勝てたねぇ~。」
空中で体勢を整えて着地した重清に、男が笑いかけてくる。
「ヒトって、呉羽ばあちゃんのとこに来たおじさん!?
ってことは、お兄さんあの人の仲間!?」
「ん~、まぁ、仲間っちゃぁ仲間かなぁ~。ちなみに、あっちの、女の弟子なんだよぉ~。」
「っ!?あの、チーノよりはエロくないお姉さんの!?」
「あっはっは。それ、本人に伝えてあげてぇ~。
いつも、『自分はエロい!』ってうるさいんだよぉ~。」
「いやでも、確かにエロくはあるよ?」
「いやいやぁ~、猫よりエロくない時点で、まだまだでしょぉ~?」
「いやまぁ、チーノが特別というか・・・」
「っておかしいなぁ~。こんな話するために来たんじゃないんだけどなぁ~。」
「あ、そうだった!お兄さん、目的はなんなの!?」
「うわぁ~、取ってつけたねぇ~。でもまぁ、答えてあげるよぉ~。
僕たちの目的はねぇ、ただ君に一目会いたかっただけなのさぁ~。あの2人の孫である、君にねぇ~。」
「お、おれに!?2人って、じいちゃんとばあちゃん!?」
「そうだよぉ~。って、それだと父方と母方のどっちかわからないけどねぇ~。」
「あ、そっか。いやなんか、いつもばあちゃん、あ、雑賀雅の方ね、ばあちゃんが目立ちすぎてて、母さんの方のじいちゃんとばあちゃんの影が薄いんだよな~、。」
「まぁ、こっちの調べでは母方はどちらも忍者ではないみたいだから、しょうがないんじゃないのかなぁ~。」
「え、そうなの!?ってか、なんで襲ってきた相手からそんな大事な設定聞かされるの!?」
「いや設定って君ねぇ~。っていうか、やっぱり君と話してると調子狂っちゃうなぁ~。よく言われなぁい?」
「いや~、まぁ、よく話を脱線させるとは言われるけど・・・正直、よくわかってはない、かな。」
「自覚、ないんだねぇ~。そのあたりは、さすが雑賀平八の孫って感じだけど。でも、肝心の力の方は・・・」
「いやそこで止めないで!流れでだいたい言いたい事はわかるけどっ!」
「まぁ、そういうことだよねぇ。才能だけで言ったら、ウチの弟子の方がありそうだしねぇ。ま、そのあたりは今後に期待したいとこだけど、あんまり時間が無いからねぇ。
少しだけ、アドバイスしてあげようかなぁ。」
「弟子?っていうか、アドバイスって・・・」
「とりあえず、もう一度掛かってきてごらんよぉ。」
男はそう言って、重清を手招きする。
「余裕だなー。まぁ、中学生相手じゃしょうがないんだろうけど。」
男の余裕に若干の不満を抱きつつも、重清は術を発動する。
(雷纏の術っ!)
そしてそのまま、男に向かって地を蹴った。
「またそれかぁ~。今度は当てるよぉ~。」
そう言った男は、迫る重清の目の前から姿を消し、立ち止まって辺りを見回す重清の側に現れて拳をふるった。
「ぐぁっ!」
そのまま重清の頬を打つ男の拳で、重清はそのまま飛ばされる。
「うわっ、今バチッてしたよぉ。その術、ホントいやらしいねぇ。」
『静電気がきた』みたいなノリで手を擦った男は、飛ばされた重清を見つめる。
「君達は、術に頼り過ぎなんだよねぇ。だから、ただの体の力で強化した僕に、触れることも出来ないんだよぉ。」
「い、今のが、体の力?」
口から出る血を拭いながら重清は、男の言葉にそう呟く。
そして、震える膝を叱咤して、立ち上がる。
殴られた痛みや恐怖、そしてそれ以上に、歴然とした力の差に対する絶望が、重清の膝を、そして心を襲っていた。
「せっかく、新しい術を覚えて強くなったと思ってたのに・・・」
重清は、ただ力なく立っていた。
振るえる膝で、悔しさの籠った拳を握りしめながら。
「術だけが全てだなんて、誰がきめたのさぁ。
あっ、言うの忘れてた。今の一発は、ウチの弟子の分ねぇ。」
「・・・・・・」
「あれぇ?ショックで放心しちゃったぁ~?」
男が笑ってそう言っていると。
「おーまーえーらぁーーーー!!!何を勝手しとるんじゃぁーーーーーーーーー!!!」
空から、大地が震えるほどの怒号が響き渡った。
「あちゃぁ~、バレちゃったかぁ~」
男がそう言いながら重清に近づいてその襟元を掴み、そのままその場を飛び上がった。
「グェッ!」
重清のカエルのつぶれたような声と同時に、重清達のいた場所に何かが落ち、大きな衝撃が地をえぐり、大量に舞い上がった土砂が、重清達を埋め尽くしていった。
「いや死ぬわっ!!!」
埋められた土砂からはい出した重清が叫びながら辺りを見回すと、そこには半径50メートルほどの、大きなクレーターがあり、その中心には1人の屈強な老人が佇んでいた。
重清は、言いながら相手の攻撃を避けていた。
「その割には当たらないねぇ~。」
相手の男は笑いながら飛び上がり、そのまま重清に踵を振り下ろした。
(鉄壁の術・柔!)
重清は、それを柔らかくした盾で受け止める。
「おっとぉ~。足が抜けないなぁ~。
なぁ~んてねっ。」
男はそう言いながら、力づくで鉄壁から抜いた足でそのまま重清を蹴りつけた。
「うわぁっ!!」
「練度がまだまだだよぉ~。そんなんで、よくヒトに勝てたねぇ~。」
空中で体勢を整えて着地した重清に、男が笑いかけてくる。
「ヒトって、呉羽ばあちゃんのとこに来たおじさん!?
ってことは、お兄さんあの人の仲間!?」
「ん~、まぁ、仲間っちゃぁ仲間かなぁ~。ちなみに、あっちの、女の弟子なんだよぉ~。」
「っ!?あの、チーノよりはエロくないお姉さんの!?」
「あっはっは。それ、本人に伝えてあげてぇ~。
いつも、『自分はエロい!』ってうるさいんだよぉ~。」
「いやでも、確かにエロくはあるよ?」
「いやいやぁ~、猫よりエロくない時点で、まだまだでしょぉ~?」
「いやまぁ、チーノが特別というか・・・」
「っておかしいなぁ~。こんな話するために来たんじゃないんだけどなぁ~。」
「あ、そうだった!お兄さん、目的はなんなの!?」
「うわぁ~、取ってつけたねぇ~。でもまぁ、答えてあげるよぉ~。
僕たちの目的はねぇ、ただ君に一目会いたかっただけなのさぁ~。あの2人の孫である、君にねぇ~。」
「お、おれに!?2人って、じいちゃんとばあちゃん!?」
「そうだよぉ~。って、それだと父方と母方のどっちかわからないけどねぇ~。」
「あ、そっか。いやなんか、いつもばあちゃん、あ、雑賀雅の方ね、ばあちゃんが目立ちすぎてて、母さんの方のじいちゃんとばあちゃんの影が薄いんだよな~、。」
「まぁ、こっちの調べでは母方はどちらも忍者ではないみたいだから、しょうがないんじゃないのかなぁ~。」
「え、そうなの!?ってか、なんで襲ってきた相手からそんな大事な設定聞かされるの!?」
「いや設定って君ねぇ~。っていうか、やっぱり君と話してると調子狂っちゃうなぁ~。よく言われなぁい?」
「いや~、まぁ、よく話を脱線させるとは言われるけど・・・正直、よくわかってはない、かな。」
「自覚、ないんだねぇ~。そのあたりは、さすが雑賀平八の孫って感じだけど。でも、肝心の力の方は・・・」
「いやそこで止めないで!流れでだいたい言いたい事はわかるけどっ!」
「まぁ、そういうことだよねぇ。才能だけで言ったら、ウチの弟子の方がありそうだしねぇ。ま、そのあたりは今後に期待したいとこだけど、あんまり時間が無いからねぇ。
少しだけ、アドバイスしてあげようかなぁ。」
「弟子?っていうか、アドバイスって・・・」
「とりあえず、もう一度掛かってきてごらんよぉ。」
男はそう言って、重清を手招きする。
「余裕だなー。まぁ、中学生相手じゃしょうがないんだろうけど。」
男の余裕に若干の不満を抱きつつも、重清は術を発動する。
(雷纏の術っ!)
そしてそのまま、男に向かって地を蹴った。
「またそれかぁ~。今度は当てるよぉ~。」
そう言った男は、迫る重清の目の前から姿を消し、立ち止まって辺りを見回す重清の側に現れて拳をふるった。
「ぐぁっ!」
そのまま重清の頬を打つ男の拳で、重清はそのまま飛ばされる。
「うわっ、今バチッてしたよぉ。その術、ホントいやらしいねぇ。」
『静電気がきた』みたいなノリで手を擦った男は、飛ばされた重清を見つめる。
「君達は、術に頼り過ぎなんだよねぇ。だから、ただの体の力で強化した僕に、触れることも出来ないんだよぉ。」
「い、今のが、体の力?」
口から出る血を拭いながら重清は、男の言葉にそう呟く。
そして、震える膝を叱咤して、立ち上がる。
殴られた痛みや恐怖、そしてそれ以上に、歴然とした力の差に対する絶望が、重清の膝を、そして心を襲っていた。
「せっかく、新しい術を覚えて強くなったと思ってたのに・・・」
重清は、ただ力なく立っていた。
振るえる膝で、悔しさの籠った拳を握りしめながら。
「術だけが全てだなんて、誰がきめたのさぁ。
あっ、言うの忘れてた。今の一発は、ウチの弟子の分ねぇ。」
「・・・・・・」
「あれぇ?ショックで放心しちゃったぁ~?」
男が笑ってそう言っていると。
「おーまーえーらぁーーーー!!!何を勝手しとるんじゃぁーーーーーーーーー!!!」
空から、大地が震えるほどの怒号が響き渡った。
「あちゃぁ~、バレちゃったかぁ~」
男がそう言いながら重清に近づいてその襟元を掴み、そのままその場を飛び上がった。
「グェッ!」
重清のカエルのつぶれたような声と同時に、重清達のいた場所に何かが落ち、大きな衝撃が地をえぐり、大量に舞い上がった土砂が、重清達を埋め尽くしていった。
「いや死ぬわっ!!!」
埋められた土砂からはい出した重清が叫びながら辺りを見回すと、そこには半径50メートルほどの、大きなクレーターがあり、その中心には1人の屈強な老人が佇んでいた。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

パーティーを追放された落ちこぼれ死霊術士だけど、五百年前に死んだ最強の女勇者(18)に憑依されて最強になった件
九葉ユーキ
ファンタジー
クラウス・アイゼンシュタイン、二十五歳、C級冒険者。滅んだとされる死霊術士の末裔だ。
勇者パーティーに「荷物持ち」として雇われていた彼は、突然パーティーを追放されてしまう。
S級モンスターがうろつく危険な場所に取り残され、途方に暮れるクラウス。
そんな彼に救いの手を差しのべたのは、五百年前の勇者親子の霊魂だった。
五百年前に不慮の死を遂げたという勇者親子の霊は、その地で自分たちの意志を継いでくれる死霊術士を待ち続けていたのだった。
魔王討伐を手伝うという条件で、クラウスは最強の女勇者リリスをその身に憑依させることになる。
S級モンスターを瞬殺できるほどの強さを手に入れたクラウスはどうなってしまうのか!?
「凄いのは俺じゃなくて、リリスなんだけどなぁ」
落ちこぼれ死霊術士と最強の美少女勇者(幽霊)のコンビが織りなす「死霊術」ファンタジー、開幕!

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

伯爵夫人のお気に入り
つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。
数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。
喜ぶ伯爵夫人。
伯爵夫人を慕う少女。
静観する伯爵。
三者三様の想いが交差する。
歪な家族の形。
「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」
「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」
「家族?いいえ、貴方は他所の子です」
ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。
「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。
EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~
青空顎門
SF
病で余命宣告を受けた主人公。彼は介護用に購入した最愛のガイノイド(女性型アンドロイド)の腕の中で息絶えた……はずだったが、気づくと彼女と共に見知らぬ場所にいた。そこは遥か未来――時空間転移技術が暴走して崩壊した後の時代、宇宙の遥か彼方の辺境惑星だった。男はファンタジーの如く高度な技術の名残が散見される世界で、今度こそ彼女と添い遂げるために未来の超文明の遺跡を巡っていく。
※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。

アリシアの恋は終わったのです【完結】
ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。
その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。
そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。
反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。
案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。
ーーーーー
12話で完結します。
よろしくお願いします(´∀`)

オタクな母娘が異世界転生しちゃいました
yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。
二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか!
ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる