おれは忍者の子孫

メバ

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彼らの日常と蠢く影

第153話:夏と言ったら、キャンプ!

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「そうだ、キャンプに行こう!」
夏休みも終盤に差し掛からうかといったある日、ノリがそんな事を言い出した。

「キャンプ、ですかー?」
ショウが、あまりにも突然のノリの提案に、訝しげに首をかしげる。

「そう、キャンプ。いつも同じような森で修行だと、飽きるだろ?
丁度いい場所があるんだよ。たまには、大自然に囲まれて、ノビノビと修行でもしようぜ?あそこは良い森だぞー?」

「いやどっちにしろ森なんかいっ!!」
恒久が、いつものようにつっこむ。

「週末行く予定だから、各自ちゃんと親御さんから許可を貰うように。ちなみに恒久は―――」
「『恒吉さんから許可をもらってる』ってか!こういう時までかよっ!」

そんなこんなで、忍者部一同はキャンプに行くことになったのであった。


そしてキャンプ当日。

「あっ、茜も来たんだね。」
集合場所の校門前で、久々の顔に聡太が声をかける。

「あったりまえっ!こんな楽しいこと、わたしだけのけ者なんて、許しませんからね♪」
「あっ、茜!」
「麻耶!久しぶり~!!」

聡太に返事をした茜は、声をかけてきた麻耶とワーキャーやり始めていた。

「っていうかソウ、あれって、あけみ姉さんじゃね?」
女子2人のワーキャーに置いてけぼりの聡太の横に来た重清が、ノリの隣の人物に目を向けて囁いてくる。

「やっぱそうだよな。」
近くにいた恒久も、会話に加わってきた。

「もしかして、ノリさんとあけみさん、付き合ってたりしてー。」
そこへショウが加わり、まさかの爆弾を投げかけてくる。

ショウの言葉を聞いた重清・聡太・恒久はノリとあけみ姉さんに目を向ける。

「「「・・・・・・・・・・。いやいやいやいや、ないないないない。」」」

4人が盛り上がっていると、それを察してかノリが話し出す。

「今日は、アケさんにもご同行いただく。アケさんには、今回行く森の管理をお願いしている。」
「よろしくね~。」
ノリの言葉に続いて、あけみ姉さんが小さく手を振って答えていると、

「管理??」
シンが首をかしげる。

「まぁその辺は、後で話すわ。とりあえず向かうから、俺かアケさんの車にそれぞれ適当に乗れ。」

ノリの言葉を気にしつつ、各々がノリとあけみ姉さんと車へと乗りこんでいく。

ノリの車には重清・聡太・恒久・シン・ノブが、あけみ姉さんの車にはショウ・茜・麻耶・ケンがそれぞれ乗り込んでいった。

ちなみにプレッソとチーノは、『車内が狭くなるから』という理由で、現在は重清の中でぶーたれている。

そんなノリの車内では。

「2人とも、新しい術覚えてから一気に強くなった感じがするよねぇ。」
ため息をつきながら、聡太が重清と恒久を見ていた。

「確かにな。2人ともなんつーか、一気に機動力があがった、みたいな?」
シンが聡太の言葉に頷くと、

「そう!機動力!シンさん、いい事言うっ!!」
「お、おう。」
聡太の大きめの声に、シンが若干びっくりしながらそう答える。

「機動力かぁ。それならソウ、風の術でも覚えればいいんじゃないか?」
運転席から、ノリがそう声をかけてくる。

「風の術?それって、シゲ達の雷の術みたいな感じですか?」
「まぁ、似たようなもんだな。風の術は、木の属性だから、ソウなら覚えられるんじゃないのか?」

「風、かぁ。」
「忍力だけなら、木の忍力を風に変換することも可能だからな。今回の修行で試して見るといいさ。」

「変換・・・」
聡太は呟きながら、手のひらに木の忍力を僅かに集中させ、そのままそれが風になるようイメージしてみる。

すると、緑色の忍力がふっと消え、手のひらから柔らかな風がふっと聡太のサラサラな髪をなびかせる。

「あ、出来た。」

「「「「「いや、出来たんかいっ!!」」」」」

ノリを含め、全員が聡太につっこんでいた。

運転中のつっこみは非常に危険ですので、絶対にしてはいけません。
どうしてもつっこみたい場合は、周りの安全を確認し、路肩へ停車のうえつっこんでください。

そんな騒がしいノリ達にに対し、あけみ姉さんの車内では。

ケンが、そちらを選んだことを絶賛後悔中であった。

ケンが今乗っている車を選んだ理由。
それは紛れもなく、そちらに麻耶が乗っていたからに相違なかった。 

流石に麻耶の隣の座席を確保することはできなかったが、最後部座席で麻耶の後ろの席を確保することに成功していた。

ちなみに最後部座席には他にショウが、そして彼らの前である中央の座席には茜と麻耶が陣取っていた。

そして、ケンを除く車内のメンバーはというと。

アケ「はぁ!?私とノリが付き合ってると思った!?いやいやいや、無いって!」
アカ「えぇ~、そうなんですか?わたしてっきりそうなのかと思ってました!」
マヤ「私も思った!2人で一緒に来られたら、勘違いしちゃうわよねぇー!」
ショ「あははー。わかるわかるー。でも、2人の雰囲気的に、それはなさそうだったよねー。」

恋バナで大いに盛り上がっていた。

ケンは、その会話に参加することもできず、車内で一言も話せないまま、ただショウの隣でじっと座っていた。
そして、心の中で思っていた。

(やっぱ、あっちの車にすればよかった。)
と。

こうしてそれぞれの車内が(1名を除き)大いに盛り上がる中、一行は目的地であるキャンプ場へと進んでいくのであった。
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