おれは忍者の子孫

メバ

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彼らの日常と蠢く影

第143話:元天才美少女忍者からの課題

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「お前のせいだろぉーーーーっ!!!」
「俺のせいかよぉーー!」
重清の無情な言葉に、恒久は走りながら、若干涙を浮かべて叫び返した。

「で、ツネ!これどうする!?」
「丸投げかよっ!シゲ、プレッソ達はどうしたんだよ!?」

「それが、さっきから反応無いんだよー!」
「マジかよっ!だったら俺が!」
そう言って恒久は、走りながらも手裏剣を具現化しようとするが・・・

「ちいっ、俺の手裏剣も出ねぇ!何でか知らねーけど、ここじゃ武具も具現獣もら具現化出来ないみたいだ!」
「ピンチじゃん!」

「さっきからずっとピンチだろーがっ!!もういい!シゲ、直接ぶっ叩くぞっ!」
そう言って立ち止まる恒久に、人型の木が殴りかかる。

それを飛び上がって避けた恒久は、体の力を全力で込めた足で木を蹴りつける。

そのまま木は吹き飛び、洞窟の壁に激突した。

「っしゃぁ!」
恒久が声を上げ、木が吹き飛んだ方へと目を向ける。

「やったかな?」
常にの隣に来た重清がそんなフラグを立てると、それを待っていたかのように木は、平然と立ち上がった。

「おいシゲっ!お前が変なフラグ立てるから立ち上がったじゃねーか!」
「えっ、おれのせい!?・・・あれ?」
思わず言い返していた重清は、木を見てあることに気付く。

「ねぇ、ツネ。あの木さぁ、木の属性纏ってない?」
「ん?ホントだな。っていうか、アイツ自体が木の属性でできてんじゃないか?」

「「ってことは?」」

その言葉と共に2人が、白い忍力を全身に纏い始める。

「よく考えたら、雷の術習いに来て『力見せろ』って言われてんだ。金の属性使って倒しゃぁいいんだろ!?」
「ってことだよね!」

「「行くぞっ!!」」

重清が拳に、恒久が足に金の属性の白い忍力を集中させて、襲いかかる木に全力を込めた一撃をぶつける。

「「いっけぇーーー!」」

それぞれの拳と足が木を深くえぐり、人型の木はそのまま消滅する。

「「しゃぁ!!」」


2人が声を上げた直後、2人は瞬時に先程までいた小屋へと戻されていた。

「おや、思ってより遅かったねぇ。」
2人の目の前では、老婆がお茶を啜りながら座っていた。

「こんのクソババア!いきなりやってくれやがったうごぉっ!!」

老婆に詰め寄ろうとした恒久の足を、床から突然生えてきた木の手が掴み、恒久は勢いのまま顔から転倒する。

「言っておくけど、この小屋自体が私の術で出来てるから、無闇に私に歯向かわないほうが良いよ。
一応私からは、危害は加えられないことにはなってるけどね。」

(いや俺、めっちゃ危害加えられてるけどっ!!)
鼻血を垂れ流し、恒久は心の中でつっこみながら老婆を恨みがましそうに見ていた。

「あのー、おれの具現獣とか、この鼻血垂らしてるヤツの武具なんかが具現化できないのも、おばあさんの術の影響なんですか?」
茶を啜る老婆に、重清が尋ねる。

「あぁ、そうさ。地下も含めて、ここら一帯は武具や具現獣の具現化は一切出来ないようにしておる。
その反動で、私からは相手に危害を加えられないのさ。」
「ちっ。すげぇ術だな。」

恒久の言葉に、老婆がニヤリと笑う。

「そうだろう?この風魔 呉羽(くれは)、かつては天才美少女忍者とまで呼ばれた天才だよ?
まぁ、その昔年下の雅のクソババアが現れてからは、めっきり呼ばれなくなっちまったけどね。」

「あー、それでばあちゃんのことを・・・」

((っていうか、あんたの方がババァじゃねーか!))

そうつっこみながら2人が呉羽を見ると、相変わらず落ちを啜りながらも、呉羽の顔は怒りに満ちていた。

「しかし、本当に腹立たしいねぇ。」

老婆の言葉に、重清が不安そうに

「そ、そんなにばあちゃんのことを嫌って―――」
「なんでこんなに茶が不味いんだい。」

「「いやそっちかよっ!!」」

重清の言葉にかぶせ気味に呟く呉羽の言葉に、重清と恒久は堪らずつっこんだ。

「それで、術は教えてくれるのかよ?」
気を取り直して、それでも不満そうな顔で、恒久が呉羽を見る。

「さっきから気になっておったが、それが人にものを頼む態度なのかい?」
「うぐっ。じゅ、術を教えて頂けますでしょうか?」
恒久が、拳を強く握りながらもそう口にする。

鼻血垂らし事件が、よっぽど悔しかったようである。

「まぁ、一応は合格ってとこかね。」

「「じゃ、じゃぁ!!」」
「早まるんじゃないよ。」
喜ぶ2人に、呉羽が水を差す。

「もう1つだけ、試験を受けてもらうおかね。」

「「し、試験?」」

「あんた達にはこれから、とある場所から、とある密書を盗み出してきてもらうよ。ただし、具現獣は抜きでね。」
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