おれは忍者の子孫

メバ

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いざ、中忍体!

第129話:大人な関係、子どもな性格

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「それでは、今年度の忍が丘市中忍体は忍が丘第1中学校の優勝ということで、閉会いたします。
みなさま、お疲れさまでした。」
それぞれが整列する3校の前に立つ、なんの特徴もない眼鏡の男がそう告げ、あっけないくらいに中忍体はその幕を下ろした。


「君達には色々と言いたいことはあるが、俺らもいい勉強になった。
またどこかで、やり合えることを楽しみにしてるよ。」
その言葉とともに差し出される3中忍者部部長の根来アツの手を握り返し、

「いえいえー、こちらこそありがとうございましたー。またいつかー。」
ショウは笑顔でアツにそう返す。

じゃぁな、という言葉を残し、アツはその場を去っていく。
その後ろにいる2年の根来スムだけは、重清をしっかり10秒ほど睨んだ後、アツについてその場を去っていた。

「あいつ、初っ端で重清にやられた奴だよな?スゲー怒ってたな。」
「言うなプレッソ。おれが逆の立場だったら、同じことしてる気がするし。来年会うのが怖いな。」
「だったら、来年もまた、最初に倒しでしまえばいいんじゃない?」
「いやチーノそれ、もう一生恨まれるパターンの奴だからね!?」

重清とプレッソ、チーノがそう言っていると、

「トウ先生っ!!先生の最後の中忍体なのに、こんな結果になってすみませんでしたっ!!」
「いやいや、皆頑張っておったわ。どれ、今日はこのまま打ち上げじゃ!」
「せんせぇ~~~~!」

3中は3中で、なんか青春していた。


「いや~、ノリ~、残念だったんだぜ~。」
3中のジュニアハイスクールブルースプリング(青春)を眺めていた2中一同に、1中忍者部顧問の風魔ロキがニヤニヤしながら近付いてくる。

「これはこれは、あんな卑怯な真似しないと俺に勝てないロキ君ではないですか。何か用かよ?」
「おぉ、怖っ。いやいや、ただ敗者に慰めを言いに来ただけなんだぜ?」
ノリとロキの間に火花が散る。

「はっ。あんな卑怯なことして、何を偉そうに。」
「そうか?ウチのコトも言ってぜ?使えるものは使うのが忍者だ、ってな。」

「それは、いつもお前が言っていることだろう?」 
「ウチの教え子は、優秀で助かるんだぜ。ちゃんと俺の教えを実行してくれるんだからな。」

「生徒はお前の駒じゃないぞ?」
「そんなことはわかってるよ。あいつらは俺の大事な生徒だぜ。お前に勝つためな協力してもらってるってだけだぜ?」

「お前なんかが顧問で、1中の子たちが可哀想だよ。」
「そっくりそのままお返しするぜ?元ヤンキーが教師だなんて、それこそ教育に悪いんだぜ?」

「そんなドラマもあるだろうが。いいからさっさと消えろ。」
「まったく、相変わらずつれねーなぁ。じゃぁまたな。今度また、飲みにでも行こうぜ!」

「あぁ。」

「えっ!?」

ニヤニヤしながら去っていくロキに片手を上げて答えるノリの背に、一同の声が降り注ぐ。

「ノリさん、あのロキって人と、仲良いんですか!?」
ソウが驚いてノリに詰め寄る。

「は?いつあいつと仲が悪いなんて言ったよ?」
「いやでも、途中までものすごく険悪な雰囲気だったじゃねーか!それにあの人、重清の気持ちを弄んだんだぞ!?」
恒久が、続けてノリな詰め寄る。

「俺達はいつもあんな感じだぞ?それに、重清が騙されたのは100%重清のせいだろ。ロキは、ただ勝つために策を練っただけだ。忍者として、何も間違ったことはしていないだろ。」

「なんていうか、ノリさんって、意外と大人なんですね。」
アカがそう言葉を漏らすと、

「待てコラ。そりゃなにか?普段の俺は大人っぽくないってことか!?」
「まぁ、本性表してからは、時時ガキっぽくなるのよな?」
シンが笑って言うと、一同は同時に頷いていた。

「あー、はいはい!どーせ俺はガキっぽいですよっ!それを隠すために平八様の真似してましたよっ!!」

(だから、そういうところがガキっぽいんだって。)

心の中でつっこむ一同であった。

「とにかく、俺らも帰るぞ。」
ノリは、その場から逃げるように控室へと向かい始め、一同は互いに苦笑いして顔を見合わせ、その後を追うのであった。


「皆、ご苦労であったな。結果は残念であったが、よく頑張っておったわ。」
控室から『喫茶 中央公園』へと戻ってきた一同を、マスターであり忍者の甲賀オウが、そう言って出迎える。

「お恥ずかしい限りです。」
ノリが、頭をかきながらそう返すと、
「何を恥ずかしがることがあるか。皆立派に戦っておったわ。」
オウは笑ってそう言っていた。

「ははは。おれは、めちゃくちゃカッコ悪かったですけどね。」
それを聞いて、重清は笑って独り言のようにそう呟いていた。

「いやいや、重清君も頑張っておられましたよ。まさか女性に弱いところまで、平八様に似ているとは思いませんでしたが・・・」
「えっ!?じいちゃん、女の人に弱かったの!?」

「えぇ、それはもう。雅様やシロ殿がいなければ、あの御方はどこかで、酷い目にあっていただろうと言うくらいには。」
「まじかよ、チーノ!?」
オウの言葉に、重清は傍らにいるチーノを見る。

「えぇ、本当よ。でもオウ?私の前で平八の悪口を言うなんて、度胸あるじゃない?」
「おやおや、シロ殿でしたか。なんとも可愛らしいお姿で。しかし、悪口とはひどいですぞ。そこも含めて、あの御方の魅力なのですから。」

「気付いていたくせに、白々しいわね。でも、魅力ってどういうことかしら?」
「そのままの意味ですわい。あれだけ才能がお有りのあの御方が女性に弱いという人間らしい弱点を持っているからこそ、これだけ多くの者に、あの御方は尊敬されているのではないですかな?」

「まぁ、そうとも言えるわね。」
「ねえねえオウさんっ!じいちゃんの女の人に弱い話、詳しく聞かせてくださいよっ!」
重清が、そう言ってオウへと進み出る。

「ほっほっほ。是非とも、と言いたいところですが、どうやら彼女が何か言いたそうですぞ?」
オウはそう言って、アカへと目を向ける。

全員の視線が集中したアカは、一瞬戸惑いながらも、意を決して口を開く。
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