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いざ、中忍体!
第126話:重清 対 風魔コト
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重清の言葉に、これまで余裕の表情を崩さなかったコトの顔に、一瞬だけ戸惑いの色が浮かんだ。
「琴音ちゃん、いじめられてたわけじゃないんだ!いや~、おれ、すんげー心配したんだよ!」
「ちょ、何言ってるの!?私、さっきまであなたのこと操ってたのよ!?」
「いや、それはそれ、これはこれ、ってことで。」
ニシシと笑う重清を見たコトは、
(なんで?どうしてそんな風に笑えるの!?)
1人戸惑っていた。
「おい重清っ!!」
その時、地に転がったマキネッタからプレッソの声が聞こえてくる。
「あ、プレッソ、ゴメン!今もど―――」
(待ちなさい、重清っ!)
重清の言葉を遮り、チーノが話しかけてくる。
(おっ、チーノ!さっきはありがとなっ!)
(そんなことはいいから!それよりも重清、プレッソはあなたの中に戻しなさい!そうすれば、あなたの忍力が少しは回復するわ!)
(あー、なんか、そんなこと言ってたねー。)
(いいから、早くさなさいっ!)
(へーい。)
そうチーノに返事をした重清は、マキネッタを自身の元へと戻し、。
「さてっと。」
重清はコトを見る。
「とりあえず、操られてた時のことは何となく覚えてるんだけど・・・琴音ちゃん、ウチの校旗返してくれないかな??」
重清の声に、先ほどまで戸惑っていたコトは、気を取り直して答える。
「ん~。それはできない、かなぁ。」
「そっかぁ。おれ、できれば琴音ちゃんとは戦いたくないんだよ。」
「あら、そんなこと言わないでよ。拳をぶつけ合ってこそ分かり合う、って言うじゃない?」
「いやそれ、どこのヤンキーマンガ!?」
「ふふふっ。」
重清のつっこみに、コトは笑みをこぼしていた。
それは、これまでの不敵なものとは違った優しいものであった。
「もう少し早く、こんな風に仲良くなれていればよかったのにね。」
そう寂しそうに言いうコトから、青い忍力があふれだす。
(水鎧の術)
コトが術を発動すると、溢れ出る青い忍力がコトの身を包み、そのまま全身を覆う透き通るような青い鎧となる。
「き、綺麗だ・・・」
(言ってる場合かっ!重清、来るぞっ!!)
コトの姿を見つめていた重清にプレッソからの激が入り、重清は我を取り戻してコトに構える。
「いくよ?」
コトがそう言うと同時に、そのまま後方の公園の木々の中へ飛び込み、すっと姿を消す。
「琴音ちゃんが消えた!?っていうか、ここは・・・」
重清が見つめるその公園は、重清と琴音が最初に2人で会った公園、中央公園であった。
「ここで琴音ちゃんと戦うことになるとは思わなかったな。」
重清が苦笑いしていると、
(重清っ!後ろよ!!)
チーノの声が聞こえた重清は、背後から微かに発せられる殺気を頼りに、そのままその場で身をかわす。
「今のをかわせるの!?」
突然姿を現して拳を振るうコトが驚いたように言うと、
「おれにはエロ頼もしい仲間がいるからねっ!」
(あら、それは褒めているんかしら?)
(おい重清っ!オイラのこと忘れるなよっ!!)
外野、というか内野のガヤに苦笑いしつつ重清は、コトが続けて仕掛ける拳を、
「はっ、よっ、とっ。」
それは見事に全て避けていた。
「へっへ~ん。麻耶姉ちゃんの攻撃も避けられたんだ。琴音ちゃんの攻撃だって、ずっと避け続けてやるっ!」
「重清君凄いのねっ。麻耶先輩の攻撃を避けられるなんてっ。私じゃ、どう頑張っても当てられそうに無いわっ。」
そう言ってコトは、一旦重清から距離を取る。
「はぁ、はぁ、はぁ。重清、随分と余裕があるのね。あなた達の校旗は、私が持っているというのに。」
「だって、校旗は陣地に持っていかないと意味ないんでしょ?
おれがこうやって琴音ちゃんを足止めしておけば、その間にきっとウチのリーダーが、麻耶姉ちゃん倒してくれるし。」
(重清君から信頼されているなんて、少し羨ましいかも。なんてね。)
「だったらやっぱり、この校旗を早くウチの陣地まで持っていかないとね。」
「させないよ!琴音ちゃんは、おれがしっかり抱きしめたい、じゃなくて、ここに繋ぎ止めるから!」
(欲望ダダ漏れじゃねーかっ!!)
重清の脳内に響くプレッソのつっこみなど聞こえるわけもないコトは、重清の言葉にニコリと笑う。
「別に、私じゃなくても校旗は持って行けるわよ?」
そう言ってコトは、胸元から折りたたんだ2中の校旗をとりだすと、それをそのまま宙へと放り投げた。
そしてそのまま宙で広がる校旗に向かって手をかざし、
「カーちゃん、お願いね。」
目の前に1羽のカラスを具現化させる。
「うそっ!?」
重清が驚いているのをよそ目に、具現化させれたカラスのカーちゃんは宙を舞う校旗を咥え、風の抵抗などものともせずにそのまま飛び去っていくのであった。
「な、あ・・・」
重清がその光景にただ呆然としていると、
「ふふふ。あれが私の具現獣、カーちゃんよ。」
コトがそう言って微笑んでいた。
その時。
「キーンコーンカーンコーン。忍が丘第2中学校、校旗を奪還されたことにより、敗退となります。これにより、今年度の忍が丘市中忍体の勝者は、忍が丘第1中学校となります。皆様、お疲れさまでした。」
無情で無感情な事務的アナウンスが、辺りに響き渡るのであった。
「琴音ちゃん、いじめられてたわけじゃないんだ!いや~、おれ、すんげー心配したんだよ!」
「ちょ、何言ってるの!?私、さっきまであなたのこと操ってたのよ!?」
「いや、それはそれ、これはこれ、ってことで。」
ニシシと笑う重清を見たコトは、
(なんで?どうしてそんな風に笑えるの!?)
1人戸惑っていた。
「おい重清っ!!」
その時、地に転がったマキネッタからプレッソの声が聞こえてくる。
「あ、プレッソ、ゴメン!今もど―――」
(待ちなさい、重清っ!)
重清の言葉を遮り、チーノが話しかけてくる。
(おっ、チーノ!さっきはありがとなっ!)
(そんなことはいいから!それよりも重清、プレッソはあなたの中に戻しなさい!そうすれば、あなたの忍力が少しは回復するわ!)
(あー、なんか、そんなこと言ってたねー。)
(いいから、早くさなさいっ!)
(へーい。)
そうチーノに返事をした重清は、マキネッタを自身の元へと戻し、。
「さてっと。」
重清はコトを見る。
「とりあえず、操られてた時のことは何となく覚えてるんだけど・・・琴音ちゃん、ウチの校旗返してくれないかな??」
重清の声に、先ほどまで戸惑っていたコトは、気を取り直して答える。
「ん~。それはできない、かなぁ。」
「そっかぁ。おれ、できれば琴音ちゃんとは戦いたくないんだよ。」
「あら、そんなこと言わないでよ。拳をぶつけ合ってこそ分かり合う、って言うじゃない?」
「いやそれ、どこのヤンキーマンガ!?」
「ふふふっ。」
重清のつっこみに、コトは笑みをこぼしていた。
それは、これまでの不敵なものとは違った優しいものであった。
「もう少し早く、こんな風に仲良くなれていればよかったのにね。」
そう寂しそうに言いうコトから、青い忍力があふれだす。
(水鎧の術)
コトが術を発動すると、溢れ出る青い忍力がコトの身を包み、そのまま全身を覆う透き通るような青い鎧となる。
「き、綺麗だ・・・」
(言ってる場合かっ!重清、来るぞっ!!)
コトの姿を見つめていた重清にプレッソからの激が入り、重清は我を取り戻してコトに構える。
「いくよ?」
コトがそう言うと同時に、そのまま後方の公園の木々の中へ飛び込み、すっと姿を消す。
「琴音ちゃんが消えた!?っていうか、ここは・・・」
重清が見つめるその公園は、重清と琴音が最初に2人で会った公園、中央公園であった。
「ここで琴音ちゃんと戦うことになるとは思わなかったな。」
重清が苦笑いしていると、
(重清っ!後ろよ!!)
チーノの声が聞こえた重清は、背後から微かに発せられる殺気を頼りに、そのままその場で身をかわす。
「今のをかわせるの!?」
突然姿を現して拳を振るうコトが驚いたように言うと、
「おれにはエロ頼もしい仲間がいるからねっ!」
(あら、それは褒めているんかしら?)
(おい重清っ!オイラのこと忘れるなよっ!!)
外野、というか内野のガヤに苦笑いしつつ重清は、コトが続けて仕掛ける拳を、
「はっ、よっ、とっ。」
それは見事に全て避けていた。
「へっへ~ん。麻耶姉ちゃんの攻撃も避けられたんだ。琴音ちゃんの攻撃だって、ずっと避け続けてやるっ!」
「重清君凄いのねっ。麻耶先輩の攻撃を避けられるなんてっ。私じゃ、どう頑張っても当てられそうに無いわっ。」
そう言ってコトは、一旦重清から距離を取る。
「はぁ、はぁ、はぁ。重清、随分と余裕があるのね。あなた達の校旗は、私が持っているというのに。」
「だって、校旗は陣地に持っていかないと意味ないんでしょ?
おれがこうやって琴音ちゃんを足止めしておけば、その間にきっとウチのリーダーが、麻耶姉ちゃん倒してくれるし。」
(重清君から信頼されているなんて、少し羨ましいかも。なんてね。)
「だったらやっぱり、この校旗を早くウチの陣地まで持っていかないとね。」
「させないよ!琴音ちゃんは、おれがしっかり抱きしめたい、じゃなくて、ここに繋ぎ止めるから!」
(欲望ダダ漏れじゃねーかっ!!)
重清の脳内に響くプレッソのつっこみなど聞こえるわけもないコトは、重清の言葉にニコリと笑う。
「別に、私じゃなくても校旗は持って行けるわよ?」
そう言ってコトは、胸元から折りたたんだ2中の校旗をとりだすと、それをそのまま宙へと放り投げた。
そしてそのまま宙で広がる校旗に向かって手をかざし、
「カーちゃん、お願いね。」
目の前に1羽のカラスを具現化させる。
「うそっ!?」
重清が驚いているのをよそ目に、具現化させれたカラスのカーちゃんは宙を舞う校旗を咥え、風の抵抗などものともせずにそのまま飛び去っていくのであった。
「な、あ・・・」
重清がその光景にただ呆然としていると、
「ふふふ。あれが私の具現獣、カーちゃんよ。」
コトがそう言って微笑んでいた。
その時。
「キーンコーンカーンコーン。忍が丘第2中学校、校旗を奪還されたことにより、敗退となります。これにより、今年度の忍が丘市中忍体の勝者は、忍が丘第1中学校となります。皆様、お疲れさまでした。」
無情で無感情な事務的アナウンスが、辺りに響き渡るのであった。
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