おれは忍者の子孫

メバ

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いざ、中忍体!

第124話:男は女の手のひらの上で

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ソウの指示した方向へと向かったシン達は、すぐに重清を発見した。

「おい、シゲ!俺達の校旗を、どうするつもりなんだ!?」
重清の進路を邪魔する形で立ちはだかった3人のうち、シンが重清を睨んでそう口を開く。

「・・・・」
それに対して重清は、ただ無言で手に持ったマキネッタをシンへと向ける。

「おいっ!!」
「キンッ!」
無言のまま発射された弾を、金鎧を纏ったノブが、シンの前に進みだして弾く。

「シゲ、お前どうし―――」
ノブが重清にそう言っていると、重清はマキネッタをノブに向ける。

「くっ。どうなっている!?」
ノブが撃たれた弾を弾いてそう言っていると、重清は力が抜けたようにその場に膝を付き、肩で息をしていた。

「シゲ、大丈夫か!?」
「お前ら、こっちにくるんじゃねぇ!!」
ノブ達が重清に駆け寄ろうとすると、マキネッタからプレッソの声が聞こえてきた。

「プレッソか!?こりゃ、どうなっとるんだ!?」
ノブがその声に返すと、

「重清のヤツ、さっきからオイラ達の声も聞いちゃいねーんだ!チーノが言うには、コイツは今、操られてるらしいんだ!
頼む!今コイツに近付かないでくれ!」

「いや、ウチの校旗持ってて、そういうわけにもいかねぇだろっ!!」
シンが言うと、

「重清は元々、もう忍力が尽きかけてたんだ!それなのにオイラを具現化して、さらに銃化までしちまった!
これ以上撃ったら、コイツの忍力が無くなって、重清が・・・」

「「「くっ。」」」

プレッソの言葉を聞いて、3人は思い出していた。

忍力とは忍者の根幹をなす力であり、それを使い切ってしまった場合、最悪の場合死に至り、それを避けられた場合も忍者としての力を失う可能性があると、昔ノリが説明していたことを。

「シン、どうする?」
よろよろと立ち上がろうとする重清に視線を送りながら、ノブに肩車されているケンがシンをじっと見つめていた。
というか、高さ的には見下していた。

「ここで俺に聞くか?」
シンが、ものすごく嫌そうな顔をしていると、

「俺は、お前がこの3人のリーダーだと思ってる。だから聞いた。」
「だな!俺やケンじゃぁ、クセが強いからなっ!」
「ゴリラには言われたくない。」
ケンの言葉、ノブが同意すると、ケンはそう言って足でノブの首を締めていた。

「ったくお前ら。こんなときばっかり都合のいいことを。
しょうがない。ケンとノブは、ショウさん達のところに向かって2人に加勢してくれ。少し前に聞いた話だと、向こうのリーダーさえ倒せばウチの勝ちだからな。」

「シンはどうする?」
「おれは、とりあえずシゲを追う。どうすりゃいいか、全く案はないけどな。」

「わかった。シン、気をつけろよ。」
「わかってる。せいぜいシゲに攻撃されないように、離れて追うさ。お前らも気をつけろよ。あの麻耶って女が、あっちのリーダーみたいだからな。」

シンの言葉に、ケンが顔を赤らめながら頷く。

「ケン、何を顔を赤くして・・・お前、まさか!?」
「なんでもない。行くぞ、ゴリラ!」
ケンは、誤魔化すようにそう言って、ノブの胸を踵で蹴る。

「俺は馬かっ!まぁいい。ケンよ、しっかり捕まっとれよっ!!」
ノブは、そう言って猛然と走り出すのであった。

「ケンが、ねぇ。」
ニヤニヤして呟いたシンは、
「っと。そんな場合じゃねーや。おい、プレッソ!俺は今からお前らを後ろから追う!もしもシゲが攻撃しそうになったら教えてくれ!あと、チーノにも伝えてくれ!何か、打開策があったら教えてくれってな!」

「わかった!!」

プレッソがそう答えていると、重清がフラフラしながらも立ち上がってシンへと目を向ける。
しかしシンが何も仕掛けてこないとわかったのか、重清はそのままシンを無視して、走り出す。

「ちっ。あのうるせーシゲが静かだと、調子が狂うな。アイツをあんなふうにしたやつ、ただじゃおかねー!」
重清の背を見つめながらそう拳を強く握って呟いたシンは、重清から距離を取りながらその後を追い始める。


重清を追い始めて少し経った頃、シンは何かの気配を感じてその場を飛び上がる。
直後、シンのいた場所にチャクラムが突き刺さり、近くの塀の影から風魔カツが現れる。

「さっきまで逃げ回ってたくせに、急に出てくるんだな。」
「ずっと重清君を追われても、面倒なんですよね。」
シンの嫌味に、カツとは違う声が答える。

シンが声のした方に目を向けると、そこには1人の少女がいた。

「お前が、1中の最後の1人か。」
「はい。風魔コトと言います。あ、『琴音ちゃん』って言ったほうが、分かりますかね?」
「琴音?シゲがいつも言ってる子か!?まさか、お前がシゲをっ!?」

「はい。いつも重清君がお世話になってます。」
そう言ってコトは、仰々しくお辞儀をする。

「彼女面しやがって!男を操るような女に引っかかって、シゲも可哀想だよ!」
「あら、男は女の手のひらの上で転がっているくらいが、可愛いんですよ?」
そう言ってニコリとコトが笑っていると、

「コト、早く行け。コイツは俺が引き止めておく。」
「あら、カツ。男らしいわね。ヒロさんにもちゃんとこのこと伝えとくわね♪」
「た、頼みますっ!!」
「ってことで、じゃぁね。重清君、行こっ!」
コトはそう言って、重清の手を引いて先を進んでいく。

「おいっ!」
それを止めようとするシンの前に立ちはだかるカツは、

「ここを通すわけにはいかない!ここを守り通して、コトから俺のカッコよさをヒロさんに伝えてもらうんだっ!!」

「1中はろくなやついねーなおい!!こちとら、いつもうるせー後輩がいつのまにか女の尻にぺっちゃんこに敷かれてイライラしてんだよっ!俺より先に彼女作るとか、マジ許さねーんだからなっ!!!」

「知らねぇーよっ!!あんたも大概だなおいっ!!」
「うるせぇ!!さっさとお前を倒して、シゲを追わせてもらうぞっ!!」

「やってみろ!!勝てる気はしねーけど、逃げ足だけは自信あるんだからなっ!!」
「逃げんのかよっ!!!」

お互いの譲れない、そしてそこはかとなくどうでもいい想いを抱きながら、なんとなく息の合った2人のクナイとチャクラムが、ぶつかり合うのであった。
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