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いざ、中忍体!
第119話:重清 対 麻耶 その2
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事務的な3中の敗退宣言がなされる少し前。
相変わらず、重清は麻耶の蹴りを避けてばかりいた。
しかし、麻耶が具現獣チュウを具現化したことにより、麻耶側の手数は圧倒的に増えていた。
それは、重清の姿が色濃く物語っていた。
足元に落ちたボロボロの鉄の盾。
目には見えない中忍体用スーツに突き刺さる岩の針。
麻耶以上に破れた制服。
そこから覗かせる素肌。
一切需要のないチラリズムが、重清のそこかしこにあった。
「やべー。一気に形勢逆転された。」
息を切らしながらそう言う重清の隣では、プレッソもまたボロボロになってヘバっていた。
(プレッソ、少し休むか?)
(オイラがいなくなったら、お前がヤバいだろ?)
(まぁ、ね。2人でなんとか、って状態だから、銃化も使えない。早く、チーノが戻ってくれれば・・・)
2人でそんな会話をしていると、
「そろそろ、終わらせるわよ?」
麻耶がそう言って、術を発動する。
忍力を感じた重清が、少しの殺気も感じないことに違和感を覚えながら防御の体勢をとると、足元に突如沼が出現し、重清を飲み込んでいく。
「のわぁっ!!プレッソっ!!」
少しずつ沼に吸い込まれていきながら重清は、ギリギリ沼から逃れたプレッソに声をかける。
「任せろっ!!」
プレッソはそう言って、重清の手の届く位置に実態を伴わせた足場の幻術を作り出す。
「にゃぁっ!!」
直後、プレッソをいくつもの岩の針が襲い、そのままプレッソは吹き飛ばされる。
「プレッソっ!!」
足場を掴んで沼から抜け出て足場に立つ重清が叫んだ時には、麻耶が目の前まで接近していた。
「これで終わりよっ!!」
麻耶の声とともに、雷を纏う脚が重清に迫る。
「させないわよ?」
その声と同時に麻耶の攻撃は弾かれ、
「きゃぁっ!」
麻耶はそのまま衝撃で飛ばされる。
重清は、目の前の白くてエロい猫に目を向ける。
「チーノっ!助かった!!」
「遅くなってごめんなさい。待ったかしら?」
「いや、今来たところ!」
「デートの待ち合わせかよ。」
チーノと重清のやり取りに、ボロボロになったプレッソが弱々しくもつっこむ。
「プレッソ、大丈夫か!?一旦戻れ!で、術化いくぞ!チーノは援護よろしくっ!」
「りょーかい。」
「わかったわ。」
2匹の猫の声を聞き、重清はプレッソを自身へと戻して術を発動する。
(具現獣銃化の術、メ型っ!!)
重清の手元が光り、そこに現れた猫銃(にゃんじゅう)・マキネッタ・メ型を構え、
「しゃぁ!!麻耶姉ちゃん!ここからが本番だぁっ!!」
重清が声を上げる。
(銃!?重清の武具?でも、重清には具現獣が・・・
ま、関係ないわ。どんな攻撃が来ようとも、私は負けないっ!)
それを見ていた麻耶はそう考えながら構え、そのまま重清に向かって突進する。
「くらえっ!!」
向かってくる麻耶に対し、重清はいくつもの弾丸を発射する。
麻耶はその全てを避けながら重清へと近づき、
(砂縛の術っ!)
重清の足元を砂で縛りつけて重清へと蹴りを放つ。
「だから、させないって。」
そう言って再び麻耶の攻撃を防ぐチーノを見てニヤリと麻耶が笑った。
「っ!?重清、後ろっ!」
「チュウ!」
チーノが叫ぶと、重清の背後にいつの間にかいたチュウがそう鳴いて回転し始める。
「やばっ!鉄壁っ!」
回転するチュウから放たれる無数の岩の針を鉄壁の術で防いだ重清は、回転が終わるのと同時にチュウを撃つ。
しかし重清の放った弾丸が直撃する直前、チュウはその場から姿を消して麻耶の足元へと現れる。
「まさか、麻耶の肩に乗っているのが幻だったとはね。しかも、重清の背後に回っているのにも全然気付かなかったわ。その子、やるじゃない?」
チーノが微笑んでチュウを見つめていると、
「でしょ?2人でたくさん修行したもん。あなたに近づきたくってね。」
麻耶が嬉しそうにそう返す。
「そう言ってもらえて、私も嬉しいわ。でも、もう油断しないわよ?」
「あなたにそう言わせられて、この子も喜んでいるわっ!」
そう言いながら麻耶は、チーノに攻撃を始める。
「なんかおれら、置いていかれてないか?」
「言うな、重清。悲しくなるぞ。」
重清がマキネッタとなったプレッソと話していると、
「あれ、そういえば・・・」
麻耶の雷を纏った足を見てふと浮き上がってきた疑問に、重清はたまらずチーノに話しかける。
(ねぇ、チーノ?)
(なぁに?これでも私、忙しいんだけど?)
チーノが麻耶とチュウの攻撃を避けつつ攻撃を繰り出しながら、答えてくれる。
(いやぁ、麻耶姉ちゃんの使ってる雷って、何の属性なの?)
(あなた、それもわからずに麻耶と戦ってたの!?
まったく。これはね、金の属性よっ!)
「マジでっ!?」
チーノの回答に、たまらず声を出す重清。
「金ってことは、おれにも、使える?」
重清はそう呟いて、
(弾丸の術っ!)
雷をイメージしながら、術を発動する。
するとマキネッタの銃口から、わずかに雷が漏れ出てくる。
「おぉ!できたっ!よぉしっ!!」
そう言って重清は、再び麻耶へとマキネッタを構える。
「いっけぇっ!雷弾だぁっ!!」
重清の声に合わせるように、マキネッタから雷が弾となって飛び出していく。
(あら、重清ったら。今の話で、金の力を雷にしたのね。意外とやるじゃない。でも・・・)
チーノが麻耶たちの攻撃を避けて飛びのきながら、麻耶へと向かう雷の弾へと目を向ける。
雷の弾は弾道に雷を残しながらも真っすぐに麻耶へと突き進み、
「パンッ」
麻耶へと届くことなく、徐々に小さくなった弾はそのまま破裂するように弾け、そのまま霧散していくのであった。
相変わらず、重清は麻耶の蹴りを避けてばかりいた。
しかし、麻耶が具現獣チュウを具現化したことにより、麻耶側の手数は圧倒的に増えていた。
それは、重清の姿が色濃く物語っていた。
足元に落ちたボロボロの鉄の盾。
目には見えない中忍体用スーツに突き刺さる岩の針。
麻耶以上に破れた制服。
そこから覗かせる素肌。
一切需要のないチラリズムが、重清のそこかしこにあった。
「やべー。一気に形勢逆転された。」
息を切らしながらそう言う重清の隣では、プレッソもまたボロボロになってヘバっていた。
(プレッソ、少し休むか?)
(オイラがいなくなったら、お前がヤバいだろ?)
(まぁ、ね。2人でなんとか、って状態だから、銃化も使えない。早く、チーノが戻ってくれれば・・・)
2人でそんな会話をしていると、
「そろそろ、終わらせるわよ?」
麻耶がそう言って、術を発動する。
忍力を感じた重清が、少しの殺気も感じないことに違和感を覚えながら防御の体勢をとると、足元に突如沼が出現し、重清を飲み込んでいく。
「のわぁっ!!プレッソっ!!」
少しずつ沼に吸い込まれていきながら重清は、ギリギリ沼から逃れたプレッソに声をかける。
「任せろっ!!」
プレッソはそう言って、重清の手の届く位置に実態を伴わせた足場の幻術を作り出す。
「にゃぁっ!!」
直後、プレッソをいくつもの岩の針が襲い、そのままプレッソは吹き飛ばされる。
「プレッソっ!!」
足場を掴んで沼から抜け出て足場に立つ重清が叫んだ時には、麻耶が目の前まで接近していた。
「これで終わりよっ!!」
麻耶の声とともに、雷を纏う脚が重清に迫る。
「させないわよ?」
その声と同時に麻耶の攻撃は弾かれ、
「きゃぁっ!」
麻耶はそのまま衝撃で飛ばされる。
重清は、目の前の白くてエロい猫に目を向ける。
「チーノっ!助かった!!」
「遅くなってごめんなさい。待ったかしら?」
「いや、今来たところ!」
「デートの待ち合わせかよ。」
チーノと重清のやり取りに、ボロボロになったプレッソが弱々しくもつっこむ。
「プレッソ、大丈夫か!?一旦戻れ!で、術化いくぞ!チーノは援護よろしくっ!」
「りょーかい。」
「わかったわ。」
2匹の猫の声を聞き、重清はプレッソを自身へと戻して術を発動する。
(具現獣銃化の術、メ型っ!!)
重清の手元が光り、そこに現れた猫銃(にゃんじゅう)・マキネッタ・メ型を構え、
「しゃぁ!!麻耶姉ちゃん!ここからが本番だぁっ!!」
重清が声を上げる。
(銃!?重清の武具?でも、重清には具現獣が・・・
ま、関係ないわ。どんな攻撃が来ようとも、私は負けないっ!)
それを見ていた麻耶はそう考えながら構え、そのまま重清に向かって突進する。
「くらえっ!!」
向かってくる麻耶に対し、重清はいくつもの弾丸を発射する。
麻耶はその全てを避けながら重清へと近づき、
(砂縛の術っ!)
重清の足元を砂で縛りつけて重清へと蹴りを放つ。
「だから、させないって。」
そう言って再び麻耶の攻撃を防ぐチーノを見てニヤリと麻耶が笑った。
「っ!?重清、後ろっ!」
「チュウ!」
チーノが叫ぶと、重清の背後にいつの間にかいたチュウがそう鳴いて回転し始める。
「やばっ!鉄壁っ!」
回転するチュウから放たれる無数の岩の針を鉄壁の術で防いだ重清は、回転が終わるのと同時にチュウを撃つ。
しかし重清の放った弾丸が直撃する直前、チュウはその場から姿を消して麻耶の足元へと現れる。
「まさか、麻耶の肩に乗っているのが幻だったとはね。しかも、重清の背後に回っているのにも全然気付かなかったわ。その子、やるじゃない?」
チーノが微笑んでチュウを見つめていると、
「でしょ?2人でたくさん修行したもん。あなたに近づきたくってね。」
麻耶が嬉しそうにそう返す。
「そう言ってもらえて、私も嬉しいわ。でも、もう油断しないわよ?」
「あなたにそう言わせられて、この子も喜んでいるわっ!」
そう言いながら麻耶は、チーノに攻撃を始める。
「なんかおれら、置いていかれてないか?」
「言うな、重清。悲しくなるぞ。」
重清がマキネッタとなったプレッソと話していると、
「あれ、そういえば・・・」
麻耶の雷を纏った足を見てふと浮き上がってきた疑問に、重清はたまらずチーノに話しかける。
(ねぇ、チーノ?)
(なぁに?これでも私、忙しいんだけど?)
チーノが麻耶とチュウの攻撃を避けつつ攻撃を繰り出しながら、答えてくれる。
(いやぁ、麻耶姉ちゃんの使ってる雷って、何の属性なの?)
(あなた、それもわからずに麻耶と戦ってたの!?
まったく。これはね、金の属性よっ!)
「マジでっ!?」
チーノの回答に、たまらず声を出す重清。
「金ってことは、おれにも、使える?」
重清はそう呟いて、
(弾丸の術っ!)
雷をイメージしながら、術を発動する。
するとマキネッタの銃口から、わずかに雷が漏れ出てくる。
「おぉ!できたっ!よぉしっ!!」
そう言って重清は、再び麻耶へとマキネッタを構える。
「いっけぇっ!雷弾だぁっ!!」
重清の声に合わせるように、マキネッタから雷が弾となって飛び出していく。
(あら、重清ったら。今の話で、金の力を雷にしたのね。意外とやるじゃない。でも・・・)
チーノが麻耶たちの攻撃を避けて飛びのきながら、麻耶へと向かう雷の弾へと目を向ける。
雷の弾は弾道に雷を残しながらも真っすぐに麻耶へと突き進み、
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