113 / 519
いざ、中忍体!
第107話:滑る男子とドラマチック女子
しおりを挟む
シン、ケン、ノブの3人が身を潜みながら街の中を進んでいると、
(シンさん。シンさん達の右手から、誰かそっちに向かっています!相手は1人です!)
ソウからレーダーの力でそんな連絡が入る。
「っと、ソウからだ。誰か1人、こっちに来てるらしい。」
そう言ってシンが誰かが来るであろう方向に目を向けると、確かに接近してくる人影が見えた。
「まぁ、さすがに見逃すわけにもいかないだろ?」
そう言って相手の道を塞ぐようにシンが立ち、ケンとノブもそれに続いて立ちはだかる。
「っと。あっちゃー。見つかっちゃいましたか。」
1中の制服を着た男子生徒が、そう言いながら立ち止まる。
「2中の方とお見受けしやす。あっしは1中2年の風魔トクと申します。あっしは今、ちぃと急いでるんで、よかったら見逃してくれねぇですかい?」
目の前の男、トクの言葉に3人は思う。
(((初っ端からキャラ濃いな)))
と。
「俺は2中2年の甲賀シン。こいつらは同じくケンとノブ。で、さっきの話だけど。さすがに見逃したくはないんだけど。」
「いや、そう言わずに、たのんますよぉ!」
「あっ、アズ先輩!こっちに人がいます!」
トクがシンに手を合わせて見逃してくれるよう頼んでいると、上から声が聞こえる。
その声の出どころにシン達3人が視線を送ると、近くの家の屋根から女子3人がシン達を見下ろしていた。
「あっちゃー。新手ですか。こりゃ、あっしが圧倒的に不利でやんすね。
ってことであっしは、このあたりで失礼させていただきやす!」
そう言ってトクは、履いている靴を輝かせてその場から飛び上がる。
「させるかっ!」
飛び上がったトクに、シンがクナイを投げるも、クナイはトクに当たることなく、そのまま彼方へと飛び去っていく。
飛び上がったトクはというと、空中に現れた氷の道を、さながらアイススケートでもしているかの如く滑り、
「バイバイでやんすー」
そう言って滑り去ってしまった。
「・・・・・・・」
突然の逃走に呆気にとられて見ていた残された6人は、しばしトクの去った方を見つめていた。
そこにはただ、氷の道が少しずつ消えていく光景のみが残されているだけであった。
「っと!」
先に立ち直った女子3人が、屋根からシン達の目の前へと着地する。
「今のは1中の子かしら?まぁそれはいいわ。
あなた達は、2中ね?以前模擬戦で会ったわよね?
まさか、あなた達まで逃げたりはしないでしょうね?」
「いや、こっちも逃げられた側なんで、そのつもりはありませんよ。」
シンが、ため息をついて答える。
「じゃぁ、早速やらせてもらうわよっ!」
そう3人の中でリーダーらしき女子が言うと、3人はそのままシン達と距離をとる。
「見せてあげるわ!わたし達の連携をっ!」
3中3年の根来アズの言葉を合図に、
「木砲の術!」
3中1年の根来スミが、そう叫んで小さなバラを咲かせる。
「水流の術!」
さらに、3中2年の根来サキがそう言って、バラへと水やりを始める。
チョロチョロとサキの手から流れる水が、スミの出したバラへと注がれ、バラが成長する。
手のひらサイズから、50cm程に。
「おい、ケンがやってるようなことしてるぞ。2人がかりで。」
「・・・しかも、しょぼい。」
「ハッハッハ。綺麗な花じゃないか!」
シン達がヒソヒソ話していると、
「いっけぇーー!」
スミが叫び、バラからいくつかの棘がシン達に向かって飛んでいく。
「ここは任せろ!」
そう言って金鎧を発現したノブが、シンとケンの前に出て構えると。
「甘いわっ!火砲の術!」
そうアズが言うと、アズの手のひらから飛び出した火の玉が、バラの棘を包み込む。
炎を纏ったバラの棘は、その勢いのままノブへと向かって飛び続け、
ノブへと届くことなく燃え尽きた。
「「「・・・・・」」」
「「「・・・・・」」」
流れる微妙な空気。
「あいつらもしかして、属性のこと、よくわかってないんじゃないか?」
「・・・いや、考え方は間違ってない。火が強すぎ。」
「おい!俺はどうすればいいんだ!!」
3人が言いたい放題に言っていると、
「あーもぅ!なんでなのよ!いっつも失敗しちゃう!」
「アズ先輩、ごめんなさい!私の術が弱いばっかりに。」
「スミちゃんのせいじゃないわっ!きっと、ウチの水流が少なかったのよっ!」
「スミ、サキ、ごめんなさい、取り乱して。あなた達のせいではないわ!私の力不足よっ!」
「「アズ先輩っ!!」」
抱き合う女子3人と、それをただただ見ている男子3人。
「おれら、何見させられてんだ?」
「・・・もう、反撃しよう。」
「ハッハッハ!俺ももう、待ちくたびれたっ!」
ノブの言葉を合図に3人が構え、抱き合う女子に向かおうとすると。
「青春中の女子の邪魔なんて、許さな~~~い!!」
その声とともに、雷が3人の中央に落ちる。
雷によって突き破られたアスファルトが辺りに飛び散り、同時に砂埃が舞った。
「今度はなんだ!?」
ノブがそう叫んでいる間に砂埃が収まり、視界がはっきりすると、3人の中央には1人の少女が立っていた。
そして少女は呟く。
「あれ、ゴリラがいる。」
(シンさん。シンさん達の右手から、誰かそっちに向かっています!相手は1人です!)
ソウからレーダーの力でそんな連絡が入る。
「っと、ソウからだ。誰か1人、こっちに来てるらしい。」
そう言ってシンが誰かが来るであろう方向に目を向けると、確かに接近してくる人影が見えた。
「まぁ、さすがに見逃すわけにもいかないだろ?」
そう言って相手の道を塞ぐようにシンが立ち、ケンとノブもそれに続いて立ちはだかる。
「っと。あっちゃー。見つかっちゃいましたか。」
1中の制服を着た男子生徒が、そう言いながら立ち止まる。
「2中の方とお見受けしやす。あっしは1中2年の風魔トクと申します。あっしは今、ちぃと急いでるんで、よかったら見逃してくれねぇですかい?」
目の前の男、トクの言葉に3人は思う。
(((初っ端からキャラ濃いな)))
と。
「俺は2中2年の甲賀シン。こいつらは同じくケンとノブ。で、さっきの話だけど。さすがに見逃したくはないんだけど。」
「いや、そう言わずに、たのんますよぉ!」
「あっ、アズ先輩!こっちに人がいます!」
トクがシンに手を合わせて見逃してくれるよう頼んでいると、上から声が聞こえる。
その声の出どころにシン達3人が視線を送ると、近くの家の屋根から女子3人がシン達を見下ろしていた。
「あっちゃー。新手ですか。こりゃ、あっしが圧倒的に不利でやんすね。
ってことであっしは、このあたりで失礼させていただきやす!」
そう言ってトクは、履いている靴を輝かせてその場から飛び上がる。
「させるかっ!」
飛び上がったトクに、シンがクナイを投げるも、クナイはトクに当たることなく、そのまま彼方へと飛び去っていく。
飛び上がったトクはというと、空中に現れた氷の道を、さながらアイススケートでもしているかの如く滑り、
「バイバイでやんすー」
そう言って滑り去ってしまった。
「・・・・・・・」
突然の逃走に呆気にとられて見ていた残された6人は、しばしトクの去った方を見つめていた。
そこにはただ、氷の道が少しずつ消えていく光景のみが残されているだけであった。
「っと!」
先に立ち直った女子3人が、屋根からシン達の目の前へと着地する。
「今のは1中の子かしら?まぁそれはいいわ。
あなた達は、2中ね?以前模擬戦で会ったわよね?
まさか、あなた達まで逃げたりはしないでしょうね?」
「いや、こっちも逃げられた側なんで、そのつもりはありませんよ。」
シンが、ため息をついて答える。
「じゃぁ、早速やらせてもらうわよっ!」
そう3人の中でリーダーらしき女子が言うと、3人はそのままシン達と距離をとる。
「見せてあげるわ!わたし達の連携をっ!」
3中3年の根来アズの言葉を合図に、
「木砲の術!」
3中1年の根来スミが、そう叫んで小さなバラを咲かせる。
「水流の術!」
さらに、3中2年の根来サキがそう言って、バラへと水やりを始める。
チョロチョロとサキの手から流れる水が、スミの出したバラへと注がれ、バラが成長する。
手のひらサイズから、50cm程に。
「おい、ケンがやってるようなことしてるぞ。2人がかりで。」
「・・・しかも、しょぼい。」
「ハッハッハ。綺麗な花じゃないか!」
シン達がヒソヒソ話していると、
「いっけぇーー!」
スミが叫び、バラからいくつかの棘がシン達に向かって飛んでいく。
「ここは任せろ!」
そう言って金鎧を発現したノブが、シンとケンの前に出て構えると。
「甘いわっ!火砲の術!」
そうアズが言うと、アズの手のひらから飛び出した火の玉が、バラの棘を包み込む。
炎を纏ったバラの棘は、その勢いのままノブへと向かって飛び続け、
ノブへと届くことなく燃え尽きた。
「「「・・・・・」」」
「「「・・・・・」」」
流れる微妙な空気。
「あいつらもしかして、属性のこと、よくわかってないんじゃないか?」
「・・・いや、考え方は間違ってない。火が強すぎ。」
「おい!俺はどうすればいいんだ!!」
3人が言いたい放題に言っていると、
「あーもぅ!なんでなのよ!いっつも失敗しちゃう!」
「アズ先輩、ごめんなさい!私の術が弱いばっかりに。」
「スミちゃんのせいじゃないわっ!きっと、ウチの水流が少なかったのよっ!」
「スミ、サキ、ごめんなさい、取り乱して。あなた達のせいではないわ!私の力不足よっ!」
「「アズ先輩っ!!」」
抱き合う女子3人と、それをただただ見ている男子3人。
「おれら、何見させられてんだ?」
「・・・もう、反撃しよう。」
「ハッハッハ!俺ももう、待ちくたびれたっ!」
ノブの言葉を合図に3人が構え、抱き合う女子に向かおうとすると。
「青春中の女子の邪魔なんて、許さな~~~い!!」
その声とともに、雷が3人の中央に落ちる。
雷によって突き破られたアスファルトが辺りに飛び散り、同時に砂埃が舞った。
「今度はなんだ!?」
ノブがそう叫んでいる間に砂埃が収まり、視界がはっきりすると、3人の中央には1人の少女が立っていた。
そして少女は呟く。
「あれ、ゴリラがいる。」
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。


婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる