おれは忍者の子孫

メバ

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忍者部、戦力強化

第89話:最終日遭遇戦 決着

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鉄の玉を全身に受けた大魔王ヘハラブは、直前に火縛の術からの拘束を解かれていたこともあり、そのまま後方へと木々を突き破りながら吹き飛ばされていく。

そのまま、ヘハラブの姿は見えなくなる。

「っしゃぁーーーー!!!」

その場にいた全員が歓声をあげ、重清の元へと走り寄って行く。

「シゲ、それスゲーな!大魔王吹っ飛んじまったぞ!」
恒久が、そう言って興奮気味に重清に話しかける。

「いや、それよりもみんなの連携の方がすごかったじゃん!よくあの短時間であそこまでの作戦練れたな!」

「凄いでしょぉ。あれ、ショウさんが考えたのよ?」
恒久に代わって、アカが自慢げにそう答える。

「いや、何でアカが自慢げなの!?」
重清が思わずつっこむと、

アカ「は!?わたしのショウさんなんだから、別にいいじゃない。」
ツネ「言い切っちゃったよ!もはや清々しいなおい!」
ソウ「ショウさんの気持ちも考えてあげようよー」
シン「モテる男は辛いですなぁ、ショウさん。」
ショウ「部内恋愛禁止なんだけどなぁ~」
ノブ「ハッハッハ!青春だな!羨ましいぞ!」
ケン「お前も早く、相手が見つかるといいな。動物園で。」

プレ「・・・みんな、オイラ達のこと忘れてないか?」
チー「ふふふ。あれだけ頑張ったんだもの、仕様がないわよ。で、こんなに油断していていいのかしら?」

それぞれが言いたいことを言っていると、

「あーっはっはぁーー!」
突然、高笑いが聞こえてくる。

その声に一同は、体を強張らせ、声のする上空に目を向ける。

その視線の先には、空に浮いて仁王立ち、もとい仁王浮きしている大魔王ヘハラブの姿があった。

先ほどの攻撃により、服の一部は燃えて焦げており、さらに木々を突き破ったことによりボロボロになっていた。
しかしその様子から大したダメージを受けた様子はなく、口元から一筋の血を流している以外に、外傷が見当たらない。

そんな大魔王の様子に、一同は絶望する。
あれだけのことをして、まだなおこれだけのダメージしか与えられなかったのか、と。

そんな一同の絶望を知ってか知らずか、大魔王ヘハラブは嬉々として話し出す。

「みんな、凄いじゃないか、さっきの連携!いくら『おままごとの術』のせいであたしの力が四分の一しか使えなかったとはいえ、この私が対応できないとは驚いたよ!」

(いや、四分の一て!!)
全員が絶望を深めながら、心の中でつっこむ。

最早、雅は本物の魔王なのではないだろうか。
そう思い始める一同に視線を送り、大魔王が重清を見つめる。

「重清!あんたの攻撃、効いたよ!まさかあたしにダメージを与える程だとは思わなかったよ!まさか鉄玉の術をあんな風に使うなんてねぇ。チーノ、ありゃあんたのアイデアかい?」
「いいえ違うわ。あれは重清が考えたのよ。」
そう言って微笑み返すチーノの言葉に満足するように笑い返し、

「だったら尚更凄いじゃないか!ばあちゃんは嬉しいよ!さすがはあたしの孫だねぇ!」

そう大魔王が口にした途端、大魔王に巨大な雷が降り注ぐ。

「がぁっ」

そんなうめき声を漏らして、大魔王が地面へと落ちる。

そして、
「興奮しすぎて、設定のこと、忘れてた、よ。」
そう言葉を漏らして、大魔王ヘハラブは、沈黙する。

こうして世界は、大魔王ヘハラブのオウンゴールによって、平和を取り戻すのであった。

『おれは忍者の子孫 大魔王襲撃編 完』


「いや、”完”じゃねーよ!ものすげー置いて行かれた感があるよ!どうしてくれんだよ!!」
恒久が、どこへともなくつっこむ。

「・・・とりあえず、みんな、部室に戻ろうか。」
ショウが苦笑いをしながら、みんなに告げると、一同はただため息をついて、部室へと歩き出す。

「さすがに、ばあちゃんこのままじゃまずいよな。」
そう呟いた重清だけは、雅の元へと歩みより、横たわる雅を負ぶって歩き出す。

「なんつーか、ばあちゃんやりたい放題だったな。」
「昔はこんなこと無かったんだけど・・・やっぱり、平八が亡くなって寂しいのよ。」
重清の後ろを歩くプレッソの呟きに、チーノが寂しそうに笑ってそう返すのであった。


「本当に、申し訳なかった!!」
一同が部室に戻ってしばらくすると、ノリも部室へと戻ってきた。
そして開口一番そう言いながら頭を下げる。

その後ろには、復活した大魔王、もといアフロヘア―になった雅が、ぶすっとした顔で座っていた。

「なんで謝る必要があるんだい。あたしはみんなのためを思ってだねぇ・・・」
「シャーラップ!!雅さま、今回は謝っときましょう!」

「そんなこと言ったって、あんただってあたしに『大魔王なんてどうですか』なんて、ノリノリだったじゃないか。」
「そりゃ、別にこいつらが巻き込まれようが知ったこっちゃないし、面白そうだったからですよ!まさか俺まで変な役させられるなんて、聞いてないですよ!!・・・・あ。」

「ほぉーーーーー。ノリさぁーん。そりゃぁ一体どういうことですかねぇ~。」
全員がノリに詰め寄る。

「いや、ちがくて。おれはみんなのためを思ってだな!きっと良い修行になると思って、雅様をけしかけて、じゃなくて!」

「みんな!そのくらいにしてやろうよ!」
ノリを責める一同にそう言葉を発したのは、重清だった。

「重清、お前・・・」
ノリが重清を崇めるように見つめていると、
「おれたちがどれだけ責めたって、変わらないって。それよりも、良い方法があるよ。」
そう言ってニヤリと笑った重清は、雅の方に目を向ける。

「ばあちゃん。ノリさんこの前、陰でじいちゃんの髪型バカにしてたよ。」

「なぁ!?」
「ほぅ。ノリや、ちょっとあっちでお話しでもしようかね。」
そう言って雅は、ノリを引きずって扉の向こうへと歩き出す。

「おいこら重清!お前、マジで覚えとけよ!いやちょっと、雅さま、そんなに引っ張らないで。や、ちょ・・・・」

ノリが叫びながら扉の向こうに姿を消すと、扉は静かに締まる。そして。

「ぎぃゃぁーーーーーーーーーーーーーー!」
ノリの叫び声が、響き渡る。

「え、あんだけ必死で戦って、こんなオチ?」
恒久が静かにつっこむ声が、ノリの叫び声の響き渡る中、漏れるのであった。
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